日本共産党の萬代弘美です。
日本共産党県議団を代表して、予算案1件について委員長報告に反対する討論を行います。
第72号議案「平成23年度島根県一般会計補正予算(第1号)」
第72号議案「平成23年度島根県一般会計補正予算(第1号)」についてです。
6月補正予算は、震災の被災地・被災者への支援、地震・原発等の安全・安心対策、県内産業への震災関連経済対策、安全・安心な社会基盤・生活基盤の整備を柱に編成し、総額63億円を計上するものです。
わが党は、これら補正項目については、当然のものであり、東日本大震災関連・経済対策などに異議を唱えるものではありませんが、この大震災の発生を受けて、住民の福祉を守るという自治体の責務を強調するものであります。
災害から住民の命を守るためには、学校、公共施設、住宅などの耐震化、砂防事業等による土砂災害対策、豪雨時の冠水個所の解消や護岸整備、地すべり対策などハードの面での対策の強化は必要です。
同時に、普段から、医療、介護、福祉、子育て支援などの強い基盤とネットワークがあってこそ、災害時に大きな力を発揮するのではないでしょうか。
この間、全国では、公立病院の廃止など地域医療を崩壊の危機に陥れ、保健所を半減させ、介護も保育も民間まかせにし、市町村合併の押し付けで役場を住民から遠いものとし、公務員削減で身近な住民サービスを削るなど、あらゆる分野で「住民の福祉を守る」という自治体の仕事が「構造改革」「地域主権」の掛け声で壊されてきました。
このような住民サービス切り捨ての政治では、いざという時に住民の命を守ることができません。
いま政治に求められるのは、「住民の福祉を守る」という自治体の原点と「災害から命を守る」という自治体の責務が一体のものであり、「福祉・防災の街づくり」をすすめることです。
島根県内において、特別養護老人ホームの入所待機者は6千人にも達しています。また、国民健康保険滞納世帯は1万世帯にも上り、その制裁措置として命綱である保険証を取り上げられた世帯は、約1千世帯にも及んでいます。
また、福祉医療の1割負担導入により、障がい者の命と健康が脅かされています。医療や介護サービスから排除される人が増えています。
全国一の高齢者県である島根として、高齢者福祉、社会保障予算を増額し、住民の福祉を守ってこそ、災害に強い島根となることを指摘するものです。
本補正では、島根県内への立地や増設を検討する企業を後押しするため、投資助成割合に一律5%を加算するなど、企業立地促進助成制度の制度拡充が盛り込まれています。
企業立地促進助成金の改正理由として、「東日本に集中した生産拠点をリスク分散の観点から見直す機運が高まっており、この機会を捉え、リスク分散に対応する企業を本県へ誘導する」としています。
いま、東北の被災地からは、「先が見えない」「この地域から人がいなくなってしまう」「仕事がない状態が続き、多くの人が仕事を求めて県外に出ていかざるを得ない」「労働力が流出すれば、二度と立ち上がれなくなる」という痛切な声が寄せられています。
この点で、国として被災地、被災者の方々が復興に向けた希望が見える施策を打ち出すことが求められています。
それは、仕事、雇用、産業の再出発に向けた具体的支援を実施することです。
わが党は、この震災の機に乗じて、企業立地助成金を増額してまで企業を誘致するやり方は、被災地復興を妨げるものであり、反対です。
もし、逆に島根が被災し、復興に向けて努力している時に、他県が企業立地助成金を増額して島根の企業を呼び込もうとしたら、どうでしょうか。
被災地の復興のためには、全国が力を合わせて、被災地における雇用や産業を育成することこそ、最大の支援であることを強調するものです。
以上の立場から、本補正予算案には反対です。
以上で、討論を終ります。