2011 年 9 月定例会 一問一答質問 (原発・プルサーマルについて、地域防災計画について、自然エネルギーの導入について)
2011-09-28 この記事を印刷
○尾村利成議員 日本共産党の尾村利成でございます。
福島原発の事故発生から半年が経過いたしましたが、いまだ終息の見通しが立っておりません。島根県は全国でただ1つ県庁所在地に原発が立地しております。多くの県民は、原発の危険におびえながら暮らしています。知事は、この危険な原発について、国としてのエネルギー政策が決まらなければ、県としての方針は定まらないとする国待ちの姿勢に終始しておられます。福島県の6月県議会の代表質問で、自民党は次のように述べました。40年以上安全神話を信じ原発を推進してきたことを反省する、6月23日の県議会開会日をもって、原子力発電を今後一切推進しないことを決定した、こう表明したのであります。民主党も原発を推進しないことを決め、福島県議会ではすべての会派が原発ゼロを宣言いたしました。そして、福島県は、8月、復興ビジョンを発表いたしました。復興の基本理念として、原子力に依存しない安全・安心で持続可能な社会づくりを掲げたのであります。
ビジョンの一部を御紹介したいと思います。
国及び原子力発電事業者は、原子力発電所が何重にも防護策が取られているとしてその安全性を主張してきた。しかし、そうした主張に対する信頼は、今回の原子力発電所事故によって根底から覆り、原子力発電という巨大なシステムを人間が制御することの困難さ、そして一旦事故が起これば、再び管理できるようになるまでに相当な年月を要し、極めて広範囲に長期にわたって甚大な被害を及ぼすことが明らかになった。
今回の原子力災害で最も深刻な被害を受けたふくしまの地においては、(中略)原子力に依存しない社会を目指す。そして、再生可能エネルギーの飛躍的な推進を図る。
こう宣言したわけであります。
知事は、原発は専門的であり、技術的な問題がある、こういうことを言われます。しかし、私は、今回の事故を通じてはっきりしたことがあると思うんです。それは、現在の原発の技術は、本質的に未完成で危険なものであるということであります。どんな形の原子炉も、核エネルギーを取り出す過程で莫大な放射性物質、死の灰を生み出します。この死の灰をどんな事態が起こっても原子炉内部に安全に閉じ込める手段を、人類は手に入れておりません。また、使用済み核燃料を後始末する方法は全く見通しがありません。
私は、技術的に未完成な現在の原発技術は、社会的に許容できないものであると考えるものであります。県民の命を守るべき県として、決して国待ちにならず、福島を見習い、危険な原発からの撤退を島根県も決断するべきであります。
この立場から質問に入ります。
まず、やらせの問題であります。
原子力安全・保安院が、電力会社にプルサーマル推進のやらせの質問を指示をしたり、また電力会社が原発再稼働のやらせメールを組織ぐるみで行うなど、世論を操作し、捏造していたことが明らかとなりました。
知事は、この国の体質、電力会社の体質、どうお考えですか。
○知事(溝口善兵衛) 御指摘のようなことはあってはならないことだと、私は考えております。
議員は体質とこうおっしゃったわけでありますが、そうしたものが、電力会社あるいは国との関係においてどこまで共通してるかは判然としませんけども、そうしたやり方というのが現実にあるということは大変遺憾なことだと思います。やはりそうした問題は、国の電力会社に対する規制の問題、仕方、仕組み、あるいは監督の仕方等々、大きくかかわってきておるわけであります。多分、長年そういう中でそういう問題が生じてきたんだろうというふうに思います。こういう問題は、以前から指摘があったわけでありますけども、政府は今回の事態にかんがみ、原子力発電を含め、国のエネルギー政策をどういうふうに推進するかという立場と、原子力発電を行っている電力会社を監督、規制する立場と、この2つを分離をしようという考えに立って法改正を行うということを決められておるわけであります。そういうことを通じて、議員が御指摘のような問題がなくなっていくことを、私も強く希望をしております。
○尾村利成議員 国そして電力会社への信頼というのは、今地に落ちております。本来、原子力を規制するはずの保安院ですけども、今何て言われてるか。保安院ではない、不安院だと言われています。私は知事に申し上げたい。このやらせというのは、この島根でも行われていたんですよ。中国電力も行っていたんですよ。御存じだと思います。2009年1月、プルサーマル住民説明会において、中国電力は関連企業に説明会の参加者動員を行っておりました。1月17日の説明会には、総数で361人参加しておられましたけれども、この361人のうち実に半数に当たる180人が中国電力の社員、そしてグループ企業の人たちでありました。そして、中国電力は、この説明会において、原発プルサーマルに理解のある住民に対して発言をしてくれという発言要請まで行っていました。これは明らかにやらせではありませんか。不公正な説明会ではありませんか。私は、こういうことをやっていた中電に対して、そして国に対しても、知事として真相究明を求めるとともに、強く抗議をする、この立場に立っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○知事(溝口善兵衛) 議員御指摘の話は、7月末でございましたか、国のほうが各電力会社に調査を指示をし、その結果を報告した際に、中国電力から説明がありましたが、それがどのようであったものかというのは別途質問がございましたらお答え申し上げますけども、いずれにしても、県として、中国電力の発表があった際に、私からは住民の方々の誤解を招くようなことがあってはならないというコメントを出し、中国電力にも一定の注意を行っておるところであります。
この中国電力の説明につきましては、中国電力からエネ庁に対して報告した中では、地域において原子力発電及びプルサーマルについて理解のある人に対して、住民説明会において質問や要望を言ってもらうという依頼は行ったという記述がございますが、そういう人たちに発言をするようにというようなことは依頼をしたということは言っておりますけども、どういうふうに、賛成とかどうかということについてお願いをしたというふうには発表されておりません。以上であります。
○尾村利成議員 少し具体的に入りたいと思います。この説明会に参加動員をした人物は一体だれだったのか。これは、当時の中国電力の副社長です。そして、電源事業本部長であります。この参加動員をした副社長というのは、経済産業省の天下りOBでありました。役職は資源エネルギー庁長官官房審議官でありました。こういうことになりますと、知事、この1月17日の説明会というのは国主催の説明会だった。そして、参加の動員を指揮をしたのはだれだったかというと、中電の副社長、その人は経済産業省の天下りOBだった。こうなると、これは明らかに国と中国電力の癒着によるやらせの説明会ということになって、不公正な説明会そのものということになるではありませんか。知事どうぞ。
○知事(溝口善兵衛) そういう御質問等はこれまでにもございましたから、私どもも、その説明会がどういうものであったのかという議事録を国に求めまして、それを私どももよく読んでみました。その中では、これは国が主催の説明会でありますけども、松江市のほうから、市民の方々に状況をよく説明してもらう必要があるということがあって、前から求めておって、その時期が1月の中旬になったということでございます。前年の10月に、プルサーマルの発電のための準備を許可する方針が国から出されて、それに対して松江市や県がどうするかという検討が具体的にされ始めておったわけでありますけども、その中で、国が状況を説明したと、こういうことであります。
それで、議事録の内容を、私も自分で読んでみました。そうしますと、国や中国電力は、耐震安全性あるいはプルサーマルの問題等について、松江市などから寄せられていた質問に対して答えるという形で説明がされております。もちろん保安院の考え方自身も説明されておりますけども。その説明があって、参加者からは、推進する立場、あるいは慎重な取り扱いを求める立場、あるいは反対する立場、それぞれの立場から発言がありました。会場を6つぐらいにブロックに仕切るといいますか、区分して、それぞれで手を挙げてもらって、指名をして質問してもらうというような形で行われておりまして、説明会としては、そういう意味で、やらせによって何か発言をして、それで進行したということではないように、私は議事録を読みまして感じております。
○尾村利成議員 知事、私も議事録は読みました。ただ、議事録だけの問題じゃないんです。説明会そのものに、361人のうち半分が、基本的には原発とプルサーマルを推進する人たちが参加している。それは先ほど言いましたように、中電の副社長、この人は経産省のOBで、参加の組織をしてるんです。言い方変えれば、無言の圧力をかけてるわけです。私は、説明会というのは当然公正さが求められると思います。意図的な動員ということは許されないと思います。もし動員をかけるなら、正々堂々と言うべきじゃないですか。361人のうち、きょう中国電力は180人来てますよ、そういうことを言った上で説明会をするというのが筋だと思われませんか。
○知事(溝口善兵衛) 実際にどういう動員をしたのかというのは詳細は承知していませんけども、それから実際に発言をしてる人は、手を挙げてしておるわけでありまして、議事録によってそれを確認する限り、何か賛成の人がどんどん発言をしたというような感じじゃありません。質問も途絶えたりしておりまして、むしろ慎重な立場からの発言なんかも随分続いておりまして、会場の運営自体について議員がおっしゃるようなことはあったとはなかなか考えにくい議事録の内容であります。
それから、アンケート調査も後でとっておりますけれども、それも公表されております。どういう取りまとめをしたのか、あるいは設問がどうだったかというのも、私は調べてみました。それで、賛成かどうかというような問いかけをしてるわけじゃないです。説明がわかりやすかったかどうかというようなことが中心でありまして、つまり説明会をして、賛成が多かったのかどうかということを求める、あるいは調査する会合ではなかったように思います、アンケートの内容、発表ぶり等から見まして。そういう意味で、議員のおっしゃられるような問題点、どういうことになってるか、これは国のほうで各電力会社の報告、それぞれに基づきまして調査をされてますから、そこできちっと処理をされるということが必要だと、私は考えております。
○尾村利成議員 アンケートの話になりましたんで、じゃあアンケートの話したいと思いますが、このアンケートは144名が回答したんですね。361人参加をして144名が回答した。知事はそのアンケートの中で言われなかったことがあるんですが、今の答弁で。アンケートの中には、プルサーマルの必要性について理解が深まりましたかという問いもあるんです。私はこのアンケートの結果見て驚きました。理解が深まったという人が約7割という結果なんですね。考えてください。参加動員した中電の人やグループ社員の人も、この144名のアンケートの中に入ってる可能性というのは、私はあると思うんです。この点では、総務部長、どういうふうに評価されてますか。
○総務部長(赤松俊彦) アンケートでございますが、御指摘のように、361名参加をされた方のうち144名の回答を得たものというふうに承知をしてございます。ただこの中で、御指摘の関連企業の方がどれだけ含まれるかということについては詳細にはなっていないというふうな状況が前提にございます。
アンケートの項目でございますけれども、御指摘のように、設問例を見ますと、プルサーマルの必要性、原子炉設置変更の許可について理解が深まりましたか、あるいは、島根原子力発電所耐震安全性について理解が深まりましたか、住民説明会は、あなたが持たれている疑問を十分に取り上げたものだったでしょうか、あるいは、住民説明会はわかりやすい工夫が凝らされたものだったでしょうかというふうな項目になっておるわけでございまして、この項目を見る限り、住民のプルサーマル計画につきます賛否というような意思を問うというようなものが目的ではなしに、説明会がわかりやすいものであったかどうかというふうなものを確かめるためにアンケート調査を実施をしたというふうなものであるというふうに考えておるところでございます。
○尾村利成議員 部長、私が言ってるのは、そのアンケートに中電関係者も参加してるんじゃないですかと。一住民として回答した疑いがあるんじゃないでしょうかと。世論誘導が行われた可能性があるんじゃないでしょうかということを問うてるんですけども、どうでしょうか。
○総務部長(赤松俊彦) 先ほど、前段で申しましたように、このアンケートに回答した方の中に、関連企業の方がおられるのか、どれだけおられるかどうかというのは、アンケートの集計、アンケートのとり方から見て、これ明らかではございませんので、そこは明確にどうのこうのというふうに判断をすることは難しいと思っています。
2点目の、これが誘導につながったかどうかというような趣旨の御質問でございますが、私どもの理解といたしましては、あくまでこのアンケートというのは、説明会がわかりやすかったかどうかというものを問うというものであったというふうに考えておるところでございます。
○尾村利成議員 いや、それだけじゃなくて、アンケートの設問に、プルサーマルの必要性について理解がどうだったのかという設問があるわけですから、これは問題じゃないですか。
○総務部長(赤松俊彦) 何度も繰り返しになるわけでございますが、そのプルサーマル導入の賛否を聞くというふうな質問ではなしに、あくまで当該住民に対して御説明をしたものが住民の疑問に答えるような内容であったかどうかというのを確認するための趣旨でこのような質問がなされたのではないかというふうに考えております。
○尾村利成議員 私はやっぱりこれは、不公正なやり方だと思うんです。なぜこういうことをやるかというと、それはプルサーマルがどんなに危険なのか、住民はこれを受け入れないんだということを国と電力会社が知ってるんです。みずから認めてるんですよ。私はここに原因があると思ってます。先ほど中電の天下りの話をしました。国の天下りの問題は、前官房長官の枝野長官も、経産省の幹部から電力会社への天下りは社会的に許されない、こう国会で答弁をいたしております。私は、この中電の体質という点でも、天下りという、こういう点はもうやめるべきだ。受け入れはやめるべきだということを、この議場で指摘をしておきたいと思います。
世論を正確に把握するという問題です、部長。県政の主人公は県民です。当たり前のことです。福島原発の事故以降、島根原発に対する意識というのは、県民の意識というのは大きく変化を、私はしてると思います、3・11以降。やはり、私は県として、県民に対してアンケートを行ったり、また県民の意見を聞く会などを県として主体的に開いて、正確な県民世論を把握する努力をすべきだと思いますが、どうでしょうか。
○総務部長(赤松俊彦) まず、現状でございますが、福島第一原発で何があったのかというふうな情報が、現在十分に開示をされていないというふうに、まず考えております。そのような中で、民間の専門家の方々からさまざまな御意見であるとか、疑問が今出されておるというふうな状況にあると思っております。このような中で、私どもといたしましては、まず国において、福島第一原発の事故について現時点で把握をしている情報というのをちゃんと分析整理をしていただいて、これを速やかにまず公開をしていただくことが必要ではないかというふうに思っております。
その上で、民間の専門家の方々が提起をしている疑問あるいは意見、これが県民の皆様の疑問でありますとか、御不安につながっている部分もあるわけでございますので、こういうものに対して明確な見解を示していただきたい。いわゆる国民全体に対しまして、わかりやすくまず説明をしていただくことが大切であるというふうに考えておるところでございます。
そのような上で、島根原発のあり方についてでございますが、県議会でございますとか、県の原子力安全顧問など専門家の皆さんの意見を聞くとともに、県民の方々の御意見についてもよく考えていく必要があるというふうに考えてございます。
○尾村利成議員 今、具体的にアンケートとか県民の意見を聞く会というのは、もうこれできてるんですよね。県としてもつくったんです。そういう場を持つべきではないかと問うたわけですが、この点はどうでしょうか。
○総務部長(赤松俊彦) 具体的にどのようにして県民の方の御意見、思いを聞くかということにつきましては、今後、どういうのが一番いいのかということについて検討してまいりたいと考えてございます。
○尾村利成議員 知事も手を挙げたんで答弁お願いします。
○知事(溝口善兵衛) 先ほど来、総務部長、言っておりますけども、やはり問題は、福島原発でどういうことが起こったのかと。いろんな疑問とかがもう出てるわけです。それについては、知事会もあるいは立地14道県の知事の会も、国に対して、そういうものについてちゃんと調査をし-やってるわけですけども-国民にわかりやすく説明をしてくださいと、それをしないとだめですということを強く申し入れております。しかし、御承知のように、国のほうは、正式な名称はちょっと正確でないのですが、国として原因の調査研究の委員会をつくっとりますね。そこでやっとるわけでありますが、そこのまだ発表が、作業がどの程度進んで、発表ができるとかという状況にはまだなってないわけであります。私は、そういうものをまず国がやっぱりよく示して、その上で、それに対してどうだという議論をする。あるいは御意見を聞く。また、ほかの専門家の意見を聞くというようなことをしませんと、会合だけで意見を聞く、そういうことを先にしても、なかなかかみ合った議論というのはできないんじゃないかと思ってるわけであります。したがいまして、そういう国のほうの作業の進展、発表の進展を見ながら、適切な時期に適切なやり方で県民の方々等々から意見を聞きたいと思います。そういう考えでございます。
○尾村利成議員 しっかり意見を聞く会というのを、県としても準備していただきたい。
次に、地域防災計画に移ります。
地震、津波などの自然災害と原発災害が重なる複合災害を想定した防災計画が求められております。策定方針並びに計画の見直し状況はどうなってますか。部長に尋ねます。
○総務部長(赤松俊彦) まず、現行の地域防災計画の原子力災害編でございますけれども、当該計画につきましては、放射性物質または放射線が異常な水準で事業所外へ放出された場合の対応について規定をしておるところでございまして、いわゆる複合災害と言われるようなものへの対応については規定をされていないというふうな状況にまず、現状はあるわけでございます。
現在、県におきまして、この地域防災計画の改定に向けた準備作業を行っておるわけでございまして、その一環といたしまして、鳥取県及び30キロ圏内の市町とともに、検討、準備をしておるわけでございますが、まずその原子力災害の原因でございますけれども、例えば地震であるとか津波であるとか、その原因としてはいろいろなものが想定をされるわけでございますが、現在の作業といたしましては、まず原発事故の対応として、住民避難というようなことに、まず第一にどう対応していくのかというような観点から、広域避難先の整理、これをまず最優先の課題として行っておるというふうな現状にございます。地震や津波などの自然災害がどのような影響をもたらすかというような観点につきましては、この住民避難についての検討がある程度めどがついてからの検討課題であるというふうに考えておるところでございまして、この点も踏まえて、当然検討はしていかないといけないというふうに考えておるところでございます。
ちなみに、県の防災計画の前提と申しますか、国の計画でございますけれども、現行の国の原子力防災指針におきましても、自然災害と原子力災害の複合災害というのは、これ想定されておらない状況になってございます。このような状況にかんがみまして、ことしの6月に実施をいたしました、県から国への重点要望でございますけれども、この重点要望におきまして、複合災害を想定した原子力防災指針の見直しをするように、国に対しても要望しておるというふうな状況にございます。
○尾村利成議員 私は、防災力を高めるためには、これは本当の意味で高めるためには、右手でずっと防災力を高めるために頑張るわけです。左手でどうしないといけないかといったら、原発災害でいえば、これの危険を少しでも軽減する、除去するという取り組みがないと、全体として防災力というのは絶対に向上しないと思うんです。
私はそういう観点から、1号機の老朽原発、これはもう廃炉にすべきであると思うし、危険なプルサーマルというのはやるべきではないと思います。活断層の調査も徹底して行うべきだと思います。
知事はどうお考えでしょうか。
○知事(溝口善兵衛) そういう指摘が既にそれは民間の方々、専門家の方々からも提起をされております。そういう意味におきまして、福島原発で何が起こったのか。例えば、福島原発の中にも高経年化した原子炉もあるわけです。あるいは、プルサーマルを活用してた原子炉もあるわけでして、そういうところにどういう影響があったのかといったような点を、やはりちゃんと、国は今調査をしてるんですけども、そういうものを発表して、だからこういう対策が必要で、こういう対策をとってるとか、あるいはそういうことをちゃんと説明した上で議論をして、方針を考えていかなきゃいかんということなんです。そういうことなしに、推測でこうじゃないかというのはだれにもできるんですけれども、それじゃあ議論は堂々めぐりになるわけでありまして、やっぱり実態に基づいた、データに基づいたものが出されて、それに対してどうだという意見を交わしていくということが大事じゃないかというふうに思います。
その過程で、県のほうも県民の方々の御意見あるいは専門家の御意見、あるいは安全顧問の方々がおられますから、安全顧問の方々の御意見、あるいは議会でのいろんな議論もありますし、そういうものをよくお聞きして対応を決めていかなきゃいかんということであります。
まずは、やっぱり、まだ出発点ができてないわけであります。やはりそうした問題は、国のエネルギー政策の中で、国のエネルギー政策として原発を含めどうするのかというのがなきゃいかんわけです。それをつくるためにも、国のほうは原発をどういうふうに見るのか、どういうふうに考えるのか、国がいろいろ調査した結果、こうだからこういうふうにするという説明があって、そこから議論が進んでいくわけです。そういうことを常々申し上げておるわけであります。
○尾村利成議員 知事、出発点の話されるんで、私は冒頭言ったのが、福島はもうゼロを決めたんですよと。地方自治権として、国のエネルギー政策は決まってないけども、福島はもう決めたんですよということを言いました。そして、現在の原発技術はいまだ未確立だということも言いました。私は、高齢者や入院患者、そして要援護者など県民の命と安全が100%保障されないなら、県民の命が保障されないなら、住民が避難するんじゃなくて、私は原発が避難する、すなわち原発が撤退する。私はこれが本当の道だと思いますけど、知事と話は食い違いますけども、どうですか。
○知事(溝口善兵衛) そこは、議員のようなお考えも当然あると思います。しかし、他方で、国のエネルギーを確保するというのは、日本の国がどういうふうにして経済活動をするのか、あるいは、それによって国民の生活が成るのかということと関連をしてるわけであります。そこのところは難しいとこなわけであります。だから、一部だけでこうしたらいいというのは、それはそれで一つの見解と私は思います。しかし、経済活動というのは相互依存しとるわけであります。どこかの地域だけでやめると言っても、日本全体でやめたらどうなるかといった問題もありますから、国のほうも、今の政権では、原発の役割を徐々に少なくしていくというお考えを既に発表してますけど、直ちには無理だということを、そういう前提でお話しになってるわけです。だから、具体的にどういうふうに考えるのか。そのためにはやはり客観的な基礎がないと、それは人々が自分の考えを言うことは、これはできますけども、それでは議論は収束していかない。まとまっていかない。やはり、私が申し上げてるのは、国全体の国民の生活、もちろん安全もあります、複雑に絡んでおるわけでありますから、そういう問題について、やはり国が早く方針を出す必要がある。国は来年の夏をめどにそういう作業を進めると言っとりますけれども、そういうことを進める過程で我々も意見を言っていくし、それから国の方針を固める過程でもまた意見を言っていくというようなプロセスになると思いますし、そういうプロセスを丁寧にやることが大事だというふうに考えております。
○尾村利成議員 知事は、国、国と言われるけど、その国がやらせを指示をしておったりして、今、信頼をなくしてるんです。だから、私は県として、島根県として、しっかり考え方を発信するということが、私は大事だと思います。
エネルギー確保の話を今、知事言われましたんで、地域振興部長に聞きたいと思います。
島根県の自然エネルギーの導入ポテンシャル、県内にどの程度あるのか教えてください。
○地域振興部長(今岡輝夫) 申しわけありませんが、県独自で調査をしたものはございません。環境省がことし3月に発表いたしました再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査によりますと、島根県内の資源量は次のとおりでございます。一般住宅を除く公共施設や耕作放棄地などに設置する太陽光発電については、148万キロワット程度ある、それから風力発電につきましては、245万キロワット程度ある、それから、中小の水力発電につきましては、15万キロワット程度のポテンシャルがあるというふうに言っております。
○尾村利成議員 日本の自然エネルギーのポテンシャルというのは、原発54基の発電能力の約40倍ございます。私は、自然エネルギーへの転換というのは、第1次産業の衰退による若者の流出、過疎、高齢化、集落機能の低下、山林の荒廃などの諸問題を解決をして、新たな仕事を興す、雇用を創出をする、地域の活性化に結びつくもの、このように考えますけれども、所見を尋ねます。
○地域振興部長(今岡輝夫) 自然エネルギーは、太陽光、風力、木質バイオマスなどの地域資源を活用した地域特性に応じた取り組みが可能でございます。一般的には、地域振興の観点から効果が期待できるものというふうに認識をしております。例えば、木質バイオマスの利用促進は、本県の豊富な森林資源を有効活用することとなります。また、林業、製材業、建築業、運輸業など、すそ野の広い産業の活性化や雇用の創出などの可能性があるとも考えております。また、メガソーラーや風力発電施設の建設は、耕作放棄地の有効利用や作業道の活用によります林地の環境保全等にも貢献するということが期待されるところでございます。
○尾村利成議員 知事、これは地域を再生して、そして新しい仕事、そして雇用を創出するという、私は本格的な取り組みが求められると思うんです。水力、そして風力、太陽光、バイオマス、地熱、こういう自然エネルギーの本格的な導入に向けて、私は新たに県として積極的な導入目標を設定すべきときだと思うわけです。自然エネルギーを本格的に導入するために、市町村との連携、関係機関との連携、そして調査・研究開発を強化をして、そして県としてはその推進体制と予算を、私は拡充していくことが必要だと思ってます。
島根県を日本一の自然エネルギーの先進県とする、私はこういうふうに島根を導いていただきたいのですけども、いかがでしょうか。
○知事(溝口善兵衛) 基本的に、そういうような方向で我々も努力をしなければならないというふうに考えております。
法案ができまして、電力等の買い取り制度などもできるわけでありますけども、やっぱり問題は、具体的にするときに、結局発電のためにコストが幾らかかるかということも大きな要素なんです。それがかかりますと、結局国民が負担をすると、県民が負担するということになりますから、そういう点も踏まえながら、そしてそういう要素を頭に入れながらということだけでありますけども、県として、自然エネルギーの活用について、県庁挙げて調査研究をしていきたいというふうに考えておるとこであります。
○尾村利成議員 時間がなくなりましたんで、知事、最後に、さっき国、国と言われるんで私申し上げたいと思うんです。国連のさきの総会で、野田首相が、原発の再稼働をするんだ、そして原発を輸出するんだという、こういう推進の演説をしたんです。しかし、現実はどうでしょうか。今もって福島原発の事故検証、原因は究明されておりません、途上であります。そして、知事が言われた原子力の規制機関と推進機関の分離、これもまだなされていません。こういう現状なのに、推進の方向を国連で言ってるんです。私は、とんでもないと思います。私は、危険な原発との共存共栄というのは、今あり得ないと思っています。この島根において過酷事故が起これば、この島根の美しい自然、そして島根の文化、歴史、人々の営み、すべてが奪われることに、失われることになると思います。私は、危険な原発は島根県から一日も早く撤退させるということを決断することを強く求めて、質問を終わります。