2012 年 2 月定例会 知事提出・議員提出議案、請願に対する討論
2012-03-16 この記事を印刷
2012年(平成24年)2月定例会討論[2012年3月16日]
議事録及び録画中継は県議会のホームページにてご覧になれます。
http://gikaiair.pref.shimane.lg.jp/vod.html
日本共産党の尾村利成でございます。
日本共産党島根県議団を代表して、予算案6件、条例案10件、議員提出議案1件、請願1件について委員長報告に反対する討論を行います。
第2号議案「平成24年度島根県一般会計予算」
まず、第2号議案「平成24年度島根県一般会計予算」についてであります。
平成24年度予算案は、総額5,277億円余、対前年度当初比0.9%減であります。
国政において民主党政権は、社会保障と税の一体改革と称して、消費税を2014年に8%、2015年に10%に増税する大増税法案を成立させようとしています。
その一方で、年金支給額の減額、医療費の窓口負担の引き上げ、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」導入など、社会保障のあらゆる分野で負担増と給付削減という連続改悪をすすめようとしています。
また、暮らしや農業、地域経済を破壊し、国の主権まで売り渡すTPPへの参加に突っ走ろうとしています。
国の政治がひどい時だけに、今こそ住民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を果たす自治体、島根県政の真価が問われています。
予算案では、再生可能エネルギー利活用推進事業、住宅のバリアフリー改修や耐震対策を助成するリフォーム助成事業、児童養護施設入所者の運転免許取得補助、小学校の発達障がい児童支援のための非常勤講師増員、循環型林業の促進、宍道湖・中海の湖沼環境特別調査事業などが盛り込まれました。
わが党は、これらの事業や予算増額措置については評価するものであります。
長引く不況のもとで、貧困と格差が拡大し、雇用、医療、福祉、産業、農業などあらゆる分野において、県民の苦悩が広がっています。
予算は、これら県民の苦しみを解決し、暮らしと地方自治、地方経済を立て直すものでなければなりません。
医療、福祉では、払いたくても払えない国保料・税を引き下げるため、県としての法定外独自支出金の実施を決断すべきです。障がい者の命と健康を守るためにも、福祉医療の1割負担は撤回すべきです。
農業においては、TPP参加に反対し、持続可能な農業経営を実現するために農産物の価格保障を中心に所得補償と組み合わせ、再生産を保障する施策を農業政策の柱に据えるべきです。
産業・雇用対策では、新産業創出、企業誘致頼みから脱却し、島根県内に現にある力を育て、伸ばし、それによって雇用と消費を増やす内発型・循環型の地域振興策に転換すべきです。
教育では、子どもたちを競争に追い立て、ふるい分けする学力テストは中止すべきです。また、同和教育をすべての教育の基底に据えるという、同和教育の特殊化・別格化は正すべきであります。
県民の命と安全を守るためにも、原発ゼロの島根をめざすべきです。危険な老朽原発の廃炉、プルサーマル計画の撤回、3号機の建設・運転の中止を求めます。日本列島が地震の活動期に入った今こそ、県として徹底した活断層調査を実施すべきであります。
予算は政治の顔と言われています。県民の願いは、医療、福祉、教育の充実です。
以上の立場から、県民の願いと来年度予算案を鑑みた時、予算案に反対するものであります。
第15号議案「平成24年度島根県病院事業会計予算」
第16号議案「平成24年度島根県電気事業会計予算」
第17号議案「平成24年度島根県工業用水道事業会計予算」
第18号議案「平成24年度島根県水道事業会計予算」
第19号議案「平成24年度島根県宅地造成事業会計予算」
次に、第15号議案「平成24年度島根県病院事業会計予算」、第16号議案から第19号議案までの電気、工業用水道、水道、宅地造成事業の公営企業会計予算についてであります。
まず、病院事業会計予算についてです。
県立中央病院では、希望者に対して看護師2交代勤務が行われておりますが、2交代勤務は看護師の健康の悪化、ひいては離職につながりかねません。また、患者にとっては、安全・安心な看護の提供の面から有害であることを指摘するものであります。
また、経営効率化による民間委託推進は、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされる恐れがあり、病院が自らやるべき業務や安全、衛生等についてチェックができず、県民サービスの低下が懸念されます。
次に、企業局会計についてであります。
神戸川工業用水道事業の一般会計への移管措置が取られました。今回の移管は、水需要がなく、供給見込みが立たない事業であったことを証明しました。そして、この事業処理に莫大な県民の血税が投入され、税金の無駄づかいであったことが明らかとなったのであります。
使わない水まで住民負担になっている江の川水道事業、そして積算根拠・需要予測を誤った斐伊川水道事業こそ、住民負担軽減や事業の見直しによる適正化を講じるべきであります。
以上の立場から、これら予算には賛同できません。
第21号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」
第22号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」
第23号議案「市町村立学校の教職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」
第27号議案「職員の管理職手当の特例に関する条例」
次に、第21号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」、第22号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」、第23号議案「市町村立学校の教職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」、第27号議案「職員の管理職手当の特例に関する条例」についてです。
特例条例による給与の減額措置の廃止は当然であり、賛成します。しかし、地域給導入による月例給、特別給の引き下げには、以下五点の理由から反対であります。
第一に、相次ぐ職員定員削減で職員の業務量は増大し、職員の労働条件は悪化の一途であります。総人件費抑制策は、職員の士気の低下や組織の活性化、行政能力の低下につながりかねません。このことは、ひいては県民サービス低下につながる恐れがあります。
第二に、県職員の給与は、公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給、最低賃金、生活保護費の基礎ともなり、その引き下げは、広く県民生活に悪影響を与えるものであります。
第三に、県職員給与の引き下げは、県内の消費購買力の低下につながり、地域経済の建て直しにマイナス影響を及ぼすものであります。
第四に、県職員給与引き下げは、民間賃金にも波及し、賃下げの悪循環を招くものであります。
第五に、今日の県財政危機の原因は、無駄な大型開発を続けてきた結果であり、職員に責任はありません。
この立場から、職員の管理職手当においても減額中止を求めます。
第26号議案「知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」
議員提出第2号議案「議会の議員の議員報酬の特例に関する条例の一部を改正する条例」
次に、第26号議案「知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」、議員提出第2号議案「議会の議員の議員報酬の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
これらの議案は、知事等の給与ならびに議員の報酬の減額期間を2年間延長するとともに、給与ならびに議員報酬の減額率を緩和するものであります。
この間、県財政健全化と称して、人件費のカット、事務事業の見直し、暮らしや福祉、教育の予算が大幅に削減されてきました。
県財政悪化の原因は、長年、身の丈を越えた公共投資を続けてきたからに他なりません。不要不急の事業、県民合意のない事業、需要予測を誤った大型事業が続けられてきたのです。
財政悪化の責任は、無駄な大型開発中心の予算編成を行ってきた知事とその予算に賛成してきた県議会にあります。
財政健全化策の一つとして、平成17年には、福祉医療の1割負担が導入され、最大で80倍もの負担増が障がい者に押しつけられました。
この1割負担に対し、今もなお、障がい者や母子家庭のみなさんは苦しみ、一日も早い、1割負担撤回を切望しておられます。
この1割負担が撤回されていないのに、知事等の給与や議員報酬のカット率の減額は許されません。
カット率を緩和するなら、福祉医療の1割負担撤回をはじめ、この間、削減されてきた県民の暮らしや福祉の予算を増額すべきであります。
よって、これら議案には反対であります。
第30号議案「島根県県税条例の一部を改正する条例」
次に、第30号議案「島根県県税条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例は、復興増税に伴い、個人住民税の均等割を引き上げるものであります。
復興増税は、東日本大震災からの復興を名目に、個人や中小業者に総額8.8兆円の増税をかぶせる一方で、大企業には平年度で1.2兆円の法人税減税を恒久化する不公平なものです。
所得の低い人に負担を増やし、応能負担原則に反する税制には反対です。
第34号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」
次に、第34号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。
ゆきとどいた教育、ゆとりある学校実現のために、教員定数の削減には反対です。
本県の小中学校において、教員の6%が講師です。その中で、約半数の講師がクラス担任を受け持っています。本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やすべきであります。
よって、本条例には反対であります。
第45号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」
第46号議案「島根県認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例」
次に、第45号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」、第46号議案「島根県認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
これらの条例は、地域改革推進一括法の施行に伴い、児童福祉施設の設備及び運営にかかる最低基準について必要な事項を規定し、認定こども園の認定要件について所要の改正を行うものです。
東日本大震災の教訓は、現行の保育士の人員配置基準では、子どもたちの命と安全が守ることができず、最低基準の改善は喫緊の課題であることを明らかにしたことです。
県の独自策として、人員配置基準や居室面積基準を引き上げ・改善するとともに、国に対して最低基準引き上げの財政支援を強く求めるべきです。
認定こども園は、幼稚園、保育所の施設設備や職員配置などの現行基準を下回ることが容認されており、許可外であった保育所や幼稚園の施設や機能を公認するという矛盾もあり、これまでの保育水準を大きく後退させる恐れがあります。
よって、これら条例案には反対であります。
第53号議案「島根県営住宅条例の一部を改正する条例」
次に、第53号議案「島根県営住宅条例の一部を改正する条例」についてであります。
本条例案は、公営住宅法の改正において、同居親族要件に関する規定が削除されたため、県営住宅条例の入居資格に同居親族要件に関する規定を設けるものです。
すべての単身者に入居の道が開かれた法律改正の趣旨を生かし、単身者も含めて入居できる公営住宅を大量に建設すべきであります。
よって、本条例案には反対であります。
請願第6号「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書提出を求める請願
最後に、請願第6号「『緊急事態基本法』の早期制定を求める意見書提出を求める請願」についてです。
本請願は、外部からの武力攻撃、テロや大規模災害を想定した非常事態条項が憲法に明記されていないとの理由から、「緊急事態基本法」の制定を求めるものですが、わが党は、次の理由から反対するものです。
そもそも、自然災害やテロ対策には、災害基本法や12ものテロ関連条約やテロ関連法が定められており、現行法の枠組みで対応が可能であります。不十分な点があるならば、現行法の改正を求めるべきであります。
緊急事態基本法制定は、公然と基本的人権を制限することにつながり、民主主義と平和憲法を破壊し、国民の命と安全を守ることに逆行するものであります。
よって、本請願には賛同できません。
以上で、討論を終ります。