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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2012 年 6 月定例会 知事提出議案、議員提出議案、請願に対する討論

2012-07-06 この記事を印刷
 日本共産党の萬代弘美でございます。

 日本共産党島根県議団を代表して、条例案1件、議員提出議案1件、請願1件について委員長報告に反対する討論を行います。

第92号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例」

 まず、第92号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

 本条例案は、国民健康保険法の改正に伴い、都道府県調整交付金の総額を医療費の7%から9%に増額するものです。この法改定によって、定率国庫負担は34%から32%へ減額となりました。

 この法改定のねらいは、国保広域化路線を推進し、国保の給付財政を都道府県単位化するものです。

 国保の広域化は、負担増・徴収強化という従来の無慈悲な路線を拡大し、国保の住民福祉としての機能を切り捨て、徹底した給付抑制に追い込む道にほかなりません。

以下、三点の理由から、この法改定に伴う条例改正には反対です。

 第一に、定率国庫負担割合の34%から32%への引き下げは、国の責任を放棄するものです。定率国庫負担は、すべての自治体に無条件に拠出される部分であり、その削減は、市町村の国保財政の困難をさらに拡大します。

民主党政権は、「市町村国保への9,000億円の国庫負担増」の公約を守るべきであり、国庫負担は削減するのではなく、引き上げるべきです。

 第二に、都道府県調整交付金の2%引き上げ分の財源は、年少扶養控除の廃止に伴う地方増収分です。しかし、政府は、年少扶養控除の廃止による増収分は「子育て支援に使う」と説明していたはずです。この点からも、財源措置として筋違いと言わざるを得ません。

 第三に、都道府県調整交付金9%の配分は、普通調整交付金が6%であり、特別調整交付金が3%です。すなわち、2%の引き上げ分は、特別調整交付金分となります。

 この特別調整交付金は、保険財政共同安定化事業の拡充分としての財政調整が予定されており、給付費を都道府県単位で負担し合う仕組みを強化し、国保広域化をすすめるものです。

 また、特別調整交付金は、国保財政安定化の取り組みを促進するとして、「医療費の適正化」「収納率の向上」の名のもとに、給付抑制と無慈悲な取立てをいっそうすすめるものです。

 今、国保に求められるのは、高すぎる保険料を引き下げ、保険証の取り上げを中止すること、そして、窓口負担を引き下げることです。そのために、国庫負担を抜本的に引き上げるべきです。


議員提出第7号議案「尖閣諸島をはじめとする国境離島の領土権確立のための法整備を求める意見書」

 次に、議員提出第7号議案「尖閣諸島をはじめとする国境離島の領土権確立のための法整備を求める意見書」についてです。

 本意見書案の通り、尖閣諸島は、わが国固有の領土であることは歴史的・国際法的に明確です。

 日本政府は1895年1月14日の閣議決定で、尖閣諸島を日本領に編入しました。これが歴史的には、最初の領有行為となりました。

一方、中国は1970年以降、尖閣諸島の領有権を主張し始めましたが、その主張は成り立ちません。中国は1895年から1970年までの75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議もしていません。中国側の主張の中心点は、日清戦争に乗じて、日本が不当に奪ったものだというものです。

しかし、日清戦争の講和を取り決めた下関条約とそれに関するすべての交渉記録によれば、日本が中国から侵略によって奪ったのは、台湾と澎湖(ほうこ)列島であり、尖閣諸島はそこに含まれていません。

日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による侵略とは全く性格が異なる正当な行為であり、中国側の主張が成り立たないことは明瞭です。

尖閣諸島をめぐる紛争を解決するために、何よりも重要なことは、日本政府が尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府に対して、理を尽くして主張することです。

この点で、歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったという弱点があります。

また、尖閣諸島付近の日本の領海で起きた中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件において、民主党政権は「国内法、司法で対処する」というだけで、肝心の外交的主張を怠ってきました。

わが党は、中国政府が事態をエスカレートさせたり、緊張を高める対応を避け、冷静な言動や対応を取るよう求めるものです。

そして、日本政府は、歴史的事実、国際法の道理に即して、尖閣諸島の領有の正当性を国際社会と中国政府に堂々と主張する外交努力を強めるべきと考えます。

請願第9号「消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願」

 最後に、請願第9号「消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願」についてです。

 消費税増税法案は6月26日、衆議院で可決されました。しかし、採決後行われた世論調査では、今国会での法案成立を望まないという声が6割を超えています。

 政治の方向を決めるのは、主権者である国民の意思です。増税法案は、衆議院では民主、自民、公明の圧倒的な賛成で可決されましたが、国民の中では少数派です。参議院で廃案にすることこそ民主主義を貫くことになります。

 消費税増税は、2009年の総選挙で民主党が「任期中はやらない」と公約し、2010年の参議院選挙で持ち出した時には、国民の厳しい審判で退けられたものです。

 野田政権は、増税を持ち出してきたばかりか、自公両党との修正協議において公約していた最低保障年金の実現や後期高齢者医療制度廃止の公約を棚上げしてしまいました。「やらない」と公約したことをやり、「やる」と公約したことをやらない、これほど悪質な公約違反はありません。

 消費税は、所得の低い人ほど負担が重い、最も不公平な税金です。今も苦難を強いられている東日本大震災の被災者にも容赦なく押しかかり、弱者にしわ寄せをする消費税は、社会保障財源として、最もふさわしくありません。

 今日、ただでさえ国民の所得も消費も落ち込んでいる時、20兆円もの消費税の大増税をかぶせたら、日本経済の6割を占める個人消費、日本の雇用の7割を支える中小企業に大打撃を与えます。消費税頼みの道は、暮らしも経済も財政も悪くなるばかりです。

 わが党は、消費税の増税ではなく、税金の無駄づかいを一掃し、大企業・大資産家優遇税制の是正を求めます。

不要不急の大型公共事業を見直し、米軍思いやり予算、F35戦闘機などの軍事費にメスを入れ、政党助成金を廃止するなど、無駄と浪費を一掃すべきです。

 以上の立場から、本請願の採択を求めます。

以上で、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画