▼○尾村利成議員▽ 日本共産党の尾村利成でございます。
まず、福祉医療費助成制度について伺います。
県が財政難を理由に、2005年、平成17年10月から、定額1カ月500円の医療費の負担を最大で4万200円へと80倍の負担を押しつけた福祉医療費1割負担導入から7年がたちました。1割負担導入時、県は市町村と障がい者団体の理解があると言い、かつ受給者の医療費1割負担は可能であると強弁してきました。しかし今、日本の経済はどうなったでしょうか。国内総生産も国民所得も20年前の水準に落ち込んでしまいました。障がい者や母子家庭などひとり親世帯の収入が減少し、負担ばかりふえ、経済状況はますます悪化の一途であります。将来に希望を持ち、安心して暮らせる社会実現は、県政の責任であると考えます。
日本医師会の調査では、医療費の窓口3割負担はとても負担、やや負担と回答した人が66.5%に達しました。また、開業医でつくる全国保険医団体連合会の調査によれば経済的理由による治療の中断は医科で51%、歯科で65%にも上っております。重過ぎる患者負担のため、私は受診抑制が今起きていると考えますが、いかがでしょうか。
▼○健康福祉部長(布野典男)▽ 議員御指摘の今の調査から、一般の方でも医療費の負担感を感じているというデータが出ており、福祉医療受給者の負担感も増しているものと考えております。
また、福祉医療受給者の各年度の1人当たり受診状況をレセプト件数で比較したところ、重度の障がい者につきましては、制度改正前の平成16年度に20.7件であったものが、23年度には19.6件に、またひとり親家庭では9.3件が9.1件になっております。このようなデータから、福祉医療制度に定率負担を導入したことで、受診動向に抑制的な影響を及ぼしている可能性は否定できないと考えております。
▼○尾村利成議員▽ そのとおりだと思います。
昨年度、厚労省が実施した調査があります。働いて得る収入が年間200万円以下の働く貧困層、ワーキングプアの母子世帯は6割以上に達しました。母子世帯のうち生活保護を受給している世帯は14%を超えています。また、小規模作業所などでつくるきょうされんの調査では、年収200万円以下の障がい者は98.9%に達し、年収100万円以下は56.1%にも上っております。
県として、母子世帯や障がい者など、福祉医療受給者の生活実態をどう認識、把握しておられますか。
▼○健康福祉部長(布野典男)▽ 福祉医療受給者の生活実態に焦点を当てた調査データはありませんが、受給者の自己負担限度額を判定する際に使っております基礎となる市町村民税課税データによれば、低所得に該当する者の割合が、平成20年4月1日の55.3%から、24年4月1日には57.5%と増加しております。このことから、福祉医療受給者の生活実態は年々厳しくなっているものと考えられます。
▼○尾村利成議員▽ 母子世帯の80%以上の母親が仕事を見つけて働いていますけれども、約その半分がパートやアルバイトの非正規の雇用という厳しい状況であります。障がい者においては、障害年金、障害手当、福祉施設での賃金などを合わせてもとても暮らしていけないというのが私は実態だというふうに思います。まさに福祉医療受給者にとってこの1割負担、大変重い負担となっています。
そういうことから、県が実施した1割負担、これは余りにも非情だということで、今もなお、自治体での上乗せをやっております。例えば、松江市、出雲市、浜田市、大田市、江津市、邑南町においての上乗せの実施であります。
そこで、部長に伺いたいと思います。
市町村、それから障がい者団体などの関係団体から、この福祉医療をどうか軽減してほしい、こういう要望が私は多数寄せられていると思うんですけれども、どういう状況になっているのか、お答えいただきたいと思います。
▼○健康福祉部長(布野典男)▽ まず、市町村からの要望でありますが、昨年度以降、市長会、出雲市、安来市の3団体から、延べ5回にわたり、国による制度創設や、あるいは県の制度改善に対する要望をいただいております。主な要望内容といたしましては、対象者の自己負担限度額の引き下げや市町村間の格差是正、また精神障がい者の対象への追加などが挙げられております。
次に、障がい者団体からは、健康福祉部で実施しています圏域公聴会や意見交換会の場におきまして、昨年度以降、障がい者関係団体から延べ10回にわたり、県の制度改善に対する要望をいただいております。主な要望内容としましては、現在の1割負担制度を見直し、平成17年以前の月額500円上限の定額負担に戻してほしい。また、県制度の上乗せとして独自の助成制度を設けている市町村があることから、県で統一した制度になるようにしてほしい。そして、制度の対象に精神障がい者を加えてほしいなどが挙げられております。
▼○尾村利成議員▽ 御答弁いただいたとおり、たくさんの要望が寄せられていると思います。
そこで、知事に伺いたいと思います。
私は、障がい者や母子世帯などに本当に優しい島根であってほしい、このように心から思うものであります。私のもとには、病院、それから障がい者団体、また母子世帯などの福祉医療受給者から、何としても1割負担撤回してほしいんだ。安心して医療が受けられるようにしてほしいんだと、こういう悲痛な願いがたくさん寄せられています。今回、この質問を用意するに当たって、私も病院に行きました。受給者との懇談もしました。何点か声を御紹介したいと思います。
病院のケースワーカーからは、患者の自己負担を軽減するために世帯を分離し、市町村民税非課税世帯にして自己負担の軽減を図っているんだと。それでも医療費が払えず、生活保護を申請するケースがふえている、こういう声でありました。また、母子世帯からは、児童扶養手当が縮小された上、子どもを抱えたままでは仕事がなかなか見つかりません。とても暮らしていけず、将来が見えません。こういう声が寄せられました。障がいをお持ちの人からは、少ない年金でもうぎりぎりの生活です。この上にもし消費税が上げられたら、もう暮らしはだめになってしまいます。今でも収入が少ないのに、どうして生きていけばいいのでしょうか。自分は外出の機会を減らしました。自宅に閉じこもることが多くなりました。こういう声を私は受けております。
知事、ぜひとも、私は福祉医療の負担軽減策を講じるべきときではないかと、このように考えるのですが、どうでしょうか。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ 先ほど来、福祉医療につきまして、健康福祉部長とのやりとり、福祉医療受給者の生活実態が厳しい状況にあると。そしてまた、そういう方々の受診の動向に抑制的な動きが見られる。あるいは、そうした中で、福祉医療を担当しておる市町村では、単独で負担軽減措置をとっておられる。また、障がい団体からは、今議員が御紹介になられましたように、いろんな要望が出されております。私どもも、そういう状況はよく承知をしております。
こうした状況を踏まえまして、実施主体であります市町村の意見、あるいは医療者、医療を受けられる方々の意見などもよくお聞きしながら、見直しにつきまして検討していきたいというふうに考えております。
▼○尾村利成議員▽ 県としての決断をお願いして、次の質問に入ります。
原発の問題であります。
原子力行政の安全規制を担う原子力規制委員会が発足いたしました。規制委員会は、原発の新安全基準の策定を始め、原発をチェックする権限を持ちます。この原子力規制委員会で、原発の新たな安全基準づくりを担当する検討チームに加わる有識者6人のうち4人が、三菱重工業などの原子力業界から、少なくとも約6,000万円の報酬や器具などの資金を受け取っているということが判明しました。原発マネーに汚染されていては、厳格な安全基準などつくれるわけがありません。委員としての適格性に疑義が生じていると私は考えますが、知事はどうお考えでしょうか。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ 御指摘の有識者の自己申告が出ておりますけれども、私もそれを見てみました。6名のうち4人の方が研究、大体学者の大学の先生ですね、原子力関係の。研究のため等に対しまして、寄附を受けておられる。全体で私どもが見ますと5,000万円ぐらいでございますが、中に3,000万円ぐらい受けておられますが、それは21年から22、3、4と数年間にわたっての合計でありますけども、全く受けておられない方もあります。そういう問題につきまして、御指摘のような懸念を有されるということは、それはあり得ることだと思いますけども、ただ専門家というのは、結局、事業者か大学の研究者か、それ以外にはなかなかおられないんです。事業者の人たちは入ってませんけども、研究ということになると、やはり大学の工学部で原子力工学をやっている方々以外にはそんなにはおられないわけでありまして、そういう制約が1つあるなということは感ずる次第でございますが、ただこういう外部の有識者が基準をつくるわけじゃないんですね。有識者の方々は基準をつくる1段階で骨子案というあらあらのものをつくる過程で検討に加わられるということであります。
全体的なプロセスを見ますと、大体こういうことになっております。まず、外部の有識者を含む検討チームをつくりまして、安全基準の骨子案を策定すると。そこに外部の有識者を含むと申し上げましたように、外部の有識者が全てではないわけであります。検討チームは全体で16名です。そのうち外部の有識者が6名、それから規制委員会の委員、それから規制庁の職員、そして原子力安全基盤機構のメンバーでございまして、16名のうち6名おられると、こういうことであります。
そして、その骨子案は基準そのものじゃなくて、あらあらの案であります。それを今度は骨子案ができますと、規制委員会に報告をすると。規制委員会は5名の委員がおられて、審査をせられるわけですが、規制委員会のほうでは、そこでまた専門家からヒアリングをする、あるいはパブリックコメントをする。そういうことをおやりになるわけです。そして、年度内に、3月末ですね、来年の、規制委員会として基準の骨子を決定しようということであります。
そして、その上で、来年の7月までに規制委員会で安全基準を最終的に取りまとめるということでありまして、いろんな事情を考えますと、そういうプロセス全体、そしてまた、今の例えば有識者について見ますと、経歴でありますとか、あるいはそういう寄附をいただいたことについて自己申告をし、いろんなことを公開をし、それから各種の議論が全て公開をされてきますし、その他の方々からも意見を聞かれるわけでございまして、議員のおっしゃるような意見があるということは理解はしますが、いろんな制約がありますから、他方でいろんな対策もとっておられますから、これ以外にもちろんいい案があれば、それを採用していったらいいと思いますけども、当座、案をつくって、我々のほうは案をしっかり見る。例えば、我々のほうも専門の方々の意見を聞く、そういうことをして、国全体として新安全基準をチェックをしていくということが必要なんじゃないかというふうに思います。
▼○尾村利成議員▽ 知事、私はその専門家の中で、原発マネーを一円たりとも受け取ってない専門家、たくさんいるんです。これはいるんですよ。それから、原発の事故後も、事故前と変わらず原発マネーの恩恵を受けていて本当にいいのかと。道義的にいいのかというふうに、私は言わざるを得ないわけです。こういう点で、中立性、公平性を損ねているんじゃないか、こういう厳しい意見があるということも指摘しておきたいと思います。
それで、原子力規制委員会ですが、原発を推進してきた環境省の外客に設置されました。また、事務局となる原子力規制庁は原発を推進してきた保安院の職員が大量に横滑りしています。私は今、規制委員会が本当に独立した規制機関とは言えないと思うんです。真に独立した原発の規制機関となる体制の確立を私は県として国に求めていただきたい、こう考えますが、どうでしょうか。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ そういう御指摘もあり得ると思います。これにつきましても、短期間に規制委員会という枠組みをつくって、保安院にかわって審査を行うと、新基準を作成をするという組織をつくるわけですから、そこで事務的な作業について、やはり行政的なことができる人たちが必要なわけであります。それもやはり先ほど申し上げたと同じような、当初の段階では一定の制約があると思います。ただ物事を決めるのはそういう方々じゃなくて、規制委員会であり、あるいは検討チームであり、さらに外部の意見、あるいはパブリックコメント等々で決まっていくわけでありまして、問題は、やはり基準そのものがつくられるプロセスが公開をされ、それについて国民自身もよくわかる、そしてそれに対して意見を言っていくという体制ができてチェックが行われるということが、やはり本質的なことじゃないかというふうに思います。
いずれにしましても、規制委員会の活動につきましては、我々もよく注視をしまして、必要に応じまして、他の原発立地道県などとも連携しながら、意見や要望などを行っていきたいというふうに思います。
▼○尾村利成議員▽ 厳しい監視が私は必要だということを主張したいと思います。
次に、使用済み核燃料についてであります。
核燃料サイクル計画はもう破綻しております。使用済み核燃料、核のごみを完全に処理する技術は今存在しません。島根原発を再稼働すれば、核のごみはあと5年で満杯となります。これ以上、危険な核のごみをふやし続け、将来の世代に押しつけ続けるということは許されないと考えますが、知事はどうお考えですか。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ まさに、それは原発をどうするかということと深く関係があるわけでありまして、若干時間的な余裕はありますけども、時間は経過するものでありますから、やはり核燃料サイクルをちゃんとするということも原発問題を考える上で非常に大切なことでありまして、やはり政府がそういうものにつきまして、きちっとした対策をとる、あるいは将来の考え方を明確にする、そういう上で原発問題をどうするかということをやはり国民によく説明をして、この問題に対応していく必要があるというふうに、私どもは考えております。
▼○尾村利成議員▽ 核燃サイクルは私破綻したと言ったわけですが、それは知事が御存じのとおりでありますが、六ヶ所村にある再処理工場はトラブル続き、完成の見込みが全く立っていない。再処理した燃料を使う高速増殖炉もんじゅ、これも事故を繰り返して停止している。完全にこのサイクルは行き詰まっています。アメリカ、イギリスを始め世界各国もこの核燃料サイクル計画から撤退しています。
私は、こういう現状を見たときに、この核燃サイクルの破綻、こういう点を考えれば、もうこれ以上、核のごみをふやし続けるべきではない、すなわち原発は運転すべきではないと考えるわけであります。
次に、避難計画について伺います。
原発事故時の広域避難において、在宅要援護者や病院、福祉施設関係者からの声をどう掌握していらっしゃいますか。
災害弱者の不安や疑問、苦しみの声を行政や中国電力は正面から受けとめるべきだと考えます。その掌握方法と決意を伺いたいと思います。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ まず、福島の実態を私どもの職員も視察に行ったりし、福島県から事情をお聞きしたりしております。そうした実態をよく把握をしていくということは大事なことであります。それは避難計画をつくる上で国自身がおやりになっておられまして、国自身、そして原発所在地の県でありますとか、市町村もそういうことをしなければならないと思います。これが1つ。
もう一つ、病院や社会福祉関係者からは、病人の方々、あるいは介護で介護施設におられる方々、避難をするときに特別な手当てが必要なわけでありまして、ガイドラインをそのためにつくる作業を行っておりまして、ガイドラインをつくる過程で意見をお聞きしております。そして、今度ガイドラインができまして、説明する際に、また意見をお伺いしておりますけれども、いずれにしても、関係者の方々から、各種の会議、あるいは研修会、あるいはいろんな説明会がありますから、さまざまな場を通じまして、引き続き意見をよく聞きまして、我々として受けとめると同時に、この問題につきましては、国が対応しないとできない部分が相当ありますから、国に対して意見を言っていくということであります。
既に、国に対してもいろんな意見を言っております。例えば、要援護者用の搬送手段が要ると。例えば、自衛隊の出動なんかもありますし、あるいは資機材も要るわけです。そしてまた、避難先で医療介護ができる方々を確保する必要があります。そういうものをどう確保するのか。あるいは、自衛隊が即時に対応できる仕組みづくりですね。仕組みづくりというか、マニュアルのようなものをつくって、我々にちゃんとこうしますということを国が示してほしいということを申し入れています。
そしてまた、要援護者の最終的な避難先となります福祉施設つきましては、私どもで中国隣県の協力を受けて、接触をしてますけれども、きちっとした対応をとるためには、やはり国が関与しなきゃいかん部分があります。そういうことについても国に要請しております。今後も、支援体制の構築を国に要請しますし、我々自身も考えていきますし、中国電力につきましても、避難先での支援など必要なものについて要請していく考えです。
▼○尾村利成議員▽ 知事が今、最後に言われた中国電力にも避難先の支援を要請すると言われました。私はそこは大事なところだと思うんです。今、事故時に備えて、県は一生懸命避難計画をつくりましたね。市町村もこれからつくっていきますね。病院や福祉関係者もマニュアルをつくっていきますよね。そして、我々避難先となる中国5県も協力してくれますね。みんな一生懸命汗流しているわけです。そして、要援護者の皆さんや御入院中の皆さんは物すごく心配してます。そういう現状です。だけど、中国電力はどういう対応をとっているのかというのを私は言いたかったわけです。これだけ一生懸命やっているのに、中国電力は私がさきの議会で紹介しましたが、8月24日、申し入れに行った際に、1号機は60年運転するんだ、3号機は社運をかえて運転するんだ、こういうことを言うわけです。私は、それは県民の願いとは全く反するじゃないかということで強く抗議したわけです。原発事故を起こす発生源、これは電力会社にあるわけです。ですから、私はそういう点を捉まえて、中電に電力会社として要援護者の声がどう届いてますかと、中電はどういうふうに対応しますかと問いただしたら、中電は要援護者の皆さんの状況把握に努めると、こういうふうに渋々回答せざるを得なかったわけです。そういう点で、私は事業者である中国電力にも実効ある避難計画を策定する上で責任を持たせるべきだ、このように思うわけであります。
知事、広域避難計画の問題でいえば、住民の避難先は提示されましたけども、事故時の司令塔となる県庁やオフサイドセンター、ここの代替先、移転先というのはどう考え、どう検討されているかお聞かせいただきたいと思います。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ その前に、先ほどの中電の関係ですけども、いずれにしても、それは中電がしなければいけない分野というのは出てくると思いますけれども、今の段階で、それはやはり国全体として電力会社がどういう関与をすべきかというのがあったほうがいいわけでありまして、まだそういうところまで行ってないわけであります。今は、枠組みづくりでございますが、結局、経費負担をどうするかというような問題になってくるわけでありまして、それはばらばらというよりも、国がどうするかということをやはりまとめた上でやるほうが効果的かなというふうに、私は思っておりますけれども、そこら辺はどういうふうに進むかははっきりしておりません。
それから、先ほどのオフサイトセンター、県庁等の移転の問題でありますけれども、やはり万が一の場合が起きますと、国の場合ですと、代替的なオフサイドセンターの要件としては、原子力発電所との距離は30キロ以上ということが出されております。そして、年間の風向きを考慮して、発電所からオフサイドセンターとは方向の異なる場所等に設置をするというような要件がありまして、国のほうはどうするかということをまだ示しておりませんけれども、我々も風向き等も考え、そして県庁から余り遠くないところ、30キロの外でもです。そして、一定のスペースがないと収容できませんから、そういうことで探しておりますが、そういう建物はそう多くはありません。大体こういうところかなというものは頭の中ではありますけれども、ただオフサイドセンターと県の災害対策本部が同じような場所になきゃいけませんし、そのために決めたとしても、いろんな整備をしなきゃいけませんから、じゃあ整備のための資機材は国がどういうふうにして負担するのかとか、そういう点が詰まっておりませんので、そういう動向も見ながら、最終的な確定を行っていこうと思いますが、繰り返しになりますけれども、そうたくさん候補地があるわけじゃありませんから、そういうことを念頭に置いて、頭の体操はやっております。以上であります。
▼○尾村利成議員▽ 知事、私はさっきの知事再答弁、中電されたんだけど、私は中電に何が言いたかったかというと、県民の84%が原発のない島根を望んでいるという、こういうデータがありますよと。そして、私が広域避難計画等で関係者に話を聞いて歩いたんです、いろいろ。どういう声が出ているかといえば例えば病院からは、避難する過程で病状が悪化して、命の危険につながるおそれがあると、または本当に寝たきりや重症心身障がいの人が無事に避難できるだろうか、こういう声が、寝たきりの年老いた両親を遠くまで避難させるのはとても無理だと、自宅に残るという選択をせざるを得ない、こういう声があるわけです。こういう声をしっかりと事業者の責任としてつかむ、このことが大事だということを強調したかったわけであります。
放射性物質の拡散予測に驚きの声が広がっております。放射性物質の拡散が予想された区域で避難計画を具体化するのは当然だと思います。しかし、一旦事故が起きれば、取り返しがつかない事態となることは明らかなのに原発の運転を続けるのは、私は間違っていることだと思います。直ちに原発からの撤退を、私は決断すべきだというふうに考えますが、どうでしょうか。
▼○知事(溝口善兵衛)▽ 撤退という言葉がどういうことを具体的に意味されているか、いろいろな考え方がありますからはっきりしませんけども、いずれにしましても、原発を含め、国のエネルギー政策をどうするかと、どういう手段で国民生活、あるいは経済活動に必要なエネルギーを確保していくのかというのは、これ国全体の問題でございまして、その点につきましては、国がいろんな検討をしてこういうことでやっていきますということを示して、国民に理解を得ると、そういう枠組みがないと、この問題をどうするかということについては答えが出ていかないわけであります。そこが大切なとこですけれども、どういうふうにして行うのか、今総選挙を前にして、いろんな案が出てますけれども、言葉でいろんなことがありますけれども、そこら辺の内容はよくわからんわけです。こういうやり方ですと、リスクがあるのかないのか、あるいは経済に影響があるのかないのか。あるいは、電力料金等はどういうふうに影響が出てくるのか。あるいは、将来において、そもそも外国から輸入をせざるを得ないエネルギー関連の資源というのは確保できるのかとか、いろいろなことをちゃんと示して、こういう想定でこういうことを想定する必要があるからこうだとか、もう少しちゃんとしたと申しますか、そういうことがないと、言葉だけでは進まないと思うんです。まだそれができてない。今の政権におかれては、9月でしたか、案を出しましたね。そこもまだまだ明快でなかったわけであります。それも相当期間費やしておやりになりましたけども、ないわけであります。やはり総選挙の後、どのよう政権ができるにせよ、その政権において、先ほど申し上げましたように、国民生活や産業に支障ができないようにエネルギーの供給をどのように確保するのかということがあり、その中で原発をどういうふうに位置づけるのかと。そして、原発をすぐには廃止するという意見は余りありませんけども、いずれにしても、原発の安全性というのはどういう形で確保していくのか、そういうことをきちっと議論して、国民全体として決めていかなければならないというふうに、私は思います。
▼○尾村利成議員▽ 知事が、私が先ほど撤退と言いましたけど、撤退とは何を言っているのかと、どういう意味なのかということを言われたんで、私が言った撤退とは何かということを言いたいと思います。
私は、直ちに撤退すべきだと言いました。それは、政府の原発の再稼働方針はこれは撤回する。それから、活断層があるところに今運転している大飯原発は停止をさせる。そして、全ての原発を停止させたままで廃炉のプロセスに入るべきだ、これが私が言う撤退という意味であります。
なぜなら、それは第1に、福島原発事故は今もなお、終息するどころかその被害が拡大している。第2に、原発稼働を続ける限り、処理方法のない核にごみがふえ続ける。第3に、原発事故の原因究明もできず、実効ある避難計画の体制も計画もできていない。そして、第4に原発事故の恐ろしさを多くの国民が実感し、原発に頼らない社会への道を進もうという、こういう国民の意志は明白であるからであります。私は、この国民の願いに応えるのが政治の最大の使命だと考えます。そういう点で原発からの撤退を強く主張し、質問を終わります。