2012 年 11 月定例会 知事提出議案、請願に対する討論
2012-12-14 この記事を印刷
日本共産党の萬代弘美です。
日本共産党県議団を代表して、条例案21件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。
第146号議案「島根県救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」
第147号議案「島根県病院及び診療所の人員、施設等に関する基準を定める条例」
第148号議案「島根県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
第149号議案「島根県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例」
第150号議案「島根県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例」
第151号議案「島根県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例」
第152号議案「島根県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例」
第153号議案「島根県指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
第154号議案「島根県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例」
第155号議案「島根県指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例」
第156号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」
第157号議案「島根県婦人保健施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」
第158号議案「島根県障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
第159号議案「島根県障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
第160号議案「島根県障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例」
第161号議案「島根県障害者自立支援法に基づく地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準を定める条例」
第162号議案「島根県障害者自立支援法に基づく福祉ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例」
第163号議案「島根県障害者自立支援法に基づく障害者支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」
第164号議案「島根県児童福祉法に基づく指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
第165号議案「島根県児童福祉法に基づく指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
まず、第146号議案から第165号議案までの20議案についてです。
これらの議案は、地域主権改革一括法の施行に伴い、救護施設、病院、介護保険施設、障害者支援施設などの人員、設備及び運営に関する基準等について、県が条例で必要な事項を規定するものです。
民主党政権は、あたかも地方を大事にするかのように「地域主権改革」などと言っています。しかし、その中身は、国の責任を地方に丸投げし、押しつけるものです。
住民のくらしと福祉のための自治体の独自の仕事を切り捨て、保育所・障害者施設をはじめ社会保障や教育などの各分野で国が定めた最低基準さえ取り払い、「住民福祉の機関」としての自治体の機能と役割をさらに弱める改革は問題です。
条例では、特別養護老人ホームなどの職員配置基準は、「従うべき基準」の通り、入所者3人に対し、職員1人ですが、現場からは「3対1で運営しているところは、ほとんどありません」「2.5対1や2対1の配置をしなければ、お年寄りの安全・安心は担保できません」との配置基準改善の声が出されています。これまでの国の低い基準は、現場の実態に合わず、不十分であることは明白です。
また、県独自の基準を定める「参酌すべき基準」として、特別養護老人ホームの居室定員において、知事が必要と認める場合は、実質4人部屋が認められることになり、居住環境の後退につながるとの危惧の声が出ています。
わが党は、自治体に対する中央集権的な統制や監督、関与の仕組みを縮小・廃止し、自治体の自主性が増すことには賛成です。しかし、その際、国は自治体に対し、最低基準を引き上げる必要な財源を保障するべきです。
国が責任を持つべき社会保障について、ナショナルミニマムや標準を定めるとともに、自治体が独自に上乗せできる財源を保障し、自治体が「住民の福祉の増進」という責務を果たせるように支援策を講じるべきです。
以上の立場から、これら議案には賛成できません。
第188号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」
次に、第188号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」についてです。
本議案は、国家公務員の退職手当制度の改正に準じて、職員の退職手当の支給水準を引き下げるものです。
県職員は、多様な県民ニーズに応え、県民の奉仕者としての使命に燃え、職責を全うするために努力しています。職員の働く意欲を促し、安心して職務に打ち込める条件整備は、県と県議会の責任と考えます。
公務員の退職手当の大幅引き下げは、民間の退職金にも悪影響を及ぼすことは明らかです。
この間、民間賃金が低下し、それに連動して公務員賃金が低下するという、負の連鎖が続いてきました。この負の連鎖が退職手当にまで広がることは許されません。労働者や県民生活に悪影響を与え、県内消費と内需拡大に冷や水をかける退職手当の支給水準引き下げには反対です。
請願第8号「公的年金の改悪に反対する意見書提出を求める請願」
次に、請願第8号「公的年金の改悪に反対する意見書提出を求める請願」についてです。
本請願は、国に年金2.5%削減の中止を求める意見書提出を求めるものです。
11月16日、解散直前の臨時国会で十分な審議をしないまま、年金の2.5%削減法が成立しました。
高齢者、障がい者の年金を2013年10月から3年連続でカットする年金改悪法は、国民のくらしを苦境に追い込む、血も涙もないものです。低年金者の所得を減らし、貧困と格差を拡大することは、消費をますます冷やし、地域経済に大きな影響を及ぼします。
年金2.5%削減は、将来にわたり、年金削減の流れに道を開くものになり、いっそう若者を中心に年金離れを加速するものであり、公的年金制度への信頼をさらに低下させるものです。
よって、本請願は採択すべきであり、年金2.5%削減の中止を国に求めるべきです。
請願第18号「国際司法裁判所への単独提訴を当初の方針通り速やかに行うよう政府に求める請願書」
最後に、請願第18号についてです。
本請願は、竹島の領有権について、政府及び外務省に国際司法裁判所への単独提訴を速やかに行うよう求める意見書の採択を求めるものです。
竹島は、歴史的にも国際法的にも、島根県に属するわが国固有の領土であることは明白です。
竹島を日本に編入した1905年という時期は、日本が韓国を植民地化する過程と重なっていました。1904年には、第一次日韓協約が結ばれ、韓国は事実上、外交権を奪われ、異議を申し立てる条件がありませんでした。竹島はその翌年に日本に編入され、1910年には韓国併合条約が結ばれています。
韓国併合の不法性を認めないもとでの領有権主張では、韓国側にとって、竹島問題は日本による侵略の象徴であり、話し合いすら拒否する要因となってしまいます。植民地支配の不法性を認め、その土台の上で、歴史的事実をつき合せ、問題解決をはかるべきです。
わが党は、国際司法裁判所への提訴を否定するものではありませんが、領土問題は、歴史的事実と国際的道理に立った冷静な外交交渉こそ解決への確かな道と考えます。
いま最大の問題は、日韓両国間において竹島問題を冷静に話し合うテーブルがないことです。植民地支配への反省を土台に、交渉のテーブルをつくるべきです。
竹島問題には、複雑な経過と背景があり、その正しい解決のためには、緊張を激化させる行動を双方が慎み、相互の主権を尊重し、平和友好の精神を貫きながら粘り強く交渉し、解決すべきと考えます。
よって、本請願には賛同できません。
以上で、討論を終わります。