前に戻る

議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2013 年 2 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、生活保護について、斐伊川水道事業について、いじめ・教育問題について、教育委員会のあり方について)

2013-03-01 この記事を印刷
○尾村利成議員▽ 日本共産党の尾村利成でございます。

 質問の第1は、知事の政治姿勢について4点伺います。

 まず、デフレ脱出と社会保障の充実についてでございます。

 日本は1997年からの14年間に、企業の経常利益は63%もふえましたが、その一方で賃金は12%もマイナスとなっております。賃金が長期にわたって連続的に減り続けている国は、先進国の中でも日本だけです。

 1人当たりの県民所得は、この10年間で約30万円も減少しました。世帯所得が100万円未満の世帯は1割を超し、世帯所得300万円未満の世帯は約4割に達しております。県内の国民健康保険の滞納世帯は10%を超え、命綱である保険証を取り上げられた世帯は約900世帯に上っており、介護保険料の未納者は約3,000人で、給付制限を受けている高齢者も生まれております。

 2011年度、国民健康保険を滞納した1,048世帯に対し、2億4,370万円余の無慈悲な差し押さえが実施されました。その差し押さえ物件は、入ったばかりの年金である預金や給料、生命保険などであります。社会保険料を滞納した低所得者は、福祉サービスから排除されるだけではなく、差し押さえによって生活基盤そのものが奪われております。この間、給与などの収入が減少しながら、その一方、社会保険料の相次ぐ値上げによって、可処分所得は減り続け、県民の苦しみが広がっています。

 私は、県が予算を組む上で、県民所得を向上させる施策を打ちながら、医療や福祉などの負担を減らし、社会保障を充実させることが肝要と考えます。国の政治がひどいときだけに、住民の命と健康を守る自治体としての仕事を果たすときであります。このことが県民の暮らしを守り、地域を活性化させ、県の税収をふやし、県財政を健全化する確かな道ではないでしょうか。この立場から伺います。

 デフレ脱出は、非正規労働者の賃金と労働条件を改善し、正社員化を促進すること、最低賃金を引き上げるなど雇用の安定が鍵であると考えます。また、国はインフレ目標ではなく、賃上げ目標こそ持つべきと考えますが、知事の所見を伺います。

 サラリーマン世帯の1カ月分の給料を取り上げる消費税の増税など論外であります。消費税増税を中止し、生活保護制度の大幅切り下げ、医療、年金、介護、保育などの社会保障削減計画の中止を国に強く求めるべきであります。
 国保や介護など社会保険料未納者が社会保障制度から排除され、暮らしと命が脅かされております。この事態の解決は、政治としての喫緊の課題であると考えます。

 そこで、今日の厳しい県民生活を鑑みたとき、県予算における社会保障関係予算の抜本的拡充を求めるものであります。知事の所見を伺います。

 次に、原発問題についてであります。

 原発は未完成の技術であり、一旦事故が起きればコントロールできないものでございます。絶対安全な原発などあり得ず、福島原発事故を機に、即時原発ゼロを求める世論と運動が大きく盛り上がっているのは当然です。

 安倍政権は、原発再稼働や新増設、原発輸出を公言し、前政権の2030年代原発稼働ゼロという極めて不十分な方針すら白紙に戻すとしています。電力会社、財界、そして電力会社の労働組合など利益最優先の原発推進勢力が原子力規制委員会に圧力をかけ、一日も早い原発再稼働を狙っています。この策動は、国民との矛盾を一層広げるに違いありません。

 福島原発事故は、いまだに収束していません。15万人余りの県民が避難生活を余儀なくされ、放射能被害は国民に甚大な影響を与え続けています。事故の原因究明も尽くされていないのに、安全など語れるわけがないではありませんか。

 原子力規制委員会は2月6日、小手先の対策を並べた新安全基準の骨子案を公表しました。新安全基準は、設計基準、炉心の損傷など苛酷事故対策、地震や津波対策などの3本柱となっており、新基準に合致する原発なら再稼働を容認するとしています。規制委員会が示した新安全基準の骨子案には問題が山積しております。その一つである地震対策も問題だらけでございます。

 新安全基準の活断層定義は、12万から13万年前以降に動いたものという従来の定義を踏襲しています。そして、それが明確に判断できない場合にのみ、40万年前以降まで遡及調査をするとしています。政府の地震調査研究推進本部は、40万年前以降の活動を活断層の目安にしています。なぜ原発の規制だけが12万から13万年前以降に活動したものだけを活断層と定義するのですか。原発においても考慮すべき活断層の年代は、40万年前以降の活動とすべきではありませんか。

 宍道断層や海底活断層など、島根原発周辺が地震の巣状態となっているもとで、最大の安全を担保すべきであります。知事の所見を伺います。

 また、新基準は、活断層と原発の関係について、将来も活動する可能性のある断層等の露頭がないことを確認した地盤に設置すると規定し、原発の真下に活断層が走っていても、断層が地表にあらわれていなければ、その上に原発の設置を認めるという骨抜きの内容となっています。

 このように、新基準は新たな原発安全神話をつくり出すものであり、再稼働判断の基準とは全くなり得ないものと言わざるを得ません。知事の所見を伺います。

 次に、TPPについてです。

 安倍首相は、オバマ大統領との首脳会談でTPPに関する共同声明を発表し、TPP交渉参加に踏み出そうとしています。共同声明では、日本がTPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされるとし、日本が他の交渉参加国とともに、TPPの輪郭に示された包括的で高い水準の協定を達成することを確認しました。すなわち、共同声明では、例外なき関税ゼロと非関税障壁の撤廃が原則というTPPの基本を再確認したものにすぎません。

 しかし、安倍首相は共同声明において、最終的な結果は交渉の中で決まっていく。交渉参加に際し、一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではないと明記された文言を盾に、聖域なき関税撤廃ではないことが確認されたとの詭弁で、交渉参加決定を急ごうとしています。しかし、このことは交渉の場で例外を主張することは認めるという程度のものにすぎず、例外なき関税ゼロを担保し、保障するものではありません。

 TPPの中心にいるのはアメリカです。非関税障壁撤廃で、弱肉強食のアメリカ型ルールが押しつけられ、日本の経済主権が奪われ、日本を丸ごとアメリカに売り渡すTPPは、国民にとって百害あって一利なしでございます。

 TPP参加は農業を破壊し、国土や環境、地域経済の荒廃を招き、食の安全、医療、雇用、地域経済を脅かすものです。県として交渉参加反対の意思を表明し、国に対し参加反対を求めるべきであります。知事の所見を伺います。

 次に、憲法についてです。

 今、憲法第9条を変えようとする動きが強まっています。憲法第96条の発議要件を緩和して改憲をしやすくし、その上で国防軍創設のために第9条を変えようという動きです。この狙いは、アメリカの軍隊とともに自衛隊が海外で戦争できるようにすることです。

 第9条は、侵略戦争と植民地支配によって、アジアと世界に甚大な犠牲をもたらした反省に立って、日本が再び侵略国にならず、世界平和の先駆になるという国際公約であります。憲法第9条を守り生かした平和外交こそ、アジアと世界の平和に貢献し、信頼を得ることができ、竹島など領土問題を解決する確かな道であると考えますが、いかがですか。

 また、憲法が時代に合わないとか古くなったとの意見もありますが、これは憲法に問題があるのではなく、憲法をないがしろにし、憲法の先駆的原則を踏みにじり続けてきた政治こそ古く、時代おくれではないでしょうか。我が党は、世界で最も徹底した恒久平和主義を掲げる憲法第9条、国民の生存権を規定する第25条を始め、憲法の全条項の全面実施を強く求めるものであります。

 憲法の平和、人権、民主主義の原則を県政の全ての分野に生かす知事の決意を伺います。
 
 次に、生活保護についてです。

 安倍政権は、食費や光熱費など日常の暮らしに欠かせない生活扶助基準を、3年間で670億円削減しようとしています。その減額対象は、受給世帯の96%にも上ります。

 また、政府は社会保障の全分野で給付抑制、予算削減を進めようとしています。その最初の標的、ターゲットとされているのが生活保護の切り下げです。生活保護の改悪を突破口にしながら、介護、医療、年金、保育などの制度改悪を画策しているのであります。そのやり方は、生活保護受給者をその他の国民と対立させ、公務員労働者を民間労働者と対立させる、そして高齢者を現役世代と対立させるなど、国民同士をたたき合うように仕向ける対立と分断のわなであります。

 歴代政権の失政、そして国民いじめの政治が生み出した貧困と生活苦の責任を、国民の自己責任、家族責任に転嫁し、国民の権利としての社会保障と、それを増進する国の責務を放棄することは絶対に許されません。

 また、生活保護が権利であることを否定し、新規申請を抑え、保護の打ち切りを進める生活保護バッシングや、一部の悪質な不正受給を理由に、申請拒否や扶養強要などの締めつけを強めることは、餓死や孤立死を生み出すことにつながりかねません。

 保護を利用している方からは、とにかく苦しい、節約しないとやっていけず、食事の回数を減らしています。冠婚葬祭などの社会的つき合いができません。保護が削られた上、消費税が上がったらとても暮らしていけませんなどの深刻で厳しい生活の現状をお聞きしたところであります。

 そこで、3点伺います。

 第1に、貧困世帯にさらなる貧困を強いる生活保護の切り下げは、全ての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法第25条に反すると考えます。所見を伺います。

 第2に、最低生活を示す生活保護基準は、就学援助や最低賃金、年金、介護、保育、福祉サービス等に連動しており、その引き下げは国民生活に甚大な影響を与えると考えますが、いかがですか。

 また、貧困の連鎖の危険性がある保護基準引き下げ、扶養や就労の強要など、制度改悪を中止するよう国に求めるべきであります。所見を伺います。

 第3に、日本において生活保護水準以下の所得の世帯のうち、生活保護を利用している割合、捕捉率は2割以下であります。イギリス、フランスの捕捉率は約90%です。生活保護の最大の問題は、保護基準以下の生活でありながら、圧倒的な人が保護を利用できていないことではありませんか。市町村と協力して保護の捕捉率調査を実施するなど、漏救防止対策こそ強化すべきと考えます。所見を伺います。

 次に、斐伊川水道事業についてです。

 2011年、平成23年4月から、尾原ダムから水道用水を供給する斐伊川水道事業が始まりました。本事業目的は、人口増加による水需要の増加にありました。しかし、水需要の根拠であった人口増加との理由は完全に破綻しました。事業主体としての県の責任が厳しく問われています。尾原ダムの水使用率は6割しかなく、4割の水は使われていません。その使わない水までも住民負担となっており、高い水道料として住民を苦しめています。

 尾原受水の最大の受水団体である松江市は、昨年7月に第2次水道事業経営戦略プランを立てました。プランでは、安定水源確保による新たな受水の負担により、平成21、22年度には約7億円あった純利益が、平成23年度には約1,000万円程度まで落ち込みます。平成25年度には赤字に転落し、平成27年度には約1億円の赤字を計上し、簡易水道を統合する平成28年度以降になると、4億円から5億円の大幅な赤字になる見込みとし、現状の補助制度や繰入制度が維持されなければ、大幅な料金値上げは避けて通れません、このように記載しています。

 今日の厳しい経済状況のもと、2011年度、平成23年度において、水道料金未納による松江市の給水停止実施件数は、約900件にも上っています。旅館業やクリーニング店、市民からは、今でさえ水道料が高いのに、この上、値上げされたら商売はやっていけない。需要予測を誤ったツケを料金値上げという形で住民に押しつけるべきではないとの声が出されています。

 住民に高い水を押しつけない立場で、以下3点伺います。

 まず第1に、県として水需要の予測を見誤った責任を認めるべきです。未使用水量、空水量に対する財政措置を講じるべきであり、受水団体の資本費負担軽減を図るべきであります。所見を伺います。

 第2に、県と受水団体が料金低減に向けた調査研究を行うべきです。そのための率直な意見交換、協議を進めるべきと考えますが、いかがですか。

 第3に、国に対して上水道高料金対策措置の拡充や施設の補修、修繕、耐震化など、水道事業に係る財政支援を講じるように要求すべきです。所見を伺います。

 次に、いじめ、教育問題についてです。

 子どものいじめ、自殺が各地で起き、多くの人々が心を痛めています。今日、いじめのない学校と社会をつくることは、日本社会の切実な課題となっています。

 1990年代後半からの構造改革路線により、国民の中に貧困と格差が広がりました。その中で、競争原理が社会の各分野に浸透し、人間的連帯が弱まり、弱い立場の人を攻撃する風潮が強まりました。そして、そのことを正当化するために、競争に負けるほうが悪いという自己責任論の考え方が広がり、社会そのものがいじめ社会とも言うべき傾向を強めています。競争的な社会、教育によって、子どもたちはストレスをため、これがいじめの背景の一つとなっているのではないでしょうか。

 国連子どもの権利委員会は日本政府に対し、再三にわたって過度な競争的な教育制度の改善を勧告しています。国連は、競争教育が子どもの発達に障がいをもたらしていると警告しているのであります。子どもたちをテストに追い立て、競争によって序列化を図る過度な競争教育は、教育を荒廃させる最大の元凶であり、その改善が必要と考えます。

 以上の立場から、いじめの解決や子どもの権利を守る上で、3点伺います。

 第1は、いじめ解決のための条件整備についてです。

 一般紙の調査では、7割の教員がいじめ対応の時間が足りないと答えています。教員は、過労死ラインで働いても、子どもと遊んだり授業準備をする時間がとれず、日々悩んでいます。目の前のいじめから子どものかけがえのない命を守り抜くことは、待ったなしの課題です。少人数学級や教職員の定数改善で教員の多忙化を解消し、教職員がいじめに向き合う条件整備を抜本的に強化、改善すべきです。教育長の所見を伺います。

 第2は、管理教育を正し、教職員の自主的研修の保障についてです。

 国から教育委員会、そして教育委員会から学校、学校から教員へと縦のラインのような上意下達の体制となり、教育委員会が形骸化し、学校現場まで事なかれ主義がはびこっています。先生たちには、上からの数値目標達成が指示され、子どもよりも教育委員会の顔色をうかがうような状態に押し込められ、教職員の連帯や時間が奪われています。いじめ半減などの解決率を目標にした数値目標は、数字の操作や隠蔽につながり、いじめ隠しの土壌となってしまうではないでしょうか。所見を伺います。

 また、教員にはいじめ問題独自の研修がありません。専門性の高い医師、心理の専門家、親の会、法律家などの協力のもとに、いじめ問題の研修を保障すべきと考えます。所見を伺います。

 第3は、子どもの貧困と格差が家庭を直撃している問題です。

 県内において、就学援助を受けている子どもの割合は約14%に達しています。7人に1人の子どもが貧困ラインの現状です。部活動を続けたくてもその費用が払えず、泣く泣く部活動をやめざるを得ない子どもも今生まれています。就学援助制度の周知徹底に努め、教材や部活動など保護者負担軽減策を講じるべきと考えます。教育長の所見を伺います。

 最後に、教育委員会のあり方についてです。

 今、教育委員会のあり方が問われています。いじめの訴えにまともに取り合わず、対応力のない教育委員会であるなら必要ないという教育委員会不要論であります。

 私は、教育委員会が教育委員会事務局の提案を追認する機関となってはならないと考えます。教育委員会には、学校現場や保護者、子どもたちと密着し、力を合わせ、血の通った教育行政を進めていただきたいと心から願っています。

 この間、ホームページで島根県教育委員会の議題や審議の状況などの会議録を読ませていただきました。率直に申し上げて、教育委員会事務局からの報告を受けての質疑が中心となっており、子どもや保護者、現場教員からの悩みや思いを酌み取り、聴取し、その声を教育行政に反映させる取り組みが弱いように思います。

 そこで、教育委員会のあり方を改善し、活性化させる立場から2点伺います。

 まず第1に、教育委員会の会議は、県庁分庁舎2階の教育委員室で開催されています。公開会議となっていますが、この間、県民の傍聴、参加はいかなる状況ですか。

 会議の審議や討論内容は十分なものであるとお考えですか。課題認識はいかがですか、教育委員長の自己検証を伺います。

 第2に、教育委員会は、子どもの権利保障を最大の主眼、目的に据えるべきと考えますが、いかがですか。

 そのためにも、会議は子どもや保護者、教職員、住民らの訴えや意見を直接聞く機会、意見交換の場を積極的に持つべきであります。会議の透明性や民主性を強め、さらなる活性化を図るべきと考えますが、教育委員長の所見を伺います。

 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○知事(溝口善兵衛)▽ 尾村議員の御質問にお答えを申し上げます。

 最初は、デフレ脱却には正社員の促進など雇用の安定と、インフレ目標ではなく賃上げ目標を持つべきではないかと、所見を問うと、こういうことであります。

 デフレ脱却、デフレは一般物価水準がどんどんと申しますか、下落をしていく状況なわけであります。物価を構成するものは、生産に要してのコストがそれぞれあって、それに一定の利益があって、それぞれの企業で価格が決定されて、全国足し上げると一定の物価水準が出てくると。個別セクターの物価下落ということでなくて、経済全体が需要の沈滞とか、あるいはそういう要素が大きいんだと思いますけども、物価が下落していくと。物価が下落するのでさらに需要が停滞し、新しい投資などが抑制される、雇用もふえない、利益も上がらないから雇用調整あるいは賃金のカット、いろんなことが起こるわけでありまして、非常にこれをどういうふうにして解決するかというのは難しい問題であります。

 また、日本で起こっている今の物価の下落、デフレというものの原因は一体何だと、こう見ることがこの問題の解決にとって大事なポイントでありますけども、やはりここ20年、あるいは10年など見ますと、政府は例えば90年代などは財政を拡大して需要を追加する、デフレギャップを埋めるということを随分やってまいりましたけども、それではなかなか解決がつかない。やはり大きな問題は2000年代に入りましても新興国、これまでは大きな競争相手でなかった新興国がどんどん成長し、拡大をするようになって、新興国でできるような産業は日本企業が太刀打ちできないということで、その分野が非常に小さくなる、その分野の投資が少なくなる、海外に進出をすると。あるいは海外から、むしろ海外でつくるものが日本の企業でも使えるというようなものになって、部品などの安いものは日本に入ってくる、そういうプロセスで進んでいるんだろうというふうに思います。いわゆる大きいのは、そういう日本を取り巻く世界の状況が変わってきてるということが非常に大きな問題なんだろうと思います。

 ヨーロッパにおいてもそういうことが起こったわけであります。日本の追い上げなどによって、あるいはイギリスなどがそういうプロセスに陥ったことがあるわけでありますけども、イギリスも復活をしている、それはイギリスの金融業だとかサービス部門で競争力を高めるとか、あるいは北海油田が出るとか、新しい資源、分野で雇用がふえるとか、そういうことがいろいろあり、それから社会の政策もいろいろ自由化をする、あるいは規制の緩和を行うと、そういう競争条件を国内では整備をすると、もろもろのことでそういう欧州も変化をしてきたわけです。 

 その後を追ってきた日本が、今度はそういう逆の立場になっておる。今回の追い上げというのは、やっぱりインターネットが発達したり、いろんな製造業がコンピューターで簡単に先進的な製品をつくることができるようになった、必ずしも熟練した労働者を育てなくても、簡単に立派な機械を持ってくればできるというようなことになって、非常に速いスピードで巨大な動きが起こっているということが、私は一番大きな問題じゃないかというふうに思っております。

 そういう意味で、このデフレから脱却するというのはなかなか容易なことじゃないわけであります。しかし、脱却するためには何かのきっかけが要るわけであります。その一つが金融の緩和ということなんですね。多分その金融の緩和もリーマン・ショックの後、アメリカ、イギリスなどにおいてリーマン・ショックで金融業が随分危機に遭いましたから、そういう金融セクターを守るために非常な金融緩和を進めたわけであります。ところが、日本の銀行業、金融業は、その前の段階でバブルの崩壊でやられていますから、今回のリーマン・ショックのときにはそんなに大きな影響を受けなかったと。それで、円高が、日本ではさほど金融緩和が進まなかったので、欧米と比べて、そして欧州の場合はイタリア、スペインとか、いろんなギリシャの危機とかあって、さらに金融の緩和を行った、そういうこともありまして、やはり金融の緩和をするということは大事だというふうになってきたんだろうというふうに思います。

 本題に入りますと、そういう意味でいろんな複雑な要因で決まっとるわけでありまして、賃金だけを目標にするというのはなかなか難しいことです。ただ、中央銀行は通貨供給をふやして、金融緩和を行って、そのインパクトで経済活動を刺激していこうというのが今のインフレターゲットなわけでありまして、それは物価を上げるようにするということじゃなくて、中央銀行のオペレーションの目標としてそういうものを使おうということなんですね。中央銀行自身が物価を上げる力は持ってないわけです。通貨供給がふえることによって、それが経済活動に波及し、そしてそれが物価にも波及するだろうということなわけです。それがそういうふうにいくかどうかについては、いろんな議論があるわけでありまして、そういう意味で賃金目標を中央銀行の政策目的にするということは、どの国でも考えられてないと。一般的な物価水準全体を考えている。要するにオペレーションの一つのインデックスだと、こういう意味であります。

 それから、議員がおっしゃるように、しかし物価が上がるためにはやはり賃金も上がらなきゃいかん、これはまた別の話としてあるわけです。それは強制はできませんけども、安倍総理も経済団体などに対しまして、賃金も上げて需要が拡大するように、消費が拡大するように要請をしたということで、政府も取り組んでおられますけども、目標とするのは非常に難しいんじゃないかというふうに思います。

 大体そんな、非常に大きな問題で複雑な問題ですから、これ以上なかなか短い時間で論議をするというのは難しいことでありますけれども、概略はそういうことだと思います。

 次に、消費税増税に関連しまして、消費税増税を中止して社会保障の削減を中止するよう国に求めるべきではないかという御質問であります。

 今の消費税の引き上げというのは、本当にこれも長年にわたっていろいろ議論をされた結果、昨年与野党3党の合意で消費税の増税が決まったわけでありますけども、主たる目的は、やはりこのままでは年金でありますとか介護でありますとか医療でありますとか、社会保障の財源の確保が難しいんで、そのほうがかえって国民にとって大きな問題になるという観点から消費税の増税を決めたということでありますから、この方針についてそれを覆せということは、議論としてはあり得ると思いますけども、国会でもそういう方向で決まっておるということでございますけれども、他方で実際に実施するかどうかは、経済の状況なども見て決めようということになっておりますし、実際に導入するときには低所得者でありますとか、そういう方々に対する配慮をしようということもあるわけでございます。

 そしてまた、社会保障につきましては、社会保障制度国民会議において、将来の社会保障をどうするかということが議論されるわけでございまして、この問題は全体的な問題、国全体の問題として捉えていくべきことではないかというふうに思います。

 次に、県民生活上、県予算における社会保障関係予算の抜本的拡充を求めるがどうかという御質問でございます。

 例えば、県の25年度当初予算案では、社会保障関係費であります扶助費は総額で350億円であります。社会保障は、国、県、市町村、大きく言ってこの3つの組織で行われているわけでありますけれども、年金はほとんど国が行っていると、それから医療は、負担は国もいたしますけれども、医療費の保険料とか国民健康保険などについては、市町村が実施をするということであります。介護も医療と似たような構成になっております。

 社会福祉の関係もそれぞれの市町村等が中心でありますけども、県も一定の関与をしておるというようなのが実態でございます。計画だとか大きな枠組みは国でつくると。それで、その財源も消費税でありますとか一般税収でもってファイナンスする、それを実施団体である市町村に交付をすると。市町村は介護保険料でありますとか医療の国保の負担と国の財源を合わせて、あるいは患者さんの負担などを合わせて運営してると。県はどちらかというと、そういう国と県、市町村をつなぐ調整役あるいは制度の監視役というようなところが多いわけでございます。 

 そういう意味で、350億円の扶助費のうち、国の介護制度や後期高齢者医療制度に基づくものが336億円になって、ほとんどそういう国の制度に関連したものでございます。県の事業としては、乳幼児に対する医療の助成ですね、これも市町村がやりますけども、市町村に付加的に県も助成をしておるということでございます。福祉医療の助成につきましてもやっております。

 都道府県単位で見ますと、東京などのように非常に財政力の強いところにつきましては、医療費なども中学生まで、あるいは高校生だったでしょうか、無償にするといったようなことが行われますが、そこはなかなかそれぞれの県の、都道府県の状況によって違うわけでございます。私は本当は、そういうものを都道府県に任せるというのは、おかしいことではないかと思っておりますけども、基礎的なサービスですから、国がこういう分野も統一的にやるべきだと思いますが、現状ではそうなってないわけであります。しかし、県の事情を見ますと、個々の県単事業につきましては、やはり必要性だとか、市町村でどの程度おやりになっておるとか、いろんなことをよく調査をしたり、御意見をお聞きしながら対応してきているということでございます。

 これからも経済社会の状況でありますとか、県民の方々の状況でありますとか、あるいは県全体の財政状況でありますとか、市町村の御意見などもよくお聞きしながら、県としてどう対応すべきか、よく検討してまいりたいというふうに考えておるところであります。

 次に、原発の安全基準につきまして2つ質問がありました。

 原子力規制委員会の検討チームにおきましては、新安全基準の骨子をつくって、それを規制委員会が今パブリックコメント等に出しておるところであります。

 議員が御指摘になった考慮すべき活断層の年代についての問題でありますが、今度の検討チームの骨子では、議員が御紹介になったように2つ主要なポイントがあるわけです。1つは、活断層の認定方法については、十二、三万年前まで調査しても活動性が明確に判断できない場合には、40万年までさかのぼって調査をするというのが1つです。別の話として、活動性のある断層が地表面にあらわれているところは、原発の重要な施設をつくらないということでございます。まだこれで決まったわけじゃないわけです。パブリックコメントに付されて、あるいはほかの専門家の意見も聞いて、これから7月の発表される見込みである新安全基準の中にどう織り込むかというのが、まだ規制委員会で議論をされるという段階でございます。

 我々としては、いろんな意見が出てくるわけでしょうから、それをよく注視をし、我々の安全顧問、原子力安全顧問の方々の意見をお聞きしたり、あるいは同じような立地県の意見なども聞きながら、この問題についてもよく注視をし、必要に応じ政府に対し意見などを申し上げていきたいというふうに考えておる、これが現状でございます。

 議員は、現段階の骨子案では、再稼働の基準とはなり得ないものと考えるけども、意見はどうかと。その点につきましても、まだこれから専門家の意見あるいはパブリックコメントがあるわけですから、そういうものをよく我々も注視すると同時に、規制委員会が真に必要な基準をつくられるよう、安全基準をつくられるよう求めていきたいというふうに考えておるところであります。

 次に、TPPへの日本の交渉参加についての御質問であります。

 日米共同声明によります確認は、交渉参加に際して全ての関税撤廃をあらかじめ約束することは求められていないということであります。議員が指摘されたような議論もあると思います。他方で、例外が認められる可能性が最初から排除されているわけではないということが、この確認の一つの意味であるというふうに政府は理解をされているんだろうというふうに思うところであります。

 しかし、政府におかれてはいつ参加されるのか、どういう手続を経てされるのか、まだはっきりいたしません。やはりTPPの参加は農林水産業を含め、国民生活に大きな影響を与え得るものでありますから、県としては政府に対しまして、参加による影響をよく分析をし、国民に丁寧に説明をして、国民的議論を十分行ってもらいたいということ、そしてまた特に農林水産業、農山村漁村の振興対策を明確にした上で、国政の場で十分な議論を経て方針を決定、交渉に臨む方針を決定する必要があるということを従来から言っておるわけであります。

 政府におかれましては、こうした点に十分配慮して、交渉への参加、交渉における方針等についてよく検討をしていただきたいというのが県の立場でありますし、そういうことを申し入れておるということであります。

 県におきましては、TPPの問題は県庁内いろんな部局に関連をいたしますから、連絡会議をつくりまして、情報の収集、情報の共有を図るということをしておりますし、さらに影響を分析して、状況に応じ政府にも意見などを申し伝えていくといったような対応をしていきたいというふうに考えております。

 私への質問の最後は、憲法についてであります。

 憲法改正につきましては、国民の間に賛否両方の立場からさまざまな意見があります。私自身は、いずれにしても国民主権あるいは基本的人権の尊重、平和主義などの原則は堅持されなければならないというふうに考えております。

 県政におきましても、憲法の精神は当然守らなければならないというふうに考えているところであります。以上であります。

○健康福祉部長(布野典男)▽ 私からは、生活保護について3点お答えします。

 初めに、生活保護の基準の引き下げについてお答えします。

 生活保護は、憲法25条に規定する理念に基づき、国がその責任において、生活に困窮する全ての国民に対し最低限度の生活を保障するものであり、その基準ついては厚生労働大臣が定めることとなっております。

 現在、国において検討されている生活扶助基準の見直しにつきましては、社会保障審議会の検証結果を踏まえ、一般低所得者世帯の消費実態と現行の基準の格差を是正し、前回の見直し、これは平成20年以降の物価の動向を反映させるなど、適正化が図られるものと承知しております。

 なお、この見直しは平成25年8月以降、段階的に行われることとなっております。県としましては、今回の基準の見直しは、生活保護を受給している方を始め、国民生活全体に広く影響を与えるものであることから、国において責任を持って検討されるべきものと考えます。

 次に、生活扶助基準の引き下げが他の支援制度に与える影響についてお答えします。

 議員御指摘のとおり、生活扶助基準の見直しは、就学援助や保育料免除など、他の支援制度に影響を与えます。このため、国においては生活扶助基準の見直しに伴い、影響が生じる制度につきましては、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限り影響を及ぼさないことを基本とし、また地方単独事業につきましては、各自治体に国の取り組みを説明し、協力を要請するとの方針が決定されたところです。県としましては国の対応方針を踏まえ、県民生活への影響を十分考慮して、適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、生活保護制度の見直しにつきましては、生活扶助基準の見直しに合わせ、不正受給対策の徹底、後発医薬品の利用の原則化を含む医療扶助の適正化などの見直しが行われることとなっています。県としましては、生活保護制度は国民から信頼される制度であり、また保護が必要な方に必要な保護が適切に提供される制度でなければならないと考えております。

 これまで国に対しまして、生活保護制度の改革に当たっては、扶助の適正化と自立の助長を一層促進するとともに、最後のセーフティーネットとしての機能が十分に発揮されるよう、制度の見直しを行うことを要望してきたところです。今後、福祉事務所と連携して、生活保護を受給している方の状況の把握に努め、必要に応じて国に対し見直しを要望してまいります。

 最後に、漏救防止対策の抜本的強化についてお答えします。

 福祉事務所におきましては、民生委員や関係機関などと連携し、保護が必要な方の把握に努めているところです。また、県においては指導監査や各種会議などを通じ把握に努めるよう指導を行っており、相談者が窮迫した状況にある場合などは、早急に保護するよう指導しているところです。

 今後、国においては生活困窮者の自立や就労支援を強化するための対策に総合的に取り組むこととされており、県としても国の事業を活用し、生活困窮者の支援に取り組むことにより、保護が必要な方の把握に一層努め、必要な保護が適切に行われるよう市町村と協力して取り組んでまいります。以上です。

○企業局長(中村光男)▽ 私のほうからは、斐伊川水道事業に関します3点についてお答えいたします。

 まず、斐伊川水道事業の水需要予測等についてでございます。

 斐伊川水道事業は、県が関係市町村と緊密な連携のもとで事業を進めてまいりました。このうち、水需要量につきましては、平成2年に関係市町村からの参画希望水量を取りまとめ、日量3万5,400トンとしてきたところで、これまで変更されておりません。

 一方、平成23年4月の給水開始までの間に、関係市町村においては社会情勢の変化等に対応して、水量の内訳の見直しが2回行われております。直近の平成21年の見直しにおける市町ごとの合計は、それまで見込んでいた人口増減分を全て、1つは不安定な水源をもとにしています簡易水道などからの水源転換分と、それからもう一つは渇水時の水不足に対応するための水源の余裕分、この2つに振り分けられております。このうち水源余裕分は参画水量の2割強とされたところです。

 現在、受水団体に1日平均では参画水量の6割、これは議員もお示しになられました数字ですが、を給水しておりますが、昨年の1日当たりの最大給水量を見ますと、8月1日に参画水量の7割を記録しております。さらに、今後各市で水源転換が進捗しますと、平成30年度には参画水量の約8割を給水する見込みとなっております。

 なお、昨年夏の飯梨川の渇水時には、飯梨川において10%の取水制限を行ったところですが、その際には斐伊川水道から日量2,000トンを松江市に追加で送る計画を進めておりました。幸いにも降雨があったため、取水制限が短くて済みましたので、実施には至りませんでしたが、余裕分の水を活用した今後の渇水対策につながるものと考えております。

 資本費につきましては、これまで安価な工法の採用などによる建設事業費の縮減や、一般会計借入金による利息負担軽減などに努めてきたところです。企業局としましては、引き続き企業債の繰上償還や他会計からの借り入れによる利息負担の軽減のほか、より多角的観点で経費全般の縮減に努め、給水費トータルでの負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

 次に、受水団体との意見交換等についてでございます。

 給水人口や給水量の減少傾向、老朽化施設の更新事業の拡大など、水道事業者の多くが大きな課題を抱える中、全国では水道事業者間の連携や広域化等の動きが出始めてまいりました。

 このような中、尾村議員が提案されたようなものに沿っているかどうかわかりませんが、企業局では昨年10月から、まず第一歩として、受水量が最も大きい松江市との間で水道経営勉強会を立ち上げたところです。これには、本局だけでなく浄水場等の現場の職員も入りまして、用水供給側と受水側という枠を超えて、広域的、多角的な視点から意見交換や研究を進めているところです。勉強会とはしていますが、双方がお互いの状況を十分理解した上で共同で研究を行い、安全で安心な水を安定的に、かつできる限り料金を抑えて供給するための具体策を探り、一つ一つ実践していこうとするものです。

 現在までのところでは、機器の共同利用や共通する物品の共同調達の可能性、緊急時を想定した共同訓練の実施や水質管理などに関して検討を重ねてきたほか、広域的並びに公民連携、この両方の観点で事業運営の見直しを行っておられる広島県企業局の調査も行ったところです。

 今後、研究の成果について、すぐにできるものから実施していくとともに、他の受水団体にも参加を促し、将来の水需要を見据えた施設改良などの研究も行ってまいりたいというふうに考えております。

 最後に、上水道の高料金等の対策についてです。

 上水道の高料金対策は総務省が所管しておりまして、市町村等が行う水道事業において、資本費及び給水原価が一定の基準を超えた場合、一般会計から繰り出しを受け、その一部について交付税措置がされる制度でありますが、平成24年度においてこの制度の適用を受けている県内の自治体は大田市のみでございます。

 ちなみに、斐伊川水道の受水団体におきましては、給水の始まった平成23年度の資本費や給水原価は前年に比べて上昇しております。ただ、斐伊川水道の受水開始した団体の中で最も影響を受ける松江市を例にとりましても、総務省が定めた基準に届かず、この制度の適用を受けることはできない状況にあります。

 一方で、この松江市を始め同様に企業局が用水を供給しております江津市、大田市など県内の市町におきましては、今後それぞれで予定されている簡易水道統合の影響により、資本費等のさらなる上昇が予想されることから、市長会などを通じて、高料金対策による繰出金制度の見直しの要望を国に行っておられるところです。今後は、企業局としても受水団体等と共同の取り組みを行うとともに、公営企業の全国組織であります地方公営企業連絡協議会などによる要望活動も検討したいと考えております。

 また、水道施設の老朽化や耐震化対策に係る財政支援策であります国の水道施設整備事業につきましても、同様に資本費単価などの採択基準が高い状況にあります。今年度、地方公営企業連絡協議会から制度拡充の要望を行ったところでありますが、今後は関係団体との連携を密にして、より一層働きかけを強めていきたいと考えております。

○教育委員会委員長(山本弘正)▽ 私のほうから、教育委員会会議についてお答えをさせていただきます。

 まず、教育委員会会議の傍聴人数でありますが、この1年間で見ますと、1回当たり4人程度ということになっております。

 次に、会議の審議についてでありますが、委員それぞれがみずからの経験や知見に基づきまして意見を述べ、案件の可否を判断させているものと認識いたしております。

 現在、教育委員会制度が形骸化しているとか、迅速性に欠けるなどさまざまな意見がございますけれども、十分承知はいたしております。そのような御批判を真摯に受けとめながら、昨年の9月議会で北島前委員長が答弁されていましたように、教育委員会がそれぞれの課題を正確に把握し、素早く的確に対応することによって、子どもたちの健やかな成長にとって欠かせない存在になるように続けたいというふうに考えております。

 次に、子どもの権利保障についてでありますが、私はかけがえのない存在であります子ども一人一人が、みずからの可能性を伸ばしていくためには、大人の側が子どもを主体的にみずからの意見を持ち、みずからの考えで行動できる存在として捉えることが大切だと考えております。このことは、一方で他者の考えを尊重し、ルールにのっとって他者とのよりよい関係をつくっていく責任を伴うものであることを、子どもに自覚させることも必要であるというふうに思っております。そのような教育を行うことが大変重要なことだというふうに思っております。

 次に、会議での意見を聞く機会についてでありますが、教育委員会では規則によりまして県民からの請願制度を持っております。必要があれば、請願者から直接意見を述べていただく場を設けているところであります。

 また、直接の会議の場ではありませんが、学校訪問を頻繁にやっておったり、地域住民の方々、また教育関係者の方々、そして知事さんや県議会の方々とも、さまざまな形で意見交換をさせていただいております。その中で教育を取り巻く課題について把握をし、施策決定に生かせるよう努めておりますし、今後も続けていきたいと考えております。

 教育委員会の運営についてでありますが、事務局の追認機関とならないよう、またそう言われないように、教育委員長として活発な議論が行えるような会議運営に努めてまいりたいと思っております。また、さまざまな機会を捉えまして、情報発信にもさらに努めていきたいと思っております。以上でございます。

○教育長(今井康雄)▽ 私のほうからは、いじめなどに関連した御質問にお答えをいたします。

 まず、いじめに教員が向き合うための条件整備についてであります。

 教員が子どもと向き合う時間を確保するために、教員数を確保するなど条件整備を図っていくことは、もとより重要なことだと考えております。このため、教員定数につきまして、国に対しましてはこれまでもその改善の働きかけをしたところでございます。今後とも引き続き強く働きかけてまいりたいというふうに考えております。

 また、県におきましては、島根県独自の対策といたしまして、児童生徒の学習などの支援のために、小学校1、2年生の30人学級編制のほか、非常勤講師を配置をいたします、さまざまのサポート事業を実施をいたしております。今後とも継続して実施を行ってまいります。

 さらに、来年度はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、この増員を図ってまいりたいと考えております。今後とも教員が一人一人の児童生徒と向き合う時間を確保できるよう努めてまいります。

 次に、いじめについての数値目標についてお尋ねがございました。

 例えば、昨年9月に行われました国のいじめに関する緊急調査によりますと、前年度に比べまして認知件数が全国的に増加をいたしました。島根県についても同様でございます。ただ、このことに対しまして国のほうでは、教員のいじめへの認識の深まりや、アンケート調査などにより細かな把握ができたためというふうに分析をいたしております。

 いじめの防止は何よりも大切なことでありますが、そのために単に数を目標とするのではなくて、教育のさまざまな現場でいじめが起きないような教育を進めていくことが大切なことだというふうに思っております。その上で、いじめはどの学校でもいつでも起こり得るという認識のもとで、個々の事案に組織として迅速、適切に対応していくことが重要と考えております。

 次に、いじめに関します研修についてでございます。

 現在も管理職研修、それから生徒指導主任研修等でいじめの問題について研修を行っております。それから、学校におきますスクールカウンセラーを活用した研修も行っているところでございますが、来年度以降こうした研修に、お尋ねのございました専門家、なるべく多く参加をしてもらいまして、そういった方の指導も取り入れるなど、こういった研修の一層の充実を図ってまいります。

 最後に、就学援助についてでございます。

 近年、要保護、準要保護の児童生徒数は増加傾向にございます。そうした中で、この就学援助制度、教育の機会均等を保障する上で必要なものであり、対象の保護者が適切に受給できるようにしなければならないと考えております。このため、引き続き市町村に対しまして、この制度の目的や手続について周知を図るように働きかけてまいります。以上です。

○尾村利成議員▽ 知事に2点再質問させてください。1点はデフレと社会保障、それからもう一点は新基準、新安全基準、原発です。

 デフレ問題の原因がどこにあるかということで、知事からは新興国の台頭など、日本を取り巻く状況の変化と、こういう答弁が1つありました。私は、今日の日本のデフレの最大の原因というのは何かという点で、いわば働く人の賃金が減り続けていると、ここに最大の問題がある、すなわち他の先進諸国の中でも賃金が毎年のように減ってる国というのはないけれども、日本だけそうなっていると。ある意味、例外国家と言ってもいいぐらいそうなっていると。そこに大きな問題があると。今、政権党がデフレを脱却するために金融緩和、財政出動、公共事業等々、3本の矢と言っていますね。私は、ある意味、これは的外れの矢となっているのではないかと言わざるを得ないわけです。

 私は、やっぱり今一番大切なことは、内需を活発にして、国民の懐を暖かくする、その点で言えば、減り続けている賃金がずっと減ってるわけだから、ここを上げる方向に国としては頑張らなきゃならない。経済の6割というのは消費購買力が占めているわけですから、国民の所得を豊かにして消費をふやす、そのことが設備投資にもつながっていく、経済の好循環を生むのではないかと。ですから、今の国の対策というのは上からの対策だと。言い方をかえれば、大企業がもうかっていけば下に雨粒が落ちるように落ちていって、国民の所得もよくなってくるのではないか、私はこれをトリクルダウン経済学と、こう考えますけども、そうではなくて、下から国民の暮らしをよくしてということを私は思うわけです。

 それで、その点で言えば、所得が減ってきてて、社会保障の負担だけがふえているんですよ。所得が減って国保とか介護の負担がふえ続けている、すなわち可処分所得が減少してるわけです。そして、社会保険料を滞納した方々が保険証を取り上げられる、または差し押さえをされる、生活の困窮の危機に陥っている、私はこういう問題をしっかりと見ていただきたいし、対応もとっていただきたい。社会保障から排除されている人に対して、政治の光を県としてもしっかり当てていただきたいというふうに思うわけであります。この点で1点、再答弁をお願いしたいと。

 それから、新基準の問題で、知事はその新基準を注視し、県原子力安全顧問の意見をよく聞き、原発立地県の意見も聞いて、必要に応じて政府に意見を申し上げていくと、こういう答弁だったですね。私は、新基準の中で地震対策を挙げました。私言いましたとおり、地震対策もこれとんでもないものだと思っています。これは対策ではない、露頭があったとしても、原発の真下に活断層が走っていても、露頭がなければ設置を認めるというわけですから、こんな恐ろしい基準なんかあったものではない、私はこう思います。

 それから、苛酷事故対策ですね。苛酷事故対策でどうなっているかといえば、これは原子炉格納容器が壊れた場合に備えて屋外放水設備を設置すると、こうなっているわけです。格納容器が壊れて放射性物質が拡散されても、このときには水によって放射性物質を沈降させるんだと、こういう不十分な対策なんですよ。こういう不十分な対策でありながら、原子力規制委員会の委員長というのは、世界最高水準の安全対策だと、こう言っているわけです、今現在。そして、政権党のほうも、安全を確認された原発は再稼働すると言っているんですよ。今、原発の局面はここにあるわけですよ。

 ですから、必要に応じ政府に意見を申し上げていくというのは、それはいいんですけれども、今規制委員会のトップが全く最高水準でもないのに世界最高水準だと言い、政権党が再稼働しようとしている、その局面にあるときに、私はこういう新基準でもって、もう7月はすぐなんですけども、稼働などされることは絶対に許されない、知事としてここは強く言っていただきたいということであります。

○知事(溝口善兵衛)▽ 2つ御質問がありました。デフレに関連して、賃金のやはり引き上げというのが一番大事だと。それはそういう意見もあると思います。ありますが、賃金は企業体が企業の中で、通常の場合で言いますと、企業で物をつくって販売して、企業体が存続していかなきゃいかんわけですね。そうすると、この企業体がやはりそれぞれ健全な形でいかにできるかということで、それぞれ努力をされておると。そういう中でいろんな合理化をやる、あるいは賃金についても抑制をするとか、あるいは採用の形態を変えるとか、いろんなことも起こりますし、それから利益も減るということもあるでしょうし、賞与などもカットをするということもあるでしょうし、どこを起点にするかということがあるわけです。

 私が申し上げたのは、インフレ目標というのは、金融政策のオペレーションを管理するためのインデックスとして採用したという問題であり、実際に経済の活性化を進めるといったのはまた別の話で、そこを尾村議員は議論されて、私は尾村議員の言うような意見も当然あると思います。

 安倍総理も経済団体の方々に対して、賃金を上げることをぜひ考えてくれと、賃金も上がる、消費もふえる、それによって雇用もふえる、そういう好循環がどういう形で進むかと。賃金も景気がよくなるということを見越して、売り上げも上がるということを見越して、上げる経営者もおられるかもしれないし、しかしまだまだそんなしっかりした見通しはないとなると、もう少しよくなって考えようかとか、それは企業の状況なんかによって随分違うんだろうと思いますが、尾村議員が言われたようなこともあると思いますけども、政府は目標として何ですか、設定しても、目標をつくっても、そのこと自体が実効を上げることにはならない、それを金融政策の管理する目標に設定するというのは、ちょっと無理があるんじゃないかということを申し上げたところであります。若干すれ違っておりますけど。

 それから、原発の関係ですが、安全基準の問題、まだまだ議論中でございます。それから、規制委員会もいろんな意見を聞いてる段階であります。あるいはシビアアクシデント対策についても、それはいろんな意見が私はまだあるんだろうと思います。我々もこれからのプロセスの中で規制委員会の動き、あるいは各界の意見などもよく情報を集めたりしながら、関係の立地県などともよく相談しながら対応していかなきゃいけないと。

 いずれにしても安全基準はやはり国民の方が、なるほどこういう安全基準ができたのかというふうに、やはり政府がよくわかるように、いろんな質問なんかに対して答える体制が構築されるということが大事です。そういう意味で、まず実態としていい安全基準をつくり、そしてそれをわかりやすい形で説明をされることが必要だということでございます。

○尾村利成議員▽ 知事、再質問の1番目の答弁がなかったんですけど、社会保障から排除されている県民が今ふえつつありますので、そこの目配り、心配り、政策配りをよろしくお願いしたいと思います。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画