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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2013 年 2 月定例会 知事提出議案に対する討論

2013-03-21 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 日本共産党島根県議団を代表して、予算案6件、条例案2件、一般事件案1件について委員長報告に反対する討論を行います。

第4号議案「平成25年度島根県一般会計予算」


 まず、第4号議案「平成25年度島根県一般会計予算」についてであります。

 平成25年度予算案は、総額5,311億円余、対前年度当初比0.7%増であります。

 国政において自公政権は、デフレ不況を打開するとして、大胆な金融緩和、不要不急の大型公共事業推進、大企業応援の成長戦略などの経済対策をすすめています。

 デフレ不況の最大の原因は、働く人の所得の落ち込みにありました。

 「成長戦略で企業の収益を向上させれば、雇用の拡大や賃金の上昇をもたらす好循環を産み出す」などというトリクル・ダウン理論(おこぼれ理論)ではなく、賃上げと安定した雇用の拡大こそ、デフレ脱出の確かな道ではないでしょうか。

 社会保障では、生活保護の生活扶助基準の削減を突破口に、介護、医療、年金、保育などの制度改悪など給付抑制・予算削減をすすめようとしています。

 安倍首相は3月15日、TPP交渉への参加を表明しました。TPP参加によって、わが国、島根の農林漁業は、壊滅的な打撃を受けてしまいます。弱肉強食のアメリカ型ルールの押し付けによって、食の安全、医療、雇用、地域経済が脅かされるのは必至であり、県民にとっては「百害あって一利なし」です。

 TPP参加によって、「活力ある島根」「安心して暮らせる島根」をつくるために措置した農業、医療、環境など県予算が水泡に帰すではありませんか。県としてTPP参加断固反対の意思表明をすべきであります。

 国の政治がひどい時だけに、島根県政は、県民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を果たさなければなりません。

 予算案では、対前年度比、約2倍の再生可能エネルギー利活用推進事業が措置され、住宅のバリアフリー改修や耐震対策を助成するリフォーム助成事業、県産木材を生かした木造住宅づくり支援事業などが継続されました。

 また、医療・福祉、教育では、潜在看護師の復職に向けたカムバックナース就労支援や保育士養成施設入学者に対する就学資金の貸付、いじめ対策としてスクールカウンセラーの拡充や特別支援学校の校舎確保対策などが盛り込まれました。わが党は、これらの事業や予算増額措置については評価するものであります。

 一般質問でも指摘しましたが、1人あたりの県民所得は、この10年間で約30万円も減少しました。世帯所得が100万円未満の世帯は1割を超し、世帯所得300万円未満の世帯は約4割に達しています。収入が減少する一方で、国保や介護など社会保険料が毎年のように値上げされ、県民の苦悩が広がっています。社会保険料未納者は、社会保障制度から排除され、くらしと命が脅かされています。

 予算は、これら県民の苦しみを解決し、くらしと地方自治、地方経済を立て直すものでなければなりません。

 医療、福祉では、払いたくても払えない国保料・税を引き下げるため、県としての法定外独自支出金の実施を決断すべきです。福祉医療においては、県と市町村で福祉医療費助成制度検討会議が設置され、負担軽減に向けた協議が始まったことを歓迎します。障がい者の命と健康を守るためにも、福祉医療1割負担は撤回すべきです。

 農業においては、持続可能な農業経営の実現、耕作放棄地の解消に向け、価格保障の充実など再生産を保障する施策を農業政策の柱に据えるべきです。

 産業・雇用対策では、新産業創出、企業誘致頼みから脱却し、島根県内に現にある力を育て、伸ばし、それによって雇用と消費を増やす内発型・循環型の地域振興策に転換すべきです。

 教育では、子どもたちを競争に追い立て、ふるい分けする学力テストは中止すべきです。また、同和教育をすべての教育の基底に据えるという、同和教育の特殊化・別格化を正すべきであります。

 県民の命と安全を守るためにも、県として原発ゼロを決断し、実効ある避難・防災計画を策定すべきです。危険な老朽原発の廃炉、プルサーマル計画の撤回、3号機の建設・運転の中止を求めます。

 予算は政治の顔と言われています。県民の願いは、医療、福祉、教育の充実です。

 この立場から、県民の願いと来年度予算案を鑑みた時、予算案に反対するものであります。

第17号議案「平成25年度島根県病院事業会計予算」
第18号議案「平成25年度島根県電気事業会計予算」
第19号議案「平成25年度島根県工業用水道事業会計予算」
第20号議案「平成25年度島根県水道事業会計予算」
第21号議案「平成25年度島根県宅地造成事業会計予算」


 次に、第17号議案「平成25年度島根県病院事業会計予算」、第18号議案から第21号議案までの電気、工業用水道、水道、宅地造成事業の公営企業会計予算についてであります。

 まず、病院事業会計予算についてです。

 県立中央病院では、希望者に対して看護師2交代勤務が行われています。2交代勤務は看護師の健康の悪化、ひいては離職につながりかねません。また、患者にとっては、安全・安心な看護の提供の面から有害であることを指摘します。
経営効率化による民間委託推進は、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされる恐れがあり、病院が自らやるべき業務や安全、衛生等についてチェックができず、県民サービスの低下が懸念されます。

 貧困と格差が広がる中で、県民誰もが安心して県立中央病院で入院ができるように、差額ベッド料金の廃止を含む料金の引き下げを検討すべきです。

 次に、企業局会計についてであります。

 島根県公営企業は、県内河川に多目的ダムを建設し、水力発電を開発し、上水道、工業用水道事業を行い、その工業用水によって工業団地を造成するなど、これらの事業の一連の実施を基本としています。

 この事業形態は、過大な需要予測によって多額投資に見合う需要が期待できず、損失負担が県民に転嫁される弊害が生まれています。

 使わない水まで住民負担になっている江の川水道事業、そして積算根拠・需要予測を誤った斐伊川水道事業において受水団体の資本費負担軽減を図るなどの財政措置を講じるべきです。

 以上の立場から、これら予算には賛同できません。

第30号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」


 次に、第30号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてです。

 本条例は、児童数及び生徒数の変動等に伴い、職員の定数を改正するものです。

 本県の小中学校において、教員の5%が講師です。県立高校・特別支援学校における講師比率は13%の状況です。本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やすべきであります。

 教員の多忙化を解消し、ゆきとどいた教育実現、教職員が「いじめ」に向き合う条件整備を強化するためにも、教員定数の削減には反対です。

第35号議案「島根県児童福祉法に基づく指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例」


 次に、第35号議案「島根県児童福祉法に基づく指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例」についてであります。

 本議案は、児童発達支援及び放課後等デイサービスについて、基準該当通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準を国の基準通りと定めるものであります。

 国が責任を持つべき社会保障について、ナショナルミニマムや標準を定めるとともに、自治体が独自に上乗せできる財源を保障し、自治体が「住民の福祉の増進」という責務を果たせるように支援策を講じるべきです。
 
 よって、本議案には賛成できません。

第39号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」


 最後に、第39号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」であります。
 
 本議案は、地方財政法の規定に基づき、県が行う農道保全対策事業について、市町村負担率を定めるものであります。

 県は、建設事業の市町村負担金について、十分な情報開示や市町村への説明責任を果たすことが必要です。そして、市町村負担のあり方を抜本的に見直すとともに、廃止を検討すべきです。農道施設の機能保全や、更新整備など災害や広域的な役割を果たす事業は、本来、県の責任と負担で行うべきものと考えます。

 よって、本議案には賛成できません。

 以上で討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画