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2013 年 6 月定例会 一問一答質問 (児童手当差し押さえは違法と断じた鳥取地裁判決について、行政による差し押さえの問題点について、原発・新規制基準について)

2013-06-14 この記事を印刷
▼○尾村利成議員▽ 日本共産党の尾村利成でございます。
 まず、児童手当差し押さえは違法と断じた鳥取地裁判決と、行政の差し押さえの問題点について伺います。
 3月29日、鳥取地方裁判所が、預金口座に振り込まれた児童手当13万円を差し押さえ、滞納していた県税に配当した鳥取県の処分は正義に反すると断罪をしました。この訴訟の経緯、判決概要を伺います。

▼○総務部長(楫野弘和)▽ 御質問の事案は、鳥取県東部総合事務所長が行った差し押さえ処分を違法としたものであり、滞納となっていた県税21万8,800円及び延滞金7万5,800円につきまして、平成20年6月11日に金融機関の預金13万73円を差し押さえ、滞納税額に充当したものであります。これに対し原告は、平成21年9月18日、鳥取地方裁判所に差し押さえ処分の取り消し等を求める訴えを提起いたしました。
 鳥取地方裁判所は、平成25年3月29日、差し押さえ処分及びこれに伴う配当処分を違法とし、処分の取り消しを命じる判決を下しました。判決理由は、預金債権の差し押さえが、児童手当の振り込みを認識し、その振り込みに合わせて実施したものであり、差し押さえ禁止債権である児童手当受給権の差し押さえがあったものと同様の効果を生ずると判断したものであります。この判決に対し、平成25年4月12日、鳥取県は、預金となったときには原則差し押さえが可能になると判事した最高裁判例を踏襲した判決ではないこと、及び事実誤認等を理由として控訴しております。

▼○尾村利成議員▽ 部長答弁のとおりであります。原告の男性は収入が激減をし、県税が滞納となっておりました。2008年、2カ月半にわたって残高が73円しかなかった預金口座に児童手当13万円が振り込まれた、その振り込まれた9分後に、鳥取県が預金全額の13万73円を押さえたわけであります。この児童手当は、滞納していた教材費や給食費に原告は充てる予定でありました。当時高校生だった長女は、約束していたお金が払えず、高校中退を余儀なくされました。将来のある子どもの人生を狂わせた無慈悲で許せない徴収であると私は思います。この地裁の判決を受け、県として徴収行政のあり方をどのように考えていますか。まず総務部長に、そして国民健康保険料などの社会保険料の問題がありますので、健康福祉部長にお尋ねします。

総務部長(楫野弘和) 税につきましては、納税者に信頼されるものであることが大原則であります。税の徴収が信頼されるためには、納税者に誰もが公平に負担しているとわかっていただくことが大切であり、そのため、しっかりとした徴収に努めることが大きな使命となっております。その上で、災害や家族の病気などによって支払いができないような場合には、個々の状況に応じて分割納付や徴収猶予等、納税の緩和制度を説明し活用してもらうなど、適切な対応が必要と考えております。

健康福祉部長(原仁史) 国民健康保険料などの社会保険料につきましてお答えします。
 これらの社会保険料につきましては、県税と同様、負担の公平性の確保という観点から、滞納に対しては厳正に対処することが基本であるというふうには思います。しかしながら、徴収に当たっては、滞納者に対して親身な相談、収納活動を心がけ、滞納世帯の実情を十分に把握し、滞納者が生活に困窮することのないように慎重かつ適切に対処することが大事だというふうに思います。

尾村利成議員 児童手当や年金は差し押さえ禁止財産であります。しかし、銀行口座に振り込まれた場合というのは一般財産と混在するということで差し押さえを認めた最高裁判例があって、この判例に基づいて差し押さえが横行してるという、そういう問題があります。しかし、鳥取地裁判決では、預金残高の中に差し押さえ禁止財産が特定できる場合の差し押さえ処分は違法であること、そしてその処分断行は、児童の健やかな成長に資するとした児童手当法の精神からの裁量の逸脱であり、違法と断定したわけであります。すなわち児童手当や年金などの差し押さえ禁止財産を狙い撃ちにした差し押さえは違法であるということを言ってるわけであります。
 この問題で1つ紹介しておきたいのは、この問題で国税庁の徴収部長は、国会で次のように答弁をしております。児童手当の振り込みを狙い撃ちに差し押さえて使用できなくなる状況にすることは差し控えるべきであると答弁してます。また、新藤総務大臣も、先ほど部長が言われたとおりですけども、滞納処分で生活を著しく困窮させる、窮迫させるおそれがあるときは執行停止を徹底すると答弁しています。この立場に立って、具体例を具体的に聞いていきたいと思います。
 県税の差し押さえの実態、また国民健康保険料の差し押さえの実態は、我が島根県内でどうなっていますか、それぞれお答えください。

総務部長(楫野弘和) 県税の平成23年度の差し押さえ件数は907件、滞納税額へ充当した金額は2,400万円余であります。907件の内訳といたしましては、債権642件、自動車228件を含む不動産等が232件、動産28件、電話加入権5件であります。

健康福祉部長(原仁史) 平成23年度の国民健康保険料の差し押さえの実態についてお答えします。
 差し押さえ件数が1,048件で、その滞納額は約2億4,000万円、うち差し押さえ額は約4,300万円となっております。差し押さえ額の主な内訳は、預貯金が626件で約3,000万円、給与が45件で約400万円、税の還付や保険料の払い戻しが111件で約500万円というふうになっております。

尾村利成議員 国民健康保険で国保の滞納の整理に当たって預貯金の差し押さえが行われてるわけです。今答弁があったとおりです。そのやり方として、年金など差し押さえ禁止財産を狙い撃ちにする滞納処分が実施されております。私はこの問題で相談を受けてます。その実態を御存じですか。健康福祉部長、認識を問います。

健康福祉部長(原仁史) 国民健康保険料の滞納整理における預貯金の差し押さえ件数や金額につきましては、先ほど申しましたように市町村からの報告によって把握しておりますが、差し押さえられた口座が年金などが振り込まれる口座であったのかどうかなど、その詳細につきましては現在把握しておりません。市町村は差し押さえに当たって、滞納者国保の経済状況を十分に把握した上で慎重に行っているものというふうには思いますけども、いずれにしましても、滞納者が生活に困窮するような差し押さえがあってはならないというふうに思ってるとこでございます。

尾村利成議員 部長、年金の支給日はいつですか。

健康福祉部長(原仁史) 申しわけございませんが、ちょっと手元にその資料を持ってませんので、また後ほど答えたいと思います。

尾村利成議員 年金の振込日は、部長まだもらわれてないからしょうがないですね。私ももらってませんけど。偶数月の15日なんです。だから、年金受給者は偶数月の15日、これが土日に当たったら前の日になります。本当にその年金の振込日を楽しみにしておられるわけです。きょうです。年金の支給日に年金をおろしに行ったら、預金全額が押さえられてましたっていう相談が、私のもとにたくさん寄せられています。税金や国保料の滞納者っていうのは、ほとんど預金の残高ないんです。10万円も20万円も30万円も残高がある人は払うわけです。ほとんど残高ないんです。だから、差し押さえするほうが、この日に年金が入るんだという年金の支給を、振り込みを見越して差し押さえている。はっきり言えば違法なんです、これは。これが実態なんです。明らかに年金を狙い撃ちにした差し押さえであります。国保料の未納者っていうのは、命綱である保険証を取り上げられた上に年金を押さえられるわけですから、生きる糧を奪われるわけであります。私は県として、保険者は市町村ではありますが、預貯金差し押さえの実態の調査、精査を行うべきだと思いますけども、どうでしょうか。

健康福祉部長(原仁史) 今後は預貯金差し押さえの実態につきまして、国民健康保険料の滞納整理における差し押さえ件数や金額に加えまして、差し押さえに至るまでの経緯や滞納者の経済状態も含め、市町村の実務担当者から直接状況を聴取したいというふうに思います。そして、その結果を踏まえまして、生活を著しく窮迫させるような機械的、強権的な差し押さえが行われないように、市町村に対し、引き続き指導、助言を行ってまいります。

尾村利成議員 前向きな答弁をいただいて、本当に私は感謝します。調査の中で調べてほしいのは、預貯金の差し押さえなんです。すなわち預貯金を差し押さえる際に預貯金に残高ないんです、滞納してる人は。だから、年金が入ったところを狙い撃ちにして押さえるわけです。私は、これは違法だ、鳥取地裁の判決でも違法だ、地裁判決は確定してないけども、しかし国会の答弁においても、これは問題だということを言ってるわけです。ですから、差し押さえ日を調べてもらわないといけないわけです。預貯金の差し押さえ日を、いつやったのか。すなわち年金の支給日に差し押さえたということになれば、これは明らかに狙ったわけです。ですから、先ほど1,048件の平成23年度差し押さえがあったと。その中には預貯金があった、または国税還付金もあった、給料もあったでしょう。その差し押さえ物件の中で、預貯金、これがいつだったのか。ここをしっかり調べていただきたい。このことをお願いしておきたいと思います。
 それから、総務部長、個人住民税というのは、これは市県民税なんです。これは市町村が課税徴収するものです。だけど県税も入ってるわけです。私は、この個人住民税においても差し押さえ禁止財産を狙い撃ちにしている実態の相談を、そういう実態があって相談を受けています。実態がどうなっているのか精査し改善策を講じていただきたい、このように思いますけども、どうでしょうか。

総務部長(楫野弘和) 個人住民税の滞納処分に当たりまして、市町村が預貯金を含む債権差し押さえを行っていることは承知いたしておりますが、差し押さえ債権の内訳等、その詳細までは承知いたしておりません。しかしながら、当然国税徴収法等の法令に従って必要な滞納整理を行ってるものと考えております。今後、市町村から滞納整理の状況を聞き取るなど差し押さえの実態を確認するとともに、鳥取県の控訴の状況を注視しつつ、徴収実務の研修会等において、引き続き徴収事務の根幹であります国税徴収法の実務を研修項目としてまいる考えでございます。

尾村利成議員 よろしくお願いしたいと思います。
 知事、少し憲法の問題でこの問題考えたいと思います。
 憲法25条は生存権、29条は財産権を保障しています。生存権を保障するためには、預金の中でも国民が生活資金として使用する預金というのは、人間が生存するために欠かせない財産権であります。課税庁は、国民が生活を著しく窮迫させるおそれがないように留意すべきであります。
 そこで、税とか社会保険料の徴収に当たって滞納者の生活実態、先ほど答弁ではしっかり把握するという答弁ありましたけども、しっかり把握して、納税緩和制度、徴収猶予または滞納処分の執行停止、こういうことを周知徹底していただきたい、このように思いますが、どうでしょうか。

知事(溝口善兵衛) 御指摘のように、滞納されてる方は中には病気でありますとか失業でありますとか、いろんなことでいっときに納税できない方々もおられるわけであります。そうした場合には、生活の実態などをよく話をお聞きをして相談に乗りながら、分割納付でありますとか徴収猶予でありますとか保険料の減免等の徴収緩和制度を、よく説明して活用してもらうなど、適切に税の担当者が対応する必要があるというふうに思います。先ほど両部長から話もありますが、今後とも会議や研修を通じまして、市町村の担当者による徴収の緩和制度の適切な運用を含めた実務能力の向上、そして執務の改善について、よく研修をしてまいりたいというふうに思います。

尾村利成議員 税制は、生活費非課税と応能負担、私はこれが原則であるべきだと思います。この点から庶民増税を改めるべきだと思います。そして、国民の所得をふやす、福祉を充実することこそが、苛酷な差し押さえを解消する最善の道であるということを思うわけであります。このことを強調して、次の質問に移ります。
 原発の問題であります。福島原発事故から2年3カ月がたちました。福島第一原発は、壊れた原子炉内から高濃度の放射性物質を含む汚染水が出続けています。管理を誤れば、大量の放射性物質が外部に出かねない状況にあります。そして、今もなお15万人が避難生活を余儀なくされています。福島は事故収束とほど遠い深刻な事態にあると思いますが、知事はどのように福島を見ておられますか。

知事(溝口善兵衛) 御指摘のように、福島第一原発におきましては発電所で汚染水がまだふえ続けておるわけであります。この処理対策も強化をしていかなければならないという状況にあります。それから、炉心の中にあります核燃料を取り出すことをしなきゃいけない、まだその準備作業の段階であります。そしてまた、住民の被曝線量低減に向けた周辺地域における除染作業も終わってないわけでありまして、これも続けなければならないという状況でありますので、そうした中で、依然多くの住民の方々が避難を余儀なくされておるわけであります。事故が収束したという状況にはないというふうに思っております。

尾村利成議員 事故は収束していないわけであります。こういう中で、今安倍内閣は原発の再稼働、そして原発輸出を進めようとしています。私は、福島第一原発の今の現状というのは原発推進路線の破綻を示していると思います。福島事故の教訓は、原発は過酷事故を起こせばコントロールできない、制御できないということを明らかにしたことだと考えます。事故の収束もできていない、そして被災者の生活再建もできていない、こういうもとで、私は原発再稼働とか原発を輸出するなどという政策というのは論外だと考えますが、知事はどのようにお考えですか。

知事(溝口善兵衛) 福島原発で起こったことを可能な限り教訓とし、実態の把握をし、そのためにどういう対応が必要なのかということをやり、そういう作業を行いながら、この日本全体としてエネルギーを将来にわたってどのように確保していくのか、その中で原発をどのように位置づけていくのか、それは政府の仕事であります。エネルギーをどう確保するかということは、経済活動あるいは国民の生活に大きく影響するわけでございます。その作業をした上で、国民に政府は原発の再稼働についてどういうふうに問いかけられるのか、その作業はまだ終わってない段階でございます。
 それから、この原発の事故を踏まえて規制委員会が新たに設けられ、ずっと検討されております。大きな地震動を想定して安全基準をさらに強化をするとか、あるいは津波などによる対応が十分でなかったわけでございまして、そういうものに対する安全基準を強化する、いろんなことをやっておられて、その安全基準を満たすかどうかっていうことをまず規制委員会のほうでチェックをされ、その上で再稼働をどうするかという問題になってくるわけでございまして、まだその途上にあるというふうに考えております。

尾村利成議員 民主党政権のときだったですけど、収束宣言、国がやったんです。収束宣言。原発の。私は、今国は収束宣言をまず撤回することが第一にやることだと思います。そして、収束と廃炉、除染と賠償を、みんなの英知を総結集してやり抜くことが必要だと思います。そして、今もなお避難を強いられている15万人、福島県民の生活と健康に全面的に責任を持つ、私はこれが今国がやるべき本当のことだと思うわけであります。
 原子力規制委員会は、過酷事故を前提とした新規制基準を7月から施行し、再稼働の審査を開始しようとしています。県は新規制基準、案ですが、どう評価していますか。防災部長に伺います。

防災部長(大國羊一) 今御紹介になられました新規制基準、まだ案の段階でございますが、この規制基準の作成に当たりましては、まずは公開の場で専門家のヒアリングをするとか、あるいは2回にわたってパブリックコメントをとるというような、非常に透明性の高いプロセスを通じて作成をされてるとこでございます。
 先ほど知事も申しましたように、福島第一原発事故の教訓を反映したというか、それを踏まえたものとして新規制基準っていうのはつくられなきゃならないわけですけれども、各種、例えば政府事故調ですとか、あるいは国会事故調ですとか、そういう各事故調査委員会の指摘などを踏まえて作成をされておる、あるいは内容といたしましては、地震、津波に対する設計基準を強化するという内容が盛り込まれておったり、シビアアクシデント対策を新たに設けて、そういうことを義務づけをするというような内容になっております。さらには、今後、新しい知見が出てまいるが、それを既存の原発にもさかのぼって適用するという、いわゆるバックフィットと言われておりますけれども、そういう制度も導入するというようなことが行われておりまして、現時点では盛り込めるべきものについては盛り込まれておるというふうに見ております。
 一方、事業者に対しましては、この新規制基準は最低限の基準を示したものであって、常に規制以上の安全レベルの達成を目指すことが求められておりますし、また原子力規制委員会自身も、個々、具体の原発の審査を通じて、この新規制基準の実効性を高めていくというふうに言っていらっしゃいます。こうしたことから、私どもといたしましては、原子力規制委員会の今後の具体の審査状況等についても注視をしてまいりたいというふうに思っております。以上です。

尾村利成議員 防災部長、ちょっと、じゃあ私細かいこと言うかもしれませんが、今大きなことを答弁されたんで。私は、新基準というのは小手先で曖昧なものだと言わざるを得ないわけです。例えば、これはさきの議会でも言いましたが、原発の真下に活断層が走っていても、断層が地表にあらわれていなければその上に原発の設置を認めるという、そういう骨抜きのものに、まずなってる。それから、各原発の地震、津波想定に関する具体的な数値制限は示されず、電力会社の裁量で甘い想定にできる、こういう批判もあるわけです。具体なことを言って申しわけないですが。で、パブコメ、これやったわけです。パブコメの中でも、意見公募の中でも多くの批判が国民から湧き上がってるんです。その内容を御存じでしょうか。

防災部長(大國羊一) 先ほど申しましたように、パブコメは2回にわたって行われております。まず最初に、新規制基準自体の考え方っていうことが骨子案として示されておりまして、それについて2月に行っておりますし、その骨子案を、具体の条文っていいますか、そういうものに落としたものについてのパブコメっていうのが、この4月から一月間かけて行われております。
 それぞれに寄せられました件数ですが、最初のものに対しては4,379件、2回目の先般行われましたものについては2,112件のコメントが寄せられております。最近のものについてはまだ整理ができておりませんので具体に分けてお答えができませんが、最初に行われました4,000件余のものにつきましては、規制委員会の区分によりますと、いわゆる津波とか地震に対しての意見として1,541件、それから設計の基準ですとか、あるいはシビアアクシデントについて2,838件というような分類がされております。
 その津波あるいは地震に対してのパブリックコメントの中で、いわゆる規制基準に対して異を唱えておるものということで申し上げますと、例えば活断層の認定っていうのは、規制基準は十二、三万年前にさかのぼって調べろと言っておりますが、そうじゃなくて、一律40年前までさかのぼってやるべきじゃないかというような御意見、あるいは原発建物の真下に活断層がある場合だけじゃなくて、近傍に活断層がある場合によっても全ての原発の活動を禁止すべきじゃないかとか、そういうような意見も寄せられておるということは承知しております。

尾村利成議員 私は、この新基準の最大の問題はどこにあるのか。これは、福島原発事故の事故原因がわからず、事故の検証が、検証を踏まえたものじゃ、これないわけです。私はここが最大の問題だと思います。知事に伺いたいのは、福島の事故原因の究明なしに安全な基準などつくることはできない、私はこのように考えますが、知事はどうお考えでしょうか。

知事(溝口善兵衛) それは定義としてはそういう定義も可能かと思いますけども、原発の事故がどういうふうに起こったかということはいろんなデータでわかるわけでありまして、詰め切れないところは、それは現場をずうっと長く調査したわけじゃないですから、まだそういう状況じゃありませんから。したがって、そこは地震等の想定とか、あるいは活断層についての想定とかを厳しくするということで対応しておるというのが現状だろうと思います。それは、そういう事態がしばらく続くっていうことは、やむを得ないわけであります。それは可能な限りやると。その後さらに出てくれば、それはさらに新基準に追加をしてくっていうことになりますけども。
 そういう中で、日本全体のエネルギーの確保をどういうふうにしたら、国民全体あるいは国の経済活動にとって必要なのか、いいことなのかどうなのか。そういうことをやはり政府が国のエネルギー政策としてしっかりした案を出して、それについて国民の御意見を聞いて、その上でどうするかということにならざるを得ないだろうというふうに思います。議員のような考え方もあると思います。全てが解明されないと一切だめだっていう意見も当然あると思いますけども、そこはほかのものとの兼ね合いでもあるわけでございます。こういう政策の選択っていうのは常にある普遍的な問題だろうと思いますが、政府におかれては、ああいった当初予想もしないような事故になったわけでありますから、慎重に慎重をきわめた上で安全基準をおつくりになる。そういうことについて、専門家でありますとか、あるいはいろいろ御意見お持ちの方々が、そういうことでいいのかどうかっていうチェックをする、そういうプロセスを経ながら進まざるを得ないんだろうというふうに思います。

尾村利成議員 知事、これは、この新基準づくりというのは、これは再稼働を急ぐためのスケジュールに合わせたものだったんです。それは御存じでしょう。原子力規制委員会設置法によれば、規制委員の発足から10カ月が規制基準施行の期限なんです。だから7月18日までにつくらなきゃならないという、これが期限なんです。だから、どういうことを原子力規制調言ってるかといったら、これはずさんじゃないかという、そういう国民からのパブコメで批判があれば、または委員会の中の委員からの批判があれば、時間が足りなかったと、こう弁明してるわけです。私は、これはとんでもないことだと思います。
 新基準っていうのは、見てみると、敷地外への放射性物質の拡散を抑制する設備、手順等を整備すると規定してるわけです。これ、どういうことかといえば、過酷事故の発生とか住民が被曝することっていうことを、こういう住民被曝という原発事故の発生を前提にした基準なんです、これ。こんなものが世界最高水準の基準なわけが私はないと思います。再稼働判断の基準など、こういう基準は新基準に私ならないと思いますけど、どうでしょうか。

知事(溝口善兵衛) 私は、それは尾村議員のおっしゃるような考え方もあり得ると思います。しかし、科学的な知見、人間の能力にも限界があるわけでございます。そういうものはほかにもいろいろあるわけで、いろんな政策とるときにその効果がどうであるのか、メリット、デメリット、いろんなことがあるわけでございます。それは、やはり国民の間で見解の違いっていうのはあると思います。そういう問題につきましては、できる限りそういう科学的な分析をし、それを踏まえて国民がどういうふうに選択をされるのか、あるいは選択した結果、国民生活あるいは経済活動にどういう影響が出るのか、そういうことを考えながら、国としての決定でありますから、そういうプロセスを通してやっていくっていうことが、やっていく以外に、こうだということをなかなか決めるっていうのは難しい問題だというふうに思います。

尾村利成議員 時間が来ましたんで、じゃあ私は私の考えを申し述べて終わります。
 安倍政権は、当初、世界最高水準の安全基準をつくると言ってました。しかし、首相自身、原発に絶対安全はないと認めざるを得なくなりました。原子力規制委員会も、当初安全基準という言葉を言ってましたが、規制基準と言い変えました。世界最高水準の安全基準をつくるという方針は、完全に破綻しています。だったら、再稼働、この方針は撤回すべきだと思います。事故原因もわからない、収束もできていない、安全基準もできていない、そういう政府に、私は再稼働など許されないと思います。再稼働と原発輸出を中止し、原発ゼロの政治決断をし、再生可能エネルギーへの大転換を進めることを強く主張して、質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画