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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2013 年 6 月定例会 知事提出議案、議員提出議案、請願に対する討論

2013-06-26 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 日本共産党県議団を代表して、条例案2件、議員提出議案1件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。

ーー第68号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付金に関する条例の一部を改正する条例」

 まず、第68号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付金に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

 本条例は、病床転換助成事業が平成24年度末から平成29年度末まで、5年間延長されることに伴う条例改正であります。

 病床転換助成事業は、療養病床の転換をすすめるため、医療機関が療養病床から介護保険施設等へ転換する場合に、その整備費用を国、都道府県、市町村で助成する事業であります。

 療養病床は、主として長期にわたり療養を必要とする患者のための病床群です。療養病床削減は、行き場のない医療難民、介護難民を生みだし、患者と家族に多大な苦しみを負わせることになります。

 今、求められているのは、療養病床転換・廃止政策をきっぱり中止すること、そして、医療、介護の基盤整備を充実することです。

 病床転換助成事業の延長は、療養病床の転換を誘導する火種を残すものです。

 よって、本条例には反対であります。
 
ーー第75号議案「職員の給料の臨時特例に関する条例」

 次に、第75号議案「職員の給料の臨時特例に関する条例」についてです。

 本条例による県職員給与の引き下げは、以下六点の理由から反対であります。

 まず、第一に、地方公務員給与は、公平・中立な人事委員会勧告を踏まえつつ、地方が自主的に決定すべきものであり、国が関与すべき問題ではありません。国家公務員給与を一方的に削減しながら、そのことを理由に不均衡是正を求めることはあってはならず、人事委員会を無視する行為であります。

 第二に、給与削減理由に、防災・減災事業や地域経済活性化の取り組みの必要性を挙げ、国が圧力をかけることは、論外です。防災・減災事業や地域活性化は重要なことです。しかし、それは全体の予算の中で計画的に行われるべきことであり、そのための人件費削減は、許されません。

 第三に、地方交付税法第3条では「国は、交付税の交付にあたっては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」と規定しており、法の趣旨を真っ向から踏みにじるものです。また、地方自治法第1条では「国は、地方公共団体の自主性及び自立性が十分発揮されるようにしなければならない」と規定しており、今回の国の介入は、二重三重の違法行為と言わざるを得ません。

 第四に、県職員給与は、公務員労働者の生活だけでなく、年金、恩給、最低賃金、生活保護費の基礎ともなり、その引き下げは、広く県民生活に悪影響を与えるものであります。

 第五に、県職員給与の引き下げは、県内の消費購買力の低下につながり、地域経済の建て直しにマイナス影響を及ぼすものであります。また、その引き下げは、民間賃金にも波及し、賃下げの悪循環を招くものであります。

 第六に、この間の相次ぐ職員定員削減で職員の業務量は増大し、職員の労働条件は悪化の一途です。県職員給与の引き下げは、職員の士気の低下や組織の活性化、行政能力の低下につながりかねません。このことは、ひいては県民サービス低下につながる恐れがあります。

 県においては、行財政改革の名の下に、正規職員を1500人も削減する一方で、非常勤嘱託職員をはじめとする非正規職員が増加しています。

 知事は、県職員、非正規職員の給与や待遇の改善につとめ、一人ひとりの職員が希望と誇りを持って働ける環境をつくることに力を尽くすべきであります。



ーー議員提出第5号議案「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉に関する意見書」

 次に、議員提出第5号議案「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉に関する意見書」についてです。


 本意見書は、国において、本年7月から参加が見込まれているTPP交渉に際し、「農産品等について関税撤廃の例外措置を確保すること」などを求めるものであり、交渉参加を前提としています。

 「守るべきものを守れない」のがTPPであり、わが党はTPP交渉参加の即時撤回を強く求めるものです。

 安倍首相は、3月の交渉参加表明に続き、4月12日のアメリカとの事前協議「合意」を経て、4月下旬には交渉参加11カ国すべての同意をとりつけるなど、交渉参加への道を突き進んでいます。

 首相は、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃でない」ことが確認されたと言いますが、アメリカ政府は「聖域」はないと再三言明しており、まったくのゴマカシです。

 アメリカとの事前協議では、コメ、乳製品、砂糖など重要農産物の関税確保について、全く保証がないことが明瞭になりました。

 他方、日本の交渉参加の条件とされた「入場料」において、牛肉、自動車、保険の3分野でもアメリカの要求を丸のみする結果となりました。

 米国産牛肉のBSE輸入規制は、国民の強い懸念を無視して緩和し、さらに緩めようとしています。米保険会社の営業利益に配慮したかんぽ生命の新規商品の販売中止や、米国車の簡易輸入手続き台数の大幅増なども日本側から一方的に持ち出した形にして認めてしまいました。

 さらに、TPP交渉と並行して、自動車、保険、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、衛生植物検疫などの非関税措置について日米2国間協議を行い、TPP交渉の妥結までにまとめることを約束させられました。

 アメリカに続き、日本の交渉参加に同意したオーストラリアやニュージーランドも、全品目の「高い自由化の実現」こそ参加の条件として念押しをしています。

 今後、TPP交渉への本格的な参加、そして、交渉の妥結までに至る様々な段階で次々に新たな譲歩が迫られ、国民の利益と相容れない事態がさらに広がることになります。

 TPP参加は、経済主権も食料主権も放棄し、日本社会が後戻りのできない「亡国」への道を進むことになるのは明らかです。

 農林漁業を守り、国民皆保険制度を守り、日本の「国益」を守るというのであれば、TPP交渉から撤退する以外にありません。

 TPP交渉参加をただちに撤回することを求めるものであります。


ーー請願第19号「青少年健全育成基本法の制定を求める意見書提出に関する請願」

 次に、請願第19号「青少年健全育成基本法の制定を求める意見書提出に関する請願」についてです。

 本請願は、「健全な青少年は健全な家庭から育成される」とし、「家庭の価値」を基本理念に据えた青少年健全育成基本法の制定を求めています。

 日本社会の直面している危機には政治的危機、経済的危機だけでなく、道義的危機というべき深刻な問題があります。この間、重大な少年犯罪があいつぎ、いじめ、児童虐待などに対して、多くの国民が不安を持ち、青少年の健全育成を心から願っています。

 今日の道義的危機の根本には、国民の生活、労働、教育などにおけるゆがみや矛盾、困難の蓄積があり、それらは今日の政治と深く結びついています。

 雇用破壊や長時間過密労働は、家族のだんらんやコミュニケーションを破壊しました。競争原理が労働や社会の各分野に浸透し、人間的な連帯が弱まり、弱い立場の人々を攻撃する風潮が強まりました。弱肉強食の社会を正当化するため、競争に負けるほうが悪いという自己責任論の考え方も広がっています。

 また、若者の深刻な雇用危機は、青年の社会参加の権利を奪い、就職・結婚・子育てなど、将来の希望を閉ざす重大な問題になっています。

 今日の家庭状況を見たとき、貧困と格差の広がりが子どもの生活基盤である家庭を直撃しています。貧困ライン以下の家庭で暮らす子どもの割合は15%にのぼっています。親たちの余裕がなくなり、家庭の機能が弱まっていることは、子どもにとってつらいことです。また、親たちは、競争的な教育や子育ての自己責任論の風潮の中で子育てへの不安をつのらせています。

 青少年の健全育成は、上からの管理、規制を強めるという立場ではなく、社会の諸問題に目を向け、その解決方向を国民的な対話と運動で探求すべきと考えます。

 以上の立場から、本請願には賛同できないのであります。


ーー請願第23号「年金2.5%削減中止を求める意見書提出の請願」

 最後に、請願第23号「年金2.5%削減中止を求める意見書提出の請願」についてです。

 本請願は、国に公的年金の「特例水準解消2.5%削減」の中止を求める意見書提出を求めるものです。

 昨年11月16日、解散直前の臨時国会で十分な審議をしないまま、自民、公明、民主の3党合意に基づき、年金の2.5%削減法が成立しました。

 高齢者、障がい者の年金を今年10月から3年連続でカットする年金削減法は、国民のくらしを苦境に追い込む、血も涙もないものです。

 低年金者の年金を減らせば、消費はますます冷え込み、地域経済に大きな影響を及ぼします。

 年金2.5%削減は、将来にわたり、年金削減の流れに道を開くものになり、若者を中心にいっそう年金離れを加速するものであり、公的年金制度への信頼をさらに低下させるものです。

 よって、本請願を採択し、年金2.5%削減の中止を国に求めるべきです。

 以上で討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画