日本共産党の萬代弘美です。
日本共産党県議団を代表して、一般会計及び特別会計、病院事業会計、公営企業会計の6件の決算認定について、認定とした委員長報告に対し、反対の討論を行います。
予算並びに決算は、政治の顔、政治の鏡であると言われています。
議会における決算確定は、次年度の予算編成に資するため、広範な角度から住民の立場で行政評価を検証するものです。この立場から、討論を行います。
平成24年度一般会計及び特別会計の認定について
まず、認定第2号議案「平成24年度一般会計及び特別会計の決算認定について」です。
財政分析指標を見ると、公債費負担比率は29.5%で、前年度に比べ、0.3ポイント減少し、実質公債費比率は14.6%で、前年度に比べ、1.4ポイント減少したものの、依然として高い状況が続いています。
地方債現在高は、9,942億円余であり、前年度に比べ、2億6千万円余減少しましたが、未だ厳しい財政実態です。
県財政悪化の原因は、この間の身の丈を超えた公共投資にありました。財政再建にあたって大切なことは、不要不急の事業にメスを入れ、県民所得を向上させる適切なる施策を講じることです。
国が消費税の増税や社会保障の切り捨てなど住民のくらしを脅かす政治を押し付けてきたら、それに立ちはだかって住民のくらしと福祉を守る防波堤の役割を県政は果たすべきです。
今日、貧困と格差が拡大し、国保や介護など社会保険料未納者が社会保障制度から排除され、くらしと命が脅かされている現状にあります。この事態を解決することは、県政の喫緊の課題です。県民の願いは、医療、福祉、教育の充実です。
この点を鑑みた時、決算は不認定とせざるを得えません。
各論
各論的に10点申し上げます。
第1に、財政健全化基本方針に基づき、行政の効率化・スリム化の名のもとに、職員定員削減計画の上乗せ、手当の見直しなど総人件費抑制策が進められました。
このことは、職員の士気や組織の活性化の低下につながり、ひいては、県民サービスの低下に連動しかねません。正規職員をはじめ、臨時、嘱託職員の労働条件改善を求めます。
第2に、事務事業の見直しによる一般施策経費の削減は、市町村への負担転嫁とともに、県民サービスの低下につながりました。住民に身近なサービスを提供する市町村への支援策を充実するべきです。
第3に、県税や社会保険料を滞納した低所得者に対する無慈悲な差し押さえが実行されています。平成24年度の個人住民税の差し押さえ件数は1,894件、国民健康保険料の差し押さえ件数は1,026件にも及んでいます。生活に困窮した県民への生活再建支援に力を注ぐべきです。
第4に、所得が減少し、憲法25条が保障する生存権が危ぶまれるもと、民生費、衛生費などの社会保障予算が貧困です。
平成24年度、後期高齢者医療制度における短期証の発行数は317人に及び、国民健康保険の滞納世帯は9,524世帯に及び、その制裁措置として命綱である保険証を取り上げられた世帯は、約800世帯に達しています。
平成24年度末の介護保険料未納者数は3,571人にのぼり、前年度末より720人も増加しています。また、福祉医療費の1割負担は、障がい者など受給者に耐えがたい痛みを押し付けています。
県として、市町村の国保会計に法定外独自支出金を拠出し、また、介護保険の負担軽減措置を講じるべきです。福祉医療においては、負担軽減方針が示されましたが、さらなる負担軽減を求めます。
第5に、都市計画道路・城山北公園線拡幅事業のように、事業目的が破綻した事業は見直すべきです。また、県が行う建設事業に対して、市町村へ過大な負担を求めるべきではありません。
第6に、島根農業の再生、持続可能な農業経営の実現、耕作放棄地の解消に向け、価格保障と生産コストをカバーする施策を充実するべきです。県として、農林水産業を土台から破壊し、食の安全、医療、雇用などのルールを壊すTPP交渉参加撤退の意思を表明するべきです。
第7に、企業誘致偏重から、地域に根を張って頑張る中小企業、地場産業育成に商工予算の柱をシフトすべきです。地域に根ざした中小企業、地場産業、農林漁業を総合的に支援してこそ、安定した雇用と仕事をつくり出すことができます。内発型・循環型の地域振興策の推進を求めます。
第8に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては、同和教育をすべての教育の基底に据え、同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。
また、民間の同和団体に対する突出した補助金の支出が逆に不公正を生み出しています。同和教育は終結し、同和団体への補助金は、他の補助金交付団体との公平性を図るべきです。同和対策事業の法的根拠が消滅した以上、県の組織や事業名称に同和という表現や特別な扱いはやめるべきです。
第9に、教育においては、競争教育を是正し、子どもたちが連帯して助け合いながら、自分たちの人間性と知的能力をともに伸ばす方向をめざすべきです。学力テストは中止すべきです。
また、本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やし、臨時教職員の待遇改善を求めます。
最後に、県民の命と安全を守ることこそ、県政の最大の使命です。原発事故のリスクはあまりにも巨大です。原発に絶対安全はありません。県として、原発からの撤退を決断し、自然エネルギーの普及と促進に向け、知恵と力を注ぐべきです。
平成24年度島根県病院事業会計決算の認定について
次に、認定第1号議案「平成24年度島根県病院事業会計決算の認定について」です。
経営効率化による民間委託推進は、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされ、病院が自らやるべき業務や安全、衛生等についてのチェックが弱まり、県民サービスの低下が懸念されます。
県立中央病院では、希望者に対して看護師2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとって、安全・安心な看護の提供の面から有害であることを指摘します。
また、差額ベッド料徴収などの保険外負担の選定療養費徴収の廃止を含め、患者負担軽減策を講じるよう求めます。
平成24年度島根県公営企業会計決算について
最後に、第114号議案、第115号議案、第116号議案、第117号議案の電気事業、工業用水道事業、水道事業、宅地造成事業の公営企業会計決算についてです。
島根県公営企業は、県内河川に多目的ダムを建設し、水力発電を開発し、上水道、工業用水道事業を行い、その工業用水によって工業団地を造成するなど、これらの事業の一連の実施を基本としています。
この事業形態は、県民の立場から弊害が生まれています。
それは、第1に、公共投資と河川総合開発が大企業や誘致企業の電気、工業用水確保を主軸とした事業であるため、上水道、農業用水利などの民生が後景に追いやられていることです。
第2に、過大な需要予測により、多額な投資に見合う需要が期待できず、損失負担が県民に転嫁されています。
斐伊川水道建設事業の事業目的は、人口増加による水需要の増加にありました。しかし、尾原ダムの水使用率は6割しかなく、4割の水は使われていません。その使わない水までも住民負担となっており、高い水道料に住民が苦しんでいます。平成24年度の松江市における給水停止実施件数は、927件にものぼっています。
事業主体として、水需要予測を見誤った責任を認め、受水団体の資本費負担軽減を図るなど料金軽減策を講じるべきです。
最後に、わが党は、今回の決算審査にあたり、全体会、分科会におきまして、100項目を超す質疑、資料提供を求めました。
これらの点ですべての執行部の皆さんから誠意あるご回答と資料のご提供を頂きました。心からの感謝を申し上げます。
以上で、決算認定についての討論を終わります。