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議会の取り組み

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2014 年 2 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、島根県エネルギー自立地域推進基本条例について、TPP ・農政改革について、商工行政、商工会議所への指導について、無慈悲な差し押さえ中止について、看護師確保・勤務環境改善について、介護保険について、教育問題について)

2014-02-20 この記事を印刷

 日本共産党の尾村利成でございます。
 質問の第一は、知事の政治姿勢についてです。

1.知事の政治姿勢について
(1)原発問題ついて

 まず、原発問題について伺います。
 福島原発事故から3年を迎えようとしています。福島では、今なお14万人が先の見えない避難生活を強いられ、事故は収束するどころか、放射能汚染水が制御できない非常事態が続いています。事故から3年経過した今日においても、事故が収束せず、生活再建が果たせない福島の現状を知事はどう見ていますか、福島事故の教訓をいかに総括し、島根の県政に生かす決意ですか、所見を伺います。
 どの世論調査でも、原発は「今すぐ廃止」「将来は廃止」の声が7~8割に上っています。国民の願いは、危険な原発とは共存できないということにあります。
 しかしながら、安倍政権は、原発を「基盤となる重要なベース電源」として、将来にわたって維持・推進し、「再稼働をすすめる」とした「エネルギー基本計画案」を発表しました。この計画は、今なお原発被害に苦しむ福島の人々への重大な背信であり、「原発ゼロの日本」を願う国民多数の民意への挑戦にほかならないではありませんか。知事の所見を伺います。
 原発はひとたび重大事故を起こし、放射能が外部に流出する事態になれば、人類はそれを制御する手段を持ち得ていません。使用済み核燃料の処理方法も確立しておらず、技術的に未完成な原発の再稼働など論外であります。知事の所見を伺います。
 中国電力は、県民の願いに逆らって、原子力規制委員会に適合性確認審査申請を提出しました。私は2月4日、原子力規制委員会に出向き、原発再稼働に向けた確認審査の中止、規制委員会は福島原発の汚染水問題解決にこそ人的・物的資源を投入すること、そして、島根原発を含め全国の原発の再稼働に向けた活動の中止を強く求めたところであります。
 新規制基準には、汚染水対策や避難計画などが審査基準に盛り込まれていません。全く不十分で、安全を担保する基準とは言えないではありませんか。新基準の問題点、課題はどこにあると考えていますか。知事に伺います。

(2)島根県エネルギー自立地域推進基本条例について

 次に、島根県エネルギー自立地域推進基本条例についてです。
 今議会には、住民の直接請求議案として、エネルギー基本条例が提案されました。議案上程にあたって、知事は本条例に対する「知事としての意見」を述べました。
 「知事意見」では、条例に対する否定的な意見のオンパレードであり、再生可能エネルギー普及を願う県民の意思を尊重する姿勢が全く伺えないものでありました。
 署名の集約に際し、住民からは「こういう署名を待ちに待っていました」「地産地消のエネルギーこそ大切です」と異口同音に語られ、署名を断る人はほとんどおられなかったとのことであります。
 県政の主人公である県民から、短期間に約8万3千筆もの熱い願いが県政、県議会に寄せられ託されました。この県民の願意を知事は重く受け止めるべきであります。所見を伺います。
 原発推進派は、再生可能エネルギーは「供給が不安定」「高コスト」と言います。しかしながら、再生可能エネルギーは、普及が進めば進むほど、また多様なエネルギーの組み合わせが進むほど、供給が安定し、コストは低くなります。
 一方、原発は、福島事故に見られるように事故処理、除染、復旧・復興などの収束費用や賠償費用が莫大であります。そして、使用済み燃料の再処理費用、廃炉及び放射性廃棄物の最終処分費用などのバックエンド費用が不確実であり、その上、避難計画作成や防災対策費用などを加えれば、原発こそ究極の「高コスト」ではありませんか。所見を伺います。
 条例では、「省エネルギーと再生可能エネルギーの積極的な導入と普及に取り組み、新たな産業と雇用を創出させ、豊かな自立した地域社会を形成する」との理念を謳っています。エネルギー自立地域形成の取り組みは、産業振興、雇用確保、地域再生の確かな道であり、島根再生の切り札となることを私は確信するものであります。知事の所見を伺います。
 福島県では「原発ゼロ」を決断し、その実現を国に求めています。福島では、県議会においてすべての会派が「原発ゼロ」を宣言しました。そして、県は「福島復興ビジョン」において「今回の原子力災害で最も深刻な被害を受けた福島の地においては、原子力に依存しない社会をめざす。そして、再生可能エネルギーの飛躍的な推進をはかる」と宣言したのであります。
 島根県も、原発推進という、民意に背く国の間違った政治に立ち向い、県民の命を守るために、国に対して原発ゼロを主張するべきであります。
 国待ち、国依存の姿勢を改め、島根から安全、安心の自立エネルギー推進政策を発信し、日本一の再生可能エネルギー推進県をめざすべきではありませんか。知事の所見を伺います。

(3)TPP・農政改革について
 
 次に、TPP・農政改革についてです。
 TPP交渉は、2月22日から閣僚会議が開催され、緊迫した事態となっています。交渉を主導するアメリカのオバマ政権は、農産物輸出に拍車をかけています。 
 1月9日、アメリカ議会に政府に貿易交渉権限を与える大統領貿易促進権限法案が提出されました。法案では、農業分野について「相当に高い関税、あるいは補助金体制のもとにおかれている農産物の市場開放に優先順位を置く」とし、相手国の関税は「アメリカの関税と同等か、それを下回る水準に引き下げる」と明記しています。
 これによれば、日本の関税率はコメで1キロ341円から約1円に引き下げられます。「アメリカの関税と同等か、それ以下の水準」となれば、事実上、ゼロということになるではありませんか。
 農家1戸あたりの耕地面積が日本の100倍近い米国との「同等」な競争などそもそも成り立ちません。
 TPPは、「例外なき関税撤廃」を原則とし、米国をはじめとした農産物輸出国の利益確保がねらいであることは明白です。日本農業に壊滅的打撃を与えるTPP交渉から撤退する以外、日本農業、島根農業を守る道はあり得ません。所見を伺います。
 次に、農政改革についてです。
 政府が決定した生産調整廃止や米の直接支払交付金廃止、農地中間管理機構創設による大規模経営への農地集積化などの米政策転換方針は、国民の主食である米の需給や価格安定に対する国の責任を全面放棄するものです。
 この方針は、規制改革会議や産業競争力会議など農業とは無関係の財界の意向に沿ったものであり、TPP参加による関税撤廃、農産物輸入のいっそうの自由化を見越したもので、圧倒的多数の農家や地域農業をいっそう困難に陥れるものです。
 農家からは、「猫の目農政に振り回されるのは、もうごめんです。今回の改革は、米を作るのは自由、しかし、過剰になって米価が暴落しても、政府は一切関わらないという無責任な路線ではありませんか」、「生産調整廃止による米価暴落の上、補助金の廃止によって小規模農家、中山間地域のみならず、大規模経営も窮地に追い込まれ、日本の稲作・水田農業の総崩れを招くのは必至です」などの声が寄せられています。
 また、大規模農家からも、「経営所得安定対策が半減されれば、50ヘクタールの経営でも経常利益は赤字になります。今回の改革方向では、大規模経営が真っ先に農地中間管理機構に農地を預けることになりかねません」との不安の声が寄せられています。
 農業再生のあるべき改革方向は、一つに、TPP参加をやめ、農産物の野放図な輸入をコントロールすること、二つに、生産費を償う価格保障と所得補償を組み合わせた経営所得安定対策を確立すること、三つに、家族経営、集落営農、大規模経営など多様な担い手の確保を国、自治体、団体が挙げて取り組むことにあるのではないでしょうか。知事の所見を伺います。

2.商工行政、商工会議所への指導について

 次に、商工行政、商工会議所への指導についてです。
 鳥取県米子市でスポーツカフェ・米子だんだんスタジアムが、平成23年4月、松江市寺町に出店し、松江だんだんスタジアムを開業しました。松江だんだんスタジアムは、松江商工会議所や商店会などから「若者が集い、若者の賑わいを創出する施設」をつくりたいとの熱烈なオファーを受け、松江商工会議所のインキュベーション施設に入居したのであります。
 しかし、松江だんだんスタジアムは昨年8月、風評被害や出店にかかわった関係者の不誠実、不条理な対応によって閉店に追い込まれました。
 私は、松江だんだんスタジアムをはじめ、その関係者から事の経緯、事情をお聞きしてきました。以下、聴取した概要を申し上げます。
 一つに、驚くことに、このインキュベーション施設は、又貸しという異常な契約となっていました。二つに、家賃は設定額13万5千円の実に4倍近い55万円の家賃となっていました。三つに、松江だんだんスタジアムの真向かいに同業種・同形態のスポーツカフェ・スサノオカフェが進出しましたが、このことは松江だんだんスタジアムに秘密裏にすすめられていたのです。インキュベーション施設利用に関し、インキュベーターである商工会議所の管理・説明責任が不十分であったと言わざるを得ません。
 松江の活性化のために、米子から出店を決意した、だんだんスタジアムに対し、私は一人の県議として、この度の事態を本当に申し訳なく思うのであります。
 松江商工会議所をはじめ、商店会など本件にかかわった関係者がこの問題を真剣に総括し、最後まで問題解決に向けて、真摯なる対応を取ることを求めるものであります。
 県は、商工会議所に経営支援事業費補助を行っています。会議所への適切なる指導と助言を求めます。所見を伺います。
 松江商工会議所の組織率は28%です。県全体での商工会議所、商工会の組織率は約50%という状況です。すなわち、県全体では、半数の業者が会議所や商工会に組織されていません。この現状を見た時、商工行政を会議所・商工会に丸投げするのではなく、県として市町村と連携して、地元中小業者、地場産業の保護、育成策に力を入れるべきであります。所見を伺います。
 商工会議所、商工会が中小業者の営業と経営を守るセンターとして、一層のご尽力をいただくことを願って、次の質問に移ります。

3.無慈悲な差し押さえ中止ついて

 次に、無慈悲な差し押さえ中止についてです。
 「差し押さえ禁止財産である児童手当を差し押さえ、滞納県税に充当した処分は違法」との広島高裁松江支部判決が確定しました。
 鳥取県知事は昨年の12月県議会で、「従来の課税実務に問題があったことを真摯に受け止め、適正化を図りたい。納税者にご不便をおかけした点は、お詫びを申し上げたい」と本会議で謝罪しました。その上で、鳥取県は、滞納整理マニュアルの見直しと実態調査の実施を明言しました。
 滞納整理マニュアル見直し内容は、「差し押さえた後、納税者側の申し出によって、差し押さえたものが差し押さえ禁止財産であると特定が可能な場合や確認できた場合は、差し押さえを解除あるいは取り消す」などとしています。すなわち、差し押さえ禁止財産を狙い撃ちにした差し押さえは、やらないとしているのです。
 島根県でも、差し押さえ禁止財産である年金において、年金支給日を狙い撃ちにした違法な差し押さえが行われてきました。
 この度の判決内容に基づき、県として県税や社会保険料の徴収について、差し押さえ禁止財産を含め、強権的な滞納処分の戒めを徹底する抜本的対応策を講じるべきです。今後の対応方針を伺います。

4.看護師確保・勤務環境改善について

 次に、看護師確保・勤務環境改善について伺います。
 私は昨年11月県議会の質問で、看護師の勤務環境改善を取り上げました。
 質問では、看護師確保法に規定する「夜勤は月8日以内」との基本指針が守られていない過酷な看護現場の実態を告発し、実態把握を強く求めたところです。
 質問に対し、県は勤務環境改善に向けて、現場の正確な実態掌握が必要との認識を示し、夜勤や休職状況、時間外労働の実態を調査すると答弁されました。
 この点で、2点伺います。
 1つは、看護師の勤務環境把握に向けて、いかなる実態調査が行われているのですか、その調査の概要、取組状況、調査結果を伺います。
 2つに、調査結果を公表し、医療関係者などに周知・徹底すべきです。そして、調査結果を今後の看護師確保対策や勤務環境改善に生かすべきと考えます。所見を伺います。

5.介護保険について

 次に、介護保険についてです。
 安倍内閣は、消費税増税と社会保障「改悪」路線を具体化した「医療・介護総合推進法案」を国会に提出しました。
 法案は、要支援者の多くが利用する訪問介護・通所介護を介護保険サービスから切り離し、市町村が実施する事業に“丸投げ”し、サービス提供はボランティアでも可能とするなど、現状のサービスを大幅縮小し、費用を徹底削減するものとなっています。
 また、特別養護老人ホームの入所対象者の原則要介護3以上への限定や、低所得の施設入所者に対する食費・居住費負担軽減の制限、年金収入280万円以上の単身高齢者の利用料の1割負担から2割負担への引き上げなど、2000年(平成12年)に制度発足以来、初めてとなる大改悪が目白押しです。
 私はこの間、これら改悪による影響について、関係者からお話を伺ってきました。
 高齢者、家族からは、「サービスを切られたら、生活が成り立たない」「認知症の患者と家族の願いに反する」との怒りの声が噴出していました。また、市町村からは、「要支援者への訪問・通所介護の市町村事業への移行は、自治体の財政状況などでサービスが左右されます。居住地域によって、サービスの格差が広がることは、介護保険への不信をさらに高めてしまいます」との危惧の声が寄せられました。
 そこで、伺います。
 今回の法案は、利用者に大幅なサービス利用制限と負担増を強いるものです。県として、制度改悪に反対する高齢者や家族、介護関係者、市町村の声をいかに受け止めているのか、伺います。
 「高齢者の尊厳の保持」「利用者本位」という介護保険制度の理念に反する、制度改悪の中止を国に求めるべきです。所見を伺います。
 次に、介護保険料についてです。
 第5期介護保険料の引き上げにより、平成23年度末時点で2,851人であった保険料未納者が、平成24年度末時点では3,571人へと大幅に増えました。保険料未納によって、給付額減額措置や差し押さえなどの制裁措置を受けている人も生まれています。
 そもそも3人に2人が住民税非課税という低所得の高齢者に、高い保険料を課すこと自体、無理があるではありませんか、県の認識を伺います。
 また、保険料未納者への無慈悲な差し押さえは中止すべきです。県として保険料・利用料軽減など、利用者が安心して介護サービスが受給できる施策を講じるべきです。所見を伺います。
 法案のねらいは、軽度者の利用を削減・抑制して公的介護保険にかかるお金を抑え込むことにあります。しかし、サービスから締め出された軽度者の重度化は、公的費用をさらに膨張させるだけであります。
 「保険料値上げか」、「サービス切り下げか」という介護保険の根本的な矛盾を打開するためには、介護保険に対する公費負担割合を50%から当面60%に引き上げるべきです。国庫負担引き上げを国に強く求めるべきであります。所見を伺います。

6.教育問題について

 最後に、教育問題について伺います。
 昨年12月13日、中央教育審議会は「今後の地方教育行政の在り方について」の答申を取りまとめました。答申は、教育委員会制度について、首長を地方教育行政の執行機関とし、教育長をその補助機関に位置づけ、教育行政の責任者とすること、教育委員会は存置するものの、首長の「特別な附属機関」と位置づけるとしました。
 そして、安倍内閣の「教育委員会制度」改革は、首長が大綱的方針の策定や教育条件、人事方針などを決定し、さらに国による介入・干渉を強化するなど、首長と国による教育介入を強化する危険なものであります。
 現行の教育委員会制度は、戦前の軍国主義教育の反省の上に立ち、地方教育行政は学問の自由や教育を受ける権利など基本的人権の保障、地方自治の原則などに則り、国や行政機関から独立し、国民に直接責任を負って行われるものへと変革されました。
 この原則を蔑ろにし、首長や国の権限を強化することは、子どもたちの成長や発達を時の政治権力や国家に従属させるものであり、断じて容認できません。教育長の所見を伺います。
 次に、学力テストについて伺います。
 世界では、教育における競争を抑えるため、高校入試は行わない、大学入試も1点差で決まるような競争的なものにしないなど様々な工夫が行われています。
 国連・子どもの権利委員会は、日本政府に対し、「高度に競争的な教育制度」が子どもたちにストレスを与え、発達に障害をもたらしていることを厳しく指摘し、その改善を求めています。
 全国学力テストは、「競争で学力世界一」との掛け声のもと開始されました。しかし、その結果は、各地で学校が平均点競争に血道をあげ、子どもを競争に追い込み、子どもを追いつめています。
 このような中、文部科学省は昨年11月29日、平成26年度の全国学力テストの実施要領を公表しました。これまで調査結果について、個々の市町村名や学校名を明らかにした公表は行わないこととしていましたが、今後は教育委員会が「自らが設置管理する学校の状況について、それぞれの判断において、公表することは可能」とし、市町村教委が学校別の結果を公表することや都道府県教委が市町村教委の同意を得て、市町村別や学校別の結果を公表することを認めました。
 教育をいっそう学力テスト対策偏重にし、点数競争をさらに激しくする学校別結果の公表はあってはなりません。教育現場をさらなる競争主義に巻き込み、豊かな学力形成を妨げる学力テストの中止を求めます。所見を伺います。
 以上で、質問を終わります。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御質問にお答えを申し上げます。
 最初の質問は、福島原発事故の現状と教訓についてどう考えるかと、こういう質問であります。
 福島原発では大量の汚染水問題、あるいは多くの住民の方々が避難を余儀なくされておるといった状況から、当然のことでございますけども、事故が収束したというような状況にはないと認識をしておるところであります。政府におかれましては、一刻も早い事態の収拾に向け、全力を尽くしてもらいたいと考えておるところであります。
 福島原発事故の原因等を勘案して、新しい規制委員会におかれて新しい規制基準をつくられて、今幾つかの原発について審査に入っておるわけでありますが、やはり厳格な審査をするということが一番大事なことであります。例えば新たな対応としてシビアアクシデント、万が一の状況などが起きたときの対策として、フィルタベントでありますとか汚染水対策などを講ずるように、新基準に基づく指導をこの規制委員会が電力会社に対して指示をするわけでありますが、そういう問題に対しまして、きちっと指示、対応をとってもらいたいということでございます。
 そしてまた、万が一の場合の対策につきましても、国及び立地周辺自治体による作業チームをつくって広域避難体制づくりも行っておりますけども、これも私どもとしてしっかりやっていきたいと思いますが、いずれにしましてもリスクが完全にゼロになるわけではないわけでありますし、またプールの中あるいは貯蔵庫には核燃料が保存をされておるわけでございますから、そういう意味におきまして、原発のあらゆる問題に対して政府がきちっと責任を持って対応されるということを政府が明確にされ、国民に理解を得ていく、よく説明をする、そういうことが大変大事だというふうに考えておるところであります。
 次に、現在進められております政府のエネルギー基本計画についての所感を問うという御質問でございますが、やはり福島原発がありました。そしてまた、世界のエネルギー事情も大きく変わってきております。そしてまた、エネルギー政策が国の経済あるいは国民の生活に与える影響は大きいものがあるわけでございます。そういう中で、政府は国民の考えもよくお聞きをして、その上で政府としてのエネルギー基本計画をつくって、その中で原発をどう位置づけられるのか、きちっと説明をすることが必要であるというふうに考えておるところでございます。私どもも、この再生可能エネルギーの導入の促進ということはこれまでもやっておるところでございますが、政府のエネルギー基本計画に基づきまして、平成20年にそうした計画を作成して実行してるとこでございます。政府の計画の見直しに対応しまして、県としても県内の再生可能エネルギーの導入促進をどうするか、よく検討してまいります。県民の方々の意見もよく聞きながら、新しい計画をつくっていく考えであります。
 次に、使用済み核燃料の処理方法も確立しておらず、技術的に未完成な原発再稼働は論外であるが、原発の再稼働についての所感いかんと、こういう御質問でございます。
 新しい規制委員会におきましては、原発の技術面に関しましては福島原発事故を踏まえながら、新基準として地震や津波の想定の仕方、あるいはシビアアクシデントが起こったときの対策などを電力会社に実行させるということで、それがきちっと行われてるかどうか、あるいは行われるのか、厳格な審査を行う必要があるというふうに考えております。私どもも、中国電力の審査の申請に関連しましては、7項目の要請を国そして原子力規制委員会などに対して提出をしとるところでございます。そしてまた、使用済み核燃料の処分方法の問題は大事なことでございます。この問題につきましては、政府が取り組むため最終処分関係閣僚会議を昨年12月に設置をし、新たな取り組み方針の検討を行っておるところであります。できるだけ早く解決を図ることを、引き続き政府に対して要請をしてまいります。
 次に、新規制基準は汚染水対策など避難計画など不十分と考えるが、それについてどう考えるかということでございます。
 汚染水対策につきましては、先ほどの中国電力の申請に関連をしまして、原子力規制委員会や中国電力への7項目の要請の中で適切に実施をするよう求めておるところでございますし、規制委員会におかれましては審査の過程でそれをきちっと対応していただきたいというふうに考えております。さらに、規制委員会も同じ立場でありますけども、新しい知見がそりゃいろいろこの事例から出てくるわけでございまして、そういうものを適宜、迅速に、基準の中にあわせ盛り込むようお願いをするところであります。
 次に、条例の直接請求に関連をしまして所感を問うという御質問でございます。
 8万人を超える方々が署名をされて提出をされたわけでございまして、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入促進に対する県民の高い関心のあらわれだと考えておるところであります。私どもとして、先ほど申し上げましたように省エネルギー、そして再生可能エネルギーの導入促進は、これまでも計画に基づきまして実行してきておるところでございます。政府の基本計画の見直しに対応しながら新しい計画をつくってまいりますけども、その過程で県民の方々の意見などもよくお聞きして対応してまいる所存であります。
 次に、原発のコストについての御質問がありました。
 平成23年12月の国のエネルギー・環境会議コスト等検証委員会による試算によりますと、原子力の発電コストは1キロワットアワー当たり8.9円以上とされております。このコストの中には、原発の建設費、運転維持費などの資本費、核燃料サイクルや安全対策などの費用、事故リスク対応費用、これは5.8兆円と見込まれておりますけども対応費用、そして立地に関する交付金などの政策経費、こういうものをコストとしてカウントして8.9円、1キロワットアワー当たり8.9円以上としてるようでございます。
 なお、この事故リスク対応費用5.8兆円の中には、以下の費用が含まれてないとされております。高濃度汚染対策費用、除染により生ずる廃棄物等の中間貯蔵施設の整備費用、除染により生ずる廃棄物等の最終処分関連費用、生命、身体の損害等でございます。こういうものを含めますと、それはコストとしては高くなると思いますが、それについては政府としての試算はまだないと承知をしてるとこであります。
 他方、再生可能エネルギーの発電コストについて申し上げますと、1キロワットアワー当たりで風力が陸上で9.9円から17.3円ぐらいであると、太陽光でありますがメガソーラーが30.1円から45.8円ぐらいであると言われております。住宅の太陽光は33.4円から38.3円、バイオマスですと17.4円から32.2円などとなっております。
 なお、これらの発電コスト、今申し上げたコストの中には、次の費用などが含まれていないとされております。技術革新あるいは量産効果などによって下がる部分があり得ると思います。そして、再生可能エネルギーを大量に導入する際には、今度は電力供給を安定化するために電線網を中心とした、系統安定化対策と言ってるようでありますけども、そういう費用が必要になってくるということであるようであります。
 原子力及び再生可能エネルギーの発電コストは、今御紹介申し上げたように現時点でそれぞれ見込めない、見込まれてない費用あるいは予測することが難しい費用があるため、原子力と再生可能エネルギーとの、客観的っていいますか、実用的な比較はなかなか難しいとされておるようであります。
 次に、エネルギー自立の取り組みは、産業振興、雇用確保、地域再生にいい影響があるわけだけども、それについての見解いかんということです。
 私もその点は全く同感であります。しかし、事業が行われるためには、その事業が成り立つような条件がないと事業がなされないわけです。先ほどの太陽光発電で言いますと、買い取り価格が40円とか38円と。通常の今の石炭火力なんかですと10円程度でございますから、相当そういうものを促進するんだと、コストがかかっても促進するんだという大きな枠組みがないと、事業そのものが成り立たないと申しますか、やる人がいないという問題があるわけでございます。
 そしてまた、そうした事業で生産される電力を供給を安定的にするためには、供給を安定化するための技術的なメカニズムができてないとできませんし、あるいは電力会社がそういう電線網を新たにつくるとか、あるいは装置をするとか、そういうことがないと事業そのものは難しいという問題があるわけでありますし、それから、そういう立地があるかということでございます。風力等につきましては、風の問題であるとか、あるいは近辺に住民の方が住んでおられますと、非常に周波数の長いと申しますか、そういう問題があったりしますし、水力などになりますと、もうほとんど大きなダムをつくって水力をやるというのは県内ではなかなか余地がないということも言われておるわけでございます。したがいまして、どういう立地があるのかということもよく調査をしないといけないというふうに思っておるところでございます。
 あるいはこういう問題に関しましては、この知事意見でも申し述べておりますけども、国の固定価格買取制度、これも一年一年決めてるわけでございまして、先行き、今後10年どうするっていう計画があるわけじゃないわけです。それが今度下がったりしますと、事業で投資する人がいなくなるわけであります。そこはやはりエネルギー政策をどう進めるかということと非常な大きな関連があるわけでございます。あるいは先ほど申し上げましたエネルギーの供給を安定化する技術開発、あるいは土地利用の規制緩和なども必要だという声もあるわけであります。いろんな問題がありますので、そうした点をよく検討しながら、この問題に対応していきたいというふうに考えておるところであります。
 次に、地方から安全安心の自立エネルギー推進政策を発信することについての御質問でございます。
 先ほど来申し上げておりますように、再生可能エネルギーの導入、促進というのは、県の重要な政策の一つであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように再生可能エネルギーの個々の事業が成り立っていくためには、そして投資がなされるためには、そうしたものを保障する枠組みが必要ということがあるわけでございまして、そういう面で県だけではなかなか難しい問題があるわけですし、あるいは市町村でやる場合は今度は立地の問題なんかもありますし、市町村の意見などもよく聞きながら対応する必要があるというのが私の考えであります。
 次に、TPP交渉が難しい状況にあり、撤退について考えるべきではないかという御質問であります。
 安倍総理は、先月30日、参議院本会議におきまして次のように答弁をされております。「守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、全力を挙げて交渉に臨んでいる」とし、「交渉が最終段階を迎えてる中、交渉からの脱退について言及することは国益の観点から不適切と考える」と説明をされておりますが、政府におかれましては、交渉におきまして影響甚大な農産物について関税撤廃の例外措置を確保することに、私どもとしては全力を尽くしていただきたいと考えておるところであります。
 これに関連しまして、農業再生についての御質問がありました。
 現在、政府において進められようとしております農政改革は、TPP交渉のいかんにかかわらず進めなければならない課題だということで、政府は農林水産業地域の活力創造プランを決定をして、この決定に基づき、いろんな対応を今とろうとされておるところでございます。島根県としましては、国の予算もそういう農政の改革のために充実強化をされておりますから、そういうものを活用しながら、中山間地域を含めて県内の農家の方々が安定的に営農を続けられるよう、市町村や関係団体と連携して農業、農村の振興に取り組んでいく考えであります。
 最後の質問でありますが、松江市における商工会議所の中小企業等に対する経営支援に関連をいたしまして問題が出ておるという御説明があり、これに関連して商工団体への指導、助言について、あるいは商工団体との連携についてどう考えてるのかという御質問であります。
 商工会議所、商工会は、各種相談業務や経営指導員による経営支援等を通じて地域の実情を把握しております。県としましては、商工団体とは県内企業の現状、課題について日ごろから意見交換をしながら、施策の組み立てに反映するようしておるところでございます。そういう意味で、商工団体と連携をしながら産業の振興に当たっておるところでございます。また、商工団体は地区内の中小企業に対するきめ細かな、今度は具体的な経営指導を行っておるわけでありますが、そうした業務を推進するために、県は総合的な補助金を商工団体に交付をしております。今後も商工団体が県内中小企業にとって効果的な支援を実施されるよう期待をし、商工団体ともよく連携をしながら、各地域におきまして地域振興、産業振興を行っていく所存でございます。
 一方、市町村におきましては地域活性化のため、ここ数年、商工団体との連携を強化して市町村ごとに産業支援体制の充実を図っております。県としましては今後ともこうした動きを促進し、県、市町村、商工団体がそれぞれ連携、協力し合いながら県内の企業の発展を支えていきたいというふうに考えているところであります。以上であります。

○総務部長(楫野弘和) 私からは、県税の徴収についての御質問にお答えいたします。
 税は公正な負担が原則であり、適正な課税と徴収に努めているところでございます。その中で個々の滞納処分につきましては、滞納者の預貯金債権の中に差し押さえ禁止債権が含まれているか否か十分な調査が必要な場合や、生活が著しく困窮させることがないよう慎重な判断が必要となる場合があります。このような状況に適切に対処するため、滞納者の資産、生活状況、差し押さえの可否等について調査を尽くすようにしております。
 こうした中で、このたびの広島高裁松江支部におきます判決等を踏まえまして、改めて差し押さえ禁止債権に当たるか否かを適切に把握するため、預貯金債権における直近3カ月の取引履歴調査を徹底すること、また差し押さえた後に滞納者の申し出から差し押さえ禁止債権と確認できた場合には、その差し押さえの解除等を行うよう、昨年7月、各地方機関に通知いたしました。さらに、会議や研修会において判決の内容や趣旨について詳しく説明を行ったところであります。今後とも、県、市町村の税務職員を対象とした会議等において、判決の趣旨に即した滞納処分や滞納処分の停止の適切な運用について研修し、適正な納税業務の執行に努めてまいります。

○健康福祉部長(原仁史) 私のほうへは国民健康保険料の差し押さえへの対応など、大きく3項目の質問をいただきました。
 まず、国民健康保険料の徴収について、強権的な対応の処分を戒める抜本的対応策を講ずるべきという御質問でございます。
 昨年、県が行いました実態調査では、主に年金が振り込まれる口座の差し押さえ件数は80件、このうち年金支給日に差し押さえが行われたものが70件ということで86.4%を占めておりまして、機械的な差し押さえともとられかねない実態が見られました。また、地方税の滞納処分に係る広島高等裁判所松江支部の判決については、国民健康保険料の徴収事務に携わる者としても真摯に受けとめる必要があると考えております。こうした状況を受けまして県としましては、市町村に対して国民健康保険料の滞納者に対して親身な相談、収納活動を心がけ、差し押さえにより滞納者が生活に困窮するような場合には差し押さえを控えるなど柔軟な対応に努めるよう改めて指導、助言してまいります。
 次、2点目の看護職員の夜勤等実態調査の関係でございます。
 県では、看護職員の勤務環境が厳しいという声の高まりを受けまして、ことし1月に、県内の全病院を対象として看護職員の夜勤等についての実態調査を行いました。調査内容は、月当たりの夜勤回数や時間外勤務の状況など19項目であります。先般、全ての病院から調査票を回収し、現在、記載内容の確認やデータの集計を行っているところです。集計の途中ではありますが、ほとんどの病院におきまして看護協会のガイドラインの基準、例えば3交代制勤務の職場の場合には夜勤回数は月8回以内というような基準がございます。こうした基準を超える回数の夜勤を行っている看護職員がいることがわかりました。
 今回行った実態調査の結果につきましては、今後病院に記載事項の確認なども行い、しっかりとした分析を行った上で、できる限り早い時期に公表したいと考えております。また、この調査結果につきましては、医療機関や看護協会など関係団体に周知するとともに、労働局などと連携し、医療機関の管理者との意見交換の場を設けるなど、勤務環境改善の必要性を認識してもらうことに努めたいというふうに考えております。国に対しては、今回把握した看護現場の実態を訴えながら、看護職員の処遇や勤務環境の改善などについて、引き続き働きかけてまいります。
 次に、介護保険についての御質問にお答えいたします。
 今回の介護保険制度の改正は、介護や医療のサービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの構築と制度の持続性の確保の観点から行われるものと理解しております。見直しの内容が多岐にわたることから、利用者やその家族、介護関係者、市町村等からさまざまな意見や声を伺っております。例えば、市町村からは改正に伴う事務負担や事業の具体的な進め方について戸惑う意見、また高齢者の家族からは特別養護老人ホームへの入所ができるか心配する声、また介護事業者からは改正の内容についての情報を早く入手したいといった声などがございました。県としましても、こうした市町村の意見や介護現場の方々の声をしっかりと受けとめて、地域の実情に合ったよりよい制度となるよう課題を整理し、必要な事柄については国に要望してまいります。
 低所得の高齢者に対する保険料についてであります。
 議員御指摘のとおり、平成24年度は前年度に対しまして介護保険料の未納者が約700人ふえました。未納者割合も1.37%から1.67%となったわけでございます。未納期間が長期化しますと、差し押さえなどの対象となる人がふえてくることが懸念されます。また、県内の65歳以上の高齢者、いわゆる第1号被保険者になるわけですが約21万3,000人いらっしゃいます。このうち約14万3,000人、約67%に当たりますが、こうした方が住民税が課税されない低所得の方々であるという実態もございます。
 一方、平成24年度に改定された介護保険料は県平均で月額5,343円でありまして、引き上げ額1,069円、引き上げ率25.0%ということで、これら両方とも過去最高となっております。これは高齢化の進行に伴う介護サービス利用の増加等を反映したものでありますが、高齢者の方々にとっては相当の負担になってるというふうに思われます。こうしたことから、県としましてはこれまで低所得者の保険料や利用料の負担軽減について国に要望してきたところでございますが、このたびの制度改正におきましては低所得者の保険料の軽減措置の拡充が盛り込まれておりまして、この点は一定の評価をしております。
 保険料未納者への差し押さえについてであります。
 介護保険料の徴収に当たりましては、未納者に対しまして親身な相談、収納活動を心がけ、未納者の実情を十分に把握し、慎重かつ適切に対処することが大事と考えております。また、差し押さえに当たりましては、未納者個々の経済状況を十分に把握した上で行うべきであり、未納者が生活に困窮するような差し押さえがあってはならないものと考えています。県としましては、このことを引き続き市町村向けの会議の場や直接出向いて助言してまいります。
 県として保険料、利用料の軽減策を講ずるべきとの意見でございますが、介護保険は全国一律の制度でありまして、その中で低所得者に対する負担軽減の措置も設けられております。したがいまして、県としましては、この制度内の軽減措置がさらに拡充されるよう国に求めていきたいというふうに考えております。
 最後に、公費負担の負担割合の引き上げについてであります。
 今回の介護保険制度の見直しでは、公費と保険料の負担割合は現行のまま維持することとされました。保険料の負担がほぼ限界に近づいていること、また都道府県や市町村の財政力に相当の差があるという状況のもとで、全国一律の介護保険制度を安定的に運営していけるよう、今後も引き続き重点要望などを通じて、保険料と国、地方の負担のあり方などについて必要な制度の改善に向け、国に要望してまいります。

○教育長(今井康雄) 私のほう、2点御質問ございました。
 1点目が、教育委員会制度の改革についてであります。
 近年のいじめ事件などに端を発しまして、教育委員会につきまして責任の不明確さ、審議の形骸化、あるいは危機管理能力の不足などが指摘をされております。このため、昨年以来、政府の教育再生実行会議、中央教育審議会におきまして、さまざまな議論が行われました。その結果、中央教育審議会、先ほど御紹介ございました昨年12月に、1つが、地方公共団体の長を地方教育行政の執行機関とする考え方、それからもう一案が、教育委員会を執行機関として残しつつ改革をしていく、この2案が答申をされたところでございます。その後、この2案をもとにいたしまして議論が重ねられてまいりまして、昨日、自由民主党の案が取りまとめられたと承知をいたしております。
 この案でございますが、民意の反映と、それから中立性、継続性、安定性、これを確保するという観点から、先ほど申し上げました中央教育審議会の2案、この両方の考え方を取り入れてまとめられたというふうに承知をいたしております。今後、与党内で法案化に向けましてさらに議論が進められることになると思いますが、地方公共団体の長と教育委員会との具体的な役割分担など、詳細な制度設計を含めまして慎重な議論がなされまして、教育の向上につながる制度改革となるように願っているところでございます。
 それからもう一点、学力テストについて御質問がございました。
 現在県が行っております学力調査は、学習指導要領で求められます学力の定着状況にあわせまして、子どもたちの学習や生活の意識や実態を把握するものでございます。そして、その結果を今後の教育施策に生かすこと、それから、各学校が分析結果に基づきまして、学校としての指導の取り組みを検証いたしましてその後の方針に生かす、それから何よりも大事なことは、各教員が子どもたち一人一人の課題をつかんで学習や生活の改善の指導に生かすこと、こういった目的で行ってるところでございます。
 現在のところ、結果でございますが、小学生について、やはり学習面で基礎力、活用力、不十分な状況だという結果が出ております。中学校につきましては、おおむね全国平均並みということになっております。国語については、基礎、活用とも定着率が高いというような結果も出ております。ただ、家庭学習の時間が短いという課題もあるようであります。それから生活面では、よい傾向がある半面で、やはり電子機器の活用等、子どもたちを取り巻く課題も出てきております。こういった課題がございます、こうした子どもたちの課題の解決に向けて、効果的なものとなるような学習、学力調査、こういうものにしていきたいというふうに思っております。今後、市町村教育委員会の意見も聞きながら、質問の項目等についても工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、結果の公表についてございましたが、学校別の公表ということにつきましてはあくまでも市町村の判断ということでありますが、県の教育委員会といたしましては、これまでも県全体の分析結果、それから市町村ごとの結果、これだけを発表をいたしてきております。特に1市町村1学校の場合は未公表ということにしております。これは学校間の過度な競争につながらないように配慮をするということでございます。こういう点につきましては、今後とも十分留意してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

○尾村利成議員 知事に再質問させていただきます。
 私は今回の一般質問で、知事の施政方針についてということで、原発、エネルギー、それからTPP、3問聞きました。知事の政治姿勢なんです。政治姿勢という点で言うと、何が言いたかったかというと、地方自治体とは一体何なのか、県政の仕事は何なのか、このことを問いたかったわけです。言うまでもなく、地方自治体の仕事は地方自治法に定められております。自治体の仕事というのは、住民の命を守り、そして健康を守り、安全を守ることが地方自治体の仕事です。島根県政の任務であります。そして私は、国の政治が住民を脅かすことをやってきたときに、国の悪い政治に地方自治体は立ちはだかって、国に対して物をきちっと言ってこそ、自治体の値打ちがあるし役割があると思うわけです。
 私は今、安倍政権がさまざまな政策を進めていますけれども、国民の願いに反するものばかりではないかと言ってもいいぐらい暴走してると思うんです。例えば原発の問題取り上げました。私は質問の中で取り上げましたけども、原発の稼働反対というのが国民世論の7割から8割なわけです。しかしながら、エネルギー基本計画の案では、原発を基盤電源とする、ベース電源とする、安全な原発は再稼働すると、こうなってるわけです。これは国民の願いとの間に重大なる乖離があるではありませんか。
 ですから、私は福島の問題を取り上げました。福島県も一つの自治体です。しかし、福島県では県議会において全ての会派が福島県民を苦しめる原発は要らないという、そういう立場に立ったわけです。そして、福島県の復興ビジョンでは、福島県はあの原発事故を体験した県として、もう原子力に依存しない、福島から再生可能エネルギーを推進するんだということを県政の基本理念として福島は宣言したんです。すなわち国の方向に対して、原発事故を受けて苦しんだ福島県はきっぱりと物を言ってるんです。県議会も言ってるんです。県の復興ビジョンも言ってるんです。私は、ここにこそ地方自治体の魂があると思うわけです。
 島根県は、県庁所在地に原発がある唯一の県でしょう。30キロ圏内には47万人が暮らしてる。避難計画もできていない、実効あるものができていない。こういうもとで、今国が原発の再稼働に大きくかじを切る基本計画をつくろうとしてるときに、私は立ちはだかって、国に対して待ってくださいと、それはおかしいじゃないですかと、この島根県においてはわずか2カ月間の間で、もう安全・安心のエネルギーをつくってほしい、県民の方々が、有効署名数は8万3,000だったですけども、署名数で言えば9万筆を超える皆さんが、再生可能エネルギーを望みますという署名を私に託したんですと、そういうことを国にきちっと言って、福島と力を合わせて原発に頼らず再生可能エネルギーの道を推進するということを言ってこそ、地方自治法が求める県民の命、安全、健康を守る自治体の仕事を果たしたと私は言えると思うわけです。そういう姿勢がありますかと聞いたんです。原発においても、エネルギーにおいても、そしてTPPにおいてもです。
 だって、TPPだって、オール北海道でTPP反対って言ってるじゃないですか。国が推進の方向だけど、北海道はだめだって言ってるじゃないですか。ですから、私は知事に再度聞きたいのは、自治体、県政の長として、国の政治が県民の願いに反することを今原発で言えばやろうとしている、私はこう思います。エネルギー計画いろいろ立てようとしてますけど、原発を基盤電源、ベース電源、再稼働という方向へ行ってるんだから。そういうときに、国に向かってきちっと島根県民の願いを言ってくださいますかと、物を国に言えますかと、そのことを確認をしておきたいと思います。質問は以上です。

○知事(溝口善兵衛) 尾村議員の御質問にお答え申し上げます。
 私も、国に対して県として必要なことは言ってまいります。あらゆる問題に対して、そうしてます。しかし、その場合に、県としての意見というのは私だけの意見じゃないわけです。それは、県内の方々の意見をいろんな形でよく知らなきゃいけませんし、そして県としての場合、例えば条例をつくるかとか、あるいは予算を通すかっていうのは、やはり議会と一緒になって、議会の意見も聞いてやるわけであります。それから、そういう意味で私がいろんな意見を、TPPにしても原発にしても、いろんな意見をできるだけ聞くようにしております。
 それで、県としての意見は言ってまいりますが、そういうプロセスを経てやる必要があるということでございます。それは、私が直接聞くのも当然ありますし、あるいは報道等で出るのも参考にいたします。あるいは議会での議論も参考にします。あるいは議会での議決も、当然それに従って行うということでございます。政治のプロセスですから、いろんなチャネルがあるわけであります。そういうものを総合してやっていくっていうのが私の役割ではあります。
 それからもう一つ、いろんなことは、そりゃいろんな希望をお持ちになります。行政はそこで何をするかっていうと、その希望というものを、じゃあ目標をどういうふうに設定したらいいのかとか、そのための手段はうまく確保できるのかとか、あるいはどういう例えばタイムスパンで、そういう問題に対応していくかと。そうした、やっぱり技術的な行政の立場として検討しなきゃいかんわけであります。だから、そういうものに基づいてやらなければ、何ていいますか、一つのこういう願いですっていうだけじゃ国は動かないわけです。あるいは県としても意見を伝えたことにならないわけです。
 例えば原発の問題にしても、政府自身もできる限り段階的に、ちょっと正確な言葉は知りませんけども削減をしていこうと、依存を減らしていこうという考え方を表明してる。だけど、それ具体的にどうするかっていうところがないわけです。そこはやはり計画を政府がちゃんとつくる、あるいはそれに向けてどういう対応をするっていうのがなきゃいかん。県としてもそうです。県としては、だからこの再生可能エネルギーの促進を強化する、充実をするっていうことはこれまでもやっておるわけでありますし、それもさらに進めていこうっていうのが私の考えです。
 したがいまして、多くの方々の意見を吸収しますが、いろんな考え方が、一つに固まってるわけじゃないですね、具体的にしようとするとなると。しかし、それをどうするかっていうのが、行政のあるいは公的機関の役割なわけです。そういうものを踏まえてやっていくということを申し上げておるわけでありまして、再生可能エネルギーをふやすように努力してもらいたいとか、原発の役割を減らすべきだという意見があって、直ちに減らすという意見もあるし、時間をかけてやるという意見もあります。それをどう選択するかっていうのが政治のプロセスなわけです。そして、県政におきましては、地方自治におきましては、行政と議会、それが車の両輪となってやってるということでございます。そういう観点から私は知事として必要なことはどんどんやっていく、これからもその考えでやってまいりたいというふうに考えておるところであります。

議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画