日本共産党の萬代弘美です。
日本共産党県議団を代表して、条例案3件、一般事件案1件、議員提出議案1件、請願2件について委員長報告に反対する討論を行います。
第111号議案「島根県認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例」
第112号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」
第113号議案「島根県幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例」
まず、第111号議案「島根県認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例」、第112号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」、第113号議案「島根県幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例」についてです。
これら議案は、2012年8月に国会で成立した「子ども・子育て支援法」など、子ども・子育て関連三法に基づく、子ども・子育て支援新制度を来年4月から実施するための条例です。
新制度は、保育に対する国・自治体の責任を後退させ、保育の企業参入の拡大、基準緩和、保育格差の拡大など公的保育制度の根幹を解体するものです。
条例案では、幼稚園型認定こども園について、自園調理による食事提供対象人数が20人未満で、かつ必要な調理設備がある場合は、調理室必置規定を緩和できるとしており、外部搬入を認めています。
近年、卵アレルギーや大豆アレルギーなど食物アレルギーのある子どもが増えており、一人一人にあった調理、献立など、きめ細やかな対応が求められています。
乳幼児期において「食べること」は心と体の育ちに大きく影響し、安全で良質な給食提供こそ保育関係者の願いではありませんか。すべての子どもへ自園調理による給食を提供すべきであり、独立した調理室の設置を必須とすべきです。
また、条例案では、保育室を4階以上に設置する場合の避難用の施設・設備基準についての規定が盛り込まれています。しかし、現行の不十分な保育士配置基準では、火事などの災害時に子どもの命を守れないとの声も上がっており、子どもの安全を守るためにも、保育室は原則、2階以下とすべきです。
また、条例案では、幼保連携型認定こども園の学級編成基準として、満3歳以上の園児については、国基準通りの1学級の園児数は35人以下を原則とするとしています。
子どもたちの安全と健やかな成長を保障するために、1学級3歳児は15人以下、4歳児は20人以下、5歳児は25人以下にすべきです。
以上の立場から、これら条例案には反対です。
第117号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」
第117号議案「県の行う建設事業に対する市町村の負担について」です。
本議案は、道路法、下水道法、土地改良法、地方財政法の規定に基づき、県の行う建設事業に要する経費の一部を関係市町村に負担させ、その市町村負担率を定めるものです。
市町村負担金の負担率を定めるにあたって、県は、市町村に十分な情報開示や市町村への説明責任を果たすことが必要です。そして、市町村負担のあり方を抜本的に見直すとともに、廃止を検討すべきです。
砂防事業の急傾斜地崩壊対策事業や都市計画事業の街路事業、ならびに農業農村整備事業の広域農道整備交付金事業など、山地や農地の保全、災害や広域的な役割を果たす事業は、 本来、県の責任と負担で行うべきものであり、市町村に過大な負担を求めるべきではありません。
よって、本議案には賛成できません。
議員提出第7号議案「地方財政の充実・強化を求める意見書」
次に、議員提出第7号議案「地方財政の充実・強化を求める意見書」についてです。
本意見書案において、公共サービスの質の確保と地方自治体の安定的な行政運営を実現するために、地方交付税および一般財源総額の拡大を求めることなどについては、賛同するものです。
しかし、意見書案では、現行の外形標準課税の充実を求めています。
6月27日に発表された政府税制調査会の総会決定では、法人税引き下げの5兆円の財源を赤字法人と中小企業の課税強化で行うとしています。その中心として狙われているのが外形標準課税です。
外形標準課税は、賃金・利息・賃借料の支払いや資本金という「外形」があれば、負担能力がない瀕死の赤字企業にも課税するものです。外形標準課税は、憲法14条の平等原則の税負担、すなわち、応能負担原則に反するものであり、大企業の法人税減税のために、赤字中小企業に新たな課税強化など断じて許せません。
よって、本議案には賛成できません。
請願第38号「『竹島の日』閣議決定の意見書提出を求める請願書」
次に請願第38号「『竹島の日』閣議決定の意見書提出を求める請願書」についてです。
竹島は、歴史的にも国際法上も島根県に属するわが国固有の領土であることは明白であります。
今、最大の問題は、日韓両国間において、竹島問題を冷静に話し合うテーブルがないことです。
竹島問題には、複雑な経過と背景があり、その正しい解決のためには、緊張を激化させる行動を双方が慎み、相互の主権を尊重し、平和友好の精神を貫きながら粘り強く交渉し、解決をはかることを求めるものです。
竹島問題の解決にあたって大切なことは、感情的対立・緊張を激化させず、歴史的事実と国際法上の道理に則り、冷静な外交交渉で解決をはかることと考えます。
この立場から本請願には、賛同できません。
請願第39号「消費税増税の撤回を求める意見書提出を求める請願」
最後に、請願第39号「消費税増税の撤回を求める意見書提出を求める請願」についてです。
本請願は、消費税10%への引き上げ反対の請願を採択し、政府への意見書提出を求めるものです。
この間の円安による物価上昇に加え、4月からの消費税増税によって、日本経済は「好循環」どころか、悪循環の危険水域に入っています。
消費税増税後の4月~6月期のGDP(国内総生産)は、年率換算でマイナス7.1%の落ち込みとなりました。
この最大の原因は、働く人の実質賃金が14ヶ月連続でマイナスとなり、家計消費が19.5%も落ち込んでいることにあります。
消費税増税と社会保障の負担増は、低所得者、高齢者に耐え難い負担を押し付けています。消費税は、生活費に食い込む最悪の大衆課税であり、憲法が要請する「応能負担原則」に反する税制です。
いま必要なことは、第一に、大企業に対するバラマキ減税をやめて富裕層と大企業に応分の負担を求めること、第二に、285兆円にまで膨れ上がった大企業の内部留保の一部を活用して大幅賃上げ、安定雇用を増やすこと、そして、10%増税の中止を決断するなど、企業から家計に軸足を移す経済政策の転換です。
以上の立場から、本請願の採択を求めます。
以上で、討論を終わります。