前に戻る

議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2014 年 11 月定例会 一般質問 (知事の政治姿勢について、原発問題について、核燃料税について、国民健康保険について、女性への格差と差別の是正について、子供の貧困対策について、教育問題・学力テストについて)

2014-11-27 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

 質問の第一は、知事の政治姿勢についてです。

【1.知事の政治姿勢について】
 
 11月21日、衆議院が解散し、総選挙となりました。

 解散・総選挙は、安倍政権があらゆる分野で国民の願いに反する政治をすすめ、世論と運動に追い込まれた結果です。

 消費税増税、原発再稼働、集団的自衛権行使容認、労働法制改悪、沖縄・米軍新基地建設、相次ぐ閣僚の金権疑惑など、どの問題でも国民との矛盾が広がり、支持率は低下の一途で、今を逃せば選挙に勝てないとの打算による追い込まれての解散です。

 安倍首相は、GDPの2期連続マイナスを受け、消費税10%の「1年半先送り」を表明しました。このこと自体、自らの増税路線と「アベノミクス」の破たんを認めたものにほかなりません。

 今日の景気悪化は、8%への増税を強行した自民・公明・民主の「増税不況」によるものです。
消費税に頼らなくても財政も社会保障も立て直す道があります。それは、富裕層と大企業に応分の負担を求め、史上空前に膨れ上がった大企業の内部留保を活用し、国民の所得を増やす方向へ切りかえることであります。

 わが党は消費税10%の「先送り実施」ではなくキッパリ中止を求めるものであります。

 安倍政権がすすめる「アベノミクス」は、異常な金融緩和と財政拡大、「世界で最も企業が活躍しやすい国」をめざす規制緩和が3本柱です。

 大企業が儲かれば賃金も上がり、消費も増えるという「トリクルダウン」(おこぼれ理論)政策によって、大企業の含み資産や大資産家の所得は増えました。しかし、その一方、国民にとっては、円安で物価は上がりながらも、実質賃金は上がらず、生活は苦しくなる一方でした。どの世論調査でも「景気回復の実感がない」との声は8割から9割にものぼっています。

 「アベノミクス」がもたらしたものは、格差拡大と景気悪化だけです。

 わが党は、アベノミクスの中止を求め、人間らしく働ける雇用のルールをつくり、社会保障の充実、TPP交渉からの撤退と農業・中小企業の振興でくらし第一で経済を立て直すために全力を尽くす決意であります。

 福島原発事故から3年8カ月が経ちました。しかし、今なお福島では、12万人を超える県民が厳しい避難生活を強いられています。

 安倍首相は、福島原発全基廃炉を求めたオール福島の声を、「事業者が判断を行うべきである」とひとごとの如く冷たく切り捨てました。

 実効ある避難計画も重大事故を防ぐ対策も整っていない川内原発については、「原子力規制委員会が厳格な審査を行っている」と強弁し、再稼働を強行しようとしています。

 安全な原発などあり得ません。原発ゼロの実現こそ、命と安全を守る確かな保障であり、国民の確たる願いであります。

 平和の問題では、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」に怒りの声が沸き起こっています。

 安倍首相は、アフガン・イラク戦争のような戦争をアメリカが引き起こした際、自衛隊が「戦闘地域に行く」こと、そして、そこで攻撃対象となれば「武器を使用する」ことを国会で認めました。

 集団的自衛権の行使とは、「海外で戦争する」ことにほかなりません。憲法9条を生かし、平和の外交戦略こそ国民の願いであります。

 国の間違った政治に対して、国にキッパリ、モノが言えなければ、島根県民のくらしと命を守ることはできません。

 先の沖縄県知事選挙では、新基地建設を強行する国に対する厳しい審判が下されました。沖縄県民よりもアメリカに顔を向ける政府に対し、沖縄県民は「米軍基地ノー」の回答を突きつけたのであります。

 知事に伺います。

 県政の主人公は、県民であります。県民の願いに反する政治では、決して県民の信頼を得ることができません。

 私ども、日本共産党県議団が実施した県民アンケートでは、「消費税増税反対」が83.3%、「島根原発再稼働反対」が74.2%、「集団的自衛権を認めるべきではない」が68.1%の結果でありました。安倍政権の政策とは、全く逆の方向であります。

 県民の願意を重く受け止め、消費税10%増税はキッパリ中止、原発再稼働ストップ、戦争する国づくり許さない、との民意を生かしてこそ、県民の信頼と期待に応える道ではありませんか。所見を伺います。

 次に「政治とカネ」の問題について伺います。

 後援会の観劇会などをめぐる疑惑が指摘された小渕前経産相とうちわを配った松島前法務相の辞任後も宮沢経産相の東京電力株保有や外国人企業からの献金疑惑、有村女性活躍相の脱税企業からの献金などが発覚しています。

 そして、塩崎厚労相の秘書の口利き疑惑や江渡防衛相の収支報告書の訂正に加え、西川農水相の親族企業からの物品購入や望月環境相のイベントでの報告書での収支食い違いの疑惑も明らかになりました。これら、一連の疑惑の原資、元手となっているのが、企業・団体献金と政党助成金であります。

 経団連は、企業献金の再開を表明しました。企業献金によって、法人実効税率引き下げ、原発再稼働、消費税率引き上げなど「政策をカネで買う」行為は、政治をゆがめ民主主義を破壊するものであります。

 知事に伺います。

 金権腐敗政治の根源である企業・団体献金中止、憲法違反の政党助成金を廃止してこそ、清潔で県民のくらしと福祉、命を守る政治が実現できると考えます。所見を伺います。

【2.原発問題について】

 次に原発問題について伺います。

 宮沢経産相は、11月3日、鹿児島県を訪れ、「万一、事故が起きた場合は、国が責任をもって対処する」ことを表明し、再稼働同意を迫りました。

 その結果、11月7日、鹿児島県知事は、多くの県民の反対を押し切って、九州電力・川内原発の再稼働の「同意」を受け入れました。安倍政権の圧力と原発マネーが、鹿児島県知事と県議会の同意につながったのであります。

 宮沢経産相は、鹿児島で「せんだい」原発を「かわうち」原発と呼び、大ひんしゅくを買いました。本当に、原発の事がわかっているのでしょうか。情けない限りです。

 福島原発の事故処理に責任を持たない政府が「事故が起きた場合、国が責任を持って対処する」など、よく言えたものです。

 川内原発は、火山噴火対策が大問題なのに、原子力規制委員会では、十分な審査が行われませんでした。九州電力は、火山噴火の予知が「できる」と強弁しましたが、火山学者は、「噴火は予知できない」としています。その上、実効ある避難計画は未策定です。

 鹿児島県内で開催された住民説明会では、住民から多数の不安や疑問が出されました。しかし、国はまともに回答できず、住民の納得は全く得られていません。

 原発から30キロ圏内の、いちき串木野市や姶良市などの議会からは「川内原発再稼働反対」や「廃炉を求める」決議が相次ぎました。この点からも「地元同意」が得られたなどとは到底言えません。

 鹿児島県の拙速で乱暴な再稼働決定に、島根県民からも怒りと不安の声が数多く出されています。

 知事に伺います。

 福島原発の事故原因は、未だ究明されていません。島根県民は、危険な原発再稼働など望んでいません。

 福島事故の原因究明、立地・周辺自治体や鳥取県、そして、何より県民の理解と納得、実効ある避難計画の策定、使用済み核燃料処理問題の解決なしに、島根原発再稼働などあり得えません。所見を伺います。

【3.核燃料税について】

 次に核燃料税について伺います。

 今議会には、税収を安定的に確保する目的で、稼働原発の核燃料に課してきた核燃料税を、原発が停止中であっても課税できる仕組みへと変更する「出力割」導入の条例案が提案されました。

 核燃料税の原資は何でしょうか。それは、住民が負担している電気料金であります。

 電気料金には、電源三法交付金の原資である電源開発促進税も上乗せされており、その上、新たなる出力割導入によって、またもや住民に負担が転嫁され、間違いなく、さらなる住民への負担増加につながるではありませんか。

 そうであるなら、核燃料税の税率変更・決定にあたっては、料金を負担する住民の意見を聞くことこそ当然のエチケットであります。住民の理解と合意の上で判断すべきではありませんか。いかがですか。

 福島県は、2012年12月に核燃料税を廃止しました。その理由は「原発稼働を前提とする核燃料税は福島の状況にそぐわない」との理由であります。

 県民の願いは、「原発ゼロの島根」をつくることです。そのためにも、核燃料税など原発依存の財政構造から脱却すべきであり、原発再稼働を前提とした核燃料税は廃止すべきであります。知事の所見を伺います。


【4.国民健康保険について】

 次に国民健康保険について伺います。

 高い保険料・保険税に住民から悲鳴が上がっています。本年6月1日時点で、県内において、国民健康保険加入世帯の1割にあたる9000世帯が滞納となっています。

 この間、私は、滞納者への無慈悲な保険証の取り上げ、給料や年金を差し押さえる強権的な取り立ての実態を告発し、改善を強く求めてきたところであります。

 益田市のひどい実例を告発します。

 昨年8月より、益田市は「国民保険税納付コールセンター事業」をスタートしました。この事業は、年3回、保険税未納者に対し、民間事業者であるコールセンターが電話により、納付勧奨を実施するものです。これまで、1535件の滞納者リストがコールセンターへ提供され、悪質な滞納者ではなく、一か月だけ納付が遅れた人に対しても督促電話がかけられています。

 電話を受けた人からは「なぜ、市役所からではなく、民間の知らない人から督促を受けるのですか」「自分の情報が第三者に漏れて怖い」「詐欺電話かと思いました」など戸惑いと不信の声が出されています。

 県は、滞納問題に関する私の質問に、市町村に対して「滞納者には、親身な相談、収納活動を心がけること」「徴収第一主義ではなく、本人の生活の困窮度などをよく把握した上で、きめ細やか、かつ柔軟な対応に努めること」を指導・助言すると答弁してきました。

 滞納者リストのコールセンター提供は、個人情報保護に抵触するではありませんか。滞納者への生活実態を全く鑑みることなく、納付だけを求める徴収第一主義そのものではありませんか。コールセンター事業の中止を求めます。

 次に国保の広域化についてです。

 現在、国保運営を都道府県に移管する新制度が検討されています。新制度では、県が域内の医療費を賄うのに必要な保険料総額の分賦金を市町村に割り当てることとされています。

 医療費が低い市町村の分賦金は低くし、医療費が高い市町村は分賦金を高くするなど、医療費削減を市町村に競わせる仕組みが検討されています。

 また、県が示す目標より高い収納率を上げた市町村は、低い保険料率を設定できるとし、保険料の徴収強化が狙われています。

 結局、国保広域化とは、国保会計への一般会計繰り入れ中止による保険料値上げの道であり、収納率目標設定による徴収強化、一部負担金減免など自治体独自の医療費助成制度の廃止・縮小など住民の利益に反するものです。広域化路線は中止すべきであります。所見を伺います。

【5.女性への格差と差別の是正について】

 次に女性への格差と差別の是正について伺います。

 世界経済フォーラムが毎年示す「男女の格差指数」調査で、日本は136か国中、105位の位置にあります。日本の女性の人権、平等の遅れは、国連・女性差別撤廃委員会や人権規約委員会などの国際機関から繰り返し改善が指摘されています。

 女性の賃金は正社員で男性の7割、管理職の女性比率は1割以下にすぎず、働く女性の半数以上がパートや派遣、契約社員などの非正規雇用におかれています。働く女性への差別と格差を是正し、労働条件や職場環境の改善は待ったなしの課題です。

 ところが、安倍政権の「女性の活躍推進」施策には、その要となる男女の格差是正や女性に対する差別撤廃の言葉も政策もありません。経団連は「女性の活躍推進は、女性のための施策ではない。企業の競争力を左右する経営戦略、日本経済の持続的な発展を可能にするための成長戦略そのもの」との政策提言を行い、ズバリ、女性を利益の道具にする意図を明らかにしています。

 「女性の活躍推進」と言いながら、「企業が世界一活躍しやすい国をつくる」ために、女性を都合よく活用し、利用することは、女性を二重三重にだまし、新たな女性への差別と格差を広げることではありませんか。

 知事に伺います。

 男女の賃金格差、妊娠・出産による退職や保育所不足、母子家庭をはじめとする貧困問題で女性がおかれている厳しい実態を直視し、法律や制度を改めるべきです。

 企業に対しては、男女の賃金格差やパート労働者への差別的取り扱いの禁止、育児や介護の休業・休暇の取得保障、復帰後の不利益扱いを行わないよう働きかけ、実効ある対策を講じるべきであります。所見を伺います。

 次に、一人一人の人権を認めない封建的な「家制度」・明治時代の家父長制度の名残である所得税法第56条についてです。

 所得税法第56条は「事業主の配偶者やその親族が事業に従事した時、対価の支払いは、必要経費に算入しない」と規定しています。そのため、妻など家族従業者の働き分は、すべて事業主の所得となり、どんなに働いてもただ働きで必要経費としては認められません。事業主の所得から控除される働き分は、配偶者86万円、家族50万円で最低賃金にも満たないものです。

 世界の主要国では、「自家労賃を必要経費」として認め、家族従業者の人格・人権、労働を正当に評価しています。憲法や男女共同参画社会基本法に基づき、人権侵害の所得税法第56条を早急に廃止すべきであります。所見を伺います。

【6.子どもの貧困対策について】

 次に子供の貧困対策について伺います。

 厚労省の調査で「子どもの貧困率」が過去最悪の16.3%となり、ほぼ6人に1人の子どもが貧困状態にあることが明らかとなりました。特に、ひとり親家庭の貧困率は54.6%にも及んでいます。

 政府が進めてきた雇用破壊と消費税増税、社会保障の切り捨てによって、「貧困と格差」が拡大しました。生活保護費削減や就学援助の縮小、一人親世帯への児童扶養手当のカットなどが、子どもを持つ生活困窮世帯を追い詰めています。

 昨年6月、「子どもの貧困対策法」が制定されました。対策法は「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備する」ことを掲げ、教育や経済的支援の実施を国の責務と明記しました。

 子どもの貧困対策をすすめるために、貧困率改善の数値目標の設定、児童扶養手当の拡充、給付型奨学金の導入、子どもの医療費の負担軽減などの抜本的支援策が必要と考えます。所見を伺います。

 次に就学援助についてです。

 島根県内の小中学生で就学援助を受給している生徒数は年々増加し、現在、約15%にのぼっています。

 就学援助制度は、「義務教育は無償」とした憲法第26条など関係法に基づいて、家計が苦しい小・中学生に学用品や給食費、修学旅行費、部活動などの費用を支給する制度です。

 県内の市町村教育委員会の実施状況を見ると、周知にあたって「自治体の広報誌に制度を記載」したり、「ホームページに制度を記載」、また、「就学案内の書類に記載」するなど様々な対応がとられています。

 また、準要保護認定基準としては、雲南市と邑南町で生活保護基準の1.5倍の基準が設定されていますが、認定基準が1.3倍、1.2倍の自治体もあり、中には基準そのものが設定されていない自治体もあります。

 子どもたちの教育を受ける権利を保障するために、就学援助制度のさらなる周知徹底をすすめるとともに、準要保護認定基準の対象は少なくとも生活保護基準の1.5倍とするよう市町村に助言すべきと考えます。教育長の所見を伺います。

【7.教育問題・学力テストについて】

 最後に教育問題・学力テストについて伺います。

 全国一斉学力テストは、「過度な競争や序列化」を招いています。

 学校では、子ども達の実態を無視した「テスト対策」や過去に出た問題を解かせる「過去問練習」やドリルが押し付けられ、テストのためのテストが繰り返されています。このような実態は、学力をつけるためではなく、テスト対策そのものではありませんか。

 県内のある市において、テスト実施日に「生徒の答案用紙を全員分コピーし、それを学校で独自採点せよ」との指示が教育委員会から出されました。この驚くべき事態に現場に混乱や戸惑いが生じました。

 松江市教育委員会は10月22日、全国学力テストの学校別成績を公表しました。

 公表にあたって、小学・中学校長会からは「学校がランク付けされ、子どもたちの自尊心が傷つけられる」との懸念が表明され、教育関係者からは「数字が1人歩きし、点数至上主義ともいえる過度な競争を招きかねない」との意見が出されました。保護者からは「うちの子の点数が悪くて学校に申し訳なく思います」「次のテストは、学校を休ませることにします」などの悲痛な声も出されています。

 公表することによるメリット、デメリットの議論が十分されることなく、関係者の合意がないままでの一方的公表によって、子どもや関係者は深く傷ついています。

 県教育委員会は、この度の松江市の学校別成績公表の弊害をどう認識していますか。また、いかなる問題意識を持っていますか。伺います。

 子どもを苦しめ、学校間の序列化を生み、学校現場を競争主義に駆り立てる学力テストの実施、テストの結果公表は行うべきではありません。

 真の学力向上の道は、少人数学級の実施や教育費の無償化など、子どもたちが安心して学べるための条件整備をすすめることです。そして、多忙を極める教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持っている保護者を支援することではありませんか。

 行政は、学校や家庭を励ます施策の充実にこそ力を入れるべきと考えます。教育長の所見を伺って質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画