2014 年 11 月定例会 知事提出議案に対する討論
2014-12-16 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
日本共産党県議団を代表して、条例案2件、一般事件案9件について委員長報告に反対する討論を行います。
第127号議案「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」
まず、第127号議案「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例は、県民税の均等割の税率の特例として課する「水と緑の森づくり税」の適用期間を5年間延長するものであります。
荒廃森林を再生させ水を育む緑豊かな森を次世代に引き継ぐ事業は重要であります。
しかし、本税の課税方式は、県民税均等割の超過課税であり、この税率は、個人に対し、県民税の均等割額年1,500円に500円を加算する均等割一律課税となっております。
税制面を考慮した際、この課税方式は、所得の低い人ほどその税負担割合が重くなる不公平なものであります。
よって、本条例には反対であります。
第128号議案「島根県核燃料税条例」
次に、第128号議案「島根県核燃料税条例」についてです。
島根県核燃料税は、昭和55年度に導入され、以降5年ごとに更新されてきました。
本条例は、原子力発電所の立地に伴う防災対策の強化に必要な財源を安定的に確保する目的で、稼働原発の核燃料に課してきた核燃料税を原発が停止中であっても、発電用原子炉の熱出力に応じて核燃料税を課税できる「出力割」課税を導入するものであります。
福島県は、2012年12月に核燃料税を廃止しました。その理由は「原発稼働を前提とする核燃料税は福島の状況にそぐわない」との理由からであります。
県民の願いは、原発再稼働はストップし、安全・安心の「原発ゼロの島根」をつくることにあります。
そのためにも、核燃料税など原発に依存する財政構造から脱却すべきであり、原発再稼働を前提とした核燃料税は廃止すべきであります。
よって本条例には反対であります。
第136号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立美術館)」
第139号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立東部総合福祉センター)」
第140号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立西部総合福祉センター)」
第141号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立はつらつ体育館)」
第145号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立浜山公園)」
第146号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立石見海浜公園)」
第147号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立万葉公園)」
第149号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立青少年の家)」
第151号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立古墳の丘古曽志公園)」
次に、公の施設の指定管理者の指定についてであります。
第136号議案ならびに第139号議案、第140号議案、第141号議案、第146号議案、第147号議案、第149号議案、第151号議案は、公の施設に民間会社を指定管理者として決定するものであります。
指定管理者制度がスタートして10年が経過し、全国的に制度の欠陥が明らかとなりました。制度の導入によって、施設の公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれたり、管理者が経営破たんして管理・運営を途中で投げ出すなど、深刻な問題も発生しています。
2010年12月の総務省通知でも、「指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものである」と強調しています。
すなわち、制度導入を単なる経費削減のツールとしてはならないことを指摘し、自治体は、利用者が安心できる施設運営と労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされる事業 者を選定するよう要請しています。
公の施設は、地方自治法第244条に規定されるように「住民の福祉を増進する」目的を持って、その利用に供するための施設でなければなりません。
公の施設を、公共性を持たず、営利を目的とする民間会社に任せ、代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか危惧されます。
よって、これら議案には反対であります。
また、第145号議案は、NPO法人出雲スポーツ振興21を指定管理者として決定するものであります。
NPO法人出雲スポーツ振興21においては、2006年に職員の合意なきまま一方的に就業規則を改正し、職員はすべて一年間の期限付き契約職員とするなどの不利益変更を実施しようとしていたことが明るみになりました。
そして、職員の不当解雇が行われ、訴訟となり、松江地裁の労働審判において法人側が違法行為を自認した上で和解がはかられた経緯がございます。
この点からも本法人の指定には疑義が残らざるをえません。
公共サービスを維持・向上するためには、指定管理者が労働法令を遵守することは当然のことであります。
県として、不公正運営にあたっては、機敏なる実地調査や必要な指示を行うよう強く求めるものであります。
以上で、討論を終わります。