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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2014 年 11 月定例会 平成 25 年度決算認定に対する討論

2014-12-16 この記事を印刷
 日本共産党の萬代弘美です。
 日本共産党県議団を代表して、一般会計及び特別会計、病院事業会計、公営企業会計の6件の決算認定について、認定とした委員長報告に対し、反対の討論を行います。
 予算並びに決算は、政治の顔、政治の鏡であると言われています。
 議会における決算確定は、次年度の予算編成に資するため、広範な角度から住民の立場で行政評価を検証するものです。この立場から、討論を行います。

 平成25年度一般会計及び特別会計の認定について

 まず、認定第3号議案「平成25年度一般会計及び特別会計の決算認定について」です。
 財政分析指標を見ると、公債費負担比率は28.7%で、前年度に比べ、0.8ポイント減少し、実質公債費比率は13.2%で、前年度に比べ、1.4ポイント減少したものの、依然として高い状況が続いています。
 地方債現在高は、9,914億円余であり、前年度に比べ、27億6千万円余減少しましたが、未だ厳しい財政状況です。
 県財政悪化の原因は、この間の身の丈を超えた公共投資にありました。財政再建にあたって大切なことは、不要不急、県民合意のない事業にメスを入れ、くらし、福祉を充実させ、県民所得を増やす適切なる施策を講じることです。
 県内において、経済的自立が難しいといわれる年収200万円未満で働く労働者は、37%にのぼっています。そして、労働者の35%が身分が不安定な非正規の雇用形態となっています。
 また、世帯所得が100万円未満の世帯は11%にものぼり、世帯所得300万円未満の世帯は4割にも達しています。ますます貧困と格差が拡大し、県民の苦悩は広がっています。
 国が消費税増税や社会保障切り捨てなどくらしを脅かす政治を押し付けてきた時、県政は県民生活を防衛するために、それに立ちはだかって県民のくらしと福祉を守る防波堤の役割を果たすべきです。
 今日、国保や介護など社会保険料未納者が社会保障制度から排除され、命が脅かされています。この事態を解決することこそ、県政の喫緊の課題です。
 県民のくらしの実態と県政の施策を鑑みた際、決算は不認定とせざるを得ません。

 各論

 各論的に10点申し上げます。
 第1に、財政健全化基本方針に基づき、行政の効率化・スリム化の名のもとに、職員定員削減など総人件費抑制策が進められました。この10年間で1000人の定員削減が実施されました。給与や職員定員削減によって職員の士気や組織の活性化が低下し、県民サービスの低下につながっています。正規職員をはじめ、臨時、嘱託職員の労働条件改善を求めます。
 第2に、事務事業の見直しによる一般施策経費の削減は、市町村への負担転嫁となりました。住民に身近なサービスを提供する市町村への支援策を充実するべきです。
 第3に、県税や社会保険料を滞納した低所得者に対する無慈悲な差し押さえが実行されています。平成25年度の個人住民税の差し押さえ件数は1,569件、国民健康保険料の差し押さえ件数は650件に及び、生活に困窮した県民への生活再建支援に力を注ぐべきです。
 第4に、所得が減少し、生存権が脅かされるもと、民生費、衛生費などの社会保障予算が貧困です。
 平成25年度、後期高齢者医療制度における短期証の発行数は273人に及び、国民健康保険の滞納世帯は加入世帯の1割にあたる約9,000世帯に及び、その制裁措置として命綱である保険証を取り上げられた世帯は、約650世帯に達しています。平成25年度末の介護保険料未納者数は3,904人にのぼり、前年度末より213人も増加しています。
 県として、市町村の国保会計に法定外独自支出金を拠出し、また、介護保険の負担軽減措置を講じるなど、人間としての尊厳を守る社会保障の充実に向けた施策を強化すべきです。
 第5に、城山北公園線拡幅事業や松江北道路建設など、事業目的が破綻し、県民の合意なき事業は中止し、見直すべきです。また、県が行う建設事業に対して、市町村へ過大な負担を求めるべきではありません。
 第6に、持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生、耕作放棄地の解消に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきです。
島根の農業と地域経済を守るために、県として、農林水産業を土台から破壊し、食の安全、医療、雇用などのルールを壊すTPP交渉参加撤退の意思を表明するべきです。
 第7に、企業誘致偏重から、地域に根を張って頑張る中小企業、地場産業育成に商工予算の柱をシフトすべきです。地域に根ざした中小企業、地場産業、農林漁業を総合的に支援してこそ、安定した雇用と仕事をつくり出すことができます。内発型・循環型の地域振興策の推進を求めます。
 第8に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては、同和教育をすべての教育の基底に据え、同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。
民間の同和団体に対する突出した補助金支出が逆に不公正を生み出しています。同和教育は終結し、運動団体への補助金は、他の補助金交付団体との公平性を図るべきです。同和対策事業の法的根拠が消滅した以上、県の組織や事業名称に同和という表現や特別な扱いは直ちにやめるべきです。
 第9に、子どもを苦しめ、学校間の序列化を生み、学校現場を競争主義に駆り立てる学力テストの中止を求めます。ましてや、テストの結果公表など論外です。
 真の学力向上の道は、少人数学級の実施や教育費の無償化など、子どもたちが安心して学べるための条件整備をすすめることです。そして、多忙を極める教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持っている保護者を支援することです。
本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やし、臨時教職員の待遇改善を求めます。
 最後に、県民の命と安全を守ることこそ、県政の最大の使命です。原発事故のリスクはあまりにも巨大です。安全な原発などありません。県として、原発からの撤退を決断し、自然エネルギーの普及と促進に向け、知恵と力を注ぐべきです。

 平成25年度島根県病院事業会計決算の認定について

 次に、認定第1号議案「平成25年度島根県病院事業会計決算の認定について」です。
 経営効率化による民間委託推進は、医療機関の医療に対する責任が曖昧にされ、病院が自らやるべき業務や安全、衛生等についてのチェックが弱まり、県民サービスの低下が懸念されます。
 県立中央病院では、希望者に対して看護師2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては、安全・安心な看護の提供の面から有害です。
 県民誰もが安心して県立中央病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料徴収など保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきです。

 平成25年度島根県公営企業会計決算について

 最後に、第120号議案、第121号議案、第122号議案、認定第2号議案の電気事業、工業用水道事業、水道事業、宅地造成事業の公営企業会計決算についてです。
 島根県公営企業は、県内河川に多目的ダムを建設し、水力発電を開発し、上水道、工業用水道事業を行い、その工業用水によって工業団地を造成するなど、これらの事業の一連の実施を基本としています。
 この事業形態は、過大な需要予測により、多額な投資に見合う需要が期待できず、損失負担が県民に転嫁される弊害が生まれています。
 江の川水道事業や斐伊川水道建設事業は、積算根拠・需要予測を誤ったため、使わない水まで住民負担となっており、高い水道料金に市民の悲鳴があがっています。
 斐伊川水道事業の事業目的は、人口増加による水需要の増加にありました。しかし、尾原ダムの水使用率は6割しかなく、4割の水は使われていません。その使わない水までも住民負担となっています。最大の受水団体である松江市においては、多額な受水費負担によって水道経営が悪化し、来年1月からの水道料金値上げが予定されます。
 平成25年度の松江市の給水停止実施件数は、906件にものぼっており、県として受水団体の資本費負担軽減を図るなど料金軽減策を講じるべきです。 
 今回の決算審査にあたり、日本共産党県議団は、全体会・分科会におきまして、100項目を超す質疑、資料の提供を求めました。
 審査過程において、すべての執行部の皆さんから誠意あるご回答、ならびに資料のご提供を頂きました。心からの感謝を申し上げまして、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画