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2015 年 9 月定例会 一般質問 (戦争法案について、原発問題について、地方創生・地域活性化について、介護保険について、松江北道路について)

2015-09-17 この記事を印刷
日本共産党
尾村利成
9月定例会一般質問原稿

 日本共産党の尾村利成でございます。
 質問の第一は、戦争法案、安全保障関連法案についてです。

【1.戦争法案(安全保障関連法案)について】
 今、日本は、戦争か、平和か、国のあり方、将来の命運を左右する大きな歴史の岐路に立っています。
 安倍政権は、アメリカのあらゆる戦争に自衛隊を参戦させ、日本を「海外で戦争する国」にする安全保障関連法案、いわゆる戦争法案を強行しようとしています。
 国民の大多数が「憲法違反」と批判の声を上げ、8割が「政府は納得のいく説明をしていない」という法案を、数の暴力で強行することは、憲法9条に反するだけでなく、国民主権の大原則に反する暴挙です。
 戦後70年間、日本国憲法の下で培われてきた平和主義、立憲主義、民主主義を根本から破壊しようとする安倍政権には、一片の道理もありません。わが党は、戦争法案廃案に向けて、最後の最後まで国民とスクラムを組み、全力を尽くすことを表明するものです。
 衆参両院での国会論戦を通じて、本法案が最悪の違憲立法であることがはっきりしました。
 戦争法案は、アフガニスタン戦争、イラク戦争のようなアメリカが行う戦争に、自衛隊が「戦闘地域」まで行って、武器・弾薬や燃料の補給、兵員の輸送など「兵たん」活動を行うこととしています。自衛隊員が攻撃のターゲットにされてしまうではありませんか。
 また、形式上は、停戦合意があっても、なお戦乱が続いている地域に自衛隊を派兵し、治安活動に取り組ませ、任務遂行のための武器使用を認めるとしています。自衛隊を「殺し、殺される」戦闘に参加させることになるではありませんか。
 そして、日本がどこからも攻撃されていないのに、時の政権の判断で集団的自衛権を発動し、違法な先制攻撃の戦争に参戦することです。ここに集団的自衛権行使の一番の危険があります。日本を「侵略国」の仲間入りさせる戦争法案は絶対に認めるわけにはなりません。
 知事に伺います。
 知事は、本法案を「合憲」と考えていますか、それとも、「違憲」と考えていますか。知事として、憲法第99条の「憲法尊重擁護義務」に則り、憲法を守る最大限の行動をとるべきではありませんか。所見を伺います。
 法案に対して、圧倒的多数の憲法学者、歴代の元内閣法制局長官、元最高裁判所長官までが戦争法案は「憲法違反」と明言しています。8月30日には、戦争法案廃案を求め、12万人が国会を包囲し、全国で1000カ所を超す行動が取り組まれました。島根県内でも、弁護士会、島根大学や県立大学の教職員有志、若者など多くの県民が「法案ストップ」の声を上げています。今現在も、国会周辺で、そして、全国各地で「強行採決絶対反対」「憲法守れ」と国民が声を上げ続けています。知事は、この声を、そして、県民の平和を希求する願いと行動をどのように受け止め、認識していますか、伺います。
 本法案の審議過程で、わが党は、自衛隊の2つの内部文書を暴露し、国民と国会を無視した自衛隊の暴走実態を明らかにしました。
 その一つは、戦争法案成立を前提にした作戦計画が既に立案・検討されていたことです。内部文書では、自衛隊を「軍」と呼び、米軍との「軍軍間の調整所」の設置が明記されていました。平時から米軍の指揮下に自衛隊が組み込まれることが判明したのです。
 もう一つは、自衛隊トップの統合幕僚長が昨年12月にアメリカに行き、米軍の幹部と会談し、今年の夏までに戦争法案成立を約束していたということです。
 自衛隊と米軍との間で日本の国会を無視し、そして、国民を無視して法案成立時期まで約束するなど、まさに、「軍部の独走」ではありませんか。対米従属そのものではありませんか。言語道断の大暴走です。
 本法案成立によって、日米の軍事一体化がさらに強化されるに違いありません。
 今でも、県西部で無法な米軍機の低空飛行訓練が行われています。この訓練がいっそう増加し、県民の平穏な生活が脅かされることは火を見るよりも明らかです。
 県東部も危険です。2007年10月、米子空港は、米軍との共同使用基地、すなわち米軍基地化されました。既に日米共同統合演習や米軍部隊との共同訓練も行われています。美保基地がさらに米軍基地化・基地機能の強化が拡大されることも必至です。島根の平和と安全がいっそう脅かされ、危険が高まるではありませんか。知事は、どうお考えですか、伺います。
 憲法に反し、民意を無視し、軍が暴走し、そして、島根の平和を壊す戦争法案は廃案以外にありません。このことを強調して次の質問に移ります。

【2.原発問題について】
 次に島根原発について伺います。
 8月11日、九州電力は、川内原発1号機を再稼働させました。福島原発事故の事故原因が究明されない中、再稼働に反対する国民多数の民意を踏みにじっての再稼働は許せません。
 鹿児島県内には、原発から30キロ圏内に、9つの自治体があります。しかし、鹿児島県と原発が立地する薩摩川内市の同意だけで再稼働が決まりました。
 一度、過酷事故が起きれば、深刻な被害が及ぶことが予想される鹿児島、熊本、宮崎3県の10市町議会が住民説明会の開催に求める決議や陳情を採択しました。しかし、この願意をまったく無視して、再稼働を強行したのです。
 住民の声を「聞く耳」さえ持たないという態度は、国民、住民の命と安全を置き去りにし、民主主義をないがしろにするものと言わざるを得ません。
 福島原発事故以降、原発立地自治体及び原発周辺30キロ圏内の自治体には、避難計画策定が法律で義務付けられました。しかし、原発立地自治体以外の自治体には、原発の再稼働に対して同意、不同意する権限も電力会社と協議する権利も与えられていません。
 避難計画の策定を義務づけながら、避難しなければならない根源、原因である原発稼働についての不同意権が与えられていないことは、あまりにも不平等、不条理と言わざるを得ません。
 そこで、この不条理を正すための立法措置が必要と考えます。国に対して、原発被害が想定されるすべての自治体に、原発再稼働の同意権、不同意権を保障する立法措置を講じるよう求めるべきで す。所見を伺います。
 次に、中国電力の偽造問題についてです。
 中国電力は、6月30日、低レベル放射性廃棄物を処理する機器の検査報告書の偽造を公表しました。
 中電は、5年前の2010年に、511ヵ所もの点検漏れを起こし、不正をしない・ルールを守るという、コンプライアンス最優先の業務運営を掲げ、再発防止対策を継続実施中でありました。
 しかし、今回の偽造は、中電のこれまでの改善策がまったく機能せず、うわべを取り繕うだけのものであったことを明白にしたではありませんか。
たび重なる不正は、中電が原発は事故を起こさないという「安全神話」に浸かっていること、そして、中電がこの地域で唯一の電力供給源となっているというおごり、目に余る異常体質が改めて露呈したものです。
 この間、中電は、岡山県の土用ダムの測定データ改ざん、下関発電所の地元自治体と交わした公害防止協定違反、西郷発電所のばい煙規制値超過による大気汚染防止法違反、原発内での相次ぐ火災の発生、不適切事案に対する行政処分、活断層の見落としなど、幾度となく県民を裏切り続けてきました。問題発覚の度に謝罪はするものの、安全対策や長年の構造的な隠ぺい体質がまったく改善されていないではありませんか。
 県民からは、「全国最多の不正を続ける中電に原発を運転する資格などない」「もう中電は信用できない」との厳しい批判と怒りの声が上がっています。
 県としての責任も問われています。それは、中電の相次ぐ不正事案に対し、県が毅然とした対応をとらず、中電を甘やかしてきたからです。
 5年前、511ヵ所もの点検漏れが発覚した際、私は、中電の隠ぺい体質、おごりを厳しく批判し、中電の運転は「不適正」であることを強調しました。私が何度となく適正な運転ではないと指摘しても、県は、決して、中電の運転を「不適正」とは認めませんでした。
なぜなら、「不適正」な運転と答弁すれば、プルサーマルの了解条件が崩れてしまうからです。それは、プルサーマルの了解条件に、中電の運転が「適正」であるという条件が付されていたからです。すなわち、プルサーマル了解を撤回しないために「不適正」と認定しなかったのです。
 不正の第一義的責任は、中電にあります。しかし、国と県の原発、プルサーマル推進の姿勢が中電が不正を起こす温床となっていることを深く反省すべきであります。二度と不正をさせないためにも、自治体と住民による中電への監視・チェック体制を強化することが必要です。
 原発立地自治体の松江市には、立ち入り調査権・原子炉停止要求権が付与されています。この松江市並みの厳しい協定を、出雲市、雲南市、安来市の周辺自治体とも中電に締結させるべきです。
 県として、中電に周辺自治体と松江市同等の協定を締結させるようイニシアティブを発揮すべきです。所見を伺います。
 また、住民に対する説明責任を果たさせるためにも、中国電力に対し、偽造問題の再発防止策についての住民説明会開催を強く要求するべきです。所見を伺います。

【3.地方創生・地域活性化について】
 次に、地方創生・地域活性化について伺います。
 今、地方は、住民のくらしの困難、福祉・医療の危機、地域経済の衰退など、深刻な問題に直面しています。
 政府の地方創生論の決定的な問題は、なぜ、地域経済が衰退し、地方消滅ともいわれる危機的状態が生まれているのかについて、分析していないところにあります。
 私は、地方衰退の原因は、1980年代半ば以降の「経済のグローバル化」と「構造改革」路線にあったと考えます。
 1985年のプラザ合意、1986年の前川レポートをきっかけに、日米貿易摩擦の回避策として、貿易黒字産業であった自動車や家電資本の海外シフトが急速に進められました。その一方で、農産物や石炭、繊維品等の積極的輸入政策がとられました。
 こうして、大企業を中心とした海外直接投資が増加し、海外への生産シフトによって、国内工場の閉鎖や縮小が相次ぎました。
 前川レポート以来、農産物等の市場開放と輸入自由化政策、規制緩和が次々行われ、地方の主要産業である農林水産業や地場産業に大打撃を与えました。そして、大規模小売店舗法の廃止が身近な商店街をつぶすなど地域経済を破壊することとなりました。
 そこに、市町村合併と三位一体の改革による地方交付税・補助金の削減が地域の衰退を加速させました。地方財政の縮小が住民生活を守る施策の切り捨てとなり、平成の大合併で役場や公共施設がなくなり、周辺部や中山間地域の活力が失われたのです。
 すなわち、地域衰退の最大の原因は、地域と国民生活を切り捨て、多国籍大企業の利益を増やすための構造改革、そして、市町村合併、三位一体改革などの推進にあったのではないでしょうか。
 知事は、地方が衰退した原因はどこにあると考えていますか。地方創生をすすめるにあたって、地方衰退の原因を解明・検証することなく、間違った戦略・処方箋では、地方再生などあり得ません。知事の所見を伺います。
 地域を再生するためには、国民が全国のどこに住んでいても、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」が営めるようにナショナルミニマムを保障することが必要です。
 賃金、子育て、福祉、教育について、地域で不当な格差が生じてはなりません。県民は、社会保障切り捨てや労働法制の規制緩和で、生活不安・将来不安を増大させています。不安定雇用と低賃金を改善し、社会保障を抜本的に拡充させるべきではありませんか。所見を伺います。
 アベノミクスの根本にある考え方は、「大企業や大金持ちが利益を増やせば、国民にも、滴り落ちる」というトリクルダウンです。言いかえれば、「企業の収益が上がれば、やがて賃金にも回る」という経済政策です。これでは、景気回復につながらず、格差と貧困が一層拡大することがはっきりしたではありませんか。
 安倍内閣がすすめる消費税増税、社会保障切り捨て、雇用破壊、TPP推進の「アベノミクス」は、地方創生に逆行し、地方をさらなる衰退へと追い込むものではありませんか。知事の所見を伺います。
地域再生のためには、地域に根を張って頑張る中小企業、産業を応援し、地元の資源を生かした魅力ある事業発展を支援し、農林水産業を地域経済の柱に位置付け、地域農業の持続的発展を追求する施策こそ重要です。
 地域活性化のためには、域内の経済循環を太くしなければなりません。地元業者を積極的に支援し、持続可能な農業経営を確立することが必要であり、地域内再投資力を強化することが必要と考えますが、所見を伺います。

【4.介護保険について】
 次に介護保険について伺います。
 4月に介護事業者に支払われる介護報酬は、マイナス2.27%の切り下げ改定が行われました。2.27%引き下げは、加算を加味した数字であり、基本報酬部分は4.48%引き下げであり、新規加算を算定できなければ、大幅引き下げとなります。
 介護報酬引き下げは、事業所経営に大きな打撃を与え、賃金・労働条件の悪化につながり、ひいては、介護サービスの低下につながる負の連鎖となっています。今後の経営が見通せない小規模通所介護など零細事業所を中心に、撤退・廃業を呼び起こしかねません。
 政府は、地域包括ケアシステムの構築の推進を声高に叫びますが、介護報酬切り下げは、地域を疲弊させ介護崩壊を招きかねないものです。
 8月からは、新たな利用者負担が始まりました。利用料の本人負担は、2000年に介護保険が始まってからずっと1割でした。しかし、合計所得160万円以上の人は、2割負担に引き上げられました。年金収入が実質的に減少する中、1割負担でも大きな負担となっているのに、一挙に2倍の負担増加となり、必要なサービスをやめたり、減らしたりする人も生まれています。
 また、8月からは、低所得の施設利用者の居住費・食費の補助(補足給付)の対象要件が厳しくされました。配偶者が住民税課税の場合などは補助対象から外されたのです。
 私は、この間、事業者やケアマネージャー、介護福祉士、利用者とそのご家族さんから介護報酬引き下げや利用者負担増加の影響など様々なご意見を伺ってきました。
 事業者やケアマネからは「相次ぐ介護報酬の引き下げで事業継続の見通しが立ちません」「報酬単価が低く、収入減で職員確保が困難になります」などの声をお聞きしました。
 また、利用者や家族からは「補足給付を受けるためになぜ通帳のコピーや照会の同意書まで提出しなければならないのですか」「配偶者の承諾書まで提出させるなど、生活保護の申請でもやらないのに」などの怒りの声が出されています。
 国民に犠牲を強いる介護保険の改悪は、中止・撤回すべきであり、安全、安心の公的介護拡充を図らなければなりません。以下、4点伺います。
 第1に、介護報酬引き下げが事業経営やサービス提供に如何なる悪影響を与えていますか。また、介護保険料の引き上げや8月からの利用者負担増による被保険者・利用者の苦悩を県は、どのように認識していますか。
 第2に、介護報酬引き下げは、介護崩壊に拍車をかけています。報酬改定後の事業者や介護労働者、利用者の実状や影響などの実態調査を実施すべきです。いかがですか。
 第3に、補足給付(居住費・食費の補助)の対象から外れる利用者の中に、施設から退所せざるを得ない人やショートステイの利用を控える人が生まれつつあります。施設への入所が継続できるよう、国に対策を求めるとともに、県としての支援策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 第4に、国に対し、報酬切り下げ撤回、介護保険の国庫負担引き上げを強く求めるべきです。所見を伺います。

【5.松江北道路について】
 最後に松江北道路ついて伺います。
 私は、先の6月議会で、公共事業政策で大切なことは、1つに住民に喜ばれる事業であること、2つに住民の合意のない事業は実施しないこと、3つに土砂災害対策など県民の命・安全を守る事業を最優先すること、の3点を強調しました。
 松江北道路建設について、「道路の完成は15年後か20年後であり、本当に必要な道路でしょうか」「自然・環境を壊さないでほしい」「農地をつぶさないでほしい」などの住民の懸念の声を紹介しました。
 わずか1キロの現道拡幅である城山北公園線拡幅事業は、事業化以来、15年の歳月を要する見込みです。道路延長5キロの松江だんだん道路は、完成まで10年かかりました。なぜ、こんなに時間がかかったのでしょうか。言うまでもありません。住民の理解が得られず、用地買収に行き詰まったのです。
 松江北道路建設について、沿線住民から、そして、多くの市民からも、事業そのものへの疑義の声が多数寄せられています。
 そこで、3点伺います。
 第1に、事業化後、何年程度での事業完成を見込んでいますか。
 第2に、松江北道路建設事業に反対し、事業を憂い、疑問視する住民の声に対し、如何なる対応をとる考えですか。今後の事業の進め方、対応方針を伺います。
 第3に、住民の「理解と合意」なき事業は絶対に強行してはならないと考えますが、県の認識をお示しください。そして、住民の「理解と合意」を如何なる物差し・指標で諮るつもりですか。
 住民の理解と合意なきまま事業をすすめるべきではないことを、改めて強調して、質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画