2015 年 11 月定例会 平成 26 年度決算認定に対する討論
2015-12-18 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成です。
日本共産党県議団を代表して、一般会計及び特別会計、病院事業会計、水道事業会計の3件の決算認定について、認定とした委員長報告に対し、反対の討論を行います。
予算並びに決算は、政治の顔、政治の鏡であると言われています。
議会における決算確定は、可決された予算が正確に執行されたか否か、係数が正確であるかどうかを審査するだけではなく、次年度の予算編成に資するため、広範な角度から住民の立場で行政評価を検証するものであります。この立場から、討論を行います。
平成26年度一般会計及び特別会計の認定について
まず、認定第4号議案「平成26年度一般会計及び特別会計の決算認定について」です。
今、地方は、住民のくらしの困難、福祉、医療の危機、地域経済の衰退など、深刻な問題に直面しています。
島根県民のくらしの現状は、どうでしょうか。県内において、非正規労働者は増え続け、雇用者に占める非正規割合は、35%を超え、経済的自立が難しいと言われる年収200万円未満で働く労働者は、約4割にのぼっています。
また、世帯所得が100万円未満の世帯は、1割を超え、世帯所得300万円未満の世帯は、4割にも達しています。
安倍内閣がすすめる消費税増税、社会保障切り捨て、雇用破壊、TPP推進のアベノミクスは、地方創生に逆行するものです。この道は、地方を更なる衰退へ追い込み、貧困と格差を拡大し、県民生活を苦しめるものに他なりません。
地方自治体の仕事は、地方自治法第1条に規定する通り、「住民の健康と福祉を増進し、住民の安全を守る」ことにあります。
くらしが大変になっている時だからこそ、自治体が安倍政権の社会保障削減、暮らし圧迫の間違った政治を県政に持ち込むのか、それとも、それに立ちはだかって、県民のくらしと福祉を守る防波堤としての役割を果たすのかが、鋭く問われています。
今日、国保や介護など、社会保険料未納者が社会保障制度から排除され、県民の命が脅かされています。この由々しき事態を解決し、生存権を保障することこそ、県政の喫緊の課題であり、県政の使命であるはずです。国言いなりの政治から脱却し、住民の福祉を増進する自治体の本来の仕事に全力を尽くすべきです。
以上の立場から、県民のくらしの実態と県政の施策を鑑みた際、決算は不認定とせざるを得ません。
各論
各論的に10点申し上げます。
第1に、職員定員削減など総人件費抑制策によって、職員の士気や組織の活性化が低下しています。そのことが、県民サービスの低下につながっています。これ以上の職員定員削減を中止し、正規職員をはじめ、臨時、嘱託職員の労働条件改善を強く求めます。
第2に、事務事業の見直しによる一般施策経費の削減によって、市町村へ負担が転嫁されました。住民に身近なサービスを提供する市町村への支援策を充実するべきであります。
第3に、県税や社会保険料を滞納した低所得者に対する無慈悲な差し押さえが実行されています。平成26年度の個人住民税の差し押さえ件数は1,275件、国民健康保険料の差し押さえ件数は569件に及んでいます。生活に困窮した県民への生活再建支援に力を注ぐべきです。
第4に、所得が減少し、生存権が脅かされるもと、民生費、衛生費などの社会保障予算が貧困であります。平成26年度、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度において、短期保険証の発行数は275人に及んでいます。国民健康保険では、加入世帯の1割にあたる約9,000世帯が滞納している状況です。そして、その制裁措置として、命綱である保険証が取り上げられた世帯は、650世帯にも達しています。また、平成26年度末の介護保険料未納者数は3,910人にものぼっています。大変な事態ではありませんか。ここを直視すべきであります。
高い国保料・税を引き下げるため、県として、市町村の国保会計に法定外独自支出金を拠出すべきです。介護保険の負担軽減措置を講じるなど、人間としての尊厳を守る社会保障の充実への施策を強化すべきであります。
第5に、松江北道路建設など、県民の理解と合意なき事業は中止し、見直すべきです。また、県が行う建設事業に対して、市町村へ過大な負担を求めるべきではありません。
第6に、農業において、持続可能な農業経営の実現、島根農業の再生に向け、価格保障と生産コストをカバーする支援策を講じるべきです。県として、農林水産業を土台から破壊するTPP反対の意思を表明し、農家への応援メッセージを発信するべきです。
第7に、企業誘致頼みから脱却し、地域に根を張って頑張る中小企業、地場産業育成にこそ、商工予算の柱をシフトすべきです。地域に根ざした中小企業を支援してこそ、安定した雇用と仕事をつくり出すことができます。内発型・循環型の地域振興策の推進を求めます。
第8に、同和対策事業の特別措置法が終結したにもかかわらず、本県においては、同和教育をすべての教育の基底に据え、同和教育を特殊化、別格化する立場に今も固執しています。
民間の同和団体に対する突出した補助金支出が逆に不公正を生み出しています。同和教育は終結し、運動団体への補助金は、他の補助金交付団体との公平性を図るべきです。
第9に、子どもを苦しめ、学校間の序列化を生み、学校現場を競争主義に駆り立てる学力テストの中止を求めます。ましてや、テストの学校別結果公表など論外であります。
真の学力向上の道は、少人数学級の実施や教育費の無償化など、子どもたちが安心して学べるための条件整備をすすめることです。そして、多忙を極める教職員の勤務環境を改善し、経済的困難を抱え、子育てに不安を持っている保護者を支援することです。
本県教育が臨時的任用教職員によって支えられている現状を是正するために、正規教職員の採用を増やし、臨時教職員の待遇改善を求めます。
最後に、県民の命と安全を守ることこそ、県政の最大の使命です。安全な原発などありえません。県として、技術的な未完成な原発からの撤退を決断し、自然エネルギーの普及と促進に向け、さらなる知恵と力を注ぐべきです。
平成26年度島根県病院事業会計決算の認定について
次に、認定第1号議案「平成26年度島根県病院事業会計決算の認定について」です。
県立中央病院では、希望者に対して看護師2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては、安全・安心な看護の提供の面から有害であります。
県民誰もが等しく、安心して県立中央病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など、保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきです。
平成26年度島根県水道事業会計決算について
最後に、第126号議案、「平成26年度島根県水道事業会計の利益剰余金の処分及び決算の認定について」です。
江の川水道事業や斐伊川水道建設事業は、積算根拠・需要予測を誤ったため、使わない水まで住民負担となっており、高い水道料金に市民の悲鳴があがっています。
斐伊川水道事業の事業目的は、人口増加による水需要の増加にありました。しかし、この人口が増加するとの事業目的は完全に破綻しました。
尾原ダムの水使用率は6割しかなく、4割の水は使われていません。その使わない水までもが住民の負担となっています。
平成26年度の松江市の給水停止実施件数は、835件にものぼっています。県として、高い水道料金を引き下げるため、受水団体への資本費負担軽減を図るなど、料金軽減策を講じるべきであります。
日本共産党県議団は、今回の決算審査にあたり、全体会・分科会において、100項目を超す質疑、資料の提供を求めました。
審査過程において、すべての執行部の皆さんから誠意あるご回答、ならびに資料のご提供を頂きました。
心からの感謝とお礼を申し上げまして、討論を終わります。