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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2016 年 9 月定例会 一般質問 (米軍低空飛行訓練・美保基地機能強化、地震・津波対策、原発耐震安全性・地震性隆起、JR 三江線の存続、地域医療構想、保育制度の拡充と処遇改善)

2016-09-16 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。
 質問の第一は、米軍低空飛行訓練・美保基地機能強化についてであります。

【1.米軍低空飛行訓練・美保基地機能強化について】
 昨年9月19日に強行採決された「平和安全保障法制」が成立して一年を迎えようとしています。「平和安全保障法制」は、憲法9条が禁じる国際紛争解決のための武力行使を可能とするものであり、憲法違反であることは明白であります。
 この法律は、日本が攻撃されてもいないのに、アメリカなどの戦争に参戦する法律で、その内容は、まぎれもなく「戦争法」であります。
 安倍政権は、「戦争法」に基づき、自衛隊に南スーダンでの国連平和維持活動・PKOの「駆けつけ警護」などの任務を追加し、訓練開始を決定しました。
 激しい戦闘が続く南スーダンは深刻な内戦状態におかれ、まさしく戦場です。南スーダンで、自衛隊が武器を使用すれば、「殺し、殺される」深刻な事態が起こりかねません。自衛隊を海外の戦場に送ってなりません。今すぐ憲法違反の「戦争法」は廃止すべきです。
 島根県内においても、平和の問題で危険な動きが具体化し、加速しています。
 島根県西部地域では、米軍機の低空飛行訓練による被害が拡大しています。地域住民は、日々、米軍機の爆音や事故等の不安に悩まされ続けています。子どもたちは爆音に脅え、これまでに、衝撃波で窓ガラスが割れる事態も発生しました。
 このような中、来年1月以降、米軍岩国基地に核兵器の搭載が可能な「F-35Bステルス戦闘機」が16機配備されようとしています。「F-35Bステルス戦闘機」配備によって、基地の戦闘攻撃能力は、格段に強化され、騒音、飛行事故など周辺住民への危険性が一気に高まります。また、岩国基地強化は、島根県西部地域での米軍機による無法な低空飛行訓練の拡大に直結するものであります。
 そこで伺います。
 島根県としても、岩国基地のステルス戦闘機配備や厚木基地からの空母艦載機移駐など、基地機能強化に反対するべきです。そして、国に対して、米軍機の無法な低空飛行訓練中止を強く求めるべきであります。
 島根県東部においては、どうでしょうか。2007年10月31日、米子空港は日米地位協定の適用ある施設・区域とされ、米軍基地化されました。
 航空自衛隊・美保基地に、C2輸送機や大型ヘリ配備が計画されており、周辺住民から、基地強化による被害発生の不安が高まっています。
 そして、9月8日には、中四国防衛局から、新たに美保基地に「空中給油・輸送機(KC-46A)」を配備したい旨の申し入れがありました。
 C-2、大型ヘリに続く、空中給油・輸送機配備は、美保基地の性格を国土防衛からアメリカの引き起こす戦争の出撃基地へと、さらなる基地機能強化をはかるものにほかなりません。
 空中給油・輸送機は、戦争法によって米軍機やオスプレイへの給油も可能となり、住民の命と安全を脅かす危険極まりないものであります。配備中止を強く求めます。
 米軍機による低空飛行訓練や美保基地のさらなる機能強化は、集団的自衛権の行使を容認し、「日本を海外で戦争する国」に変えようとする安倍内閣の危険な流れと一体のものです。
 戦争法は廃止し、憲法9条を生かしてこそ、平和な日本、安全な島根をつくることができることを強調して次の質問に入ります。

【2.地震・津波対策について】
 次に、地震・津波対策について伺います。
 7月1日、政府の地震調査推進本部は、島根県東部地域において、「マグニチュード6.8以上の地震が今後30年以内に発生する確率は40%」とする衝撃的な長期評価を公表しました。
 4月に地震が発生した熊本の地震発生確率は、18%から27%との予測でした。この点から、この度の島根県東部地域の40%という地震発生確率の評価は、厳重なる警戒と十分なる備えの必要性を教示しているのではないでしょうか。
 県民の命と安全を守るためにも、この長期地震評価の精査・研究が急務の課題です。「未知なる活断層調査」の実施や「活断層上への建築物建設の規制」など、抜本的な地震対策を講じるべきではありませんか。所見を伺います。
 4月の熊本地震は常識を覆しました。最初の大きな揺れの2日後に、さらに大きな揺れが起きたことは、これまでの想定ではありませんでした。複数の活断層が連動して地震を起こし、広範囲で地震活動が活発化したことも未経験の事態です。
 全国には、2,000を超す活断層があるとされ、いつ、どこで大地震が発生するかわかりません。熊本地震の教訓をふまえ、警告の出し方や避難の仕組み、建物の耐震基準のあり方など、抜本的に見直し・強化すべきと考えます。所見を伺います。

【3.原発の耐震安全性・島根半島の地震性隆起について】
 次に、原発の耐震安全性・島根半島の地震性隆起について伺います。
 中国電力は、島根半島が地震に伴って隆起した事象について、一切の調査・解析を行っていません。
 そこで、日本共産党県議団は、松江市議団とともに、今年2月から、地質学が専門の立石雅昭・新潟大学名誉教授の指導、援助のもと、島根半島や出雲市、大田市などで海岸地形調査や化石調査などの地震性隆起調査を実施してきました。
 海岸地形調査において、立石教授は「島根半島の海岸線の岩石海岸には、ここ数年以内に地震に伴って隆起した離水ベンチ、海食微地形が分布している。科学的な解明を行う必要性」を指摘されました。
 また、立石教授からは、岩石に付着した海棲生物のヤッコカンザシの遺骸化石を発見し、放射性炭素年代測定を行うことによって、生物が死んだ時期、すなわち、地震性隆起の発生時期を特定する手法を教示いただきました。
 このアドバイスに基づき、わが党県議団は、県内各地で調査を続けてきました。そして、ついに、8月7日、島根町の桂島において、遺骸化石を発見しました。そして、この化石を9月10日に採取したところです。今後、この遺骸化石の炭素年代測定を調査機関に依頼することとしています。
 この点で、私が強調したいのは、このような地震性隆起調査は、本来、原発稼働をすすめる事業者の中国電力が実施すべきであるということです。
 そこで、伺います。
 島根原発の耐震安全性を確保するために、島根原発周辺の島根半島をはじめ、各所で地震性隆起事象の解明を徹底して行うべきであります。所見を伺います。
 次に、基準地震動についてです。
 宍道断層の長さは、現在、25キロメートルの評価となっています。しかし、大地震を引き起こしうる地下数キロから20キロの震源断層は、さらに延長している可能性があります。
 正確なる基準地震動を評価するため、より深部の地下地質構造を解析する地震探査法を採用すべきであります。所見を伺います。
 原発問題をめぐっては、鹿児島県の三反園訓知事は、熊本地震の震源となった断層帯の延長線上に川内原発があることから、2度にわたって、九州電力に対して、原発の運転停止を要請しました。
 しかし、九州電力は、この停止要求を無視し、県民の安全よりも、原発稼働による企業経営を上に置き、国の原発再稼働政策を優先させる姿勢に終始しています。この九州電力の利益優先、安全軽視の姿勢に住民の怒りが高まっています。
 原発は未完成の技術です。地震などの影響も完全に予測することはできません。さらに、実効ある避難計画は未策定です。政府や原子力規制委員会がどんなに「安全神話」をふりまいても、安全な原発などありえません。「原発ゼロ」こそ、国民の願いであり、命を守る確かな道であることを強調し、次の質問に移ります。

【4.JR三江線の存続と地域活性化について】
 次に、JR三江線の存続と地域活性化についてです。
 JR西日本は、9月1日、島根県江津駅から広島県三次駅の間を結ぶ三江線の全面廃止を表明しました。
 今回の廃止表明に対し、住民からは「3年前の江津豪雨災害から復旧したばかりなのにどうして廃止なのか」「三江線は、通学するのになくてはならない交通機関。廃止されたら本当に困る」「JRは結論を出すのが早すぎる」「鉄道がなくなれば地域が衰退する」など、多くの不安と失望の声が渦巻いています。関係住民の理解は得られていません。
 公共交通は、住民の移動手段であることにとどまらず、地域の交流や経済活動を支える役割を果たしています。このような公共交通の役割を鑑みるとき、その存廃は、地方の過疎化の進行や地域社会の高齢化対策、人口問題、環境問題に大きな影響を与えるものです。
 今回のJRの三江線廃止理由は、人口減少を背景に利用が低迷し、採算が見込めないことを起因とするものです。
 ここで、JRの民営化の経過や公共性を有するJRのあり方についての国会論戦を振り返ってみます。
 国鉄の分割・民営化問題が議論された国会において、当時の橋本龍太郎運輸大臣は、再三再四にわたって「赤字路線を切り捨てることは考えていない。生き残らせるための分割・民営化であり、赤字路線を抱えても、会社は十分に企業経営ができる」と答弁しました。
 そして、2001年、「旅客鉄道株式会社および日本貨物鉄道株式会社に関する法律」、いわゆる「JR会社法」が改正された際、国土交通省は、JRが配慮すべき指針を定めました。
 その指針では「JRは、その歴史的経過をふまえて、利用者の利便の確保、適切な利用条件の維持、地域経済および社会の健全な発展の基盤の確保を図る必要がある」と定め、公共性をもつJRの使命、社会的責任を謳っているのであります。
 今年4月の国会論戦では、わが党国会議員の質問に対し、石井啓一国土交通大臣は、「鉄道は、各地域における文化の形成や観光資源としての活用など、地域活性化の観点から重要な役割を果たしうる」と答弁し、「地域公共交通のあり方について、地域の足を確保するという観点から関係者で十分に議論いただくことが重要である」と繰り返し述べたところであります。
 今日、JR西日本は、過去最高となる1,000億円もの利益を上げています。これまでのJRの民営化の経過や公共性を有するJR会社のあり方、その社会的責任に照らすならば、赤字を理由にした三江線の廃止は絶対に許されないではありませんか。
 一方的に、「鉄道事業の廃止届を9月末までに行う」としたJR西日本の決定は、あまりにも拙速、乱暴であります。住民の理解と合意なきままの「廃止決定」は白紙撤回すべきであります。
 県として、三江線をはじめ、地域公共交通を守り、発展させる姿勢を明確に打ち出すことを求めるものであります。所見を伺います。
 合わせて、県として、沿線住民の買い物や病院等への交通手段の確保、学生の通学手段の保障、観光誘客の拡大などに万全を期すべきです。所見を伺います。

【5.地域医療構想について】
 次に、地域医療構想についてです。
 「地域医療構想」とは、医療費の削減を目的に、入院患者を病院から在宅、介護保険施設に移すものであります。構想は、2025年の医療需要を予測し、病床削減・再編計画を医療機関に強いるものとなっています。
 県が示した構想素案では、2016年度の島根県内のベッド数「8,805床」を、2025年度には、「6,569床」へと削減するとしています。実に、25%、約2,200床もの大幅な病床数の削減で、医療・介護関係者に衝撃が走っています。
 開業医からは「病床削減や早期退院の促進によって重症患者が十分に治癒していない状態で退院を迫られている」「退院しても、後日、また再紹介し、再入院する患者が増えている」「在宅で療養できる 環境ではないのに、急いで退院となるケースが増えている。本当に患者が気の毒です」など悲痛な声をお聞きしました。
 また、介護関係者からは「施設で、重症化した高齢者が増え、対応が困難です」「特養では入所待機者も多く、簡単に重症化した人を受け入れることはできません」「病床数の削減ありきで、受け皿の議論は不十分です。行政は、現場の実情がわかっていない」との声が寄せられました。
 このように、地域医療構想の最大の問題点は、ベッド数の削減のみが提示されているだけで、在宅医療や介護サービスの整備方針の計画が全く示されていないことです。
 退院後の受け皿が未整備のままで、機械的な病床削減のみ先行すれば、これまで以上に早期退院を迫られ、必要な医療や十分なケアが受けられない医療難民・介護難民が続出することは火を見るより明らかではありませんか。現場の実態を無視し、現実と乖離した構想素案は撤回すべきであります。
 この立場から、以下5点伺います。
 第一に、病床削減数値は、レセプトデータに基づき、機械的に計算した参考値に過ぎません。医療機関に対して、数値目標として押し付けるべきではありません。所見を伺います。
構想は、医療需要と医療の必要量の抑制を目的とするのではなく、どのように医療供給体制を確保・充実させるのかの観点を持った計画にすべきです。そのためには、市町村、医療・介護・福祉団体など関係者間での十分な議論を保障し、民主的な合意形成をはかるべきであります。
 10月中に構想を策定するという拙速なるやり方、スケジュールは改めることを求めます。所見を伺います。
 第二に、貧困と格差が拡大する中で、経済的理由で治療を中断した人や受診を抑制している人などが生まれています。これら地域における潜在的な医療需要を把握した上で、入院病床や在宅医療の必要量を把握すべきではありませんか。
 第三に、地域医療の実態を無視した病床削減をしてはなりません。自治体レベルで、医療機関や住民の意見を十分に反映させるべきです。そして、医療関係者が中心となり、どのような医療需要があるのかを徹底して掌握すべきであります。所見を伺います。
 第四に、高度急性期病床を中心に診療報酬が削減され、病床削減、入院日数短縮によって、入院患者を追い出す状況が現に発生しています。加えて、介護保険改定による「保険外し」で必要な介護サービスが受けられない介護難民が生まれています。今現在、受け皿となる地域包括ケアシステムは、整っておらず、社会資源が確保されていないではありませんか。どうお考えですか。
 第五に、未稼働病床の存在は、病床過剰に原因があるのではありません。必要な医師、看護師が確保されていないからではありませんか。県の認識を尋ねます。医師・看護師の確保、ならびに受け皿となる在宅医療や介護サービスの充実・確保についての明示なき構想は、空疎なる構想にすぎないではありませんか。所見を伺います。
 安部政権は、発足後の4年間で、1兆3200億円もの社会保障予算の「自然増」を削減してきました。
 年金支給の連続削減、高齢者の医療費窓口負担の引き上げ、介護報酬の大幅削減と介護の保険給付外し、生活保護費の切り下げなど、社会保障は連続改悪されてきました。
 国民に対する負担増、給付抑制路線は、患者、高齢者を重症化させ、結果として、医療や介護保険の財政を悪化させるものであります。
 個人の尊厳を守り、国民が安心できる社会保障制度の拡充を求め、次の質問に移ります。

【6.保育制度の拡充と処遇改善について】
 最後に、保育制度の拡充と処遇改善についてです。
 8月20日から22日まで、豊かな保育の実現を求めて、保育関係者が集う「全国保育団体合同研究集会」が松江市内で開かれました。研究集会には、全国から4,336人もの保育士など、保育関係者が参加し、集会は成功裡に終わりました。
 研究集会に向けてご尽力された関係者の皆さん、そして、行政当局の皆さんに心からの敬意を表するものであります。
 保育の分野では、待機児童の増加、保育士不足とその要因である劣悪な処遇が社会問題として、注目され改善が急がれています。
 しかし、この間の国の施策は、基準を切り下げて、保育室にたくさんの子どもを詰め込むことや、無資格者の活用など、保育環境を無視した受け皿づくりが中心です。これでは、根本的な問題解決にならないばかりか幼い子どもの生命や安全を脅かし、保育の質の低下につながりかねません。
 保育士不足の要因は、仕事の内容や責任の重さに見合わない低い賃金と厳しい労働条件にあります。専門職にふさわしい賃金、国の配置基準の改善こそ、保育士を増やす確かな道ではないでしょうか。
 保育制度を拡充し、処遇改善をはかる立場から、以下3点伺います。
 第一に、現在の保育士配置基準では、良質な保育は提供できません。そればかりか、地震、火事、原発事故など災害時に子どもの命を守ることができないと現場からは悲鳴が上がっています。県は、この声を、如何に把握し、認識していますか。子どもの命を守るために、国待ちになるのではなく、県として、配置基準の抜本的な改善に足を踏み出すべきではありませんか。所見を伺います。
 第二に、保育士不足解決の道は、配置基準など保育環境を改善し、専門職にふさわしい賃金アップをはかること以外にないと考えます。保育環境の改善、保育士などの賃金改善策を講じるべきであります。
 第三に、日本の保育に関わる公費支出は、世界的に見ても最低水準にあります。待機児童解消、保育士の処遇改善、保護者負担軽減にむけて、国に対し保育予算の大幅拡充を求めるべきであります。

 以上で質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画