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議会の取り組み

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2017 年 6 月定例会一般質問 (島根原発 1 号機廃止措置計画について、大佐山風力発電事業について、国民健康保険の都道府県化について、生活困窮者自立支援制度について)

2017-06-21 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

【1.島根原発1号機廃止措置計画について】
 質問の第一は、島根原発1号機廃止措置計画についてです。
 原子力規制委員会は4月19日、島根原発1号機に係る廃止措置計画を認可しました。原子力発電所の廃止措置とは、運転を終了した原子力発電所の原子炉より使用済み燃料を全て取り出した後から、全ての施設を解体撤去するまでの過程をいいます。
 島根1号機の廃止措置工程は4段階に区分され、約30年かけて実施する計画となっています。計画では、2018年度に青森県六ケ所村の再処理工場が運転を開始することを前提に、2029年度までに1号機の使用済み燃料を搬出するとしています。
 六ケ所再処理工場では、使用済み燃料を再処理し、プルトニウムが回収されます。そして、そのプルトニウムは、プルサーマル発電で再利用する計画となっています。
 わが党は、原発の廃炉は大賛成であります。しかし、中国電力の廃止措置計画は、原発の廃炉解体計画と同時に、使用済み燃料を再処理し、危険なプルトニウムを燃やすプルサーマル運転がセットとなっています。すなわち、原発再稼働が前提であり、破綻した核燃料サイクル政策、プルトニウム循環方式にしがみついています。ここに本計画の最大の問題があることを指摘するものであります。
 以下、問題点を3点指摘します。
 第1に、中国電力には、安全に廃炉作業を実施する能力がないということであります。
 中国電力は、2010年に511カ所もの点検漏れを起こしました。そして、一昨年には、低レベル放射性廃棄物を処理する機器の検査報告書を偽造しました。そして、昨年には、2号機の中央制御室空気換気系ダクトの腐食が明らかとなりました。たび重なる不正・トラブルを続ける中国電力への信頼は失墜しています。
 これら不適切事案は、中電が原発は事故を起こさないという安全神話につかっていること、中電がこの地域で唯一の電力供給源となっているおごり、目に余る異常体質が露呈したものにほかなりません。
 30年という長きにわたる廃炉作業は、原子炉解体や危険な放射性廃棄物の処理など、未知なる対応が待ち構えています。不正を繰り返す中国電力に、安全適切に廃炉作業を実施する能力はないではありませんか。県の所見を伺います。
 第2の問題は、六ケ所再処理工場の本格稼働の見込みがなく、使用済み燃料の再処理技術が確立されていないことであります。
 六ケ所再処理工場は、全国の原発で発生した使用済み燃料を集め、燃え残りのウランと生成したプルトニウムを取り出す、放射能化学工場であります。再処理過程では、高レベル放射性廃棄物も同時に取り出されます。
 再処理工場は1993年に着工し、97年に完成予定でありました。しかし、事故やトラブルが続出し、完成時期は23回も延期されました。
 再処理は、使用済み燃料を剪断、溶解させて、プルトニウムとウラン、高レベル放射性廃棄物に分離させるもので、この処理そのものが極めて危険なものであります。世界各地の再処理工場では爆発事故などが相次ぎ、工程自体、いまだ確立されておりません。この事実を冷厳に見つめるべきではありませんか。
 そこで、伺います。
 2018年度に六ケ所村が稼働しない時、また2022年度の廃止措置の第2工程段階から発生する低レベル放射性廃棄物の処理方法が未確立の際、県として如何なる対応を取るのですか、伺います。また、原発敷地内への中間貯蔵施設建設についての県の見解をお示しください。
 使用済み燃料を再処理する技術は未確立です。使用済み燃料の処分の手段、方法については、専門家の英知を結集して研究開発を進めることが重要であります。使用済み燃料の処分方法の結論が出るまでは、政府の責任で厳重なる管理を行うべきと考えます。所見を伺います。
 第3の問題は、プルトニウムの使い道はなく、高レベル放射性廃棄物の処分方法も全く見通しが立っていないことであります。
 再処理工場では、年間約8トンのプルトニウムが回収される予定となっています。電気事業連合会は、2015年度までに16基から18基でプルサーマルを導入し、約6トン程度のプルトニウムを再利用する計画を立てていました。
 しかし、現実、今どうなっているでしょうか。プルサーマル発電は、高浜、伊方の3基しかありません。そればかりか、プルトニウム利用計画の策定・公表さえできていないではありませんか。
 使う当てのないプルトニウムのため込みは、核不拡散条約に抵触し、国際的な信用を失う極めて深刻な問題であります。
 また、高レベル放射性廃棄物に至っては、ガラス固化し、地中に埋めて保管するとしていますが、埋める場所も処分方法も全くないことを直視すべきであります。
 そこで、伺います。
 県は2009年3月に中電に対し、2号機のプルサーマル事前了解を回答しました。その際の前提条件は、安全性については、国による厳格な安全審査と中国電力における適切な運転が確保されていることでした。中電による適正なる運転は確保されていないではありませんか。
 中電は、この間、連続して不正やトラブルを繰り返しており、適正なる運転など確保されていないではありませんか。危険なプルサーマル発電など論外です。プルサーマル事前了解の前提条件は破綻していると考えますが、如何ですか。所見を伺います。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分方法は、これまで宇宙への投棄、海洋底への埋設、南極氷床への埋設などが検討されましたが、どの方法にも難点があり、結局は地層処分ということになりました。
 今、国は躍起になって最終処分地を探すために、島根県はもとより、全国各地で説明会を開催しています。いくら説明会を開こうとも、10万年もの管理を必要とする廃棄物を受け入れる自治体などあるはずがありません。
 知事に伺います。
 島根県として、高レベル放射性廃棄物の最終処分は絶対に受け入れないと国に宣言、通告すべきであります。所見を伺います。
 原発を再稼働すれば、使用済み燃料の貯蔵プールはあふれ出してしまいます。再処理をすれば、使う当てのないプルトニウムがたまり続け、処理方法のない高レベル放射性廃棄物は増え続けてしまいます。原発推進路線は、あらゆる面で行き詰まり、八方塞がりの状況ではありませんか。
 自分が生み出す核廃棄物の後始末ができない原発は完成した技術とは言えません。核燃料サイクルは未完成であり、新たなる核のゴミを生成する原発再稼働など許されないと考えます。所見を伺います。
 中電の廃止措置計画は、原発の廃炉解体計画と同時に、使用済み核燃料を再処理し、危険なプルトニウムを燃やすプルサーマル運転がセットとなっています。プルトニウム循環方式にしがみつき、原発再稼働を前提としている廃止措置計画は容認できません。知事の所見を伺って、次の質問に移ります。

【2.大佐山風力発電事業について】
 次に、大佐山風力発電事業について伺います。
 発電事業者である東京のグリーンパワーインベストメントが、浜田市金城町と広島県北広島町の大佐山や鷹ノ巣山に高さ約150メートルの風力発電機を最大17基建設しようとしています。総出力は約5万8000キロワットで、想定エリアは約1100ヘクタールで2022年春の稼働をめざしています。
 北広島町は5月19日、計画中止を求める意見書を広島県に提出しました。意見書では、「かけがえのない自然環境や愛される眺望景観、穏やかな生活環境を失うなど多大な影響が懸念される」と指摘しています。
 私は6月6日、建設予定地の北広島町と金城町で現地調査を実施し、関係住民の意見を聴取しました。
 北広島町では「八幡高原の景観と環境を守る会」が結成され、計画中止を求める運動が展開されていました。住民からは「静かなところでのんびり暮らしたいのに、それを壊すのは許せない」とか、「北広島町の美しい自然環境を求めてIターンする人がいる。自然破壊の大型建設には反対です」との声をお聞きしました。
 金城町の住民からは「何も聞いていません」「住民説明会を早く開催してほしい」との声が寄せられました。
 この間、島根県内で各地に風力発電所が建設され、低周波音への苦情や自然環境や景観、平穏なる住民のくらしに影響を及ぼしています。
 再生可能エネルギーの導入は、温暖化抑制のためにも喫緊の課題であり、いっそうの推進が求められています。しかし、環境規制の弱いわが国においては、事業化にあたり、きちんとしたルールや規制を整備し、環境アセスメントの強化が待たれます。
 そこで、伺います。
 大佐山風力発電事業について、地元から如何なる意見が出されていますか。また、事業者は、住民説明会を開催するなど説明責任を果たすべきではありませんか。
 事業をすすめるにあたっては、情報公開を徹底し、低周波音による健康被害や自然環境、生態系への影響を十分に調査、説明すべきです。地域住民の理解・賛同なしには事業を強行してはならないと考えますが、如何ですか。所見を伺います。

【3.国民健康保険の都道府県化について】
 次に、国民健康保険の都道府県化について伺います。
 今、国民健康保険をめぐっては、支払い能力をはるかに超える国保料・税が各地で大問題になっています。高すぎる国保料・税が払えず、滞納となっている世帯は全国で360万世帯、県内では、8,000世帯を超えています。保険料未納による滞納制裁として、保険証を取り上げられた生活困窮者が医者にかかれず、重症化・死亡する事件も多発しています。「生活苦から医療費を払う余裕がなく、受診をためらううちに症状が悪化。救急搬送された時には、手の施しようがなかった」「医師として悔しい。命に差別があってはならない」-政治は、この医療現場の声を真摯に受けとめるべきです。
 2018年度から国保の都道府県単位化がスタートします。この都道府県化によって、住民にとって安心できる国保となるのでしょうか。
 都道府県化によって、国保財政は県が一括管理し、県が各市町村に納付金を割り当て、市町村が住民から集めた保険料を県に納付するかたちで、国保財政が運営されることになります。
 6月8日、県は各市町村への納付金算定をもとに、一人あたりの年間の保険料の試算を公表しました。この試算値公表によって、各市町村の保険料の違い、差異が一目瞭然となりました。この試算にあたって、大きく影響を与えたのが医療費水準です。一人あたり、どれだけの医療費を使ったのか、医療費を使えば使うほど保険料が高騰することが明確になりました。
 納付金は100%完納が原則です。県は、市町村ごとに医療給付費の水準や標準保険料率、標準的な収納率などの指標を提示することとなります。都道府県化によって、医療給付費水準の高い自治体や収納率が低い自治体などが見える化されるため、市町村には、給付抑制や収納率向上などの圧力が加えられることとなります。
 都道府県化の最大のねらいは、ズバリ医療費の削減です。
 政府のねらいは、市町村ごとの医療費水準を明示し、それを納付金と保険料の負担額に反映させることで「医療給付費が増えれば、保険料負担に跳ね返る」という「給付と納付の関係」を明確にさせることにあります。
 言うまでもなく、今日の国保の危機を招いた元凶は、国の国庫負担金の削減にあります。全国知事会は、保険料引き下げのため、1兆円の国費投入を要望し続けてきました。
 今、必要な改革は、国庫負担の引き上げによる保険料の引き下げ、保険証の取り上げや機械的な差し押さえの中止、貧困打開による制度の再建です。
 払える国保、安心できる国保の制度をつくる立場から、以下5点伺います。
 第1は、減免制度の創設です。
 介護保険には、生活保護基準の所得状況にある世帯が保険料徴収によって生活保護基準以下となる場合に保険料免除を適用する「境界層措置」という救済制度があります。しかしながら、国保にはそうした仕組みがありません。所得階層別に「払える保険料」に見合う上限を設定し、それを超えた部分を減免する新たなる減免制度の創設を求めますが、如何ですか。所見を伺います。
 第2は、保険料算定は応能負担原則とすることです。
 加入者の頭数に応じて負担を増やす「均等割」や、すべての加入世帯に定額を負担する「世帯割」など「応益割」の存在が保険料の逆進性を高め、低所得者世帯を重い負担で苦しめる重大要因となっています。
 均等割によって、世帯の人数が多いほど国保料が高くなり、子どもの多い世帯の負担が重くなっています。均等割で生まれたばかりの赤ちゃんにまで国保料がかけられています。子どもの均等割はなくすべきではありませんか。「払える保険料」とするために、保険料算定は「応能負担原則」で対応すべきと考えます。所見を伺います。
 第3は、一般会計法定外繰り入れ、保険料決定など、市町村における独自権限を侵害しないことです。
 国保の都道府県化は、市町村の一般会計繰り入れをやめさせる圧力を強化するものです。事実、国のガイドラインでは、市町村において行われている決算補填等を目的とする一般会計繰り入れについての解消を求めています。
 一般会計法定外繰り入れ、保険料決定など市町村における地方自治権(独自権限)を侵害してはならないと考えますが、所見を伺います。
 第4は、事務統一にあたって被保険者に有利な基準を設けるべきです。
 命綱である保険証の取り上げである資格証明書の発行基準は、県内各自治体で様々です。現在、県内19市町村のうち、7町村では無慈悲な保険証の取り上げはしておらず、資格証の発行実績はありません。
 また、一部負担金の減免基準でも、収入基準は生活保護基準の1.3倍以下とするなど、国基準より広い減免要件を定めている自治体もあれば、国基準のままの自治体もあります。
 一部負担金の減免基準や保険料減免規定の取り扱い、短期証・資格証明書の発行基準など、都道府県化に伴う統一事務については、被保険者のサービス向上に資する基準に合わせるべきと考えますが、所見を伺います。
 第5は、国保は社会保障制度であり、国の責任で予算を確保するべきです。
 世界に誇る国民皆保険制度であるための大切な条件は、1つに保険証は無条件交付であること、2つに保険証1枚で、いつでもどこでも誰でも必要な医療が受けられること、第3に全国一律の公的給付であること、この3つが必要不可欠です。
 国民皆保険制度を守り、発展させ、払える保険料とするため、国保の国庫負担の大幅引き上げを国に求めるべきです。県としても国保への独自財源投入を決断すべきであります。所見を伺います。

【4.生活困窮者の自立支援制度について】
 最後に、生活困窮者の自立支援制度について伺います。
 生活保護に至る前の自立支援策の強化をはかるため、「生活困窮者自立支援法」が2015年4月に施行されました。この法律によって、生活が苦しくなった時、早めの段階から相談できる窓口が県内すべての市町村に置かれることとなりました。
 私は先の2月議会で、自治体あげて生活困窮者の生活再建を支援する滋賀県野洲市の取り組みを紹介しました。
 野洲市では「税金や国保税が払えない」「多重債務で苦しんでいる」「仕事がない」など住民の困難・苦しみに、市役所の各課が連携して生活再建の手助けをしています。
 この仕組みは「債権管理条例」、別名「ようこそ滞納していただきました条例」で定められています。
 条例では、著しい生活困窮状態で徴収の見込みがないと市長が認めた場合、徴収金を放棄できることとしています。
 さらに、住民税や固定資産税、国保税の他に、給食費や水道料金などの滞納債権を市の債権管理室が一元的に管理し、関係各課と連携しながら生活再建を支援しているのであります。
 野洲市の山仲善彰市長は「税金を納めてもらう以前に、市民の生活が健全でなければならない。市民の生活を壊してまで滞納整理をするのは本末転倒」と語り、「市民の生活が何よりも優先される」という立場を貫いています。
 安倍政権のもとで住民のくらしが痛んでいます。「納税は義務だから」とか、「税金の徴収率、日本一をめざす」という冷淡で硬直した考え方では、住民のくらしと命は守れません。言うまでもなく、自治体の使命は「住民福祉の増進」にあります。野洲市の取り組みは教訓的です。この先駆的な取り組みを島根でも推進していく立場から3点伺います。
 第1に、生活困窮世帯を支援するための県の取り組み状況ならびに今後の実効ある取り組み方針について伺います。
 第2に、困窮度合いが高い人ほど平日に相談窓口に来るのが困難です。土日や夜間など困窮者に合わせて相談に応じる体制構築が重要と考えますが、所見を伺います。
 第3に、生活困窮者に対して、命綱である国民健康保険証を取り上げたり、公租公課等の未納によって財産を差し押さえるなどの制裁措置を行えば、生活困窮から脱することはできないではありませんか。
 相談窓口に相談があった際には、保険証取り上げなどの制裁を留保・解除する手立て、スキームを構築すべきであります。このことこそ、生活困窮者を救済・支援する実効ある道と考えます。所見を伺います。
 
 以上で、質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画