2017 年 6 月定例会 委員長報告に対する討論
2017-07-07 この記事を印刷
日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して、私からは、条例案1件、一般事件案1件、請願2件について、討論を行います。
【第75号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」について】
はじめに、第75号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」についてであります。
本条例改定案の中には、消費税率の10%への引き上げを前提に、法人県民税の法人税割り税率を引き下げることが含まれています。同時にこの引き下げ分は、国税である地方法人税に振り替えて、地方交付税の原資にされることになっています。
国は、「消費税増税によって拡大する地域間格差を是正するため」としています。しかしながら、自治体間の税収格差の是正は、地方交付税の財源保障と財政調整の機能を強化すること、つまり、所得税や法人税などに対する地方交付税率の引き上げで対応されるべきものであると考えます。
今回のこのようなやり方は、「消費税増税と消費税を地方財政の主要財源に据えていくねらいと一体のもの」であり、本来の地方交付税制度をゆがめるものとなりかねず、容認できません。
よって、可決とした委員長の報告に反対であります。
【第79号議案「中核市の指定に係る申し出の同意」について】
次に、第79号議案「中核市の指定に係る申し出の同意について」です。
本議案は、松江市が来年4月に中核市へ移行するため、県議会の議決を求めるものであります。
中核市になれば、これまでの事務に加えて、保健所の設置など、保健衛生や福祉分野での権限が県から委譲され、市の役割は大幅に拡大されることになります。とはいえ、住民にとって、大きなメリットがもたらされるものではありません。
それどころか、国が進めている定住自立圏構想の推進など、中心的な都市に公共施設やサービスを集約し、周辺地域を切り捨てる政策に迎合するものであり、地方の再生どころか、地域の衰退に一層の拍車がかかってしまうことが、危惧されます。
また、国が中核市の人口要件を引き下げた背景には、全国の都市の多くを中核市に移行させることで、都道府県の権限を弱め、都道府県の存在意義を薄めることによって、都道府県の廃止とそれに代わる道州制の導入に道を開こうとするものであることを指摘するものです。
以上の立場から、「可決」とした委員長の報告には賛成できません。
【請願第17号「森林環境税・仮称の早期創設の実現についての請願」について】
次に、請願第17号「森林環境税・仮称の早期創設の実現についての請願」についてです。
本請願は、地方が行う森林整備の財源確保のためとして、来年度の税制改正において「森林環境税」の創設を求めるものです。
請願が指摘するとおり、森林は、木材の供給源であるとともに、中山間地域の維持と国土の保全や水源のかん養など、公益的機能を有し、そこで営まれている林業は、地域社会を支える重要な産業であると認識しています。
今、輸入自由化による木材価格の低迷、中山間地域の高齢化や担い手不足などを背景に森林の荒廃がすすんでいます。森林の保全と林業の振興には、国の役割が重要であることは言うまでもありません。しかし、国の「森林整備予算」は、2008年度の1624億円から2015年度の1202億円へと、この8年間だけも422億も削減されています。
必要なことは、森林整備と林業対策において国の責務を明らかにし、国内林業の保護と国土保全を国の林業政策の根幹に位置づけ、抜本的な対策を講じることです。
請願が求める「森林環境税」は、政府・与党が「平成28年度税制大綱」に明記し、「必要な財源として、都市・地方を通じて国民に広く負担を求め」る、とし、地方税である個人住民税に上乗せする形で国による徴収が想定された税であります。
我が党は、国民に広く負担を求めるのではなく、CO2の排出量に応じた負担となっている既存の「地球温暖化対策税」の拡充を図ることで財源を確保し、その「使途」として森林吸収源対策を位置づけることより、森林・林業における地球温暖化対策の実行に必要な財源を確保するよう求めるものです。
この立場から、国民に広く負担を求めることを想定した「森林環境税」の導入には賛成できず、本請願を「採択」とした委員長報告には賛同できません。
【請願第21号「北朝鮮による度重なるミサイル発射と核開発の強行に抗議するとともに、この問題をめぐる国際的緊張の高まりを平和的に解決することを求める請願」について】
最後に、請願第21号「北朝鮮による度重なるミサイル発射と核開発の強行に抗議するとともに、この問題をめぐる国際的緊張の高まりを平和的に解決することを求める請願」についてであります。
本請願は、北朝鮮がミサイル発射を繰り返していることに対し「こうした暴挙は断じて許されてはならない」と厳しく批判するとともに、アメリカのトランプ大統領が軍事力行使を排除せず、北朝鮮への先制攻撃さえ辞さない構えを見せていることに警鐘を鳴らしています。
同時に、現在の安倍政権のアメリカ追従姿勢を批判し、軍事的圧力の強化が北朝鮮の挑発的行動を拡大させているという、悪循環を断ち切り、平和憲法の理念に基づいて、平和的解決に努めることを強調し、同趣旨の意見書の提出を求めています。
先制攻撃などの軍事行動を行う選択肢は絶対にとるべきではありません。あくまでも外交交渉により、北朝鮮の核兵器、ミサイル開発の手を縛り、放棄に向かわせる方向で、アメリカを含む国際社会が一致結束して進む必要があり、日本政府は、そのための働きかけをすべきと考えます。 危険な軍事対応の激化ではなく、国連安保理の声明が強調しているように、対話を通じた平和的、包括的な解決を促進する取り組みこそ抜本的に強めなければならなりません。
よって、本請願は採択すべきものと考え、「不採択」とした委員長の報告には賛成できません。
以上で、討論を終わります。