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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2017 年 11 月定例会 知事提出議案、請願に対する討論

2017-12-15 この記事を印刷
 日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して討論を行います。
 はじめに、条例案3件、一般事件案1件、請願1件について委員長の報告に反対の討論を行います。

【第117号議案「松江市の中核市への移行に伴う関係条例の整備に関する条例」】
【第127号議案「保健所の共同設置について」】

 まず、第117号議案「松江市の中核市への移行に伴う関係条例の整備に関する条例」、第127号議案「保健所の共同設置について」であります。
 これらの議案は、松江市の中核市への移行に伴うものであります。
 中核市になれば、これまでの事務に加えて、保健所の設置など保健衛生や福祉分野での権限が県から移譲され、市の役割は大幅に拡大されることになります。とはいえ、住民にとって大きなメリットがもたらされるものではありません。それどころか、国が進めている定住自立圏構想の推進など、中心的な都市に公共施設やサービスを集約し周辺地域を切り捨てる政策に迎合するものであり、地方の再生どころか、地域の衰退に一層の拍車がかかってしまうことが危惧されます。
 また、国が中核市の人口要件を引き下げた背景には、全国の都市の多くを中核市に移行させることで都道府県の権限を弱め、都道府県の存在意義を薄めることによって、都道府県の廃止と、それにかわる道州制の導入に道を開こうとするものであることを指摘するものです。
 以上の立場から、これらの議案を可決とした委員長の報告には賛成できません。

【第121号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付に関する条例を廃止する条例」】
【第122号議案「島根県国民健康保険条例」】

 次に、第121号議案「島根県国民健康保険調整交付金の交付に関する条例を廃止する条例」、第122号議案「島根県国民健康保険条例」についてです。
 国民健康保険は、来年度から都道府県単位での運営へ移行されることになっています。都道府県単位化によって、県が各市町村に納付金を割り当て、市町村は住民から保険料を集め、県に納付する形で国保財政が運営されることになります。
 県は、市町村ごとに医療給付費の水準や標準保険料率、標準的な収納率などの指標を提示することとなります。都道府県化によって、医療給付費水準の高い自治体や収納率が低い自治体など、これらが見える化されるため、市町村には給付の抑制や収納率向上などの圧力が加えられることとなります。
 国保の都道府県化の一番のねらいは、医療費の削減です。政府のねらいは、市町村ごとの医療費水準を明示し、それを納付金と保険料の負担額に反映させることで、医療給付費がふえれば保険料負担にはね返るという、給付と納付の関係を明確にさせることにあります。
 言うまでもなく、今日の国保の危機を招いた元凶は、国の国庫負担金の削減にあり、高すぎる国保料が払えず、滞納世帯が続出している「国保の構造的危機」を解決するには、「都道府県化」は逆行そのものです。
 よって、これらの議案を可決とした委員長の報告には反対であります。

【請願第26号「竹島の日の閣議決定と、政府主催による竹島の日の式典の開催、県が主催している竹島の日の式典に総理大臣や関係閣僚の出席を求めるよう意見書の提出」】

 次に、請願第26号についてです。
 本請願は、竹島の日の閣議決定と、政府主催による竹島の日の式典の開催、県が主催している竹島の日の式典に総理大臣や関係閣僚の出席を求めるよう意見書の提出を求めるものであります。
 竹島は、歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土であることは、明白です。今、最大の問題は、日韓両国間において竹島問題を冷静に話し合うテーブルがないことです。竹島問題には、複雑な経過と背景があり、歴史的事実をつきあわせて問題の解決を図るべきであります。
 その正しい解決のためには、感情的対立や緊張を激化する行為を双方が慎み、相互の主権を尊重し、平和友好の精神を貫きながら粘り強く交渉していくことが重要であると考えます。この立場から、本請願を「採択」とした委員長報告には賛成できません。
 
 続いて、予算案1件、条例案1件について、問題点を指摘した上で賛成の立場での討論を行います。

【第115号議案「平成29年度島根県一般会計補正予算・第4号」】

 はじめに、第115号議案「平成29年度島根県一般会計補正予算・第4号」についてであります。本補正予算案には、萩・石見空港の東京線利用促進対策にかかる経費として、4300万円余、さらに債務負担行為として1億1700万円を設定することが盛り込まれています。
 我が党は、萩・石見空港の路線維持・存続を願うものであり、利用促進対策を否定するものではありません。しかし、県民の貴重な財源を投入するにあたって、真剣な総括と検証を求めるものであります。
 萩・石見空港の飛行場設置許可申請は、1982年・昭和62年に当時の運輸大臣宛に提出されています。当時、萩・石見空港の東京路線の需要予測として、開港3年目の平成7年は18万4000人、10年目の平成17年は25万7千人と算定していました。しかし、最近の実績では平成27年度12万2千人、平成28年度11万9千人と、当時の予測には遠く及ばず、需要予測が過大であったことは明白であります。
 利用促進にあたり、県費を投入するのであれば、この需要予測と現在の利用実績との乖離について、真剣に検証を行い、県民に対して十分に説明すべきであります。

【第120号議案「島根県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例」】

 次に、第120号議案「島根県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例」についてです。
 今回の条例改定により、盗撮行為に対する規制の範囲が拡大されるとともに、盗撮の前段行為が禁止されることとなり、盗撮を目的とした写真機の設置のみならず、盗撮の目的で写真機等を人に向ける行為が禁止されます。
 盗撮の目的でカメラを向けたかどうかを、何を持って判断するのか、どのような証拠で「盗撮の目的」を立証していくのか、極めて厳格な運用が求められる条文であり、現場の捜査員の判断一つで、条例の運用が変わることはあってはなりません。
 総務委員会の議案審査において、何を持って「盗撮を目的」とするのか、との問いに対し「盗撮の目的か否かは、あくまでも客観的な事実を下に判断することになる」等の説明がありました。条例の運用にあたっては、えん罪を生まないよう基準を明確にし、厳格に運用されることを強く求めるものです。

 以上で、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画