2018 年 11 月定例会 委員長報告 (請願) に対する討論
2018-12-14 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
日本共産党県議団を代表して、請願第35号「消費税増税中止を求める請願書」について、不採択とした総務委員長報告に対し、反対の討論を行います。
【請願第35号「消費税増税中止を求める請願書」】
本請願は、政府及び関係機関に対し、「消費税増税中止を求める意見書」の提出を求めるものであります。
消費税が導入されて30年になります。消費税は1989年、平成元年4月1日、列島騒然と言われた国民の猛反対を押し切って導入されました。
そもそも、消費税は景気を底から冷やし、貧困と格差を広げる税制であります。
1997年に消費税率が3%から5%に引き上げられ、消費大不況と景気悪化が急激に進みました。そして、8%になった2014年4月以降、ありとあらゆる経済指標が落ち込んでいます。
事実、厚生労働省が発表した全労働者の実質賃金は、2017年度まで7年連続で減少しています。また、個人消費は4年連続減少しています。
消費税は子どもや東日本大震災など各地の被災者にも当然かかっています。低所得者ほど重く、高額所得者ほど軽い、逆進的な不公平税制であり、憲法の応能負担原則に反する税制であります。
政府は、消費税は「社会保障のため」と言いますが、所得の少ない人にも、今まで以上の負担を押し付ける消費税増税は社会保障財源として最もふさわしくありません。
消費税が導入されて以降、医療や介護、福祉など社会保障は改悪に次ぐ改悪の連続でした。安倍政権の6年間だけでも、高齢化などで必要な社会保障予算のカットや年金、医療、介護の負担増、給付削減で社会保障予算は3兆9000億円も削減されてきました。その結果、今日、県民のくらしや地域経済は大変深刻な状況に陥っています。
このような中にあっても、政府は、来年10月の消費税増税を行う姿勢を崩していません。税率10%への引き上げで一人当たり、年間2万1500円、4人家族で、8万6000円もの増税になるとの試算がなされています。
10%増税によって、さらなる消費の落ち込みや景気悪化によって、大不況の再来は明白であります。
政府は増税時の「臨時・特別」対策として、食料品などの「軽減税率導入」に加え、自動車や住宅購入時の減税、キャッシュレス決済での「ポイント還元」、マイナンバーカード利用者の買い物時の「ポイント加算」などの対策を実施しようとしています。
消費税を増税しながら、巨額の予算を投じて対策を取るなどスジが通らないではありませんか。これら対策は、消費の冷え込みや中小業者への対策と言いますが、効果は望めず、むしろ事務や制度が煩雑となり、逆に中小業者を苦しめるものばかりであります。
消費税の増税中止こそ、最良の景気対策であります。
そして、4年後の2023年に導入されるインボイス制度によって、免税業者は取引から排除されるか、課税業者になるかの究極の二者択一が迫られるという重大な問題が発生します。インボイス導入は、日本商工会議所をはじめ、多くの業界団体が反対表明するのは当然であります。
国税の滞納額で最大の税金は消費税であります。2016年度の国税の新規発生滞納額は6221億円でありました。このうち、消費税の滞納額は3758億円であり、国税の全税目の60%にも及んでいます。2016年度の消費税滞納件数は54万件であり、約298万件の課税業者の2割近くにも上っています。すなわち、これは5人に1人が消費税を滞納していることになります。
本来、多くの滞納者を生む税金は、まともな税金とは言えません。滞納者に対し、納税を強制すれば、倒産や廃業が増えるだけではありませんか。消費税は膨大な滞納を招く欠陥税制であり、中小業者にとっては営業破壊税であります。また、地域経済を壊し、地方創生に逆行する税金と言わざるを得ません。
消費税導入から2017年度までの消費税収は累計で349兆円に上ります。その一方で、大企業への減税などによる法人税の減収は281兆円です。すなわち、消費税収の8割が法人税減税・減収の穴埋めに使われており、税源として役立っていません。「安定財源確保」や「社会保障対策」という理由はもはや破綻しています。
今必要なことは、消費税増税ではなく、税金の集め方、使い方を見直し、大企業や富裕層を優遇する不公平税制をただすことであります。軍事費や不要不急の大型公共事業への歳出を減らし、くらしや社会保障、地域経済振興優先に税金を使い、内需主導で家計をあたためる経済政策を取るべきであります。
以上の立場から、本請願の「採択」を求めるものであります。
以上で、討論を終わります。