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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2019 年 2 月定例会一般質問 (消費税 10% 増税について、国民健康保険について、介護保険について、農業問題について、原発・エネルギー供給について、第 30 号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例」について、教員の働き方改革について、県民が望む島根県政について)

2019-02-15 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

【1.消費税10%増税について】
 まず、消費税10%増税について伺います。
 厚生労働省の毎月勤労統計の不正は、雇用保険や労災保険などで2000万人が過小支給などの被害を受けました。今回の不正によって、昨年の賃金が大きく伸びたように偽装されていtたことが明らかになりました。安倍首相も今国会で実質賃金、実質家計消費もマイナスであることを認めざるを得ませんでした。
 「賃金は上昇している」という消費税の増税根拠が崩れた以上、10%増税は中止するべきであります。
 2017年度の租税滞納状況では、国税での新規発生滞納額は6155億円にのぼっています。このうち、消費税の新規発生滞納額は3633億円であり、国税の全税目の60%にも及んでいます。滞納額は申告所得税の3倍以上です。滞納件数は2016年度で54万件あり、約298万件の課税業者の約18%、5人に1人が滞納していることになります。
 多くの滞納者を生む税金は、まともな税金とは言えないではありませんか。滞納者に対し、納税を強制すれば、倒産や廃業が増えるだけです。消費税は膨大な滞納を招く欠陥税制であり、地域経済を壊し、地方創生に逆行する税金ではありませんか。最大の景気対策は、消費税の増税をしないことであります。所見を伺います。

【2.国民健康保険について】
 次に、国民健康保険について伺います。
 高すぎる国民健康保険料・税に住民が悲鳴を上げています。
 県内においては、昨年10月1日時点で、保険料の滞納世帯は1万世帯を超えています。これは、国保加入世帯の12.5%にも達しています。保険料滞納の制裁措置として、県内の約500世帯に正規保険証の取り上げが行われています。生活に困窮する人が医療を受ける権利を奪われる異常事態が起こっているのであります。この事態は、国民皆保険を土台から掘り崩す大問題ではありませんか。
 保険証取り上げの制裁措置を規定している国保法第9条を改正し、保険証取り上げは中止すべきであります。所見を伺います。
 国保加入者の一人当たり平均保険料は、政府の試算でも中小業者の労働者が加入する「協会けんぽ」の1.3倍、大企業の労働者が加入する「組合健保」の1.7倍という水準です。
 公的医療保険は「国民に平等に医療を保障する」ための仕組みです。加入する保険によって「負担や給付」に大きな格差が生じていることは制度の主旨に反するではありませんか。
 「所得は低いのに、保険料は一番高い」という国保の構造的危機を打開し、不公平をただすことこそ政治の責任ではあります。所見を伺います。
 全国知事会は、政府に対し、国保料を「協会けんぽ」並みの保険料に引き下げるために「1兆円の公費投入」を要望しています。
 国保料が著しく高くなる大きな要因は、国保にしかない「均等割」「平等割」という保険料算定の仕組みにあります。世帯員の数に応じて課される「均等割」や各世帯に定額で課される「平等割」が、保険料を逆進的な負担にしている元凶です。子どもの数が多いほど保険料が引き上がる「均等割」は「まるで人頭税ではないか」「子育て支援に逆行するもの」という批判が噴出しています。
 せめて、「協会けんぽ」並みの保険料にするためにも「均等割」「平等割」などの「応益割」を廃止すべきではありませんか。すなわち、保険料算定は「応能負担原則」で対応すべきであります。所見を伺います。
 厚労省は、国民健康保険の担当部署には、保険料の納付相談など経済的に困窮している人が相談に訪れるとして、自治体に対して、通知を出しています。その通知の内容は、国保担当部署が生活困窮者の自立支援担当部署と連携を密にはかること、実効ある対策をとること、そして、滞納者や生活困窮者に対し、「徴収の猶予」「換価の猶予」「滞納処分の停止」などの「納税緩和制度」を積極的に周知し、きめ細やかな支援を実施するようにするというものです。県として、この通知内容を積極的に周知し、その活用を市町村に助言すべきであります。所見を伺います。

【3.介護保険について】
 次に、介護保険についてです。
 2000年に介護保険が始まって18年が経ちました。スタート時の第1期の島根県の基準保険料は2963円でした。それが今では6324円の基準保険料となりました。制度開始時の2倍を超す負担となっています。
 県内において、昨年6月末時点の介護保険料未納者数は4300人を超えています。年金が増えない中、高い保険料負担に高齢者から悲鳴が上がっています。
保険料の滞納期間が2年以上になった場合、国は滞納者にペナルティー・罰則を課しています。その一つは、介護サービスの利用料を1割負担から3割負担へ引き上げること、その二つは、高額介護サービス費の支給停止であります。
 昨年度、保険料未納によるペナルティーとして、3割の利用料負担を課せられた高齢者は、県内で110人にも及んでいます。これからも3年ごとの値上げが実施されようとしています。今後、介護サービスを利用できない高齢者が増大するおそれがあるではありませんか。
 経済的な理由で介護を受けられない人をなくすために、低所得者の利用料・保険料を減額・免除する制度をつくるべきであります。また、昨年度、保険料未納者に対し、405件もの預貯金や年金の差し押さえが行われています。未納者への無慈悲な差し押さえや、過酷な「ペナルティー」を見直すべきであります。低所得者が介護保険制度から排除されない実効ある対策を講じるべきと考えます。所見を伺います。
 2015年度から特別養護老人ホームへの入所は原則「要介護3」以上とされ、「要介護1、2」は待機者から排除されました。行き場のない「介護難民」が増大しています。
 格差と貧困が広がり、生活、病気、家族関係など複雑な問題を抱えた高齢者が増大しています。介護保険や民間では対応しきれない、困難を抱えた人を救済する体制を再構築・強化すべきであります。
 また、地域の高齢者の実情をつかむ拠点として、地域包括支援センターを老人福祉法に位置づけ直し、国の責任で人員・体制の構築をはかるべきであります。
 今日、老人福祉法に規定される養護老人ホームの役割は、ますます大きくなっています。しかしながら、県内において、平成29年度の入所措置数は201人しかありません。
 関係者からは「措置控え」との懸念の声も出されています。海士町や西ノ島町では、入所措置を適正に判定するために「入所判定委員会」が毎月開催されています。適切なる「入所措置」の判断、対応がなされるよう、県として市町村への助言を強化すべきであります。所見を伺います。

【4.農業問題について】
 次に、農業問題についてです。
 2010年に農水省は、農産物市場を全世界を対象に開放した場合の試算を発表しました。この試算によれば、食料自給率は39%から14%に下落し、コメは9割減、小麦・砂糖は壊滅、牛肉・豚肉は7割減、農畜産物の生産額は半減するという衝撃的なものでした。
 今、政府がすすめているTPP11、日欧EPA、日米FTAなど農産物の際限ない輸入自由化路線の推進によって、この試算は現実味を帯びています。
 国連は2019年から2028年を「家族農業の10年」と決定し、家族農業・小規模農業への支援を各国に呼びかけました。これは、大規模化・効率化一辺倒の農政が世界で貧困や飢餓を拡大し、地球環境を悪化させてきたことへの反省から農政の方向転換を求めたものであります。際限のない自由化ドミノの推進は、世界の流れに逆行するものであります。
 今、求められているのは、食料自給率向上を第一にした政策を強力にすすめることです。この立場から、県として本格的に家族農業・小規模農業を農政の柱に位置付けるべきではありませんか。家族農業の再生・発展に向けて積極的な施策展開を行うべきであります。所見を伺います。
 農業は食料自給率の向上、環境保全機能、水資源涵養、エネルギー資源生産など、命を守り、育む生命産業であります。農業の持つ多面的な機能をしっかり評価しなければなりません。しかしながら、農業の多面的役割は、農産物価格には反映されておらず、農家の無償労働によって提供されています。
 今こそ農業の多面的機能を正当に評価する直接支払い・所得補償などの積極的な支援、営農エールが求められています。所見を伺います。

【5.原発・エネルギー供給について】
 次に、原発・エネルギー供給についてです。
 福島第一原発事故から8年になろうとしています。事故原因は未だに未解明です。そして、今もなお5万人を超す福島県民が故郷に帰ることができません。原発事故は人々の幸せを奪い去ったのであります。
 わが党県議団が実施した原発に関するアンケートでは、8割の人が「島根原発再稼働反対」との回答でありました。「原発動かすな」こそ、県民の切なる願いであります。
 安倍首相が「成長戦略」の目玉として進めてきた「原発輸出」計画はことごとく失敗しました。日立製作所はイギリスでの原発建設計画の凍結を正式決定しました。
 「原発輸出」は、米国、ベトナム、台湾、リトアニア、インド、トルコ、イギリスと、すべて頓挫し、総崩れに陥っています。
 太陽光や風力などの普及が進み、再生エネルギーの発電コストは下落しています。その一方、原発は安全対策の強化が求められ、コストが年々上昇していることが総崩れの原因であります。原発はもはや事業として成り立たないことは明白ではありませんか。
 しかしながら、政府は輸出できない原発を「コストが安い」とウソをついて、日本国内での再稼働を行おうとしています。許されないことでありませんか。
 島根県政は「原発ゼロの島根」「再生エネルギー先進県の島根」の実現を決断する時ではないでしょうか。
 この立場から伺います。
 昨年の北海道地震による北海道全域停電、ブラックアウトは、電力の安定供給のためには大規模集中発電から分散型発電へと転換し、リスクを分散させることの重要性を明らかにしました。
 原発は大出力で、かつ出力の機敏な調整ができず、大規模集中発電そのものであり、電力供給が不安定・不確実であります。所見を伺います。
 地域のエネルギー資源を使った再エネ発電は売電収入が地域の企業・住民に還元され、地域の雇用を支え、地域経済の好循環を促すものであります。省エネ対策や再生可能エネルギーの普及を積極的に推進すべきであります。所見を伺います。

【6.第30号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例」について】
 次に、第30号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例」について伺います。
 地方公務員法及び地方自治法が改正され、2020年4月から会計年度任用職員制度が始まります。この制度は、正規職員を原則とする地方公務員法に、1年任用の会計年度任用職員という新たな仕組みを導入し、臨時・非常勤の大部分を移すものであります。
 条例案では、会計年度任用職員に期末手当を支給するなど勤務条件の前進面もあります。しかし、会計年度任用職員は「いつまでも非正規雇用」「いつでも雇止め可能」「生活できる賃金が保障されない」など様々な問題点があります。
 今回の法「改正」にあたって、国会の付帯決議でも、また総務省からも「公務運営の原則は、任期の定めのない常勤職員を中心とするべき」と繰り返し指摘されています。
 まず、「会計年度任用職員制度の創設」にあたって、現在の臨時・非常勤職員が担っている業務を検討する際の考え方を伺います。
 正規職員が削減される中で、「臨時・嘱託職員が担っている多くの業務が、従来は正規職員が行っていた業務である」との意見や、「経験を積んだ嘱託職員が、人事異動で新たに来た正規職員に対して業務内容の教示や助言を行っている」との例が各所で発生していると聞きます。
 このように、中には、本格的・恒常的業務を担っている非正規職員も存在しているのであります。この点を踏まえての職の整理を行うべきではありませんか。所見を伺います。
 民間では、昨年4月から労働契約法18条によって、有期雇用で5年を超えて働く労働者に「無期雇用への転換」を申し込む権利が始まりました。しかし、公務に働く臨時・非常勤職員には、労働契約法は適用されず、自治体の判断一つで「いつまでも非正規、いつでも雇止め可能」な劣悪かつ、不安定な状態におかれています。会計年度任用職員制度も「再度の任用は可能」としているだけで、継続雇用の保障はされておらず、劣悪・不安定な状況は何も変わりません。
 そこで伺います。
 自治体は、民間企業に「雇用の確保と働くルール」を徹底する立場にあります。そうであるなら、公務労働においても「無期転換ルール」の趣旨を尊重すべきであり、前向きにルール適用を検討すべきであります。所見を伺います。
 臨時・非常勤職員からは、「次の年度も働けるのか分からず、不安です」「いくら関心があり、挑戦したい仕事であっても、先の見通しのないところに人は来ません」との声が寄せられました。
とりわけ、消費生活相談員など各種相談業務等に従事する職員は、専門的な知識や関係者との協議など実務経験の積み重ねによってこそ、より高い県民サービスを提供することができるのではないでしょうか。
 再度の任用にあたっては、従前の勤務実績に基づく能力実証により行う方法に一律の年数制限を設けるべきではないと考えます。所見を伺います。
 条例案では、幾度もの公募試験を経て10年、15年の経験を積んだ職員と、初めて任用された職員の報酬額が同一である現状の改善はみられません。このようなことは、正規職員ではあり得ないことです。当事者のモチベーションを維持し、より質の高いサービスを提供、新しい人材確保の観点からも、再度の任用時には前年の「職務経験等の要素を考慮」して、より高い報酬水準とすべきと考えます。所見を伺います。
 住民の安全・安心を守るために、「任期の定めのない常勤職員を中心とした公務運営」の原則を堅持すること、そして、本格的・恒常的業務を担う非正規職員を正規化すること、非正規職員の雇用安定、待遇改善こそ重要であることを強調し、次の質問に移ります。

【7.教員の働き方改革について】
 次に、教員の働き方改革についてです。
 国の「教員勤務実態調査」によれば、教員は月曜から金曜まで毎日、平均12時間近く働き、休みのはずの土日も働いています。忙しすぎて肝心の授業準備や子どもと接する時間が取れずに教員は悩んでいます。いじめなどの深刻なケースに対応する時間や心の余裕がなくなり、保護者との意思疎通を図るための時間も十分に取れない状況にあります。
 国の統計では、小学校では一日6コマ、中学校では5コマの授業をこなしています。教員多忙の決定的な要因は、一日に受け持つ授業数の増加にあります。
 そこで、伺います。
 現在、県内の教員は一日何コマの授業を実施していますか。
 一日に5コマも6コマも授業を持てば、所定の勤務時間内に仕事を終えることは不可能です。一日6コマの授業をして、法律通りに45分間の休憩を取れば、残る時間は25分程度しかありません。授業準備や採点、打ち合せや必要な書類作成などの公務ができるわけがないではありませんか。結局、異常な長時間労働で対応せざるを得ないのが現状であります。
 教職員の異常な長時間労働をなくすためには、持ち時間数の上限を、一日4コマを目安に定め、それに必要な教員定数を増やすべきであります。すなわち、長時間労働をなくすためには、定数を増やし、一人の教員が受け持つ授業時間を削減することなしには、根本的解決は不可能ではありませんか。所見を伺います。
 また、学校の業務を減らすことも重要です。
 1990年前後から、不登校が増加し、いじめ問題など学校の抱える課題が増加しました。貧困と格差が広がる中で、子育てへの不安や困難が深まり、保護者と関わりも複雑さも増し、教職員の負担は大きくなりました。しかも、同じ時期に、国や自治体は、全国学力テスト、自治体独自の学力テスト、行政研修の増大、教員免許更新制、人事評価など多くの施策を学校に押しつけてきたのであります。その結果、それらが積み重なり、教職員の多忙化に拍車がかかりました。
 国も自治体も教職員の適正な労働に責任を負う当事者です。異常な長時間労働がある以上、現場に負担を与えている教育施策を厳しく見直すことが求められているのではないでしょうか。
 全国学力テストの自校採点や県学力テストなどは、学校現場からその実施の是非に異議が出されています。学校現場において、教職員から、納得と合意が得られていない施策や事業は、見直しを行うべきです。勇断を持って中止すべきです。所見を伺います。

【8.県民が望む島根県政について】
 最後に、県民が望む島根県政について、知事に伺います。
 溝口知事は、今期限りでの退任を表明されました。3期12年にわたるご労苦に心からの敬意を表するものであります。
 言うまでもなく、自治体の使命は、住民の命と安全を守り、福祉を増進することにあります。県民は、国がすすめる社会保障削減や消費税増税に不安を抱いています。国の冷たい政治に対し、島根県政が防波堤の役割を果たすべきです。
 県民は、国の下請け機関ではなく、県政が住民福祉の機関の役割を果たすこと、すなわち、くらし・福祉第一で、原発ゼロの安全・安心の県政、憲法を生かす県政を希求しています。県民が望む県政は何であるのか、また今後の島根のあるべき方向は何であるのか、知事の所感を伺って、質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画