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「島根創生計画」を「了承」とした地方創生・行財政改革特別委員長の報告に対する討論

2020-03-17 この記事を印刷
【「島根創生計画」を「了承」とした地方創生・行財政改革特別委員長の報告に対する討論】

 日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して、島根創生計画を「了承する」とした地方創生・行財政改革調査特別委員長の報告に反対の討論を行います。
 「島根創生計画」は、2020年度からの5か年間の目標や施策の基本的方向を示すものとされ、まち・ひと・しごと創生法第9条に基づく、本県の総合戦略として位置付けられるものであります。
 いま、本県をはじめ、地方の現状はどうでしょうか。昨年の消費税の10%への増税、度重なる社会保障の後退と住民への負担増、農林水産業分野においては、TPP11や日欧EPA、日米貿易協定など、輸入自由化路線が加速し、担い手の高齢化とともに、一層厳しさが増しています。地方において様々な取り組みが行われているものの、東京一極集中は止まらず、地方の人口は減少の一途をたどっています。今月11日で、東日本大震災と福島原発事故から9年がたちましたが、国は原発再稼働を推進し、「原発ゼロ」を願う県民の想いとも大きくかけ離れています。
 今、本県に求められているのは、国いいなりの政治から脱却し、地方自治法が規定する「住民福祉を増進」すること、すなわち、県民のくらしと命、健康と安全を守る県政へと転換することにあります。
 例えば、本県の経済を支えている農林漁業・一次産業や中小企業への支援を抜本的に充実させること、労働者のくらしを保証するために最低賃金を直ちに時給1000円以上に引き上げること、医療・介護のサービスの充実と保険料の引き下げなど、安心できる社会保障を構築すること、少人数学級のさらなる充実や環境整備など、ゆきとどいた教育を推進すること、子育てにかかる経済的負担を軽減し、子どもを産み育てやすい環境を整えること、災害に強い県土づくり・原発ゼロの島根を実現することが、切に求められています。
 「島根創生計画」の問題点を指摘いたします。
 「計画」では、「現場主義と県民目線」「連携と協働」「オール島根」を謳いながら、全くそうなっていないということです。市町村との協議は不十分で、現場の理解と納得なきまま、事業の「スクラップ」が進められました。
 放課後児童クラブや子どもの医療費助成の充実と引き換えに少人数学級編制を縮小するという「パッケージ」での提案は、県民に対立と分断を持ち込み、二者択一を迫るもので、狡猾(こうかつ)な手法と言わざるを得ません。さらに、知事は「現場主義」を標榜しながらも、学校現場へ出向いて、教職員や子どもたちから意見を聞くこともしませんでした。県内首長や教育委員会からの意見表明、議会からの意見書、保護者や住民団体によって寄せられた5万を大きく超える署名など、「現行の少人数学級を維持・充実させて欲しい」という声は大きいものがあり、縮小案には今なお、県民の理解が得られているとは、到底、言えるものではありません。
 県民の理解なきまま、学校現場の理解と納得のないまま、事業を縮小することなど、あってはなりません。これで「笑顔あふれる島根」を守り、育て、未来へつなげていくことができるでしょうか。
 そもそも、本県が置かれている財政状況の厳しさは、地方交付税の削減に加え、過去の身の丈を超えた公共投資による県債残高の増大とそれに伴う公債費負担にあり、その責任は、歴代の知事と議会にあることは明白で、県民、ましてや子どもたちにそのツケを転嫁することなど許されるものではありません。
 見直し・中止すべきは、子どもを競争に駆り立て、学校を序列化する学力テスト、総事業費250億円の県民合意のない松江北道路の建設、大企業優遇の企業誘致策、原発の再稼働に向けたすべての動きであります。
「島根創生」の成功のカギは、県内市町村はもとより、各種団体、そして県民と力を合わせ、「全世代が活躍できる島根」「多様な立場の人が輝き、夢と希望を持てる島根」をつくることに他なりません。この間の計画策定のプロセスや、県民に分断を持ち込むような提案手法は、県政に禍根を残すものと言わざるを得ず、根本からの転換を強く求めるものであります。
 よって、「島根創生計画」を「了承する」とした委員長の報告に反対であります。以上、討論といたします。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画