2020 年 11 月定例会 知事提出議案に対する討論
2020-12-15 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
日本共産党県議団を代表して、条例案1件、一般事件案1件について、委員長報告に反対する討論を行います。
【第125号議案「島根県立男女共同参画センター条例の一部を改正する条例」】
まず、第125号議案「島根県立男女共同参画センター条例の一部を改正する条例」についてであります。
本条例案は、島根県立男女共同参画センター(あすてらす)について、利用者の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、冷暖房設備を通年稼働させることに伴い、施設利用料の改定を行うものであります。
具体には、現在、センターの冷暖房期間は、6月~9月及び11月~3月の9か月間であります。それを通年稼働するとして、研修室、ホール、会議室などすべての部屋の利用料について、一律に30%もの大幅値上げを行うものであります。
本年、3月16日に提出された「公の施設の管理・運営ならびに今後の活用について」とした包括外部監査結果報告書によれば、本センターは利用率が30%未満の部屋が多数あり、利用者数の増加が喫緊の課題とされています。また、年間の施設利用者が3万人程度ある中で、利用者アンケートの回答者数が10人に満たない状況であることについて、「利用者の意見や要望を把握する仕組みとして不十分である」との指摘を受けたところであります。
本センターの利用にあたっては、事前に電話による予約をした上で、利用日までに使用申請書を郵送により提出しなければなりません。利用者からは、利便性の向上を求めて、インターネットによる申し込みを希望する声が多数寄せられています。
いま、大切なことは、センターはもちろんのこと、県自身も監査意見や県民の声を真摯に受け止め、これまでの施設運営の在り方を検証することであります。県民・利用者の意見・ニーズを収集、分析した上で、施設利用料のあるべき方向を定めるべきではないでしょうか。
この度の拙速なる施設利用料値上げが、さらなる利用率低下につながりかねないことを懸念するものであります。よって、本条例案には賛同できません。
男女共同参画センターは、条例第2条に規定している通り、「男女平等とあらゆる分野での男女共同参画を推進し、男女がともに支えあう豊かな社会の形成を図る」ことを目的に設置されたものであります。
センターは、男女共同参画や女性活躍の推進、ジェンダー平等社会の実現をすすめる上で、かけがえのない施設であります。
施設運営にあたっては、常に県民の視点に立ち、県民ニーズの把握に努め、さらなる利用者へのサービス向上に努められることを期待するものであります。
【第132号議案「公の施設の指定管理者の指定について(県立古代出雲歴史博物館)」について】
次に、第132号議案「公の施設の指定管理者の指定について」についてであります。
本議案は、県立古代出雲歴史博物館を指定管理者制度によって、民間企業の「ミュージアムいちばた」へ管理を指定するものであります。
「公の施設」は、地方自治法第244条が規定する通り、「住民の福祉を増進する目的」を持って、その利用に供するための施設であります。
公の施設を、公共性を持たず、営利を目的とする民間会社に任せ、代行させて、果たして自治体の責任が果たせるのか、危惧されます。
よって、本議案には反対であります。
本県の指定管理者が雇用する非正規雇用労働者の最低時給額をみてみると、島根県の最低賃金である792円を最低時給額とする施設も見受けられます。そして、最低時給額が800円や830円、840円の施設も多数あります。
指定管理者制度の運用にあたっては、「公の施設」にふさわしく、公務公共サービスを維持・充実させ、業務の公共性や専門性が担保されなければなりません。
そのためにも、県として、指定管理者で働く労働者に適正な賃金・労働条件を保障すべきことを求めるものであります。
以上で討論を終わります。