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地方創生・行財政改革調査特別委員長報告に対する反対討論

2021-03-16 この記事を印刷
 日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して、地方創生・行財政改革調査特別委員長報告に対し、反対の討論を行います。

【地方創生・行財政改革調査特別委員長報告に対する反対討論】

 今、本県をはじめ地方の現状はどうでしょうか。一昨年の消費税の増税、度重なる社会保障の後退と住民への負担増、農産物の輸入自由化路線の推進、東京一極集中政策により、地方の人口は減少の一途をたどっています。
 加えて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、感染が比較的抑えられている本県にも影を落とし、観光、宿泊、飲食業を中心に、その厳しさは日を追うごとに増しています。
 今月11日で、東日本大震災と福島原発事故から10年を迎えましたが、国は原発再稼働を推進しています。「原発ゼロ」を願う県民の想いと大きくかけ離れているではありませんか。
 今、本県に求められているのは、国言いなり政治から脱却し、地方自治法が規定する「住民福祉を増進」すること、つまり、県民のくらしと命、健康と安全を守る県政へと転換することにあります。
 例えば、本県経済を支えている農林漁業や中小企業への支援を充実させること、労働者のくらしを保証するために最低賃金を直ちに時給1000円に引き上げること、医療・介護サービスの充実と負担の軽減など安心できる社会保障を構築すること、少人数学級のさらなる充実や教育環境の整備、子育てにかかる負担を軽減し、子育て環境を整えること、災害に強い県土づくり・原発ゼロの島根を実現すること、これらが切に求められています。
 「島根創生計画」では、「現場主義と県民目線」「連携と協働」「オール島根」が謳われているものの、現場の理解と納得なきままに事務事業の「スクラップ・アンド・ビルド」がすすめられました。
 放課後児童クラブや子どもの医療費助成の充実と引き換えに少人数学級編制を縮小するという「パッケージ」での提案は、県民に対立と分断を持ち込み、二者択一を迫るものに他なりません。「現場主義」と言いながら、知事は現場へ出向き、教職員や子どもたちの意見を直接聞こうという姿勢すら示していません。コロナ禍の下、学校での「密」が高まることが懸念されています。国は少人数学級の推進にかじを切り、菅首相も中学校までの拡大を検討することを明言しています。少人数学級の縮小は、県民の願いや国の流れにも逆行するものであり、今からでも撤回すべきです。
 また、本県が置かれている財政の厳しさは、地方交付税の削減に加え、過去の身の丈を超えた公共投資による県債残高の増大とそれに伴う公債費負担にあり、その責任は、歴代の知事と県議会にあることは明白で、県民、ましてや子どもたちにそのツケを転嫁することは、地方自治の精神をないがしろにするものと言わざるを得ません。
 見直し・中止すべきは、子どもを競争に駆り立て、学校を序列化する学力テスト、総事業費250億円の松江北道路の建設、大企業優遇の企業誘致策、原発の再稼働に向けたすべての動きであります。「島根創生計画」を含め、県政の根本からの転換を強く求めるものであります。
 今回の委員長報告は、知事がかかげた「島根創生計画」を「了承する」としたこの間の委員会の決定を顧みることなく、さらに前へ進めようと後押しするものであり、容認できません。
 「島根の再生」「島根のさらなる発展」のカギは、県内市町村はもとより、広く県民と力を合わせ、「多様な立場の人が輝き、夢と希望を持てる島根」をつくることに他なりません。
 委員長報告にある、執行部への「意見・要望」では、「財源確保のために数字合わせで予算を削り、県民生活の安定を損なうことはあってはならない」、また、「施策の見直しの必要があれば、市町村や関係機関ともよく相談し、時機を逸することなく柔軟に対応すること」との指摘がされています。しかしながら、この間の「スクラップ&ビルド」、とりわけ少人数学級の縮小をめぐるこの間の過程は、これらの指摘からも大きく逸脱しているものと言わざるを得ません。
 これらのことを指摘し、委員長報告に反対の討論といたします。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画