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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2021 年 11 月定例会一般質問 (コロナ禍での生活支援と新型コロナウイルス感染症対策について、頻発する自然災害とコロナ禍を踏まえた来年度の組織・人事制度について、米軍機低空飛行訓練と美保基地の基地機能強化について、島根原発について)

2021-12-03 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

【1.コロナ禍での生活支援と新型コロナウイルス感染症対策について】
 コロナ禍での生活支援と新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 まず、「島根県飲食店等事業継続特別給付金」についてです。
 県が中小事業者支援の目玉として創設した「島根県飲食店等事業継続特別給付金」を申請した方から、驚くべき相談を受けました。
 その内容は、給付金申請後、給付金事務局から11月22日付で申請者に届いた通知書に、「必要書類が不足している」ので「納税証明書の提出をお願いします」と記載されていました。
 問題なのは、11月25日必着で書類が到着しなければ「理由の如何を問わず、申請は取り下げとさせていただきます」と書かれているのであります。
 この方に通知書が届いたのは11月23日です。それなのに、2日後の25日までに書類を準備し、提出されなければ、給付金は支給しないというのです。さらに、通知書末尾には「本件に関するクレーム、異議申し立てをお受けすることはいたしかねます」とまで記載されているのです。
 この方に限らず、申請不備がある人に対し、このような酷い対応が取られているのではないでしょうか。コロナ禍で経済的に追い詰められた方を精神的にも追い詰める冷淡な対応は改めるべきです。書類不備というだけで、請求を「追い返す」審査は改め、事業者に寄り添った丁寧な対応と相談体制確立を求めます。そして、申請業務の手順、あり方の徹底検証を求めます。知事の所見を伺います。
 
 次に、原油価格高騰対策についてです。
 ガソリンや灯油代が値上げとなり、各分野で深刻な影響が出ています。いま求められるのは、生活困窮者に対する灯油購入費助成、社会福祉施設への暖房費高騰分の助成、農林水産業者への燃油高騰分の助成などの支援策を講じることであります。
 総務省は11月12日、地方公共団体が行う原油価格高騰対策に対し、特別交付税を措置することを表明しました。
 国の特別交付税等を活用して、原油価格の影響を受けている生活者や事業者支援策を実施すべきであります。如何ですか。
 
 次に、生活福祉資金の特例貸付についてです。
 昨年3月からスタートした生活福祉資金の特例貸付件数は本年9月末までで、緊急小口、総合支援資金において約7300件にも上りました。
 問題なのは、申請の際に、申請者が抱える問題に向き合って、生活保護など、利用できる支援制度につなげることなく、単なる貸し付け業務に終始している例があることであります。貸し付けは、コロナ禍が収束し、生活困窮者の収入が元に戻り、返済可能な水準になることを前提としたものです。収入が増えなければ、返済の目途や生活再建の見通しは立たず、返済不能に陥ることが懸念されます。
 この立場から伺います。
 特例貸付を行う社会福祉協議会の担当職員は、県内どこの社協においても数名程度でしかありません。返済が始まる2023年1月を念頭に、申請者に寄り添った相談支援を行っていく上でも、体制強化が必要と考えます。収入が増えなれば、返済に苦しむ困窮者が増大することとなります。生活保護の申請などセーフティネットにつなげる、早期の適切なる支援を行うべきと考えます。所見を伺います。
 
 次に、介護保険についてです。
 特別養護老人ホームなどの利用料が8月から2倍にも跳ね上がった高齢者が相次いでいます。これは、住民税非課税世帯の人の食費・居住費を軽減する「補足給付」制度が縮小されたことによるものです。
 負担増になった人の家族からは「食費負担が2万円から4万2000円になった」「月約10万円の年金がなくなってしまう」との悲鳴が上がっています。
 コロナ禍で仕事を失ったり、収入が減った人の中には、親を施設で介護している人が数多くいます。苦境にある人に追い打ちをかける「補足給付」縮小は許されません。
 そこで伺います。
 本県において、食費・居住費の負担増で、利用者にどのような影響が生じていますか。その人数と経済的な影響の状況について伺います。あわせて、利用者やその家族からどのような声が上がっていますか。お聞かせください。
 国に対して、食費・居住費の負担増について撤回を求めるとともに、これ以上、高齢者や家族の生活基盤を脅かすような制度見直しを行うことがないよう求めるべきです。所見を伺います。
 介護保険では、改定のたびに上がる保険料が国民を苦しめています。県内では令和2年度において、保険料滞納者は3000人を超え、保険料滞納による預貯金や年金差し押さえは、576件にも上っています。その多くは、無年金者や極めて少ない年金受給者です。保険料滞納者には、1割の利用料負担がいったん全額自己負担になるなど、過酷なペナルティがあります。
 保険料滞納者への無慈悲な差し押さえは中止し、経済的に困難な人が必要な介護を受けられない仕組みは改めるべきです。実効性のある減免制度の拡充・創設が緊急に必要と考えます。所見を伺います。
 
 次に、保健所の体制強化についてです。
 コロナ危機は、保健所の重要性とその課題を浮き彫りにしました。
 保健所職員は、電話相談をはじめ、検体採取と回収、陽性者や濃厚接触者への対応など感染拡大防止のため、休みなく働き続けています。職員の献身的な努力と全庁的な人的支援によって、第5波まで乗り切ることができました。
 こうした保健所のオーバーワークは全国的な問題となっています。その背景の一つには、1994年に保健所法が廃止され、地域保健法成立によって、保健所を設置する単位が2次医療圏を基本とすることとなったからであります。
 1992年には全国に852カ所あった保健所が、2020年には469カ所にまで減らされてきました。島根県でも能義、川本、隠岐の黒木保健所が廃止となり、10カ所あった保健所が7保健所になりました。
 さらに、1000人を超す職員削減計画に基づく大幅な人員削減の影響で、保健所体制が縮小されたのであります。
 そこで伺います。
 住民が安心して相談でき、陽性が判明した際には遅滞なく隔離・保護でき、陽性者や濃厚接触者へのフォローが十分できるなど、保健所が余力をもって住民に寄り添った対応ができるよう、医師、獣医師、薬剤師、保健師、検査技師などの専門職をはじめとした人員を増やし、体制を強化すべきです。所見を伺います。
 2002年に発生したSARSコロナウイルスに続き、2012年にはMERSコロナウイルスが発生しました。そして、昨年には新型コロナウイルスが発生するなど、10年ごとに新たなコロナウイルスが出現しています。
 今後も気候変動や環境破壊等に起因する未知なる感染症に備えるため、その司令塔となる保健環境科学研究所や感染症対策室など感染症の危機管理部門の抜本的強化が必要と考えます。所見を伺います。

【2.頻発する自然災害とコロナ禍を踏まえた来年度の組織・人事制度について】
 次に、頻発する自然災害とコロナ禍を踏まえた来年度の組織・人事制度についてです。
 近年、相次ぐ自然災害への対応にあたっては、土木部職員をはじめ、県職員は被災自治体へ応援に入り、多大なる貢献を果たしています。大きな被害を受けた地域を担当する県土整備事務所では、年度中途に、人事異動が行われ、災害復旧を担当する部署を設けるなどの措置が行われました。しかし、それでも、技術職員の人手不足は解消されず、任期付職員の募集など、変則的対応がとられています。
 しかし、100年、50年に一度とされるような自然災害が毎年のように発生する状況にあって、毎年のように、このような一時しのぎの手法を繰り返していてよいのか、はなはだ疑問であります。
 そこで、伺います。
 頻発する自然災害を踏まえ、災害予防に必要な公共事業、あるいは、発生後の復旧事業の業務量を適切に見込んだ上で、公共土木部門の体制や職員定数を抜本的に見直すべきです。所見を伺います。
 また、1000人を超える職員削減の間に職員採用を抑制した結果、近年、若い世代の職員が急増しています。出産や子育てのため、安心して産休、育休を取得できる体制づくりが急務です。
 しかし、育休の職員に代わって配置される育休代替職員は期限付きの採用であり、給与水準も低く抑えられているため、その人材確保も容易ではありません。
 そこで伺います。
 子育てと仕事の両立を図るために、育児休業の代替に「任期の定めのない正規職員」を配置し、職種を問わず、余裕を持って育児休業取得者数を見込んだ計画的な職員採用を行うなど育休代替職員制度を抜本的に改善すべきと考えます。所見を伺います。
 1000人を超える職員削減の結果、不安定な地位に置かれている非常勤職員が大幅に増加するなど、今もなお、全庁的に様々な影響が続いています。丸山知事就任4年目に向けて、その影響を改めて総括し、今後の行政ニーズを適切に見据えて、県の組織や職員定数を柔軟に見直すべきと考えます。所見を伺います。

【3.米軍機低空飛行訓練と美保基地の基地機能強化について】
 次に、米軍機低空飛行訓練と美保基地の基地機能強化についてです。
 米軍機による危険な低空飛行訓練がここ数年、島根県西部を中心に相次ぎ、米軍機の目撃情報や騒音が急増しています。
 低空飛行訓練急増の要因は、米軍岩国基地への空母艦載機の移駐が3年前に完了し、約120機が所属する東アジア最大の航空基地へと変貌したことにあります。
 浜田市の旭小学校では昨年11月、学習発表会の最中に爆音が響き、子どもたちの声が全く聞こえなくなり、発表会が2度も中断しました。学校や市民から「テストで集中できなかった」「会議で発言者の声が聞こえない」などの苦情が寄せられたほどです。
 騒音測定器のデータも、訓練の増加を裏付けています。
 県内5ヵ所ある防衛省の騒音測定器でも、ほとんどの人が「うるさい」と感じる70デシベル以上の騒音が、浜田市旭町で20年度は728回を記録しました。これは、19年度1年間の484回を上回り、15年度以降で最多となるものです。
 10月5日には、萩・石見空港に岩国基地所属の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの2機が緊急着陸しました。これは1999年、2002年に続く3度目の異常事態であります。着陸にあたって、米軍側からの事前連絡はなく、住民からは「地響きがするほどの轟音で怖かった」との不安が広がっています。
 11月30日、米空軍三沢基地所属のF16戦闘機が機体トラブル発生により、青森空港に緊急着陸しました。着陸前に燃料タンク2本を上空から投棄し、一歩間違えば大惨事となりかねない事態となりました。
 米軍に、全国どこへでも部隊を自由に配備し、国内法も無視して自由に訓練するなどの特権を与えている国は、世界でも日本だけです。島根の空の安全を守るために、日米地位協定の抜本的改定は待ったなしであります。所見を伺います。
 航空自衛隊美保基地においては、この間、C2輸送機や大型ヘリCH-47JAが配備され、10月29日には新型空中給油機KC-46Aが配備されました。
 空中給油機の配備は「米中対立」が激しさを増す中、対中国を念頭にした南西地域の防衛強化が狙いであり、12月には2号機が配備され、将来は6機態勢とする計画であります。
 基地周辺住民からは「部品落下、騒音、基地が攻撃対象になるのではないか」など不安の声が渦巻いています。
 安保法制によって、空中給油機は、米軍機やオスプレイへの給油も可能となり、危険極まりないものになりました。空中給油機配備は中止するなど、美保基地の軍備機能強化について反対すべきと考えます。所見を伺います。
 岸田首相は中国や朝鮮を念頭に、違憲の「敵基地攻撃能力の保有」を唱え、防衛費の対GDP比1%以内の原則をも放棄して2%以上を主張するなど米国をはじめ、欧米諸国との軍事同盟を強化し、「戦争する国」づくりをすすめ、アジアの緊張を高めています。
 いま日本に求められているのは、軍事力の増強ではなく、平和憲法の精神に基づき、アジアにおける平和の創出のために9条を生かした平和外交を行うことにあると考えます。所見を伺います。

【4.島根原発について】
 最後に、島根原発についてです。
 福島事故から10年以上が経ちましたが、福島第一原発は「収束」とは程遠く、今もって溶け落ちた核燃料の位置や状態はほとんど分かっていません。
 さらに、破壊された原子炉建屋への地下水流入により、核燃料から溶け出した放射性物質を含む汚染水が増え続けています。
 このような中、政府は、漁業者の反対を押し切って、汚染水を海に流すことを決定しました。汚染水の海洋放出は、環境汚染のみならず、事故後10年にわたる福島の努力を台無しにするものであります。こういう福島の願いに反するやり方が国と電力会社への不信を広げているのではないでしょうか。
 それにもかかわらず、政府は、原発を重要なベースロード電源と位置付ける第6次エネルギー基本計画を閣議決定しました。計画は、現在、発電量において6%の原発を、2030年度に20~22%とするものであります。これは、原子力規制委員会に審査申請した27基すべてを稼働するものであり、この27基の中には、島根原発2号機の再稼働のみならず、島根原発3号機の新規稼働が含まれています。
 2号機が再稼働し、3号機まで新規に稼働すれば、島根県民は今後100年、原発漬けとなってしまいます。原発依存の島根を続けるのか、それとも、原発ゼロの島根に切り替えるかは、島根で暮らす県民が決めることであって、国から押し付けられるものではありません。
 憲法では、地方自治の本旨として、地域の住民が地方政治に参画して地域のことを自ら決定する「住民自治」を保障しています。国からの押し付けは、自治体に対する重大なる自治権侵害と考えます。知事の所見を伺います。
 松江市では、島根原発2号機再稼働の是非を問う住民投票条例制定を求める直接請求運動がスタートしました。知事は、原発再稼働にあたっては「住民の理解と合意が重要」と答弁されています。
 地方自治と民主主義を守り、発展させ、住民世論を把握する上で住民投票は有意義なものと考えます。所見を伺います。
 次に、プルサーマル計画についてです。
 2号機では、2008年10月に国からプルサーマル計画にかかる設置変更が許可され、県は2009年3月24日にプルサーマル導入について最終的に了解しました。その2年後に、プルサーマル運転を行っていた福島第一原発3号機が爆発しました。
 30キロ圏内の出雲、安来、雲南3市が、中電と安全協定を締結したのは福島原発事故後であり、福島事故前に県が了解したプルサーマルについて、これら3市は全くプルサーマル議論に加わっていません。
 本年2月、電気事業連合会は、プルトニウム利用計画を策定しました。計画では、プルトニウムを保有する各社が、自社責任でプルトニウムを消費し、プルサーマルを早期かつ最大限導入することとしています。
 現在、中国電力はプルトニウムを1.4トン保有しています。そして、そのプルトニウムを毎年0.4トン利用する計画を立てています。プルサーマルは、ウラン燃料で運転することを前提にした原発に、ウランにプルトニウムを混ぜた燃料を使うものであります。これは、灯油ストーブにガソリンを使うようなものであり、大変危険な運転であります。私は、猛毒物質でもあるプルトニウムを島根で燃やすことには断固反対するものであります。
 そこで伺います。
 立地自治体や周辺自治体の同意もなく、プルトニウム利用計画を決定した電気事業連合会や中国電力の姿勢は、自治体との信頼関係を著しく損ねるものと考えます。中電ならびに県は2号機再稼働とあわせ、2号機でのプルサーマルの是非について、30キロ圏内の3市に説明責任を果たすべきであります。所見を伺います。
 次に、避難計画についてです。
 私は、実効ある避難計画とは「原発の事故時に100%住民の命と安全、健康を守ることができる計画」と指摘しました。これに対し、知事は「そういったことを実現できる計画であり、その体制が必要である」と答弁されました。
 内閣府は、住民説明会において「避難計画の実効性を高めていくためには、行政の対応能力と住民の理解が重要」と説明しました。そうであるならば、住民の理解と協力が不可欠であり、行政は住民の意見や不安を正確に掴むことが重要であります。
 計画の実効性を判断するのは、避難を余儀なくされる要支援者をはじめ、医療・福祉施設、保育園、学校関係者など一人ひとりの住民であり、十分に一人ひとりの理解が得られず、住民自身が避難計画に実効性がないと判断したならば、再稼働などあり得ません。如何ですか。
 医療や介護分野のマンパワーは平時でもギリギリの状態です。コロナ危機を通じて、さらにそのことが明白となりました。
 原発事故時に備えて、要支援者、入院患者、福祉施設入所者の避難を支援する医師、看護師、介護士など専門知識を有する医療・介護スタッフを充足・確保する必要があります。如何ですか。
 最後に、「島根創生計画」の理念と島根原発についてです。
 「島根創生」とは、「笑顔で暮らせる島根をつくる」計画であります。一方、県民の笑顔と幸せを奪い去るのが、原発事故であります。
 原発がある限り、住民は事故の不安を抱えて生活せざるを得ません。事故の不安に怯えながら、島根で生活すること自体、笑顔で暮らせる島根創生とは言えないのではありませんか。
 原発ゼロを決断し、使用済み核燃料や原子炉の処理が終われば、原子力防災訓練を実施する必要はなくなります。そればかりか、原発事故に備えた避難計画の策定も不必要となります。島根原発の存在は、島根創生計画の理念に反するものであります。知事の所見を伺います。
 福島は、原発推進の国のエネルギー計画ときっぱり決別しました。今こそ島根県政は福島と固く連帯し、原発ゼロを決断し、島根から安全・安心のエネルギーを発信すべきです。
 2号機の再稼働は断じて許されないことを強調して質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画