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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2022 年 2 月定例会 知事提出議案、議員提出議案に対する討論

2022-03-16 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成です。
 日本共産党県議団を代表して、予算案4件、条例案4件についての委員長報告、及び議員提出議案1件について、反対する討論を行います。

【第4号議案「令和4年度島根県一般会計予算」】

 まず、第4号議案「令和4年度島根県一般会計予算」についてであります。
 今、県民の中には新型コロナウイルス感染症、予期せぬ自然災害、さらには島根原発再稼働に向けた動きによって、命やくらしが脅かされることへの不安が渦巻いています。
 県民に希望と安全・安心の島根を発信することが、島根県政の使命であり、県民の命とくらしを守ることを県政の基軸に据えるべきであります。
 新型コロナ危機を通じて、県内の医療や公衆衛生が脆弱であることが明らかになりました。県内各地で医療や福祉のマンパワー、ベッドが不足し、救急医療を制限する事態も生じました。
 県内の一般・療養病床数は、地域医療構想に基づいて、2013年度の9175床から2020年度には7958床へと約1200床も減らされました。2025年度の必要病床数は6569床と想定されており、さらなる病床削減が計画されています。
 今、県政に求められるのは、新型コロナをはじめ、未知なる感染症に備えるため、ワクチン接種を安全・迅速に進め、大規模・頻回・無料のPCR検査体制を整えること、保健所の専門職をはじめとした人員を増やし、体制を強化すること、そして、病床を削減する地域医療構想を見直し、コロナ禍で減収となった医療機関、福祉事業所に財政支援を行うことであります。
 そして、コロナ禍のもとでも、子どもをしっかり支えるため、コロナ対応で多忙を極める教職員の勤務環境を改善するとともに、来年度からの中学2年生の少人数学級編制基準を後退させないことであります。
 2年を超えるコロナ危機のもと、県民のくらしが痛んでいます。
 国民健康保険においては、加入世帯の約1割が保険料を払えず、介護保険においても保険料未納者数は3000人を超え、未納による制裁措置として令和2年度65人が給付減額措置となり、3割の利用料負担が課せられました。すなわち、貧困と格差が拡大し、生活困窮者が社会保障制度から排除され、必要な医療が受けられない深刻なる事態が起きています。
 県政は県民の苦しみを直視し、民生費・衛生費など社会保障予算増額の措置を取るべきであります。
 コロナ禍の中、自粛要請により中小業者の売り上げが減少し、米価や農産物価格下落によって、営業・営農意欲が低下しています。地域に根を張って頑張る地場産業育成にこそ商工予算の柱をシフトし、農林水産業を基幹産業と位置付け、内発型・循環型の地域振興策の推進を図る時であります。最大の景気対策は、消費税を減税し、事業者に煩雑な実務を押し付けるインボイス制度を中止し、中小企業支援とセットで最低賃金を引き上げることであります。
 また、豪雨、地震など頻発する自然災害を踏まえ、経済効率優先の大型開発は見直し、防災・減災型の公共事業を重点化すべきであります。そのためにも、松江北道路建設については、改めて建設の是非を全市民的に議論すべきと考えます。
 県民の笑顔と幸せを奪い去るのが原発事故であります。今年3月11日で福島原発事故から丸11年を迎えました。事故は未だ収束せず、事故原因も未解明です。福島事故の教訓は、「安全な原発などあり得ない」ことを私たちに教えました。
 実効ある避難計画は未策定であり、核燃料サイクルの破綻は明瞭です。猛毒物質・プルトニウムを燃やす島根原発2号機でのプルサーマル運転は、絶対に認められません。
 「原発ゼロ」を決断し、使用済み核燃料や原子炉の処理が終われば、原子力防災訓練を実施する必要はなくなります。そればかりか、原発事故に備えた避難計画の策定も不必要となります。島根の希望ある道は、技術的に未完成な原発からの撤退を決断し、省エネ・再エネ推進で新たな雇用と産業を創出することです。
 島根県政は、「住民福祉の機関」の役割を発揮し、住民の意思、民意を尊重し、暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきであります。

【第10号議案「令和4年度島根県国民健康保険特別会計予算」】

 次に、第10号議案「令和4年度島根県国民健康保険特別会計予算」についてです。
 国保加入者からは「保険料が払えず、保険証を取り上げられた」「滞納を理由に年金や生命保険を差し押さえられた」との悲鳴が上がっています。
 令和3年10月1日現在、県内において8万4000世帯が国保に加入し、そのうち、保険料滞納世帯は7000世帯にも上っており、国保加入世帯の約1割が保険料を滞納する事態となっています。その制裁措置として、約350世帯が保険証を取り上げられています。
 本年4月から国の制度として、国保料・税の未就学児の「均等割」を5割軽減する制度が始まることについては、歓迎するものであります。子どもの数が多いほど、国保料・税が引き上がる「均等割」は子育て支援に逆行するものであります。「均等割」「平等割」などの応益割は廃止すべきであります。
 高い国保料を引き下げるためにも、国庫負担金の増額、市町村による一般会計繰り入れ、基金の取り崩しは待ったなしの課題であります。
 国保の都道府県化によって、県も保険者となりました。県としての保険者責任を果たし、高い保険料を値下げするため独自財源投入を決断すべきであります。

【第18号議案「令和4年度島根県病院事業会計予算」】

 次に、第18号議案「令和4年度島根県病院事業会計予算」についてです。
 県立中央病院では、看護師の2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては安心・安全な看護の提供の面から有害であります。
 また、県民誰もが等しく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきであります。
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、公立病院の重要性が改めて明白になりました。
 県立中央病院は、救急医療、地域医療、災害医療、周産期医療など、政策的医療を推進し、県民にとってかけがえのない命綱の病院であります。
 災害拠点病院である中央病院は、大規模災害や感染症蔓延に備えて、全県的な立場に立って必要病床を確保し、最後の砦としての役割を果たすべきであります。

【第21号議案「令和4年度島根県水道事業会計予算」】

 次に、第21号議案「令和4年度島根県水道事業会計予算」についてです。
 江の川水道用水供給事業や島根県水道用水供給事業の最大の問題点は、積算根拠、需要予測を見誤ったことにあります。そのため、使わない水まで住民負担となり、高い水道料金に住民から悲鳴が上がっています。
 県として、受水団体への資本費負担軽減を図るなど料金軽減策を講じるべきであります。

【第28号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例の一部を改正する条例」】

 次に、第28号議案「会計年度任用職員の報酬、費用弁償及び期末手当支給条例の一部を改正する条例」についてです。
 本条例案は、会計年度任用職員の期末手当の支給割合を引き下げるものであります。
 会計年度任用職員は、正規職員とともに県民の命と健康を守るため、全力で職務に精励しています。
 会計年度任用職員の期末手当引き下げは、民間にも波及し、賃下げの悪循環を招きかねません。職員の努力と奮闘に背を向け、地域経済の停滞につながる、本条例案には反対であります。

【第33号議案「島根県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例」】

 次に、第33号議案「島根県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例」についてです。
 本条例案は、後期高齢者医療財政安定化基金に積み立てる拠出金について、広域連合から徴収する拠出割合をゼロから標準拠出率の10万分の38に改正するものであります。
 年金は4月分から0.4%の減額となり、日銀の2022年度の消費者物価見通しは、1.1%増であります。すなわち、実質1.5%の年金減となります。
 さらに、10月からの75歳以上の医療費窓口負担の引き上げにより、高齢者の生活はますます困難を極めるものとならざるを得ません。
 基金積み増しに伴う、広域連合からの拠出割合の増加は、結果的に後期高齢者医療保険料の値上げに連動するものとなります。今時点においても、保険料が払えず、208人に短期保険証が発行され、74件もの預金差し押さえが実行されています。
 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込んで負担増と差別医療を押し付けるものであります。すみやかに制度を撤廃し、元の老人保健制度に戻すことを求めます。よって、本条例案には反対であります。

【第40号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例及び市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」】

 次に、第40号議案「県立学校の教育職員の給与に関する条例及び市町村立学校の教職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 本条例案は、教職員の人事評価結果を昇給及び勤勉手当に反映させるために所要の改正を行うものであります。
 人事評価結果を勤勉手当等に反映させることにより、さらなる教職員の多忙に拍車をかけることになり、個々の教職員の自律性が損なわれ、さらなる管理教育につながる懸念があります。
 個々の教職員を評価することによって、教職員がバラバラにされ、教職員間の対立と分断となりかねません。学校は、みんなで力を合わせ、みんなで支え合い、助け合いながら、チームワークの力で、子どもの学びを保障すべきであります。
 よって、教育現場において、人事評価結果を昇給、勤勉手当に反映させることには反対であります。

【第41号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」】

 次に、第41号議案「県立学校の職員定数条例及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。
 本条例案は、児童数及び生徒数の変動等に伴い、職員定数の改正を行うものであります。
 現在の教職員定数は、教員が本来の仕事をする上で絶対的に不足しています。教員の多忙化解消、ゆきとどいた教育の実現、教職員がいじめに向き合う条件を整備するためにも、職員定数の大幅拡充が求められています。県教育委員会として、教員の未配置の現状を改善し、きちんと教職員の配置を行うべきです。教職員定数を抜本的に拡充すべきことを求めるものであります。

【議員提出第1号議案「島根県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例」】

 最後に、議員提出第1号議案「島根県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
 本議案は、島根県議会議員の定数を現行の37人から1人削減し、36人に改めるものであります。
 島根県議会においては、議員の発言権が十分に保障され、民主的な議会運営が行われています。個々の議員におかれましては、地域に根差した議員活動が精力的に展開され、自らの選挙区のみならず、島根県全体を視野に入れての活動・論戦が活発に展開されているところであります。
 今日、本県が抱える課題は、人口減少対策をはじめ、災害対策、医療福祉、産業、離島・中山間地域の諸課題など多岐に渡っています。県民の切実な願いを的確につかみ、それを県政の意思決定に反映させる議会機能をさらに充実してこそ、島根県政の発展につながることを確信するものであります。
 議員定数削減は、県民の要求実現や県政をチェックする機能を弱めるものであり、県政に多様な民意を反映させ、二元代表制を充実していく上でマイナスとなるものであります。
 このことを踏まえるならば、総定数は少なくとも現状を維持すべきであり、議員定数を削減する本議案には反対であります。
 以上で討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画