2022 年 5 月定例会 請願に対する討論
2022-06-21 この記事を印刷
【請願第46号「地方財政の充実強化を求める請願」に対する討論】
日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して、請願第46号「地方財政の充実強化を求める請願」について、委員長報告に賛成の討論を行います。
本請願は、本県をはじめとする地方自治体は、社会保障制度の整備や、地域活性化対策、脱炭素化をめざした環境対策および行政のデジタル化の推進など、多岐にわたる役割を求められているとし、地方の財源が確保されるよう、国に対して5項目にわたる意見書の提出を求めるものであります。
我が党は、地方一般財源の確保をはじめ、新型コロナウイルス対策に必要な財源の確保、地方交付税の財源保障機能の強化、地方交付税法定率の引き上げなど、本請願が要求するそれぞれの要望事項について賛同するものです。
しかしながら、3項目目で記載されている「デジタル・ガバメント化における自治体業務システムの標準化」については、自治体が独自に提供している住民サービスが、「システムの標準化」によって抑制されはしないかと危惧しているところです。
我が党は、住民の暮らしに役立つデジタル化を否定するものではありません。ところが、いま、推し進められている「デジタル改革」は、国や地方自治体がもつ膨大な個人情報の「データ利活用」を成長戦略と位置づけ、企業に開放し、儲けのタネとしていくための「改革」です。企業が保有する顧客情報などとは比べ物にならない行政が保有する個人情報を、利活用しやすいようにするためとして、例えばこれまで自治体が個人情報を守るために制定した個人情報保護条例の自治体ごとの保護規定は取り払う、あるいは、自治体が行政運営のために福祉や教育の制度でそれぞれ運用しているコンピュータシステムも、バラバラだから統一・標準化してしまおうというのです。
昨年5月に成立した「デジタル改革関連法」によって、地方自治体は、デジタル基盤の統一と標準化の具体化に追われています。
自治体情報システム標準化法では、国がこの夏に示す「標準仕様」にもとづき、全自治体の基幹業務システムを2025年度末までに移行することをめざしています。デジタル庁は、自治体の独自施策の運用方法も示してはいるものの、知事会や市町会、町村会などの地方団体からは、行政事務に裁量の余地がなくなる懸念があり、地方の創意工夫を可能とする仕組みとすべき、自治体の負担とならないようにすべき、などの厳しい声があがっています。
事実、総務省の「地方公共団体の自治体クラウド導入における情報システムのカスタマイズ抑制等に関する基本方針」では、「首長のリーダーシップの下、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とすべきである」、あるいは「地方自治体の情報システムをより広域的なクラウドに移行するためには、地方自治体が行っている情報システムのカスタマイズをなくすことが重要」と明記されています。
このため、「システムの標準化」に対して、自治体が独自で行っている住民サービスなどが低下・抑制することが懸念されています。「標準化」にあたっては、自治体の独自施策を維持・拡充できるようにすることを強く求めるものです。このことを強調し、討論といたします。