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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2022 年 9 月定例会一般質問 (旧統一協会について、新型コロナウイルス第 7 波への対応について、県営住宅の修繕基準と入居者ニーズの把握について、増加する外来種から在来種と自然環境を守る活動について、教員の長時間労働と教員不足への対応について、原発問題について)

2022-09-20 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。

【1.旧統一協会について】
 まず、日本の民主主義にかかわる問題として、旧統一協会の問題について伺います。
 安倍晋三元首相が7月8日、奈良市内で街頭演説中に銃で撃たれてお亡くなりになりました。政治家の命を卑劣なテロで奪ったことに対し、強い憤りを感じるものであります。亡くなられた元首相とご遺族に対し、深く哀悼の意を示すものであります。
 さて、この銃撃事件を契機に、旧統一協会と政治家との癒着について批判が高まっています。
 旧統一協会は、霊感商法や集団結婚など、社会的に多くの問題を起こし、多くの被害者を生んできました。「信者」に対する高額な献金の強要や、正体を隠して行う「伝道」は、裁判でも違法性が指摘されるなど、国民の平穏な生活を阻害する反社会的カルト集団であります。
 県内でも旧統一協会は拠点を設け、活動を展開しており、わが党議員団に対しても霊感商法等の被害相談が寄せられています。
 わが党は9月5日、霊感商法被害に遭った50代の女性からヒアリングを行いました。この女性の証言によれば、50万円もの朝鮮人参濃縮液を勧められ、参加費5万円の勉強会に参加した。さらに、70万円の無名作家の絵画を勧められ、宝石展示会では10万円もの真珠を買わされたとのことであります。ビデオセンターに連れて行かれた際には、「地獄に落ちる」というビデオを見せられ、マインドコントロールされそうになり、怖かったと訴えられました。
 女性は、報道機関にも公開のもとで証言した理由として、「旧統一協会と政治家との癒着に怒りを感じています。国民を助ける政治家が反社会的カルト団体とつながっているのは許せません。実態を解明し、二度と被害者がうまれないようにしてほしい」と強調されたところです。
 旧統一協会は、政治・行政に対しても接近を図っており、市民権を得ようと画策しています。これ以上の被害を生じさせないために、行政として毅然とした対応を求め、3点伺います。
 第1に、反社会的な活動を行っている組織に対して、県は毅然と対応すべきであり、県として旧統一協会および関連団体と一切の関係を持たないことを求めます。所見を伺います。
 第2に、わが党は8月1日、県に対し、旧統一協会や関連団体のイベントにおいて、県が関与していないかどうかの調査を要請しました。その調査結果を伺います。また、調査結果を踏まえた今後の対応方針を伺います。
 第3に、県消費者センターには、旧統一協会による霊感商法をはじめ、様々な消費生活相談が寄せられていること思います。そこで、県消費者センターに届いている霊感商法の相談状況について伺います。また、霊感商法をはじめ、消費生活相談に適切に対応するため、消費生活相談窓口の強化をはかるべきと考えます。所見を伺います。

【2.新型コロナウイルス第7波への対応について】
 次に、新型コロナウイルス第7波への対応についてであります。
 新型コロナの第7波が猛威を振るう中、保健所の職員や医療・介護従事者は、現場で懸命な努力を続けています。
 しかしながら、PCR検査体制の能力を超える感染者が急増し、検査予約が取れない事態が相次ぎ、島根県も、みなし陽性の措置をとらざるを得なくなりました。
 保健所業務体制もパンクし、本庁や他の地方機関職員の応援で何とか体制を維持した、危機的状況であります。
 また、地域医療構想によって、島根県においては、この8年間で1200床ものベッドが削減されました。病床とマンパワーに余裕がなくなり、多くの方が自宅療養を余儀なくされています。
 さらに、電気・ガス・水道料金、食材費などの急激な高騰によって、医療・介護現場の苦境はますます広がっています。医療や福祉の現場からは、次のような悲痛な叫びが上がっています。

●病棟でクラスターが発生し、患者さんのみならず、看護師も次々感染してしまいました。看護師が足らず、入院患者さんの入浴を中止し、下着や病衣もかえてあげられませんでした。患者さんには本当に申し訳なく思っています。

●病院・介護事業所でクラスターが発生し、通常診療や介護事業を制限・縮小、休止せざるを得なくなりました。病棟で陽性者が出たら、その病棟でケアしなければならず、看護師さんの感染も広がりました。看護師が不足し、夜勤は仕方なく、3交代から2交代へと変更せざるを得ませんでした。

●とにかく、人手が足りません。今の病院や介護、保育の配置基準はギリギリの基準です。これでは、いざという時に命を守れません。医療や福祉現場には余力が必要です。今、使命感や責任感だけで職員や医療従事者が必死に踏ん張っている状況です。
 
 こうした苦境にある医療や福祉現場に対して、政治の責任で抜本的な支援策を講じなければなりません。それは、すなわち、今回の第7波から何を教訓にすべきかを明確にし、医療従事者や福祉労働者が希望を持って仕事ができる職場環境をつくることにあります。
 この立場から4点伺います。
 第1に、第7波を経験しての教訓はこれ以上、病床と医療従事者を削減しないことにあります。地域医療構想の名での病床削減計画を中止し、拡充に切り替えるべきです。所見を伺います。
 第2に、医療従事者や福祉労働者の確保が求められます。処遇と配置基準を改善し、医療や介護資源を抜本的に充実すべきと考えますが、如何ですか。
 第3に、自宅療養中にお亡くなりになる事例が発生しました。症状のある陽性者が宿泊療養を希望しても入れず、高熱や症状悪化に苦しむ方が入院を希望しても入院できない非情なる事態は改めるべきです。
 自宅療養者の健康観察やケアの提供に万全を期し、重症化の発見が遅れないようにするとともに、入院を希望する高齢者や基礎疾患がある人に対しては、原則入院の措置を講じるべきであります。所見を伺います。
 第4に、確保病床の上積みをはかり、医療機関の適切な機能分担をはかることで、遅延が許されない通常診療が継続できる医療提供体制を確保すべきであります。宿泊療養施設と収容人数を増やすとともに施設内での医療機能を強化し、今後の病床ひっ迫に備えて、確保病床の上積みをはかり、臨時医療施設設置の準備も検討すべきと考えます。所見を伺います。

【3.県営住宅の修繕基準と入居者ニーズの把握について】
 次に、県営住宅の修繕基準と入居者ニーズの把握について伺います。
 私はこの間、県営住宅にご入居されているみなさんと懇談を重ねてきました。入居者から出されたご要望に基づき3点、伺います。
 第1は、県営住宅から退去する際の原状回復費用についてであります。
 県では、県営住宅から退去する際は「畳、ふすま、障子などについては退去前に修繕した上で退去検査を受けること」と定めており、修繕費用は入居者負担となっています。
 ある入居者からは退去にあたって「約30万円もの修繕費用がかかり、とても負担できません」との声をお聞きしました。国土交通省の原状回復に関するガイドラインでは、自然的劣化、損耗などの経年変化、通常の使用による損耗などについては「賃借人に原状回復義務はない」と定めています。
 このガイドラインを遵守し、自然損耗や長期間の使用による汚れなどは入居者責任ではなく、公費負担とすべきであります。所見を伺います。
 第2に、入居者ニーズを的確に把握する対応策についてです。
 入居者からは「インターホンが古くなり、作動しません」「床板の傷みがひどく、歩くたびに沈んでしまいます」「湿気がひどく、年中、換気扇を回していても、黒カビがビッシリと付着します」などの声をお聞きしました。
 県の第4次島根県住生活基本計画においては、公営住宅の安定供給と性能の向上を具体的施策に掲げており、入居者ニーズ把握の仕組みとして、毎年、住環境整備に関するアンケートを実施し、アンケート内容を中心に現地調査を住宅供給公社が実施し、次年度の修繕の計画を策定することとなっているはずであります。
 入居者ニーズを的確に把握し、健康で文化的な居住環境を保障すべきではありませんか。所見を伺います。
 第3に、断熱・省エネ化の推進についてです。
 年金の減額をはじめ収入が減少し、物価の高騰により、入居者の生活はますます厳しくなっています。カーボンニュートラルへの対応とあわせ、光熱費を削減するためにも、省エネ・断熱改修を積極的にすすめるべきであります。所見を伺います。

【4.増加する外来種から在来種と自然環境を守る活動について】
 次に、増加する外来種から在来種と自然環境を守る活動についてです。
 松江市内の河川においても、外来種のミシシッピアカミミガメが大量繁殖し、地域の生態系を脅かしています。
 このような中、水の都・松江の生態系と景観を守る目的で、3年前に市民団体「まつえワニの会」が結成され、市民や行政を巻き込んでの精力的な活動が展開されています。
 北米産のミシシッピアカミミガメは繁殖力が強く食欲旺盛で、シジミなど貴重な水産資源や在来の水生生物、水辺の花を食べるなど、外来種の中でも地域の自然環境に大きな影響を与え、日本の固有種の生息と生物多様性を脅かしています。
 ワニの会は2020年5月以降、本年8月までにおいて、5,500匹を超す駆除を実施したとのことです。会のメンバーは「アカミミガメの駆除は、継続的に実施しなければすぐに増え、行政が本腰を入れて取り組まなければならない課題である」と指摘しています。
 そこで伺います。
 松江市内の河川において、5,500匹ものアカミミガメの駆除が行われたことに対して、県はどのように評価していますか。島根の自然環境と生物多様性を守るためにも、在来種を脅かす外来種の駆除を積極的に行わなければなりません。住民とも共同しながら、行政の積極的な取り組みが必要と考えます。所見を伺います。

【5.教員の長時間労働と教員不足への対応について】
 次に、教員の長時間労働と教員不足への対応について伺います。
 今年1月に公表された、文部科学省の「教師不足に関する実態調査」において、島根県の小学校の教員不足率は、全国でワースト1位であり、中学校においては、ワースト8位という深刻な状況でありました。
 6月1日時点での本県の教員不足、欠員は小、中、高等学校、特別支援学校全体で28人であります。
 教員が足りない学校において深刻な事態が生まれています。例えば、「本来、2クラスになるべき学年が教員の数が足りないために、1クラスになった」「学級担任を埋めるために通級指導教室の教員が充てられた」「非常勤の先生に無理やり常勤になってもらった」などであります。
 未配置現場では、未配置教員の仕事分まで仕事をこなさなければならず、その分、負担が増え、ますます疲弊するという悪循環に陥っています。この過酷な現場を目の当たりにした教育実習生が教員になることを諦めることとなったケースも生まれています。
 教員は労働者であるとともに、教育の専門家です。子どもたちは、他者との温かい人間関係の中で学ぶことによって、一人ひとりが個性的に人として育ちます。その人間形成を支える教員の仕事は、自らの使命への自覚、それと結びついた広い教養や深い専門的な知識・技能が求められる、尊い専門職です。
 今日、教員は「ブラック」といわれるような異常な労働条件におかれています。ある教員からは、いつも帰りが遅くなり、幼少の子どもが自分の顔を見て「よそのおじさんがいる」と言って泣いてしまった。すなわち、子どもに顔を忘れられてしまった、という悲し過ぎる実状もお聞きしたところです。
 学校現場は、多忙化がとまらないうえに教育の自主性が損なわれ、教職員は疲弊し、教員のなり手がみつからない「教員不足」に陥っています。こうした危機的な状況を打開するため、今こそ、抜本的な「教員不足」対策と時間外勤務の削減対策が急務であります。
 そこで伺います。
 第1に、県教育委員会は、教員未配置の現状ならびに未配置による教員、児童・生徒に与える影響、弊害をどのように認識していますか。
 第2に、校長や教育委員会への報告書の作成、ルーチン化している公開研究授業など、子どもに直接向き合うこと以外の業務を大胆に見直し、教員の仕事は授業、運動会など不可欠な行事、子どものケアなどに集中できるように、不要不急の業務の削減に取り組むべきであります。長時間労働を解決するためには、何よりも教員を増やし、不要・不急の業務削減で教員の負担を減らすことにあると考えますが、如何ですか。
 第3に、教職員の時間外勤務の状況を正確に把握するためにも、持ち帰り残業の調査や土日、祝日出勤の調査を実施するなど、現場の意見を聞いて、正確かつ詳細な実態把握に努めるべきと考えます。如何ですか。
 第4に、正規の教員と変わらない業務を多くの非正規教員が行うことで、島根県の教育現場はなんとか成り立っているのが実態であります。こうした経験豊かな非正規教員の処遇を改善するとともに、正規採用する仕組みを導入すべきと考えます。所見を伺います。
 第5に、教育委員会事務局に配属されている指導主事等の教育職員について、教員不足が埋まらない学校に、期限をきめて派遣する仕組みを導入するとともに、教育委員会や教育事務所の業務を大幅に見直し、学校現場の教員を増やすべきと考えます。所見を伺います。
 第6に、公立教員には残業代を支給しない制度、公立教員給与特例法は「定額働かせ放題」と批判されているとおり、長時間労働の温床です。公立教員給与特例法を改正し、教育労働の特性に考慮した残業代支給の制度とすることを国に求めるべきであります。所見を伺います。

【6.原発問題について】
 最後に、原発問題について伺います。
 岸田首相は8月24日、エネルギー政策を検討する政府の会議で、次世代型原発の開発・建設を検討する方針を表明しました。これまで新増設・リプレース(建て替え)は「想定していない」としてきた政府の方針を転換したのであります。さらに、首相は「既存原発の最大限の活用」をはかるとし、すでに再稼働したことのある10基に加え、2023年夏以降、新たに7基を順次、再稼働させることも表明しました。この再稼働をめざす原発に島根原発2号機が含まれているのであります。
 原発が一たび、重大事故を起こせば、住民に甚大なる被害を与えることは、福島原発事故で明らかなはずです。民意に逆らい、大事故の教訓を忘れ、新たな「安全神話」をつくりだす原発回帰の逆流は許せません。
 2号機は、今現在も原子力規制委員会による工事計画と保安規定審査が終了しておらず、現時点で具体的な稼働スケジュールを示せる段階ではないはずであります。何が何でも来年の夏以降に再稼働に突き進む国の方針は、民意もリスクも無視しており、余りにも乱暴であり、国に撤回を求めるべきであります。所見を伺います。
 新型コロナウイルス感染症の第7波では、保健所機能がパンクし、100名を超す県職員が保健所業務の応援の任につき、感染拡大時の県職員のマンパワー不足が明瞭になりました。
 原発事故が発生した場合、県や市町村の職員は、住民避難の支援等にあたるとされています。自治体職員には、職員として職務を遂行する義務がある一方で、それぞれが家庭を持つ生身の人間でもあります。
 保育所や学校に通う子ども、自宅で介護を受ける高齢の両親など、職員自らが避難をサポートする必要がある家族を守る責任があります。家族の避難をサポートしなければならない職員に対して、住民避難への支援業務をどこまで義務づける考えなのか、所見を伺います。
 また、家族の避難をサポートしなければならない職員のことを考慮した場合、住民避難の支援等にあたる十分なマンパワーが本当に確保できるとお考えですか。所見を伺います。
 新型コロナの第7波への対応において、県は都道府県をまたぐ移動について「医療提供体制がひっ迫している都道府県においては、現地へ出かけられた県民の皆様が発症した場合に、十分な医療が受けられないという可能性があります」との注意喚起を発しました。
 さらに、「重症化リスクの高い65歳以上の高齢者や基礎疾患のある方、妊娠中の方」については、「医療提供体制がひっ迫している都道府県、具体的には確保病床使用率が70%を超え、かつ入院率が2%以下の都道府県への移動は慎重に判断してください」とし、移動自粛を要請しました。
 この要請はすなわち、第7波のような事態が発生した際に原発事故が起きれば、高齢者や基礎疾患を抱えた方々が、避難先の医療機関で十分な医療を受けることができないことを県が認めたことにほかなりません。
 第7波において、県の行政機能をはじめ、保健所や医療提供体制がひっ迫、パンク状態となったのは明白です。県職員をはじめ、医療、介護、保育の分野でもクラスターが発生し、マンパワーが圧倒的に不足したではありませんか。第7波のような感染症が拡大し、それに自然災害が重なった際に原発事故が発生すれば、県民の命を守ることはできないではありませんか。所見を伺います。
 実効ある避難計画とは、知事もお認めになった通り、「原発の事故時に100%住民の命と安全、健康を守ることができる計画」であります。この度の第7波を通じて、実効ある避難計画は未完成であり、机上の空論であることが明確になった以上、原発再稼働同意は撤回すべきであります。知事の英断を求めて質問を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画