2022 年 11 月定例会一般質問 (旧統一協会について、コロナ第 8 波とインフルエンザの同時流行への備えについて、保育士の配置基準について、インボイス制度、ゼロゼロ融資について、消防団について、島根原発について、警察行政について
2022-11-30 この記事を印刷
日本共産党の尾村利成でございます。
【1.旧統一協会について】
まず、旧統一協会について伺います。
私は、9月議会の一般質問で、国際勝共連合の幹部を講師に迎えて、2019年に開催された島根人格教育シンポジウムに対し、県教育委員会と松江市教育委員会が後援名義を与えていた事実を告発し、徹底した精査を求めました。
この勝共連合の幹部は、各種集会において、ジェンダー平等やLGBTなど性の多様性に敵対する発言を続けている方であります。このようなシンポジウムに県教育委員会が後援を行っていたのであります。県教育委員会の道義的、社会的責任は絶対に免れません。
これに対し、県教委からは、10月28日の決算特別委員会分科会において、後援した当時、旧統一協会との関係が分からなかったこと等を理由に、現時点において後援は取り消さないとの認識が示されました。この県教委の認識に対し、厳しい批判の声が上がっています。
なぜなら、県教育委員会の事務取扱要領によれば、「『後援』とは、委員会が事業の趣旨に賛同し、その事業を奨励するもの」と規定し、「特定の流派、個人、宗教、政党等の利害に関与しないと認められる事業」でなければならないとしているからであります。事務取扱要領に著しく反していることは明瞭ではありませんか。
一例を申し上げます。
2020年11月に開かれたシンポジウムのパネリストを確認すると、4人のパネラーのうち、3人が旧統一協会の関係者ではありませんか。一人は、旧統一協会の政治団体である国際勝共連合島根県本部の役員であり、一人は旧統一協会の関連団体である島根県平和大使協議会の平和大使であり、もう一人は、教師原理研究会(TARP)の事務局長経験者であります。パネラーの4分の3が旧統一協会、または関連団体の方々ではありませんか。
教育長に伺います。
このように、旧統一協会の関係者が中心となって実施された行事が「特定の宗教の利害に関与しないと認められる事業」であるとすることには無理があるではありませんか。如何ですか。
また、島根県平和大使協議会は、細田衆院議長が10月7日、書面で旧統一協会の関連団体と指摘した団体であります。このシンポジウムは、旧統一協会の関連団体である島根県平和大使協議会と県教育委員会が後援団体として名前を連ねています。このことは、結果として、旧統一協会に一定の信用を付与することになるではありませんか。さらに、県民に大きな誤解を招くことが懸念されるではありませんか。如何ですか。後援名義を与えたことによる影響、被害の有無を検証すべきであります。所見を伺います。
後援とは、県教育委員会が「事業の趣旨に賛同し、その事業を奨励するもの」であります。すなわち、県教育委員会のお墨付きを与えるものであり、その効果が今も持続していることは、旧統一協会による霊感商法等の被害で苦しむ県民の苦しみや怒りを無視するものではありませんか。所見を伺います。
さらに、後援を取り消さないと断言することは、旧統一協会を擁護し、その活動を奨励することになるではありませんか。島根人格教育シンポジウムへの後援を取り消し、一刻も早く県政、教育行政への信頼を取り戻すべきであります。所見を伺います。
知事に伺います。
香川県や富山市など、多くの自治体において、旧統一協会が関与した行事等への後援を取り消しています。反社会的な活動を行っている組織に対し、県は毅然と対応すべきであります。
県が後援を行った行事等について、取り消す場合の全庁的な統一基準を明確にすべきであります。所見を伺います。
【2.コロナ第8波とインフルエンザの同時流行への備えについて】
次に、コロナ第8波とインフルエンザの同時流行への備えについて伺います。
政府が10月13日に発表した「新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応」では、新型コロナやインフルエンザで発熱外来を受診できる対象を高齢者、基礎疾患がある人、妊婦、小学生以下の子どもに限定し、それ以外の患者は自己検査・自宅療養を求める対応に転換しようとしています。
この冬は、インフルエンザと新型コロナの同時流行が懸念され、政府は最大1日75万人の患者を想定し、島根県も1日最大4000人の患者を見込んでいます。
「第7波」を経験しての教訓は、医療アクセスへの制限ではありません。発熱外来を増やし、検査体制や医療提供体制を抜本的に強化することであります。
医療、介護、福祉施設でのクラスターを防ぐ対策は急務であります。職員、患者、入所者を対象にした定期的なPCR検査の実施など、検査体制の抜本的強化を図るべきであります。所見を伺います。
誰もが安心して医療サービスを受けられる体制を確保するためにも、発熱外来の体制強化・拡充が求められています。インフルエンザの同時流行を見据えた上で、新型コロナ感染症患者が入院するための確保病床の上積みを図るとともに、医療機関の適切な機能分担を行い、遅延が許されない通常診療が継続できる医療体制の確保に万全を期すべきであります。所見を伺います。
【3.保育士の配置基準改善について】
次に、保育士の配置基準改善について伺います。
コロナ第7波において、県内の保育所など児童福祉施設において100件を超すクラスターが発生しました。実に、3割もの施設でのクラスター発生であります。
保育所は、マスクの着用が難しい子どもたちが多く、密が避けられない環境です。感染対策の面からも、子どもたちの成長・発達の面からも、保育士が安心して保育ができるゆとりある保育基準をつくることが必要であります。
しかし、日本の保育士配置基準は余りに低く、1・2歳児は50年以上、4・5歳児は1948年の基準制定以降、70年以上、一度も改善されておらず、国際的にも低水準のまま放置されています。
1~2歳児は6対1、3歳児は20対1、4歳児以上30対1の現行の配置基準では、安全・安心で質の高い保育を保障することはできません。一刻も早い改善が必要ではありませんか。知事の所見を伺います。
県が実施した保育所の職員配置に関するアンケート調査において、各保育所において国の配置基準以上の保育士が配置されている実態が明らかとなりました。
現行の配置基準では、子どもの安全が守れないために、各施設が上乗せ配置をしているのであります。この実態を直視しなければなりません。子どもの命と安全を守るためにも、国に改善を強く求めるべきであります。国待ちにならず、県としても市町村と力を合わせ、一刻も早い改善を実現すべきではありませんか。所見を伺います。
【4.インボイス制度、ゼロゼロ融資について】
次に、インボイス制度、ゼロゼロ融資について伺います。
来年10月から導入が予定されているインボイス制度は、これまでは消費税納税の義務がなかった年間売上1000万円以下の事業者に納税義務を負わせるものであります。新たなる経済的、事務的負担増を強いるものであり、商店や農家、飲食店のみならず、大工の一人親方、フリーランスで働く人々を苦しめるものであります。
事業者からは「インボイスを機会に事業をやめるつもりです」とか「インボイスを発行しなければ、親会社からの取引が中止されるかもしれません」などの不安の声が出されています。
そこで伺います。
県として、インボイス制度への不安の声をどのように掌握していますか。また、インボイス導入によって、県内でも多くの農林水産業者、中小業者が廃業・倒産の危機に追い込まれることが懸念されますが、県の認識を伺います。負担と混乱をもたらすインボイスの導入は中止するとともに、事業者に希望を与え、支援の強化こそ求められると考えます。所見を伺います。
次に、コロナ対応融資、いわゆるゼロゼロ融資についてです。
東京商工リサーチの「債務の過剰感についてのアンケート調査」では、約3割の中小企業が「過剰債務にある」と回答しています。過剰債務に陥ると、金融機関から新規の融資が受けられなくなり、新たな資金調達が困難になります。運転資金がショートすれば、仕入れや人件費の手当てができず、せっかく仕事がきても、受けられずに倒産してしまう「資金繰り倒産」に陥ってしまいます。
また、過剰債務が経営全体を圧迫してしまい、設備投資を含め、新たな事業展開ができなくなってしまいます。
長引くコロナ禍、物価・原材料の高騰、過剰債務という「三重苦」が中小企業・小規模事業者にのしかかっています。これら「三重苦」は、政治の責任であり、事業者が自己責任を問われる筋合いのものではありません。
中小企業は、地域に根をおろし、ものづくりやサービスの需要にこたえ雇用を生み出す、地域経済を担う最も重要な存在です。
今こそ中小企業の過剰債務に対し、政治が本格的な支援を実行すべき時です。そのためにも、「ゼロゼロ融資」を通常の債務から切り離し、「別枠債務」にして事業継続に必要な新規融資が受けられるような金融・融資スキームを構築すべきと考えます。所見を伺います。
【5.消防団について】
次に、消防団について伺います。
消防団は、消防本部や消防署と同様、消防組織法に基づき、それぞれの市町村に設置される消防機関であります。地域における消防防災のリーダーとして、平常時・非常時を問わず、その地域に密着し、住民の安心と安全を守るという重要な役割を担う非常勤特別職の地方公務員であります。
しかしながら、県内の消防団員数は、本年4月1日時点において、条例定数12,552人に対し、実員数は11,121人であり、充足率は88.6%という状況です。
総務省消防庁は、本年1月18日付で「地域防災力の中核となる消防団の充実強化」についての通知を発出しました。通知では、地方交付税措置を2022年度から見直し、市町村の消防団員の年額報酬を国標準額の36,500円へ引き上げるとともに、出動報酬についても国標準額の1日当たり8,000円を支給するよう、条例改正を求めています。
さらに、消防庁は本年4月28日付通知で、報酬及び費用弁償は、消防団や分団が受け取るのではなく、市町村から団員個人への直接支給を徹底するよう求めています。
消防団員の処遇改善について2点伺います。
第一に、今日時点における各市町村の消防団員の年額報酬、出動報酬ならびに報酬等の団員個人への直接支給の状況についてお知らせください。
第二に、消防庁「通知」に基づき、消防団員の年額報酬については国標準額の36,500円に引き上げ、出動報酬についても国標準額の1日当たり8,000円を消防団員に直接支給するよう、市町村に対し、必要な助言、指導、支援等を行うべきであります。所見を伺います。
【6.島根原発について】
次に、島根原発について伺います。
岸田政権は、「原則40年」とした原発の運転期間の法律規定の撤廃に向けて動き出しています。経済産業省は10月5日、原子力規制委員会の会合で法改定を検討する方針を表明し、原子力規制委員会も容認しました。
未曾有の大事故を踏まえて作られたルールを骨抜きにし、老朽原発を動かし続けることに不安と怒りの声が大きく広がっています。「原則40年、最長60年」と期間を定めた原発の運転期間を削除し、老朽原発を酷使することは許されません。知事の所見を伺います。
島根地域全体の避難計画である緊急時対応は、新型コロナ第6波、第7波を踏まえた計画ではありません。コロナ第7波において、県内では大変な医療ひっ迫、医療危機が発生しました。
第7波において、県内46病院のうち、外来を制限した病院は9病院、入院を制限した病院は22病院、救急を制限した病院は9病院、手術を制限した病院は13病院という状況でありました。病院の危機とともに、県民の命が危機に瀕したのであります。
医療従事者からは「現行の広域避難計画では、事故時の対応が不可能」との声が出されています。第7波を超える感染者が第8波で発生し、原発事故が起きれば、転院を余儀なくされる入院患者はおろか、高齢者や基礎疾患を抱えた方々が、避難先の医療機関で十分な医療を受けることができないことは、火を見るよりも明らかであります。
9月議会で、知事は避難計画について「感染症への対応をはじめ、複合災害対応など、必要とされる事項について実行できる内容を盛り込んでおり、実効性はある」と強弁されました。実効性があるとの認識は、医療現場の実態と乖離しているではありませんか。
新型コロナ第7波を通じ、医療提供体制のひっ迫、マンパワー不足が明白となりました。現行の避難計画では、県民の命と安全を守ることができないことが明らかであります。島根原発2号機の再稼働同意は撤回すべきであります。知事の所見を伺います。
【7.警察行政について】
最後に、警察行政について伺います。
島根県警は10月13日、自宅で大麻を所持していたとして、男性巡査長を大麻取締法違反の疑いで書類送検し、懲戒免職処分にしました。
ところが、県警は証拠隠滅や逃亡の恐れがないなど「総合的な判断」として、被疑者を逮捕しませんでした。さらに、プライバシーの保護を理由に名前や勤務場所も公表しなかったのであります。
また、11月12日付の読売新聞報道によれば、益田警察署の男性巡査長が署内の女性用仮眠室に盗撮目的のカメラを設置したとして、県迷惑防止条例違反容疑で書類送検されました。やはり、この時も逮捕を伴わない書類送検で処理された上に、「公表の対象ではない」との理由で、巡査長の氏名など、その詳細についても非公表とされたのであります。
もしも、警察官以外の者が被疑者であったならば、逮捕されて実名を公表されたのではありませんか。この度の対応に対し、身内に甘く、身内びいきの対応であるとの批判が多数寄せられています。こうした県警への不信をこのまま放置することは許されません。
警察本部長に伺います。
大麻取締法違反及び盗撮事件で検察官送致した事件のうち、逮捕を行わずに書類送検した件数及びその割合について、過去5年間の全国数値ならびに島根県の数値をお示しください。
また、逮捕するか、あるいは、氏名等を公表するかという被疑者の人権に大きく関わる処遇について、「総合的な判断」、「プライバシーの保護」、「公表の対象ではない」などという漠然とした基準によって、身内に甘い対応を取ったことについて、県民の理解は全く得られていません。
それぞれの事案について、具体的な判断基準を明示した上で、逮捕を行わず、氏名等を公表しなかった理由について、本議場での県民への明解なる説明を求めるものであります。
あわせて、相次ぐ警察官による不祥事の防止に今後、どう取り組むのか、また、今回の事案によって失墜した県警に対する県民の信頼をどのように回復していくのか伺います。
公安委員長に伺います。
警察法第38条第3項において、「都道府県公安委員会は、都道府県警察を管理する。」とされています。島根県警による、言わば、身内に忖度した今回の対応については、報道機関はもとより、多くの県民からも批判の声が上がっています。
警察行政への疑念を払拭するため、島根県警を管理する公安委員会として、今回の対応を検証すべきであります。県警に対して、失われた信頼を取り戻すために必要なる措置を求めるべきであります。公安委員長の所見を伺って、質問を終わります。