前に戻る

議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2022 年 11 月定例会 知事提出議案、議員提出議案に対する討論

2022-12-16 この記事を印刷

 日本共産党の尾村利成でございます。
 日本共産党県議団を代表して、条例案3件、一般事件案1件についての委員長報告、及び議員提出議案1件について反対する討論を行います。

【第124号議案「個人情報の保護に関する法律施行条例」】
【第125号議案「島根県情報公開条例及び島根県公文書等の管理に関する条例の一部を改正する条例」】
【第126号議案「島根県情報公開・個人情報保護審査会条例」】
 
 まず、第124号議案「個人情報の保護に関する法律施行条例」、第125号議案「島根県情報公開条例及び島根県公文書等の管理に関する条例の一部を改正する条例」、第126号議案「島根県情報公開・個人情報保護審査会条例」についてであります。
 これら条例案は、2021年5月に成立したデジタル改革関連法に基づき、各自治体が独自に制定した個人情報保護条例をリセットするために廃止させ、国が定めた全国共通のルールを押し付けるものであります。
 このねらいは、教育、介護サービス、子育て支援、健康診断といった住民サービスに直結する個人情報の宝庫である自治体が保有する情報をはき出させようとするものであります。すなわち、自治体が持つ膨大な個人情報の「データ利活用」を成長戦略に位置づけ、外部提供した企業にAI(人工知能)で分析させ、「儲けの種」にさせることを「デジタル改革」の名ですすめるものであります。
 自治体の個人情報保護制度は、国に先行して条例が整備され、内容も発展させてきた点で地方自治の象徴的存在の一つでありました。この自治体が築き上げてきた個人情報保護の仕組みを壊すことは、自治権の侵害、自治権の否定につながるものであります。
 よって、これら条例案には反対であります。

【第138号議案「公立大学法人島根県立大学が徴収する料金の上限の変更について」】

 次に、第138号議案「公立大学法人島根県立大学が徴収する料金の上限の変更について」であります。
 本議案は、島根県立大学において令和5年度より2年間、認定看護師教育課程を開講し、その教育課程において特定行為研修を含む講座を開講するために授業料の上限を70万円から99万7000円に変更するものであります。
 政府は2014年6月に医療介護総合確保推進法を成立させ、その中で保健師助産師看護師法の一部を改正しました。その内容は、技術的難易度が高く、判断も難しい特定行為を医師の具体的、包括的指示があれば、看護師が実施できるというものであります。
 特定行為は、医師不足の穴埋め制度と言わざるを得ません。高度な特定行為を診療の補助に含め、本来、医師が行うべき医行為を看護師へ移譲するのは、看護師も患者も危険にさらすものと言わざるを得ません。
 安全・安心の医療をすすめるために、看護師に特定行為の実施をさせるのではなく、医師・看護師の大幅増員こそ図るべきであります。
 よって、本議案には反対であります。

【議員提出第14号議案「緊急事態に関する建設的な議論を求める意見書」】

 最後に、議員提出第14号議案「緊急事態に関する建設的な議論を求める意見書」についてであります。
 本意見書案は「大地震や感染症その他の異常かつ大規模な災害に対して、災害対策基本法や新型インフルエンザ等対策特別法などによって対処してきたが、今後、より重大な緊急事態が発生した場合は従来の法体系では対応できなくなるおそれがある」とし、国に対し、「緊急事態に対応できる国づくりに向け、関連法規の見直し等」による平時から緊急時のルールの切り替え等について、国会において広範な議論を行い、国民的議論を喚起する取り組みを求めるものであります。
 本意見書案は、緊急事態に対応できる国づくりに向け、「関連法規の見直し等」についての議論を行うことを求めており、すなわち、その議論は、憲法改定の議論につながりかねない危険をはらんでいます。
 感染症の拡大や自然災害等への対応については、現行憲法のもとで法制度と体制が整備されています。憲法を改正し、緊急事態条項を設けるまでもなく、法律の改正で対応すればよいのであります。
 自民党の改憲草案に記されている緊急事態条項は、「大地震その他異常かつ大規模な災害」で、「国会による法律の制定をまついとまがない」場合は、内閣は政令を制定できるという内容です。この内容は、内閣の権限を強化し、その一方で国民の権利を制限し、民主主義の機能を停止される恐れが強いものであります。
 よって、本意見書案には賛同できません。
 以上で討論を終わります。

議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画