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議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2023 年 2 月定例会 知事提出議案に対する討論

2023-03-03 この記事を印刷

 日本共産党の大国陽介です。
 日本共産党県議団を代表して、予算案4件、条例案3件、請願2件についての委員長報告に対し、反対の討論を行います。

【第5号議案「令和5年度島根県一般会計予算」】

 まず、第5号議案「令和5年度島根県一般会計予算」についてであります。
 今、物価の高騰によって、県民のくらし、事業者、農家の経営が脅かされています。同時に、県民の中には、予期せぬ自然災害、新型コロナなど感染症の拡大、さらには島根原発再稼働に向けた動きによって、命そして暮らしが脅かされることへの不安が渦巻いています。
 県民に希望と安全・安心の島根を発信することが島根県政の使命であり、なにより県民の命と暮らしを守ることが県政の基軸に据えられるべきと考えます。
 新型コロナ危機を通じて、県内の医療や公衆衛生が脆弱であるということが明らかとなりました。県内各地で医療や福祉のマンパワー、そしてベッドが不足し、救急医療を制限するという事態も生じました。県内の病床数は、地域医療構想に基づいて、2013年度の9,175床から2021年度には7,815床へと1,360床も減らされました。そして、2025年度の必要病床数は6,569床と想定されており、さらなる削減が計画されています。
 今、県政に求められるのは、新型コロナをはじめ未知なる感染症に備えるため、医療提供体制を整えること、保健所の専門職をはじめとした人員を増やし、保健所の体制を強化すること、そして、病床を削減する地域医療構想を見直すこと、コロナ禍で減収となった医療機関、福祉事業所に財政支援を行うことではないでしょうか。
 そして、子どもたちの学びを保障するために、多忙を極めている教職員の勤務環境を改善し、少人数学級を一層推進させるなど、教育環境の充実を図ることが必要です。
 3年を超えるコロナ禍と物価の高騰で、県民の暮らしが痛んでいます。国民健康保険においては加入世帯の約1割ちかくが保険料を払えず、介護保険において、保険料未納者数は2800人を超え、未納による制裁措置として令和3年度、68人が給付減額措置となり、3割の利用料の負担が課せられました。すなわち、貧困と格差が拡大し、生活困窮者が社会保障制度から排除されて、必要な医療や介護が受けられないという深刻な事態が起きています。県政は、県民の苦しみを直視して、民生費、衛生費など社会保障の予算増額の措置を取るべきであります。
 コロナ禍によって中小業者の売上げが減少し、米価や農産物価格の下落によって営業、営農意欲が低下しています。さらに追い打ちをかけるように飼料、肥料、燃油等が高騰し、とりわけ畜産・酪農が窮地に立たされており、この危機の打開が急がれています。
 地域に根を張って頑張る地場産業育成にこそ、商工予算の柱をシフトし、農林水産業を基幹産業と位置づけ、内発型、循環型の地域振興策のさらなる推進を図るときであります。
 最大の景気対策として消費税を緊急的にでも減税する、そして、事業者の実務負担の増大、小規模事業者にさらなる負担を強いるインボイスの制度は中止する、さらに、中小企業支援とセットで最低賃金を引き上げるなど、中小業者の経営と雇用を下支えする施策が強く求められています。
 また、豪雨、地震など頻発する自然災害を踏まえ、経済効率優先の大型開発は見直し、防災・減災型の公共事業を重点化すべきであります。そのためにも、松江北道路建設については、改めて建設の是非を全市民的に議論すべきと考えます。
 県民の笑顔と幸せを奪い去るのが原発事故です。今年3月11日で福島原発事故から丸12年を迎えます。事故はいまだ収束せず、事故の原因もいまだ未解明であります。福島事故の教訓は、安全な原発などあり得ないということです。避難計画は実効あるものとはなっておらず、核燃料サイクルの破綻は明瞭であります。猛毒物質プルトニウムを燃やす島根原発2号機でのプルサーマル運転など絶対に認めるわけにはなりません。
 島根原発2号機の再稼働同意は、今からでも撤回すべきです。原発ゼロを決断し、使用済み核燃料や原子炉の処理が終われば、原子力防災訓練を実施する必要はなくなります。そればかりか、原発事故に備えた避難計画の策定も不必要となります。島根の希望ある道は、技術的に未完成な原発からの撤退を決断し、省エネ、再エネ推進で新たな雇用と産業を創出することにあると考えます。
 島根県政は、今こそ、住民福祉の機関の役割を発揮し、住民の意思、民意を尊重し、暮らしを守る防波堤の役割を果たすことを強く求めるものであります。
 2月28日、新年度予算案が衆議院を通過しました。敵基地攻撃能力の保有を宣言した安保3文書にもとづいて、5年間で43兆円もの空前の大軍拡をすすめる初年度の予算です。手当たり次第に軍事費を調達し、くらしの予算は軒並み圧縮されています。そのしわ寄せは、新年度以降さらに強まることは容易に予想でき、ひいては県民のくらしを脅かすものになりかねません。平和とくらしをこわす、岸田政権の大軍拡・大増税に、県は毅然と反対すべきであることを強調するものです。

【第11号議案「令和5年度島根県国民健康保険特別会計予算」】

 次に、第11号議案「令和5年度島根県国民健康保険特別会計予算」についてです。
 国民健康保険加入者からは、保険料、税が払えず保険証を取り上げられた。滞納を理由に年金や生命保険を差し押さえられた。こういった悲鳴が上がっています。令和4年10月1日現在、県内において約8万2000世帯が国民健康保険に加入し、そのうち保険料、税滞納世帯は約5900世帯にも上っており、実に、国保加入世帯の14世帯に1世帯が保険料、税を滞納する事態となっています。その制裁措置として、400を超える世帯が保険証を取り上げられています。
 高い国保料を引き下げるためにも、国庫負担金の増額、市町村からの一般会計繰入れ、そして基金の取崩しは待ったなしの課題であります。国保の都道府県化によって、県も保険者となりました。県としての保険者責任を果たし、高い保険料を値下げするため、独自財源投入を決断すべきであります。

【第19号議案「令和5年度島根県病院事業会計予算」】

 次に、第19号議案「令和5年度島根県病院事業会計予算」についてです。
 県立中央病院では、看護師の2交代勤務が行われています。2交代勤務は、看護師の健康の悪化、ひいては離職につながり、患者にとっては安心・安全な看護の提供の面からも有害と考えるものであります。
 県民誰もがひとしく安心して県立病院を受診できるように、紹介状のない受診時の加算料や差額ベッド料の徴収など、保険外負担の選定療養費徴収は廃止し、保険証1枚でかかれる公的医療保険制度の充実に努めるべきであります。
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、県立病院の重要性が改めて明白になりました。島根県立中央病院は、救急医療、地域医療、災害医療、周産期医療など政策的医療を推進し、県民にとってかけがえのない命綱の病院であります。災害拠点病院である中央病院は、大規模災害や感染症蔓延に備えて、全県的な立場に立って必要な病床を確保して、県民の最後のとりでとしての役割を果たすべきであります。

【第22号議案「令和5年度島根県水道事業会計予算」】

 次に、第22号議案「令和5年度島根県水道事業会計予算」についてです。
 江の川水道用水供給事業や島根県水道用水供給事業の最大の問題点は、積算根拠、需要予測を見誤ったことにあります。そのため、使わない水まで住民負担となり、高い水道料金に住民からの悲鳴が上がっています。県として、受水団体への資本費負担軽減を図るなど、料金軽減策を講じるべきであります。

【第35号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部を改正する条例」、第69号議案「島根県幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備、及び運営に関する基準を定める条例及び島根県認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例」】

 次に、第35号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部を改正する条例」及び、第69号議案「島根県幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備、及び運営に関する基準を定める条例及び島根県認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。
 これらの議案は、省令の改定に伴い、関係条例を改定するものであります。見過ごせないのは、保育所の看護師等が配置基準上の保育士にカウントされる「みなし保育士」の配置にかかる乳児の人数要件の廃止や認定こども園における保育教諭等に代わって看護師等を配置できる規定の新設、であります。
 保育現場における看護師の配置は、子どもの健康管理や体調が急変するなどの緊急時に子どもの命と健康を守るためにも極めて重要なものであります。しかし、保育士は保育に従事することのできる専門職であり、看護職員は子どもの健康状態を把握し、保健及び看護を担う専門職であることから、保育士も看護師もそれぞれに配置されることが必要と考えます。看護職員を専門性の異なる保育士や保育教諭の代替とする人員配置基準の緩和は、子どもの安全を確保するうえでも、保育環境の後退につながりかねません。
 よって、これらの条例改定には賛同できません。

【第37号議案「県立学校の職員定数及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」】

 次に、第37号議案「県立学校の職員定数及び市町村立学校の教職員定数条例の一部を改正する条例」についてであります。
 本条例案は、児童数及び生徒数の変動等に伴い、職員定数の改正を行うものであります。
 現在の教職員定数は、教員が本来の仕事をする上で絶対的に不足しています。教員の多忙化解消、行き届いた教育の実現、教職員がいじめに向き合う条件を整備するためにも、職員定数の大幅拡充が求められています。
 県教育委員会として、教員の未配置の現状を改善して、きちんと教職員の配置を行うことはもとより、教職員定数を抜本的に拡充すべきことを求めるものであります。

【請願第6号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願について」、請願第19号「私立高校生の学費負担の軽減等に関する請願書」】

 次に、請願第6号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願について」及び請願第19号「私立高校生の学費負担の軽減等に関する請願書」についてです。
 これらの請願は、私立学校の運営費補助金の拡充、就学支援金や施設整備等への補助拡充、学費の無償化のさらなる推進及び入学金補助の制度創設等を求めるものであります。
 県下の私立高校は、県内の公教育の発展に重大なる役割を果たしています。また、多くの卒業生が島根県内で就職し、地域経済の発展に多大なる貢献をしています。私学が建学の精神を堅持し、私学教育の考え方をさらに発揮していくために、学費負担の軽減と教育条件の維持向上が不可欠であります。
 よって、これら請願の採択を求めます。
 以上で討論を終わります。

議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画