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2023 年 11 月定例会 委員長報告に対する討論

2023-11-27 この記事を印刷
 日本共産党の尾村利成でございます。
 日本共産党県議団を代表して、「島根原子力発電所1号機廃止措置計画の変更に係る事前了解を了とした」委員長報告に反対する討論を行います。

【「島根原子力発電所1号機廃止措置計画の変更に係る事前了解を了とした」委員長報告について】
 
 わが党は、原発の廃炉には賛成であります。しかし、中国電力の廃止措置計画は、原発の廃炉解体計画と同時に、使用済み核燃料を再処理し、危険なプルトニウムを燃やすプルサーマル運転がセットとなっている毒入り計画であります。
 
 本計画の最大の問題は、島根原発2号機の再稼働を前提とし、さらに、危険なプルトニウムを島根原発2号機で燃やすプルサーマル発電を行うことにあります。わが党は、破綻した核燃料サイクル政策、プルトニウム循環方式にしがみつく本計画を容認することはできません。
 この度の変更は、「第2段階」の具体化と工程の見直しであります。工程の見直しについては、2029年度までとした「第2段階」を2035年度へと6年延長するものであります。その延長理由は、使用済み核燃料の処理・処分ができないからであります。
 この間の廃止措置の経緯を振り返ってみたいと思います。
 県は2017年7月11日に、中国電力に対し、島根原発1号機の廃止措置計画の事前了解を行いました。2017年当時の説明において、中電は、一つに、2018年度に、六ケ所再処理工場が稼働すると言明しました。そして、2029年度までには、使用済み核燃料を全量搬出することができると説明していたのであります。しかしながら、これら二つの約束は果たされていません。
 この度の変更願いにおいて、中電は2024年度の上期には六ケ所再処理工場が竣工すると強弁しますが、それは中電の願望、希望的観測であり、稼働するか否かは不確実、不透明であります。稼働する確度が高いとの説明だけでは、説得力はありません。
 この間、六ケ所再処理工場の竣工時期が度重なって延長となった事実を冷厳に見るべきであります。
 六ケ所再処理工場は、1993年に着工し、1997年に完成予定であったはずであります。しかしながら、事故やトラブルが続出し完成時期が26回も延期されてきました。
 再処理は、使用済み核燃料をせん断・溶解させてプルトニウムとウラン、高レベル放射性廃棄物に分離させるもので、この処理そのものが極めて危険なものであります。世界各地の再処理工場では、爆発事故などが相次ぎ、工程自体、未だ確立されていません。
 事実、アメリカは商業用原子炉の再処理をやめ、一度燃やしたウラン燃料をそのまま廃棄する「ワンスルー方式」に転じました。また、イギリス、ドイツは核燃料サイクルの推進をストップ、撤退しました。この世界各国の方向を冷厳に見つめるべきであります。
 中電は、関西電力と共同して、山口県上関町に使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設を建設しようとしています。しかし、中電が強弁するように、来年度の上期までに六ケ所再処理工場が竣工するのであれば、多くの住民が反対する危険な中間貯蔵施設など必要ないではありませんか。
 中間貯蔵施設建設は、使用済み核燃料の処理方法がなく、核燃料サイクル政策が破綻していることを電力業界が認めたものにほかなりません。
 使用済み核燃料の再処理技術は未確立であります。使用済み核燃料を再処理する青森県の六ケ所再処理工場の本格稼働の見込みは立っていないことを強調するものであります。
 例え、もし、再処理工場が稼働したとしても、プルトニウムの利用計画、使い道は見通しがありません。
 日本は、国内外に約46トンものプルトニウムを保有しています。再処理工場が稼働すれば、年間約7トンものプルトニウムが生成され、プルトニウムが累増します。使う当てのないプルトニウムのため込みは、核不拡散条約に抵触し、国際的な信用を失う極めて深刻な問題であります。
 さらに、高レベル放射性廃棄物に至っては、ガラス固化し、地中に埋めて保管する計画でありますが、埋める場所も処分方法も全く未定であることを直視すべきであります。
 最後に、わが党の廃炉事業ならびに原発問題の考えを申し述べます。
 第1に、六ケ所村の再処理施設は閉鎖し、高速実証炉開発も中止し、核燃料サイクルから撤退すべきであります。使用済み燃料の処分の手段、方法については、専門家の英知を結集して研究開発を進めることが重要であります。
 第2に、民間企業による核燃料物質の精錬、加工、使用済み燃料などの再処理は、直ちに中止すべきであります。使用済み燃料の処分方法の結論が出るまでは、政府の責任で厳重なる管理を行うべきであります。
 第3に、原子力に関する基礎研究と廃炉事業の仕事を担う専門家の確保育成を強力に進めるべきであります。
 第4に、原発の廃炉に至るプロセスの管理、使用済み燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限を持った規制機関を新たに確立すべきであります。
 原発を再稼働すれば、使用済み燃料の貯蔵プールはあふれ出し、再処理をすれば、使う当てのないプルトニウムがたまり続け、処理方法のない高レベル放射性廃棄物は増え続けてしまいます。原発推進路線は、あらゆる面で行き詰まり、八方塞がりの状況であります。自分が生み出す核廃棄物の後始末ができない原発は完成した技術とは言えません。
 これらの問題を解決する道は、原発からの撤退の政治的決断を行う以外にありません。
 以上の立場から、核燃料サイクル、プルトニウム循環方式にしがみつき、原発再稼働を前提とする廃止措置計画、その変更願いには反対であります。

 最後に、2024年度からの廃止措置計画の「第2段階」は、原子炉本体周辺設備の解体撤去作業が計画されています。何より、放射線業務従事者の被ばく低減対策、事故防止対策に努めるとともに、放射性物質の漏えい、拡散防止対策に万全を期し、安全確保を最優先に進められることを強く要望し、討論を終わります。
議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画