前に戻る

議会の取り組み

議会の取り組み詳細

2023 年 11 月定例会 議員提出議案に対する討論

2023-12-21 この記事を印刷

 日本共産党の尾村利成でございます。
 日本共産党県議団を代表して、議員提出第10号議案「知事の専決処分事項の議決の一部改正」について、反対の討論を行います。
 本議案は、議会の議決を得た契約を変更する場合において、専決処分の変更上限額を現行の2500万円以下から1億円以下に拡大するものであります。
 すなわち、それは知事の専決処分事項の適用範囲を拡大する一方で、議会の議決権を後退させるものであります。
 地方自治法第96条は、議会の権限の第一に議決権を定め、15項目をかかげています。その内容は、条例の制定と改廃、予算の議決、決算認定、地方税の賦課徴収、各種の使用料・手数料のほか、政令で定める金額以上の契約の締結や財産の取得・処分、自治体が当事者となる訴えなどの提起や和解、斡旋や調停、法律上の義務に属する損害賠償額など、幅広い事項に及んでいます。
 一方、議会の議決が得られないからといって、住民の暮らしや権利に関わる行政の執行が滞ることは避けなければなりません。
 そこから、本来、議会が議決すべき事項であっても、やむを得ない場合には、必要な事務が執行されることを保障する補完的な手段として、首長に専決処分という権限が付与されているのであります。
 近年の物価高騰に伴い、建設工事においても資材価格や労務単価が急激に上昇し、その結果、当初の契約金額で工事が完了しないケースが増えていることは事実であります。また、変更契約に議決を要することにより、議決を得るまで一定の時間を要すことから、工事完成に伴う円滑な専任技術者の配置に支障が出ており、そのことへの対処も必要な課題であります。
 しかしながら、大きな問題点として、契約金額の増額については、すでに契約の相手方が決まっているため、競争原理が働きません。よって、その変更内容、金額が適正か否かのチェックが極めて重要となるのではないでしょうか。
 この点は、東京オリンピックや関西万博で指摘された数々の不透明な変更契約の問題を鑑みれば、その弊害は明らかであるはずであります。
 議会と首長の関係は「チェック・アンド・バランス」にあります。すなわち、相互牽制と均衡であります。
 議会は、議決機関の権限に立ち、首長を最高責任者とする執行機関の仕事を監視する機能を発揮しなければなりません。そして、執行機関は、議会の意思を尊重しつつ、執行権限を自らの責任と判断にもとづいて行使するべきであります。ここに、二元代表制である地方自治体としての責務、魂があるはずであります。
 よって、知事の専決処分を安易に拡大することについては、議会人として慎重であらねばなりません。議会の議決権をいたずらに後退、縮小させる本議案には賛同できません。

議事録及び録画中継は県議会のHPにてご覧になれます。尾村県議の動画